ドールズフロントライン ~サムライ/ドライブ~ 作:弱音御前
今年もよろしくお願いします、どうも、弱音御前です。
対ELID戦のお話、今回は第4話になります。
ELIDどうこうというよりは完全に当方の銃好きがこうじた作品になってしまっていますが・・・
それでも、楽しんでいただけていれば嬉しく思います。
新年一発目の今週もごゆっくりとどうぞ~
ELID徘徊区繁華街エリア バートンチーム
「自分たちの指揮官と出会ったことがないとは。私には想像ができませんね」
「私達にとってはずっと近くにいる存在ですものね。バートンさん達は寂しさを感じたりはしませんの?」
「ん~・・・それが普通になっちゃってたから。むしろ、指揮官がいるっていうのがどんなのか
分かんないし」
繁華街の一角、瓦礫塗れのショッピングモールを進みながらお喋りに花を咲かせている3人。
戦闘エリアに侵入してから30分くらいはこの調子なので、もう戦闘中だということすらも半分忘れてしまっている次第である。
「でも、指揮官がいると楽しい、っていうのは私達も聞いたことある。アンタ達を見てても、それが本当の話だって分かるよ」
バートンは嬉しそうに言う。
体格はファマスとタボールよりも良く、大人っぽく見える彼女であるが、その快活な笑顔は
子供っぽい可愛らしさを感じる。
「それに、グリフィンの戦術人形はプライベートでも指揮官と色々なこと出来るんだろ?」
かと思えば、いきなり見た目相応の話もするので、忙しいものだと2人は思う。
「で、どうなの? 指揮官に抱いてもらうのって気持ち良かったりする? ねえねえ?」
「どうって、それはまぁ・・・ですわよねぇ?」
「わ、私に同意を求められても」
当然、指揮官とそういった経験をしたことのない2人は顔を見合わせたまま答えに窮してしまう。
「した事ないの? なんか、基地によっては毎日交代で指揮官にっていう噂もあったり」
「私達の指揮官はそのような見境の無いことはしません!」
バートンの言葉をファマスが遮る。
勢いで口調を強めて、顔を赤らめているファマスのそんな初心なところがタボールは大好きなのである。
「指揮官殿は誓約を交わしている副官としかそういったことはしません。そりゃあ、指揮官殿と
一夜を共にしてみたいという気持ちはありますが・・・そもそも、そういったことは共に愛し
合った2人がすることで、ちゃんと副官を大事に想っている指揮官殿を私は尊敬しています。
なので、私達の指揮官殿をそんな風に言うのは」
「ご、ゴメンよ。悪気があって言ったわけじゃないんだ」
「そうですわよ、ファマスさん。大大だ~い好きな指揮官の事だからってムキになりすぎですわ」
言われて我に返ったファマスが赤い顔のまま俯く。
「アタシ、ファマスに嫌われちゃったかな?」
「そんなことはありませんわ。この程度で同じ戦術人形を恨むほど、器のちっこい私達ではなくってよ」
割とガチでヘコんでいるっぽいバートンをタボールが慰めてあげる。
あれくらいの事は気にせず蹴っ飛ばしそうな性格に見えるバートンだが、案外繊細な娘なのかもしれない。
「タボールの言う通りです。さっきは言い過ぎて申し訳ありません」
ファマスがペコリと頭を下げて、それでバートンも少しは安心してくれたのか、弱々しい感じながらも笑顔を戻してくれた。
「本当にゴメン。私、姉妹以外の戦術人形と接した事なくて。どんな風に話したらいいのかよく
分かってないんだ」
「接したことが無い、って今回のような合同作戦があったのでは?」
「今回が初めてだよ。ずっと私達だけで任務にいってたんだ」
「それにしては、私達と上手に接しているようにも見えましたが」
「みんなに不審がられないようにって、昨日3人で練習したんだ。でも、少し調子に乗り過ぎたらボロが出ちゃったみたい」
誰かと接することに練習が必要なものなのだろうか?
