NARUTO世界に転生したけど何か違う   作:野摸

13 / 16
※今回、後書きにイラストを掲載しております。


13 心を埋める

 

 

 ──脅威は去った。橋の上では、誰もがそう信じ、仲間達と互いに喜びを分かち合っている。

 

 人々の心は、希望に沸いていた。

 

 

 ───

 

 

 その光景を、外側から観測する四班に出る幕はない。

 

 ()()もまた、同じように立ち尽くしている。

 

「……アオイはどうしたの?」

 

 追い忍に構わずスバルはマシロを窺う。

 

 スバルの見立て通りなら、アオイに外傷はない。幻術を掛けられ眠っていることを除けば、平常そのものに見える。

 

「僕が眠らせました」

 

 マシロが端的に報告すれば、それでスバルには通じた。詳細は後でいい。

 

「これからどうする? ──そっちの人とか」

 

 ヒノメは油断なく白眼で彼女を睨め付けている。分身より中身が詰まってる癖に、妙に静かなのが空恐ろしかった。

 

「ここでお別れよ。私達も任務に戻る」

「……ん、了解」

 

 今やただの同業者。この場で分かるのはそれだけだ。

 

「後のことはよろしく」

 

 その場から立ち去る直前、スバルが確かにそう言った。

 

 何処に宛てたかも分からないが……確かに、第三者はいたのだろう。

 

 

 ───

 

 

「……フン」

 

 木ノ葉固有の、貴重な瞳術持ちが部下に二人。

 

 橋の方では、ことの収集をつけようと、島民と何やらやりとりを交わしているはたけカカシ。

 

 そして今になって存在感を放つ、恐らく暗部が複数……

 

 最初から、木ノ葉は相当な厳戒体制を敷いていた。付け入る隙など無かった。

 

 今更どうすることも出来やしない。本当に、忌々しい。

 

 今の彼女に出来るのは……ただ、人々の流れを目で追うことだけだった。

 

 

 ───

 

 

 波の音がする。

 

「……?」

 

 四肢の脱力を自覚する。周囲の明るさを確かめようと、瞼が自然と持ち上がった。

 

 側に誰かいる。見慣れた紫色だ。

 

 指先にざらついた硬い感触。向こうには漁船と、さらにその先は水平線だ。どこかの、波止場にいるのだろうか。

 

 アオイが少し視線を上げれば、こちらを覗き込むマシロと目が合った。

 

「……良かった、落ち着いてるみたいですね」

 

 一安心というように息をついたマシロは、背後に広げていた物資の方へ向き直った。何かの作業中だったらしい。

 

 身動ぎしてようやく、アオイは自分の身体に毛布が掛けられているのに気か付いた。 

 

 ……いつの間にか、眠っていたのか。

 

「具合はどうでしょう? 何か違和感などはありませんか?」

「ううん、なんとも……私、寝てた……?」

 

 マシロは、もう一度確かめるようにアオイを伺う。

 

「僕が写輪眼で催眠を掛けたこと、覚えてます?」

 

 問われるままに記憶を辿る。そうだ、マシロに名前を呼ばれたと思ったら赤い眼に覗き込まれ──違う。

 

「! ……せ、先生や七班は? ヒノメはどこ?」

 

 思い出した途端慌て出すアオイに、マシロは「大丈夫だ」と安心させるように笑う。

 

 四班や七班、民間人にも、死者は出なかった。戻って来たスバルは今は着替えの為に席を外しているのだという。ヒノメはその監視役だ。

 

「詳しいことは、これから説明してもらえるかと」

 

 意識が途切れるまでの記憶が段々と蘇ってくる。あの状態は、パニックそのものだ。

 

「……うん。本当にありがとう、マシロ」

「お互い様ですよ」

 

 制御を失う感覚を思い出し、アオイがまた身震いする。

 

 酷く焦ったような声をよく覚えていた。

 

 

 ───

 

 

 マシロから貰った白湯をアオイが飲み進めていた時。倉庫らしき小屋の陰から、スバルとヒノメが連れ立って歩いて来るのが見えた。

 

 スバルは、いつものベストを肩掛けにしている。

 

「ただいま」

「おかえり、なさい……」 

 

 化粧も落として、遠目で見る分にはラフな格好に見えていた。しかし、ベストに残る血痕が着替える前の状態を示している。

 

「取り敢えず、怪我は()()()ないらしい」

 

 ヒノメは納得していない様子でアオイの隣に腰を降ろし、その傍らでは、マシロが用意していた薬包をスバルに差し出していた。

 

「こちら、増血丸です」

「大袈裟ね」

 

 渋々受け取るスバルだが、どう見ても気怠さが隠せていない。壁に寄り掛かる仕草一つとっても違和感が募る。

 

 アオイが眠っている間に何が起きていたのだろう。

 

「……追い忍や再不斬達は、どうなったの?」

 

 その一言でピタ、と空気が変わった。スバルは平然と口を開く。

 

「結果から言うと、再不斬ともう一人の少年、そしてガトーが死亡。追い忍は生きてる」

 

 死者は、七班と対立していた抜け忍達と……

 

「……ガトーも?」

「殺ったのは再不斬だ。仲間割れからの道連れって流れ」 

 

 ヒノメが、首を掻っ斬るジェスチャーをする。茶化しはない。表情は真剣そのものだった。

 

「追い忍の方はチャクラ切れ寸前。今は見張りをつけてある。一先ず波の国における脅威は凌げたと言えるでしょう」

 

 簡潔な説明だ。それしか分からない。

 

「結果は分かりました……でも僕らが聞きたいのは過程ですよ」

 

 マシロが、堅い口調で続きを求めた。アオイも気持ちは同じだ。

 

 三人分の視線がじっ、とスバルに向いている。

 

「……順を追って話すわ」

 

 観念したような素振りで、スバルは肩を竦めるのだった。

 

 

 ───

 

 

 反省会の、その前に……

 

