TS転生先でSenkaされてもしぶとく生きる 作:テレホマン
ばっども~にんぐ。
目を開くと、薄暗い空間の中で、ぼんやりと陰気臭い石か岩(?)の見知らぬ天井が見えた。
意識があるという事は、生きているという事だが、目覚めの気分と状況は最悪だ。
魔物、それも人型の魔物の多くは、洞窟や地下・廃墟等に巣を作る事が多い。
当然、天井は土や石・岩で構成されている事が多いだろう。
つまり、オレは間抜けにも力尽きた所を、人型の魔物に巣に持ち帰られたという訳だ。
あそこまでやった努力が、全て水の泡になった事が、嫌でも理解できた。
努力は必ずしも報われる訳ではない。前世で嫌という程知っている。仕方ないんだ。
そう考えていても、体の何処に水分が残っていたのか、ジワリと視界の両端が滲む。
「あははは、はは……。ひっ、ふぐっ、うぐぅ、うううぅぅぅ~~」
歯を食いしばって耐えようにも、どうしても隙間から嗚咽が漏れる。
泣くまい。泣くな、男だろ! ……体は女だからセーフか?
大の大人が情けないとは言わないでくれ。これから、死んだ方がマシな目にあうんだ。
そんな感じでえぐえぐと泣いていると、ガチャリとドアが開くような音と、何かが近づいてくる足音が聞こえた。
泣き声も、息も殺して足音のする方を見る。
ドアから入る光が逆光となり、入ってきた奴はシルエット位しか分からない。
そいつは近くに来て、オレが目を開けている事に気付くと、人間の言葉を喋った。
「良かった、お目覚めになられたんですね。少々お待ちくださいね」
女の声でそう言うと、そいつは少し歩いてから何かをガタガタと鳴らし始めた。
あれは……雨戸? 窓を開けようとしているのか?
ガタン! 勢いよく窓が開く音と共に、眩いばかりの光が飛び込んでくる。
その眩しさに目を細めながら、のろのろと上半身を起こして、相手を観察する。
頭は白い布で顎や肩付近まで完全に覆われ、髪の毛は全く見えない。
その白い布の上に、両脇から背中まである、ゆったりとした紺色のベールを被っている。
この装いは、シスターが頭に被るアレだ。白い布は、ウィンプルってやつ。
顔は、妙齢の女性だ。おっとりとした柔和な印象を受ける。
服装は、足首近くまである、飾り気のない紺色の服だ。まんま修道服やん。
そんなボディラインの目立たない、ゆったりとした服の上からでも判る、暴力的な質量の胸!
こいつの種族、絶対サキュバスだろ(疑心暗鬼)。
若くて優しいエロボディシスターとか、そんなファンタジーな存在、現実にいるわけねーだろ。
ここは剣と魔法のファンタジー世界だって? まぁ、そうねぇ……。
そんな事より、サキュバスの巣に持ち帰られたオレは、どうなるんだ?
体をサキュバスに作り替えられて、メスガキサキュバスとして生まれ変わるのか?
それとも、感度3000倍で退魔忍されてしまうのだろうか。
どちらにしても、孕み袋兼保存食よりかは、マシな残りの人生を過ごせそうだ。
……悪い、やっぱ辛えわ。
「あら、
そう言って、コスプレサキュバスはドアから出て行った。
髪の毛の色が何だって言うんだ? 当たり前のように、
この状況、オレは助かったのか? 洞窟だと思った天井は、石造りの教会の天井だったのか?
やっぱりここは魔物の巣で、神父様(ゴブリンシャーマン)と騎士様(オーク)をお呼びしますね、とかいうオチじゃねーだろうな!
生きてる(上げて)、魔物の巣(落として)、教会で助かった(上げて)ときて、ここからまた落とされたら、オレの脳が破壊されてしまう!
