TS転生先でSenkaされてもしぶとく生きる   作:テレホマン

5 / 12
第4話 滅ぼされた村(後編)

 唐突に判明した衝撃の事実、この略奪者どもが王国軍という事について、状況を纏めよう。

まず、この村が突然現れた王国軍に制圧されたのは、一昨日の未明になる。

 

 基本的に、こういう田舎の村は、夜中は一切外出しない。

夜中に村の外を散歩なんかしたら、魔物の格好の餌食だからだ。自殺したいならオススメ。

そんな危険が一杯な真夜中の山中を、突破してくるなんて誰も考えていなかったのだ。

 

 村の主要な出入り口を(あらかじ)め封鎖し、他村への連絡手段を完全に絶ってから制圧された。

まさに、電撃戦の見本といえる様な、素早く無駄のない理想的な制圧の仕方だ。

 

 この見事な制圧を行ったのは、王国軍の正規兵達だった。

鉄製の兜(ガレア)、鉄製の板金を重ねたスケイルメイル(ローリーカ・セグメンタータ)に身を包み、長方形の赤く大きな盾(スクトゥム)を持つ男達。

刃幅のある両刃の短剣(グラディウス)を腰に差し、背中には投槍(ピルム)数本と遠征用の荷袋(サルキナ)を背負っていた。

偉そうな人には、鉄兜の上にド派手な赤いフサフサもある。

 

 ろ……ローマ軍団兵(レギオン)だぁ! 神聖でもローマでも帝国でもないパチモンとは違う、本物の!

今でこそこんな事を言っているが、当時は普通の少女だったので、恐怖に震えながら見ていた。

そんなオレに、ケンが「お前だけは守ってやる」と言ってくれていた。

……うそつき。

 

 先遣隊と思われる彼等は、村内で無法なことは全くしなかった。

オレ達が村から出る事は許さなかったが、村内であれば自由に行動を許してくれていた。

戦争では当たり前の、食料の現地徴発すらせず、村の中央広場を上官の野営地とし、村の出入り口付近を兵士の野営地としていた。

 

 昼頃になると、本体と思われる軍勢もやってきた。

先程の重装歩兵のみならず、補助軍(アウクシリア)も含んだ大軍勢だ。

軽装歩兵(ウェリテス)や投石兵・弓兵といった兵士に、沢山の神官や司祭。

 

 長年の厳しい修業を積んだ神官や司祭は、神の奇跡である神聖魔法を使う事が出来る。

傷の治癒や浄化・解毒と言った、皆が想像するオーソドックスな回復魔法だ。

彼等の神聖魔法により、死者の減少や軽傷者の迅速な戦線復帰が可能となる。

長期戦も辞さない、王国側の本気が(うかが)える陣容だ。

 

 日が暮れ始めると、多分だが最初にここを制圧した人達が、出発していった。

ここと同じ様に、次の村まで夜の間に移動して、連絡手段を絶った状態で制圧するのだ。

それを繰り返して、静かに山側を迂回して進軍して、北部国境から最も近い前線都市ウィルソードを、警戒していない裏側から奇襲するつもりなんだろう。

 

 中央や南部方面で主力を陽動として動員し、公国の北部方面軍から援軍を出させていれば、更に効果的だ。

大した抵抗もなく、ウィルソードを制圧できるかも知れない。

そうなれば、そのまま北部の中心都市アプリオスの制圧も視野に入ってくる。

 

 ここで、2つ疑問がある。補給の問題と、村の位置についてだ。

この山間部は、整備された道なぞ存在せず、それなりに険しく長い。

 

 この軍勢を支えられる、大規模な補給部隊の運用が出来るとは思えない。

魔物の襲撃もあるだろうから、相応の護衛部隊も必要と考えると、不可能だ。

ウィルソードを陥として補給する、なんて捨て身のイナゴ戦法をとるとは考え辛い。

 

 次に、山間部の村の位置が完全に把握されている点。

昼間でも見失いそうな道を、明かりの無い夜間に移動するなんて地元民でも難しい。

とんでもなく熟達した道先案内人(スパイ)がいるのか、GPSみたいな魔法が存在するのか。

 

 おっと、状況把握が戦略分析になって、話が脱線してしまっていた。

前世では歴史SLGとか好きだったからね。ローマ軍団兵(レギオン)で興奮するのも()む無し。

 

 この村で1泊した本隊は、昨日の朝早くに見張りを残して出発していった。

本隊が出発して暫くした昼前に、あいつら徴募兵を含んだ混成軍がやってきたのだ。

 

 彼等も無法はしなかったが、正規軍だけの時には感じなかった、粘りつく様な、舐め回す様な、

ねっとりとした視線を頻繁に感じた。これが噂の、野獣の眼光って奴?