「先にこれだけ言っておく。三人とも、無事でいてくれてありがとう」 

 

「各々思うところはあるでしょう。けど、今回の結果は木ノ葉──いえ、三代目の意向通りよ」

 

 

 ───

 

 

「ガトーが殺されたのは良いのかよ。そりゃ波の国からしたら万々歳だろうが……一応、オレらにとっては情報源だっただろ?」

 

 身も蓋もない言い方だが、ヒノメの疑問は尤もだ。

 

 元々、四班に課せられていた任務は「ガトーカンパニーへの潜入調査」である。

 

「この任務で、私の行動方針は“仲間と民間人の保護を最優先にすること”……つまり、“被害の最小化(リスクヘッジ)”だった」

 

 その優先すべき中に、ガトーは含まれなかった。しかしヒノメの言う通り、取り逃したものは大きい。

 

 スバル自身思うところはあったのか、次の方針は固めているらしい。

 

「──この休憩が終わり次第、ガトーカンパニーへ侵入し、密輸入や違法取引の形跡を片っ端から盗ませてもらう」

 

 リカバリーをするなら今のうちだ。

 

 抜かりないスバルの宣言にヒノメがヒュウ、と口笛を鳴らす。四班の次の予定が決まった。

 

 

 ───

 

 

「つか、あの追い忍は? 結局何が目的だったんだよ」

「追い忍で確定なんですかね、彼女……」

「違ったら逆に怖いだろ」

「知りませんよ」

 

 四班が波の国へと上陸したその時から、彼女の気配には終始悩まされ続けていた。

 

 長らく霧を纏って姿は見せなかったのに、今日になって現れたかと思えば強酸を武器に大暴れ……

 

 それが、アオイの知る彼女だ。

 

「本人の言葉を信じるなら、“再不斬達へ肩入れしていた追い忍”で合ってる。違ったとしても別に構わないわ」

「……なんであれ、やべェヤツなのは確かだ。先生もよく生きてたな」

「……」

 

 スバルは、目を伏せて暫く言葉を探していた。指でベストを手繰る仕草が何だか珍しい。

 

「彼女は、この任務において最も警戒すべき不確定要素だった」

 

 スバルは言う。追い忍の敵意を確信したのは昨夜になってからだ、と。

 

 昨日の夕食前にスバルが仮拠点に戻った時……その周囲には追い忍によって“探知用の結界術”が仕掛けられていた。

 

 下忍は誰一人気付ず……スバルも、それを好都合とみなした。

 

『確かに追い詰めた筈よ! 一体どうやって──』

『遠見も万全じゃない』

『!?』

 

 相手の能力については互いに情報不足だった。スバルは感知能力を伏せることで、追い忍を出し抜いた。

 

 その場の信頼よりも実利を取った。「敵を欺くにはまず味方から」とは言うが、確かに有効らしい。

 

「今日、私は追い忍の分身と接触しそのまま相手の狙いを引き受けた……分身の自爆攻撃は、ヒノメも白眼で確認していたのよね?」

「……まあ、うん」

 

 爆発の間際──影分身越しに見た相手は、確かに笑っていた。

 

 スバルが大きく息を吐く。

 

「あなた達と別れた後は、彼女を制止するのに手こずり……結局、橋の方まで手が回らなかった

 

つくづく、判断が遅れて後手に回ってしまった。あなた達にも負担を掛けてしまったわね……本当に、申し訳ないわ」

 

 

 ───

 

 

 守る為。活かす為。

 

 頭を下げるスバルを前にしても、アオイには、その謝罪の意味が分からなかった。

 

「……僕の方こそ、お役に立てず仕舞いでした」

「は? よく言うぜ、トドメ持っていったのお前だろうが」

「それは……」

 

 詰まりそうな空気に、アオイはなんとか口を開く。

 

「……逆に、さ。どうして再不斬達は上手くいかなかったの?」

 

 忍者の数だけなら木ノ葉の方が多いのに、それでも簡単には終わらなかった。

 

 それは、何故? 

 

 話を混ぜ返す質問だと思う。だがアオイは、誰かが勝手に責任を引き受けてしまうのが嫌だった。

 

「……ガトー、再不斬、追い忍のそれぞれが“利益の最大化(ハイリスク・ハイリターン)”を狙っていたから、かしらね」

 

 一貫して仲間と民間人を庇う木ノ葉に対し、彼らは目的も利害も、あまりにバラバラだった。

 

「ガトーはハイリスクとも思って無かったんじゃね? じゃなきゃ橋まで行く訳ない」

「再不斬と彼は……カカシ先生達七班と、真っ向から戦っていましたね」

「追い忍は再不斬達に利益を、木ノ葉に損害を与える為に動いていた」

「だろうな」

 

 皆が口々に敵対勢力の動向を挙げる中で、アオイには一つ引っ掛かった。

 

「再不斬は真っ向から……」

「?」

「うーん、本当にハイリスクだなって」

 

 それだけ金が必要で焦っていたか、カカシを殺せば自分の価値を確認出来ると思ったか。

 

「あるいは……他のやり方を知らなかったか」

「他のやり方?」

 

 スバルが桃地再不斬の血塗られた経歴を語る……きっと食うか食われるかの世界に、まどろっこしい交渉は必要なかった。

 

『立場が違うと考え方も変わる……』

『何が起きても自己責任ってこと?』

 

「……もう、本人はいないんだ。これ以上考えたって泥沼だろうよ」

 

 思考を散らすように、ヒノメが手を払う。

 

 

 ───

 

 

「それより、だ」

 

 ヒノメの立てた指がそのままピッ、とアオイを向いた。

 

「ぇ!?」

 

 自分が指されると思っていなかったアオイが素っ頓狂な声を上げる……こういう所が危なっかしいのだ。

 

「……オレとしては、アオイが急にパニクってた方が気になるな。あんなの今まで見たことない」

 

 ヒノメには心当たりがある。しかし、それを口にしたら不味いことも分かっている。

 