それはきっと、指揮官に導かれ、仲間と共に過ごしてきたファマスとタボールには分からない事だ。
「それでも、私達の基地にいる娘達と比べたらまだまだ大人しいものです。先ほどまでのような
楽しいお話ができるのなら、喜んで友達になりますよ」
「友達? ホント!? アタシと友達になってくれるの!?」
「え、ええ、もちろんですので、その・・・あまり近づきすぎるのは」
これまでで一番のテンションで詰め寄ってくるバートンに焦るファマス。
親友が困っているそんな様子を傍から眺めるのが好きなタボールである。
「携帯端末は持っていますよね? 任務が終わってHQに戻ったら、皆さんと連絡先の交換をしましょう」
「やったね! 姉貴もウェスカーも喜ぶだろうな~!」
その場でクルクルと回りださんばかりの勢いで喜ぶバートン。
「しょぼんとしたり喜んだり、忙しい方ですわ」
「それだけ嬉しかったという事です。私達とは境遇が随分と違うようですから」
一通りの会話が落ち着いたところで、遠くから爆発音と地響きが伝わってきた。
「まあ、他のチームはすでに始めているようですわね」
「たぶん姉貴のところかな。ウェスカーはこんな派手にやらかさないから」
「では、こちらもいよいよというところでしょうか」
「ですわね。そろそろファマスさんも私の裾から手を離さないと、いざという時に戦えなくってよ?」
繁華街の大通りからこのモール施設内へ侵入してこの方、ファマスはタボールに寄り沿うくらいくっついて並び、上着の裾を握ったまま歩いてきたのである。
「2人並んでいた方が安全ではないですか。私は別に、怖がっているわけではなく、あくまでも
戦闘においての効率を考えてですね」
「はいはい分かりましたわ。どうぞ、お気の済むまで私にピッタリくっついていやがればいいのですわ」
「あはは、アンタ達って本当に仲良いよね~。私もみんなとそれくらい仲良くなれたらいいな
・・・っとぉ!」
突然の事、バートンが足元に転がっていたテナント看板を蹴り飛ばした。
どういう脚力をしているのか、スリングで弾かれた玉のような勢いで暗い通路の先にかっ飛んでいく看板。
ファマスとタボール揃って、飛び上がって驚いてしまったのはみんなに内緒の話だ。
「ど、どどどどしたのですか!!? 奴らが! 奴らが来たのですか!?」
タボールの身体を遮蔽物代わりに銃を構えるファマス。
いざという時にこうなることは予想済みだったので、特に咎めたりはしないタボールである。
「そう、まずは一発お見舞いして散らそうと思ってね」
通路の奥に、ゆらゆらと揺らめく人影を視認する。
ファマスに続き、タボールも銃を構える。
「まずは2人だけで。10分間アタシは何もしないから、やれるだけやってみて」
言って、バートンはファマスとタボールの背後に退がる。
「ファマスさん、私を盾にするのはいいですが、撃つ時くらいはちゃんと目を開けて、しっかり
狙いを定めて撃って下さいまし」
「そんなの当然です! この私をあまり舐めないように!」
と言いつつ、何も見まいとしっかり目を瞑っているファマス。
ファマスと非常に仲の良いタボールくらいしか知らない事だが、彼女はスプラッターやホラーが大の苦手なのである。
ELIDなんかはそのお手本のような存在の為、ファマスはこれまで関わらないようにしていたのだが、他ならぬ親愛なる指揮官の役に立つ為ということで、今回は頑張って参加を申し出たのだった。
とはいえ、やるからにはちゃんとやってもらわないとタボールも困る。
通路奥からやってくる敵影は、油断していたら不覚を取りかねない相手だとタボールの戦闘勘が教えてくれている。
「では、バートンさんに倣って先手必勝ですわ!」
敵が有効射程に入ったのを見るや、タボールが銃撃を開始する。
弾丸が当たった端からELIDの身体が弾き飛ばされる。しかし、身に着けている防弾ジャケットのせいでダメージは与えられていない。
いくつか頭部に命中したものもあるが、ばら撒いた弾丸の数と比較するとあまりにも効率は悪い。
しかし、それでも。
「こっちこないでこっちこないでこっちこないでこっちこないで~~」
相変わらず目を閉じたままテキトーに撃ちまくっているファマスよりは格段にマシなものである。