多分、この時に色々品定めをしていたんだと思う。村を襲うか、襲わないか含めて。

 

 王国軍は、徴募兵の素行に不安がある為、この村で1泊させるつもりは無かった様だ。

昼飯と小休憩の後、そのまま次の村に向けて出発させようとしていた。

けれど彼等は色々と駄々をこね、乱闘騒ぎを起こし、出発の時間を遅らせた。

調整の結果、夕方に出発していった。この時間稼ぎこそが奴等の目的だったのだ。

 

 あいつらは、希望者同士で示し合わせて、夜陰に乗じて迷子を装い脱走したのだ。

勿論、道を間違って滑落したり、魔物に襲われて死んだ奴もいるだろう。

悪事を行うのも命懸けって、本当にこの世界は容赦がないと感じる。

 

 そうして戻ってきたあいつらは、見張りの人達を始末したのか、仲間に引き込んだのかどうか

分からないが、この村を再度制圧して、現在の畜生働きの状況へと至ったのだ。

 

 

 

 

 

 あれから、どれ位の時間が経ったのだろうか? 何人に、何回抱かれたのだろうか。

既に地平線の夕焼けの光は弱々しくなり、辺りに夜の(とばり)が下り始めている。

 

 そんな状況でも、オレはまだ犯されていた。

……というか、明らかにオレの輪で並んでいる人、増えてない!?

 

 ぶっ続けでずっと犯されているので、流石に意識が朦朧としてきている。

ちゃんと接待が出来ているか。反応できているか。判らなくなってきて不安になる。

例えるなら眠くて舟をこぐ直前の、自分が何をしてるのか良く分からないあの感じ。

 

 何か面白い事思い出して、意識を保たないと。気を失ったら死ゾ。

あっそうだ(唐突)。この林間学校の最中に、1件だけ面白い事ありましたよ!

少し我慢の限界もきていたのか、つい言っちゃったんですよ。呪いの言葉を。

 

 対象は、オレが初めての女だった、農民徴募兵君です。

マーラ様をデビューさせた後、感極まった(?)のか、抱き着いて密着しながら

「ごめんね……、ごめんね……」って言ってきやがったんですよ。

 

 もうね、アホかと。馬鹿かと。

お前な、悪事を為す覚悟すらなく、普段来てない略奪に来てんじゃねーよ、ボケが。

略奪だよ、略奪。今も必死に腰振ってるし。泣いて謝りつつも腰は振るのか。おめでてーな。

前世の経験から、こういう中途半端で一本筋が通ってない奴は大嫌いだった。

 

 なので、あいつの耳元で優しく一言、「ユルサナイ」って(ささや)いてあげましたのよ。

そうしたら、バネが跳ね返る様に起き上がって、青白い顔して口をパクパク動かしながら、

メギドラオンしたんですよ。ウケる。

 

「あっ……、うぇ、あ、その。今、君、も、もしかして……」

「おいガキ! 一発抜いたんならさっさとどけや!」

 

 彼はすごすごと離れた後、再度輪には加わらず、離れた所でじっとオレを見続けていた。

勿論、オレはそんな事を囁いた様な素振りは一切見せず、接待プレイを続けた。

 

 あはっ、ざまあみろ。

将来大事な人と()()()とする(たび)に、オレの言葉と初体験を思い出せ。

 

 そんな事を考えていたら、辺りは何時の間にか真っ暗になっていた。

クソ野郎どもも、近くにいる気配を感じない。屋内に灯りもない。撤収したのか?

……賭けに勝った。安心感で意識が飛びかけたが、次の瞬間に引き戻された。

 

 あお~ん! 無音の世界に突如、遠吠えが響き渡った。

ヤバい! 早く屋内に退避しないと、魔物がやって来る!

 

 人が焼ける香ばしい匂いに、あいつらの我慢は限界だろう。

今までは多くの人の気配があったから、遠巻きにしていただろうが、居なくなれば別だ。

 

 このまま気絶したら、生きたまま獣型の魔物に食い殺されるだろう。

人型の魔物の場合だと、もっと悲惨だ。巣に持ち帰られて、孕み袋兼保存食だ。

……死んだ方がマシ、って奴だな。

 

 手近の戸のある建物に向けて、オレは芋虫の様にずるずると這っていく。

長時間乱暴に酷使された下半身は、ピクリとも動かないからだ。

 

 酷使された幼い体の細腕では、中々思うように前に進まない。

唯々(ただただ)、気だけが焦る。この闇の静寂が、何時破られるのか判らないのだ。

 

 建物の戸が近づいてきた所で、段々と視界が閉じてくるのを感じる。

いやだ、死にたくない! ここまで耐えたのに! オレはやれる最善をした。

頑張った。賭けにも勝った。後は屋内に入るだけ。なのにどうして!?

 

 だが、無慈悲にも、オレの視界はどんどんと閉じていく。

やめろ! 死にたくない! 死にたくない!! 死にたくなーーい!!!

 

 

 こうして、オレは意識を失った。長い一日が、終わったのだ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。