「一応確認だが、体調不良とかじゃないよな?」

「う、うん」

「きっかけなどは分かります?」

 

 アオイがふと首を竦め、ちょうどパニック時を再現するように視線を彷徨わせた。

 

「急に、寒気? みたいなのが走って……感覚がバラバラになって……うん、そこからかな」

 

 タイミングを考えるに、異常(九尾)を察知した際の反応だろう。問題は、件の橋から距離のある中でアオイだけがソレを拾ってしまったことだ。

 

「僕には、何かを怖がっているように見えました。アオイのそんな様子は初めてなので、僕も驚いてしまって……それで、咄嗟に写輪眼で……」

「お前がそこ気にしてるのは分かったって」

 

 実際ヒノメもマシロの行動に面食らいはしたが、あの場面では有効だった……マシロがやらなければ、ヒノメが猫騙しで余計悪化させていたかもしれない。

 

「何で、あんな……」

 

 考えようとするアオイが、自分の手を強く握り込む。

 

「過去に、似たような経験はありますか?」

「……ううん、思い出せない」

 

 いわゆる第六感など、ヒノメでは分からない。ヒノメはまっすぐスバルを見上げた。

 

「アオイって感知の方に才能あったりする?」

「現段階では、はっきりしない。人の気配に敏い方ではあるけど……だとしても“慣れ”が足りない。私の感知とはまた違うかもしれないわね」

 

 スバルでも分からないのなら、急に才能が開花した訳でも無いらしい。

 

「……一つ気になってたんですけど」

 

 マシロがおずおずと切り出す。凄く気まずそうだ。

 

「アオイの影分身は。追い忍の分身の爆発で消されてましたよね。その影響は考えられないですか?」

 

 スバルの視線が「聞いてないぞ」と言わんばかりにアオイを向いた。

 

「あ、え……そうなの……?」

「いえ、トラウマになってないならそれが一番かと。普段影分身を使っている様子が無かったので、大丈夫かなと思って……」

 

 ヒノメも、追い忍の分身から逃げ回るのに必死で忘れていた。

 

 影分身の術の特性を考えれば、爆発の衝撃が本体へフィードバックされた上に、そのまま保有チャクラの半分が消し飛んだことになる。影響無しとは言い切れない。

 

「……爆発を影分身で……そう……」

「オレらはそれで助かってんだけどな」

 

 スバルは、呆れたようにこめかみを抑えていた。 

 

「原因の特定については保留する。アオイ、影分身は向き不向きが激しい術よ。里に戻ったらきちんと適性を調べましょう。それまでは、極力使用を控えなさい」

「ハイ……」

 

 目に見えて消沈するアオイに、スバルは少し付け加える。

 

「本当に、無事で良かった」

「!」

 

 アオイがスバルの懐に飛び込んでいった。

 

「マシロ、ヒノメ、あなた達もよく耐えてくれた」

「……はい」

 

 おおよそ話は済んだだろうか。

 

 引っ付き虫と化したアオイをそのままに、スバルはもう振り返りを締める気でいるらしい。

 

「どーせまだひと仕事残ってんだろ? ……どっから手ェ付ける?」

「そうね、先ず──」

 

 

 ───

 

 

 反省会がそこでお開きとなった。話題は、次々と移り変わっていく。

 

(僕、は……)

 

 そうして交わされる役割分担を確認しながらも、マシロの脳裏には、まだ幾つもの光景が未処理のままに残っていた。

 

 

 ───

 

 

 午後、休憩も終わって暫く経った頃。

 

 林の更に奥……人の寄り付かない僻地に、どこか蜂の巣を思わせるような、大層なツリーハウスが鎮座している。この国における、ガトーのアジトだ。

 

 そのアジト最上階の空間では、スバルが押収した物品を一つ一つ広げて検分しているところだった。

 

 それを咎める人間(ガトー)ももういない。

 

 静まり返った室内で、スバルは最後の帳簿を床に並べ一人息を吐く。

 

(やはり、もう……)

 

 海沿いの事務所と今いるこのアジト、その両方から目ぼしい帳簿や記録等を掻っ払いはしたものの、スバルの欲していたものは何処にも見当たらない。

 

 ガトーの素性に迫る個人情報は元より期待していなかった。端から持ち込まれてもいないのだろう。だが、ガトーも把握していない不自然な金の動き──横領の痕跡については別の話だ。

 

 情報が綺麗に欠けている。既に()()が、迂闊なガトーを囮にして持ち出した後だった。

 

 恐らくその誰かは島内に残っている筈だ。きっとほとぼりが冷めるまでは潜伏されてしまうのだろう。

 

 あの橋が完成すれば人の流入も流出も起こる。

 

「……」

 

 木ノ葉の人員では、この案件を深追いするだけの余裕はなかった。この国での活動にも期限がある以上、手を引くしかない。

 

 そうやって思案していると、近付く気配が一つ。

 

「スバルさんが先に待ってるなんて珍しい……まさかサボりですか? 下忍達は?」

 

 スバルの背後、窓の方から声がした。

 

 振り返れば、木ノ葉の暗部装束の男……テンゾウの本体が、後始末を終わらせて戻ってきたところだった。

 

 ガトーの遺体回収、強酸で荒れた土地の修復、各要所や……あの追い忍の監視まで、分身交えて彼は手広く動いてくれている。

 

「あの子達なら下の階から順に見て回っているところ。持ち帰りはここにある分で足りると思うわ」

「おや、では早速確認させていただきます」

 

 並べられた物品をテンゾウも順番に手に取っていく。スバルは壁にもたれ、その様子を黙って眺めていた。

 

「……それにしても、こんな火事場泥棒みたいな真似、下忍は嫌がったんじゃないですか?」

 

 任務を重ねれば、誰しも一度は経験する通過儀礼。テンゾウとしては、確認作業の傍らにする他愛もない雑談のつもりだった。

 