事前情報の通り、ELIDは大量の群れで迫ってきている。
一番近い敵群が真正面に。通路左右のテナント内からも、2人のもとに迫ってくる群が視認できる。
(バートンさんは時間まで手を貸してくれる様子ありませんし、ファマスさんがこの調子では・・・)
完全にビビってしまっているファマスを見ているのは好きだが、このままでは自分の身が危険に晒されてしまう。
趣味か保身か、イタズラ娘なタボールもどちらの方が大切かは簡単に分かる。
「ファマスさん、11時方向プラス5度ですわ!」
タボールの指示を受け、ファマスの銃口向きが修正される。
頭部に集中、とまではいかないがおおよそ上半身に命中。
「次は10時方向プラス8度ですわ!」
今の着弾点を見て角度を修正。今度は胸から上に弾道が集中したおかげで頭部への着弾数も増える。
「ひゅぅ~♪ 良いコンビだね」
口笛交じりで関心の声を漏らすバートン。
先生からお褒めの言葉を貰ったのは嬉しいし、少しは攻勢が好転したのはいいが。
「タボール次は! 私は次にどこを狙えばいいのですか!?」
タボールを射撃管制官の代わりにして、頼り切りのファマスに少しだけ腹が立ってきてしまう。
ファマスを利用しようと考えたのはそもそもタボールの方なのだが、それは今は置いておこう。
「ファマスさん、そろそろ自分で狙ったらどうですの? このままではいつまで経っても成長できなくてよ?」
「だってぇ・・・やっぱり怖いんだもん・・・・・」
「ぶふぉ!」
潤んだ上目遣いを向けてくるファマスのあまりの可愛らしさに、鼻血が吹き出しそうになってしまうタボール。
だが、喜んでばかりもいられない。やはり2人の戦力が足りていないせいでELIDに追い詰められてしまっている。
「か、かかかかわいこぶったって無駄ですわ! ほら、もっと私に抱き着いて、お顔もしっかり
寄せて、ちゃんと敵を見て銃撃なさい!」
「無理ですぅ! やっぱり怖いですぅ! 目なんて開けられないですぅ!」
「我儘言うんじゃありません! 指揮官のお役に立ちたいと言ったのはファマスさんでしょう? 自分の言った事に責任を持ちなさいな! あぁ、もう! ファマスさんとお話している最中でしてよ!」
迫ってきたELIDを蹴り飛ばし、距離をとったところで頭部を撃ち抜いてやる。
「もう、タボールが全部やってください~!」
「だから、それでは意味が無いと!」
堂々巡りの会話を繰り広げるファマスとタボール。
そんな時だった。
「はいは~い、お時間だよ。2人ともお疲れさん」
背後からバートンの声が聞こえたかと思えば、次には後ろ襟を摘ままれて持ち上げられてしまった。
「「きゃあ!?」」
ファマスとタボール揃って、驚きの声をあげてしまう。
決して小柄というわけではない2人を、片腕で1人ずつ軽々と持ち上げている。
バートンは、さながら気に入った服を両手に試着室へと進むレディのように、ELIDがいない方へスタスタと歩いていく。
そうして、遮蔽物の影に2人を降ろしてあげる。
「あとは私がやるから、2人はここで見学しといてね」
ちょこんとお座り状態でバートンの言葉に頷き、後ろ姿を見送る2人。
「はぁ~、全然戦えませんでしたわ。もう少しやれると思いましたのに、少しショックですわ」
「仕方ありませんよ、鉄血人形とは勝手が違うのですから。バートンのやり方を見て、ちゃんと
勉強しましょう」
「・・・そういう偉そうなことは、ちゃんとELIDを見れるようになってから仰ってくださいまし」
何も言い返せず肩身狭そうにするファマスを傍らに、タボールは大人しくバートンの姿へと目を向けるのだった。
今回からはバートンチームのお話ですね。
サムライエッジは隊員毎のカスタムモデルが存在するので、それを使っている当作品の3人も原作でそれを扱っている3人っぽさを含有しているつもりです。
クリスは誠実で正義感のある感じ、バートンは大柄で武闘派な感じ、といったところですね。
いかんせん、当方の表現力が足りないせいで分かりづらいのが泣き所ですな・・・
次回更新は例の如く来週となりますので、お暇がありましたら是非とも。
以上、弱音御前でした~