そんな事を考えていると、ドカドカと複数人の大きな足音が近付いてきた。
入ってきたのは、小太りの神父と、
入り口で足を止めた3人と、オレの視線が絡み合う。
「黒目に黒髪だと!? 無神論者か魔女じゃないか!」
武装した男がそう言い放ち、オレに向かってドカドカと詰め寄ってきた。
近付いた男が、オレに向かって手を伸ばそうとした所で、景色が急に切り替わった。
ならず者に抑え込まれた
そして上着を破かれ、スカートをずり下され、武骨な手が
「いやっ、やめて! お兄ちゃん、ケン、たすけて!」
「お前、何やってんだ! リンに触るな! やめろよ!」
「おい坊主ぅ。ナイトを気取るには、ちぃとばかし役者不足だったなぁ?」
そんな声が聞こえたと思ったら、隣にボトリと丸い何かが落ちて転がった。
転がるのが止まった何かと目が合う。
「愛しのナイト様には、特等席でお前が女になる所を見て貰おうぜ?」
それは、
「い、いやああああああっっっっ!」
えっ、何!? 今の光景と感情、そして悲鳴がオレとリンクしていない。
いや、違う。感情は共有されている。
オレの意思とは関係なく、その感情に体が
まるで、もう一人の
突然の悲鳴に驚いたのか、オレを掴もうとした男の手が、空中で止まる。
その隙を突いて、体が勝手に動きだした。い、いかん……体が勝手に風呂場の中に……?
ベッドから降りようとしたのか、上半身を捻って足をベッドの
下半身の動きがついていかず、上半身だけがベットの縁に向かって勢いよく動いてしまった。
村での行為の影響が残っており、下半身の感覚がまだ十分に戻っていないせいだ。
その結果、男の反対側にベッドから転がり落ちる事になった。イタァイ!
オレが地面に落ちた音で、固まっていた男がベッドを迂回して近付いてくるのが見える。
また、気持ち悪い事をされる。また、痛い思いをする。また、自分が自分でなくなる。
逃げなければ。誰でも良いから助けて! 何で、こんなことに? もう、いやだ……。
そんな絶望と諦観を煮詰めた様な感情が、何処からかオレに流れ込んでくる。
その感情に反応する様に、体はずるずると壁際へ這って行った。
これ以上進めないと判ると、背中を壁に押し付けて足を引き寄せ、体育座りの様に縮こまる。
そんなオレを見て男が動きを止めかけるが、それでも至近距離まで近付いてくる。
また、さっきのように、勝手に景色が切り替わる。
ケンでも、村の男の人達でもない、突然現れた名前も知らない男にだ。
隣では、そんな
肉を引き裂かれる痛み、内臓を無理やり動かされる気持ち悪さが、
「うぐっ、気持ち悪い。痛い、痛いよ。お母さん、お母さん……」
「お母さん、じゃねえんだよ! 今からお前がママになるんだよオラッ!」
「お前のママも、向こうでお楽しみ中だぜ? 一緒に弟か妹も出来るから安心しな」
「妊娠確実ッッ! 豊穣の女神のご加護があったな?」
げらげらげらと、周囲から野卑な笑い声が沸く。
目の前の男が動きを止め、肚の中に熱い何かが流し込まれる。
……ハッ!? まただよ(笑)。
「初体験.mp3」を執拗に見せつけてくるのは、誘ってんのか? 誘い受けか?
もう分かったと思うが、これは「エヴァンジェリン」の心と記憶の残滓だ。
彼女の受けた強烈な体験が、この体に染みついているのだ。
そんな風に冷静に分析をしているが、体の方はとんでもない事になっていた。
顔は涙と鼻水でぐちょぐちょ。多分、楳図かずおの叫び顔みたいになってると思う。
体が、制御できない位にガタガタと震えている。うん、怖いからね。仕方ないよね。
下半身が、股間と尻の辺りがじんわりと温かく湿っていて、水溜まりが出来ている。
そうです、粗相しちゃってます。失禁です。お漏らしです。
ちょっと???
どうすんだよこれ! 男の方も、心なしかドン引きしてるじゃん!
男の後ろでは、小太り神父とサキュバスがオロオロしている。
子供が大変な事になっているのに、誰も動かないので微妙な雰囲気になっている。
おいィ? オレはこのままタイムアップでもいいんだが?
そんな、奇妙な緊張感が漂う空間に、張りのある大声が響き渡った。
「貴様ら! 子供相手に何をやっているか!」