 しかし、返ってきた話は違った。

 

「乗り気なのが一人いたわ。自主的に変化(へんげ)も使って、入念だった」

 

 残党と鉢合わせたとして、その場で昏倒させれば十分なのだ。今更変装に意味は無いのだが、気持ちの問題だろうか。

 

 呆れとも感心とも付かぬスバルの言葉に、仮面の下でテンゾウの目が一瞬泳ぐ。

 

「……それは有望、と言いたいところですが」

 

 好奇心で動く奴は早々に死ぬ。それが長年の暗部経験に裏打ちされた、諦めにも似た実感だ。スバルだって傾向は知っている。

 

「なまじ勘が良いのがね……追い忍の方はどう?」

「あれから、特に動きはありませんね。というより、桃地再不斬と少年の遺体付近に留まるついでに先輩達を観察しているようです」

 

 カカシも、追い忍とその監視両方に気付いた上で放置しているのだろう。こういう時の察しの良さは確かだ。

 

「七班ですが……うちはサスケが大きく負傷し、その上写輪眼を開眼していたようです。カカシ先輩もまた療養が必要らしく……人柱力は、現状特に問題なさそうです」

 

 話しているうちに確認は終わる。テンゾウが用意していた収納用の巻物に資料を仕舞い、作業が完了した。

 

「分かった、ありがとう」

「いえいえ……では僕は一足先に帰還させていただきます。押収品(こちら)、確かにお預かりしました」

 

 巻物を手に、テンゾウが笑う。

 

 去っていく背中を見送った後。スバルは、下忍が登りきってくるまでの時間を、束の間の休息にあてたのだった。

 

 

 ───

 

 

 四班が波の国大名へ調査の経過報告に出向いた頃には、大名やその周囲もガトーの顛末をよくよく承知しているようだった。

 

「……結局、賭けに勝ったのは彼らだったわね」

 

 門から外へ出た時、スバルが一人呟いた。下忍の誰も、返事はしない。

 

 しかしその響きは、不思議と耳に残っていた。

 

 

 ───

 

 

 人気(ひとけ)のある町の反対側。港から順に木々の間を飛び移っていく子供が二人。アオイとヒノメによる残党警戒の見廻りだ。

 

 別れる前にスバルが残党の所持品について注文を付ける中、マシロは二人だけで行かせることを心配していた。だが、今も追い忍が留まり危険があるのはむしろ港側だろうとスバルは言う。

 

 結局マシロは、小さな巻物をヒノメに託してから二人を見送ることにした。

 

 自然広がる森を駆け抜けながら、二人は残党探しに勤しんでいる。夜警よりはずっと気楽だった。

 

 橋まで船で乗り付け、結局尻尾巻いて逃げ出したゴロツキ達。後先の手配は不十分のはず……そう遠くまでは行けないだろう。

 

「……と、この辺りで半分か?」

 

 地図の記憶を頼りに、一度ヒノメが立ち止まる。白眼があるとは言え、その距離感覚の正確さをアオイはいつも感心して見ている。

 

 何せ周りは、もうずっと変わり映えしない木々や地面が並んでいるだけだった。木ノ葉の森は相当人の手で管理されているのだと分かる。

 

「やっぱり、霧がないと見え方も違う?」

「そりゃな。霧隠れじゃ活かしようないんじゃねェの?」

 

 そう言って、ヒノメが鼻を鳴らした。追い忍の分身に言われたことを根に持っているのか、その口振りにはかなり棘がある。

 

「……」

 

 索敵を進めるヒノメの傍らで、アオイには一つ気に掛かっていたことがあった。 

 

「ねぇ、ヒノメ」

「?」

「ヒノメは、再不斬の最期を見てたんだよね……どう、だった?」

 

 降って湧いた問いに、ヒノメは一度白眼を引っ込めた。意図を探る目がアオイを射抜く。

 

 自分の言葉でわざわざ作業を止めたヒノメには驚くが、アオイもヒノメを真剣に見つめ返す。

 

 沈黙が続く。先に目を逸らしたのはヒノメだった。

 

 アオイが欲しがっているのは、眠っている間の記録だ。ヒノメの幻術なら、その瞬間を擬似的に垣間見ることも可能なはずだった。

 

「……オレは知らなくていいと思うぞ。マシロからも見せるな、って言われてるしな」

 

 アオイの気持ちに野次馬根性が無いと言えば嘘になる。だから断られても仕方ないし、構わない。しかし、ここではっきりと名前が出るのは予想外だった。

 

「それを、私に言って良いの?」

「別に口止めはされてねーからな」

「……そっか」

 

 ヒノメらしい理屈だね、とアオイは笑う。素直に聞き分けられ、戸惑ったのはヒノメの方だ。

 

「もういいのか?」

「うん。二人の気持ちに甘えておこうかなーって」

「なんじゃそりゃ」

 

 勝手に満足したようなアオイに、今度はヒノメの方が問いかける。

 

「そのマシロだが……最近どことなく雰囲気変わってないか? やけに強気になった、ていうか」

 

 それは、任務が始まってからずっと抱えていた違和感だった。始まりは丁度、マシロがアオイを妹と認識しだしてからだった気がする。

 

 具体的には、写輪眼を開眼してからの話だ。

 

「思い詰めてないかは心配だけど……強気とは思わない、かな」

 

 当のアオイはマシロについて思い返しながらも、ヒノメの言う懸念には首を捻っている。ヒノメが警戒し過ぎているのか、単に伝えた言葉が悪いのか……

 

「能動的っつーか、前向きっつーか……」

「……任務前に、ヒノメが『嫌なら自分から動いとけ』って言ってたから、マシロもそれを実践してるとか……?」

「それは言った、けど!」

 

 不味い、これ以上はそれっぽく丸め込まれる。

 

 ヒノメは頭を振って今の問いを無かったことにし、本来の残党探しを再開した。アオイがその様子を見て小さく微笑んでいたとは知らない。

 

 

 ───

 

 

「──みーっけ」

 

 微笑ましさとは程遠い声で、笑い方で、ヒノメが残党へと近付いていく。

 

 逃げた先で身を潜めていた者達は、声の主を発見しても危機感なく油断していた。木ノ葉の額あてを付けてはいても女、それも幼さの残る子供だけだと思い、侮っていた。

 

 所持品の開示を求める忍者に、男達は騙し討ちと口封じを目論んだ。が──

 

「……よし、終わり!」

「容赦ねェ〜」

 

 是非も無し。

 

 男達の手荷物を確認しつつヒノメが冷やかすが、視界の端でしれっと技の試し打ちが行われていたことをアオイは知っている。

 

 まだ見廻りも始まったばかりで一箇所に時間を掛けてもいられない。確認が終わり、この場はもう立ち去ろうかと言う時。

 

 ヒノメが、おもむろに印を組んで変化を繰り出し……その場で伸びている一人の姿を写し取る。

 

「そんじゃ、バイバーイ♡」

 

 辛うじて意識が残っていた者の表情は、まさしく絶望だった。ヒノメはわざわざ男の声まで模してあり、中身とのズレが絶妙に気持ち悪い。

 

(ヒノメらしいなァ……)

 

 この人達これからどうなるんだろ。

 

 アオイは、ヒノメの言動が及ぼす影響について、深く考えるのを止めた。 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 だいぶ日が傾き影の伸び始めた頃。

 

 マシロは一人、町の外周をなぞるように歩き回っていた。

 

 時折立ち止まっては周りに違和感が無いか確かめ、また歩き出す。スバルは別行動を告げたきりで戻らないが、今のところは何も見つけずに済んでいる。

 

(町民の顔ぶれも特に……)

 

 変わったことと言えば、彼らの表情だ。町では人々が寄り集まり、昨日までが嘘のように賑わっている。暴君(ガトー)が死亡した影響は劇的で、理不尽な支配や恐怖に怯え俯く者はもういない。

 

(これで一周か)

 

 用水路の川を渡って振り返るも、並ぶ建物の外観しか見えなかった。マシロは手頃な木を登り、そこから町全体を一望する。やはり木ノ葉の里とは町並みや空気そのものが大違いだ。

 

 見渡す中でマシロの目はついつい賑わいの中心を追ってしまう。

 

 輪に混ざる……いや、歓迎されている七班の二人。町民と共に笑い、疲れも見せず町の復旧を手伝っている。

 

 “英雄(ヒーロー)

 

 誰かが口にした言葉が、ふと蘇る。誰かのために泣いて笑って、明るくてがむしゃらで……

 

(……大違いだ)

 

 平和が訪れたことを喜べばいいのに。ヒノメ伝いに覗き見た光景が、思考に割り込んで離れない。()()の声すら知らない部外者の癖に。

 

「──そこにいるの?」

 

 聞き慣れた声にハッと足元を見る。また何を考えているか分からない担当上忍が、こちらを見上げているところだった。

 

 

 ───

 

 

 町の外れから小道を辿り、居住区へ続く方へ歩みを向ける。道中で互いの見聞きした情報を確認したが、やはり目ぼしい収穫は得られなかった。

 

「追い忍は港付近に留まっているとのことでしたが、今はどちらに?」

「大きな動きはない。仮眠でも取っているのかもね」

「……感知ってそこまで分かるものなんです?」

「条件にもよる。今回は分かりやすい方よ……瞳術も知覚としては特殊だと思うけど?」

「それは、確かに……」

 

 以前夜警で巡回していた地点まで戻ってきた。木々や草むらは遮蔽物として機能しそうなものの、霧も出ていた夜間と見晴らしは別物だ。

 

「そろそろ切り上げましょうか」

「今日はもう発見もなさそうですね」

「暫くは暗部も残る。後はそちらに任せるわ」

 

 見廻り前にスバルが言っていた。これは“仕上げ”だと。

 

「僕らは、帰還ですか?」

「ええ。今晩中に発とうかと思ってる」

「……早いですね」

「報告は先に上がっているでしょうけど、ガトーの死が広まる前に、私も火の国で処理しておきたいことがあるの」

「多忙だなぁ」

 

 見覚えのある分岐路に出た。タズナ宅に続く道だ。マシロはそのまま真っ直ぐ進むものだと思っていたが、スバルは迷いなくその道を曲がった。

 

 マシロは驚きながらも後に続く。

 

「カカシ先生達は、後回しですか?」

「お互い落ち着いてからが良いそうよ」

「はあ……」

 

 いつの間に話を付けていたのかは知らないが、本人がそう言っているのなら良いのだろう。ただ、この先には何も無かった筈だが……

 

「言い忘れてた」

「?」

 

 徐にスバルが立ち止まり、マシロを振り返る。

 

「これは私用なの……よかったら、付き合ってくれる?」

「僕は構いません、けど……」

 

 珍しい誘いに気を取られ、マシロはシヨウの響きを飲み込めないままその先へ同行することとなった。

 

 ありがとう、とスバルは笑っていた気がする。

 

 

 ───

 

 

 スバルに先導されるまま歩いていく。その場所を視認するまで、マシロは私用とやらに見当が付かなかった。

 

 だが一目で十分だった。

 

「……お墓、ですか」

 

 真新しく埋め固められた土に、木で組まれた二つの墓標。そこには遺品と思しきものが添えられている。

 

「さっき教えてもらったの」

「まさか、彼らの遺体がここに? それに忍刀まで……」

「見ての通りよ」

 

 七班が町民に頼み込み、埋葬まで手伝ってもらったそうだ。経緯と場所まで聞いた以上、スバルとしても無視は出来なかったのだろう。

 

「あまりこういう場に来ることがなくて……作法に疎いのよね」

「僕も誰かの付き添いばかりですよ」

 

 故人について何も知らない、この場にそぐわしい話題も分からない。二人で交わす会話は結局、報告の延長でしかなかった。

 

 スバルの関心は抜け忍達よりも、直接関わった追い忍の方にあるらしい。

 

 埋葬の間ずっと物陰に留まり姿は見せなかった。だが、気配を消す素振りもなかった──それがカカシからの伝聞だと。

 

 役割から外れたままのような彼女。今頃は何を考えているのだろう。

 

「再不斬の仲間にお面の人が居ましたよね。彼も、かつては追い忍だったんでしょうか」

 

 終には面も外れ素顔も顕になっていた、マシロ達と同年代に見えた彼。

 

 マシロが口にしたのは取り留めない疑問のつもりだったが、スバルはそう取らなかった。

 

「自分達を殺しに来た追い忍から奪った装備、という可能性もある」

「……なんか嫌だな、ソレ」

「考えたところで答え合わせはできないわ」

「……」

 

 スバルは至って真剣だ。だからこそ、もどかしい。

 

 

 ───

 

 

 

 マシロが不意に黙り、墓標前でしゃがみ込んでしまった。視線はしっかり墓標に向いたままで、スバルから表情は窺えない。

 

 そうして、ゆっくりと口を開く。

 

「……あの時、先生が帰ってくる少し前までヒノメと視界を共有してもらってたんです。それでちょうど、彼が亡くなる瞬間を見てしまって」

 

 指を固く組んだまま、マシロは続ける。

 

「再不斬を庇って、彼は即死でした」

 

 ……先生、その時の僕が何を考えていたか分かります?」

 

 こちらを振り返るマシロは、謎かけでもしているように笑っていた。

 

「一般的に考えれば、苦痛や衝撃への反応なんでしょうね」

「あはは……この聞き方だと違うって言ってるようなものですよね」

 

 自分が死を前にした時の葛藤をスバルは覚えていない。戦時の心理状態と今のマシロとの比較も難しいだろう。

 

 意識を今に戻し、諸々の懸念は後に回す。 

 

「僕は……」

 

「『いいな』って、思ってしまったんです」

「……」

 

 苦しそうにするマシロへ、スバルは掛ける言葉が見つからない。ただ、続きを待つしかなかった。

 

「不謹慎どころじゃないですよね。自分でも……本当に、最低なことを言っていると思います」

 

 発言ではない。思考そのものを悔いている。

 

「その様子なら二人に聞かせる気は無いようね」

 

 マシロは力なく笑い肯定する。打ち明ける相手は選んでいた。

 

「言った所で困らせるだけですから──あ、いえ……先生ならいいとかそういうつもりじゃ……」

 

 こうやって話すのは、マシロなりに思い切った判断だっただろう。話すことでこちらの反応を確かめようとしているのは分かる。

 

 ただ、スバルとしてはそこまで深刻になる内容では無かった。実際、警戒は解けている。

 

「最低、とは言うけどまだまだよ。あなたのそれは悪意ですらないもの」

「でも……」

「大体ね」

 

 

「──盗み聞きはそれ以上に悪趣味だと思うわ」

 

 

 ───

 

 

「!?」

「……分かってて続けるアンタには負けるわ」

 

 スバルがマシロから目を離し、目前に広がる景色を見据えた。墓の裏手に広がる林は木々だけが並んでいる……筈だった。

 

 声だけで彼女だと分かる。気配には、また気付けなかった。

 

 スバルの視線の先、少年と同様の面に全身を覆い隠す外套……霧の追い忍装束に身を包んだ彼女が、いつの間にかそこに立っている。

 

「いつ、から……?」

「何を考えているか、の辺りだったかしら?」

「言う訳ないでしょ」

 

 すげない態度の追い忍はまだいい……呑気にも見えるスバルの方は肝が据わっているのか単に無警戒なのか、マシロには判別がつかなかった。

 

「……」

「それで、何か用?」

 

 マシロの胡乱げな視線にスバルは気付かない。スバルが即座に動けるように構えていることを、マシロも気付いていない。

 

 追い忍はそのズレをわざわざ指摘したりはしなかった。

 

 自分の用件さえ済ませられればそれでいい。

 

「一つ確認したい。アンタが言ってた、“どちらか先に死んだ方が……”ってやつ。アレは、本気?」

「!」

 

 ──自分が先に死ねばその魂はこいつが……

 

 解除不能と伝えられた「蓮鎖の呪」を打ち破った挙句に、それを独自に書き換えたと言い放つ人間の言葉だ。眉唾と一蹴することもできない。

 

 現にスバルはあっさりと頷いてみせた。

 

「本気よ。別に信じなくても構わないけど」

「……っとにムカつくわね……」

 

 こいつのペースに乗ってたまるか、と沸き立ちそうな熱を呼吸で抑え込む。里に引き上げる前に、一つだけ言い残しておきたかった。

 

「私は、メイ」

「!」

「忘れたら今度こそ呪い殺すから……じゃあね」

 

 マシロには目もくれず、現れた時と同様に彼女……メイは、嵐のように去っていく。

 

 最後の言葉には、どこか得意げな響きがあった。

 

 

 ───

 

 

 マシロは暫く放心していたが、すぐにハッとしてスバルを振り返る。緊張が抜けてようやく立ち上がることが出来た。

 

「何だったんですか、今の……」

「ちょっとした願掛けをね」

 

 低い声で詰められようが、スバルは平然としている。

 

「そんな穏やかな話じゃないでしょう? 彼女、『呪い殺す』とか言ってたじゃないですか」

「忘れたら、とも言ってたわ」

 

 私用と言い始めてから、どうものらりくらりと……この大人は他人の発言をどう捉えているのだろう。できることなら頭の中を確認してみたいとさえ思った。

 

「それより、あなたの話が途中だったけど?」

「いえ……なんかもう、いいです」

「どうして?」

 

 どうしたもこうしたもない。沈んでいた気持ちはもう別のものに塗り替わってしまった。間違いなく、スバルとメイとかいう追い忍のせいだ。

 

「僕では彼に成れませんし、先生もどこかズレてるので」

「?」

 

 マシロはけして死にたかったわけじゃない。ただ、誰かを守る為に命を賭けてみたかった。

 

 だが実際の自分は、守りたい者達の機微や言動だって読めなかった。命を賭ける以前に、課題は山積みだ。

 

 読めない人間の筆頭は、マシロを測るように次の言葉を待っている。

 

 今は背伸びしてでも、想定の先へ行きたかった。

 

「いつか、僕が先生に追い付いてみせます。そうすれば、少しは理解出来るでしょうから」

 

 マシロが笑う。いっそ挑発的と言ってもいい、心からの笑みだった。スバルも釣られたように笑う。

 

「私が引退する方が早いかもしれないけど」

「予定あるんですか?」

「……」

 

 無言で頬を抓られる。気にしているのなら、何故話題を出したのやら。

 

 この上忍の価値観や基準は独特だ。それでも決して他人へ悪意を向ける性質では無いことはもう分かっている。

 

 頬を擦りながら……マシロは、改めて本心を口にした。

 

「どうか、長生きしてくださいね」

「努力はする」

「約束ですよ」

 

 そして願わくば、ずっと彼女達の隣に立てる自分であれますように。

 

 立ち去り際、マシロは墓標を振り返り今一度写輪眼にその光景を映し取ったのだった。

 

 

 ───

 

 

 来た道を戻りながら、マシロがふとスバルを見上げる。

 

「先生」

「何?」

「りんご、置いて来なくていいんですか?」

 

 スバルが墓の前で何か隠すように持っていたのはマシロも気付いていた。りんごだろうなと分かったのは、先程抓られた時だ。

 

 見ていたのか、とスバルが気まずそうに一度仕舞ったりんごを再び手に現す。ツヤツヤして美味しそうだった。

 

「……今更ガトー由来のものを供えるのもね」

 

 マシロにも見覚えがある。アジトにあったものをくすねてきたらしい。

 

 物資の少ない町で供え物を見繕う訳にもいかない。かといって手ぶらで墓参りに向かうのも何か違う気がする……それで選んだりんごも、結局供えるのを躊躇してしまった、と。

 

「お供えしないなら、僕がもらっても良いですか?」

「気にしないならどうぞ」

「やった」

 

 マシロは受け取ったりんごの表面を水遁の水で器用に洗い流している。早速食べる気満々だった。

 

「フフ、生鮮なんて久々です」

 

 丸齧りしようとマスクを外す姿に、こいつは案外図太いのかと思いかけたスバルだが……そこでふと気づいた。思い出した。

 

(……食べ盛り、だったわね)

 

 任務中の食事内容が脳裏を過ぎる。誰も、文句の一つも言わなかった。

 

「……二人には内緒よ」

「はーい」

 

 スバルがアジト内の物資をまたくすねに入ろうかと思案する傍ら、そんなことを知らないマシロは嬉しそうにりんごを頬張るのだった。

 

 

 ───

 

 

 夜。人々が夕食を済まし、明日の為に休息の支度を取り始めた頃。

 

 明かりの漏れる民家前に並び立つ人影が四つ。

 

「おお……超待っとったぞ」

 

 戸を叩く音に家主のタズナが顔を覗かせた。客人についてはカカシからおおよそ事情を聞いている。もう驚くこともない。

 

「夜分に失礼します」

「どうぞ、おかけになってね」

「お邪魔します」

 

 ツナミのすすめで四班がぞろぞろと上がり框に腰を降ろす中、土間の脇で待ち構えていたカカシがやあ、と手を上げた。すっかりこの家に馴染んでいる。

 

「下忍達は?」

「もう寝てる。朝までグッスリだよ」

 

 カカシは早速で悪いが、とマシロに向き直った。

 

「サスケ……黒髪の方から処置を頼む。千本があちこち身体に刺さったままなんだ。その除去を頼みたい」

「承知しました。ヒノメ、補助を頼めますか?」

「了解了解……」

「こっちよ、みんな奥の部屋で一緒なの」

 

 マシロ達がツナミの案内に続こうとした時、カカシが一つ注文を加える。

 

「ああ、他の二人や男の子は無傷だから治療はいらないよ。サスケも千本以外は触らなくていい」

 

 どこか突き放すような口振りだった。

 

「でも──」

「ここで止まんなって」

 

 思わず立ち止まるマシロだが、ヒノメは構わず襖の奥へその背中を押し込み行ってしまう。

 

 三人を見送る横顔は至って普通だった。アオイの視線に気付いたカカシが、黙ったままにっこりと笑う。真意は読めそうにない。

 

 

「……」

 

 

 手持ち無沙汰なのは気まずかった。アオイがリュックのポケットを手繰りながらスバルを呼ぶ。

 

「先生、今のうちにノート書いてていい?」

「そうね。まとめをお願い」

 

 手渡される簡素なノートは、四班内の記録資料だ。普段はスバル預かりの、いわば報告の練習帳だった。

 

「何かつまめるもの用意してやろうか?」

「いえ、お構いなく」

「ならオレが頂こうかな」

 

 アオイはパラパラとノートを捲って内容を読み返していく。どれどれ、とカカシが横から覗き込んだ。 

 

「へぇ、ちゃんとしてるね」

「二人が丁寧なんですよ」 

 

 ヒノメの白眼による観測結果や、マシロの残した医務記録はいつも規則的に並んでいる。まめな性格が見て取れた。 

 

 アオイが新しいページを捲り、鉛筆でカリカリと線を引き始める。

 

「七班は私達の二日後に上陸、と」

 

 ノートを縦に割り、四班と七班それぞれの出来事を時系列順に並べていく。

 

「そういや、タズナさんから聞いたぞ。お前が任務前に()()()()してたんだって?」

「私は可能性の話をしただけよ」

「……ま、そういうことにしておこうか」

 

 上忍達のやり取りに、タズナは自宅であるのに肩身狭そうにしている。

 

「そう言えば、ガトーは再不斬に殺されてしもうたが、そっちの任務は上手く運んだんか?」

「それ、は……」

 

 最初と最後を除き、四班の行動は殆ど護衛や警戒であったような気もする。アオイが回答にまごつく中、スバルははっきり首を振った。

 

「芳しくはありません。ガトーの死亡でガトーカンパニー自体が機能停止に陥りました。その時点で我々の波の国での調査そのものは一旦終了となります」

「そうか……」

 

 ガトーカンパニーには波の国以外の支店及びそれを現地で動かす部下も複数存在するらしいが……

 

「流通ってどうなるんだろう。他の人が社長代行したりするのかな」

「……詳細は伏せるけど、当面は木ノ葉に大きく影響は出ないはずよ。そのために国も里も動いてる」

 

 スバルの語り口は、予定の告知にも希望的観測にも聞こえる。カカシはやれやれ、と面倒ごとを思い出しているらしかった。

 

「波の国は、これからって所ですね」

「おう。明日からは人手も戻ってくるしな。超スピードで完成させてやらんと」

「無事の竣工をお待ちしております」

 

 七班の護衛任務はもう暫く掛かりそうだ。

 

 カカシがアオイの書くノートをまた覗いた。霧勢力の抜け忍、追い忍についての項目はあまり埋まっていない。

 

「……少年の方は、氷遁の血継限界を持っていたよ。氷で鏡を作り、その中を自在に移動していたんだと」

「氷で、鏡……?」

 

 アオイの想像力では状況理解には至らなかった。

 

「追い忍はあのまま撤退したんだな。強酸の血継限界持ち、だったか?」

「おそらく火遁との複合ね。雷遁が通じたらしいけど、再現性があるかは不明」

 

 どちらも、木ノ葉の手配書(ビンゴブック)には載ったことのない特徴らしい。霧隠れの秘密主義は徹底されている。

 

 本物の追い忍と聞いて何やら考えていた様子のタズナが何か気付いたように顔を引き攣らせた。

 

「……まさかその追い忍は、酸で死体を……?」

 

 その先は知らぬが仏というものだ。

 

 アオイの手が追い忍用の備考欄で止まる。特徴を表す単語が並ぶだけで、まだまだ余白が残っていた。

 

「スバル先生から見て、あの追い忍ってどんな人だった?」

「危険人物」

「……」

 

 

「……人間的だった、とても」

「そっか」

 

 書き記すには向かないこともきっとある。

 

 結局備考欄に残るのはくノ一、強酸、爆破、血継限界? の文字だけだった。

 

 

 ───

 

 

 アオイがページ全体を眺めながら鉛筆の先を彷徨わせる。残したい思いは沢山ある……筈なのに、言葉は上手くまとまらなかった。

 

(私は……)

 

 脳裏に浮かぶ一つ一つの瞬間や思考が交錯し、雁字搦めになって心を塞ぐ。

 

 重苦しさに思わず溜息が出てしまった。

 

「……?」

 

 周りの沈黙に気付いて顔を上げれば、大人達の視線が自分に向いていた。アオイは苦笑いで、思考の一端を口にする。

 

「スバル先生、前に『疑い迷えそして心は殺すな』って言ってたでしょ?」

「……」

 

 スバルがその言葉を口にした時から、ずっと違和感が引っ掛かっていた。

 

「その時は“可能性を捨てるな”とか、“失敗を恐れるな”って話かと思ってたんだ」

 

 ヒノメやマシロはまた違う捉え方をしていた。あの時のスバルは、“自分で見て聞いて考えろ”とも言っていた気がする。

 

「今は“苦しくても、忘れるな”って意味にも思える」

「解釈は、任せるわ」

「……うん」

 

 きっとこの言葉はスバル自身の言葉じゃない。誰かから教わった言葉なのだろう。

 

 最初にその言葉を口にした人物がどんなつもりで言ったのか、励ましかあるいは叱責の文脈だったのか、それすら分からないが……

 

(……それだけ、難しいことなんだろうね)

 

 抱えた感情に急いで言葉を当てはめる気になれない。アオイは鉛筆を仕舞い、そのまま、記憶を辿るようにノートを捲ることにしたのだった。

 

 

 ───

 

 

 奥の部屋から何やら声が聞こえる。向こう側で作業が終わったらしい。まもなく襖が開いて、三人が何やら話しながら戻ってきた。

 

「サスケ君の処置、完了致しました」

「本当にお疲れ様。今お茶淹れてあげるわね」

「え、いいんですか? ぜひ!」

 

 ツナミとヒノメはいつの間にか打ち解けているらしかった。僅かな時間で何があったのだろう。

 

 ツナミが台所に向かう傍らで、マシロは早速次の作業場をセッティングしている。

 

「おまたせしました。早速、始めさせていただきますね」

「いやぁ、悪いね」

 

 アオイ達が人数分淹れてもらった麦茶を受け取る中、土間から背を向ける形でカカシの治療が始まっていた。

 

「いただきます」

「あ~沁みる〜」

「おかわりもあるからね」

 

 和やかな様子にカカシは「女の子は愛嬌あっていいね」と口にする。スバルは冷たい一瞥を向ける以外は黙って麦茶を啜っていた。

 

 そうしているうちに、処置の間にあったことをヒノメがけらけら笑って話してくれる。

 

「あいつら、全く起きる気配なくてさ。妙だと思ったら、夕食に睡眠薬盛られてたんだと」

「ええ……」

 

 カカシとツナミとで保護者として結託していたらしい。道理で静かな訳だ。

 

 カカシがしれっとさらなる事実を付け加える。

 

「提供元は君らの先生だぞ〜」

「あら、そうだったの?」

「……やっぱ、おっかない姉ちゃんじゃな」

 

 周りがドン引きする中スバルは特に動じていなかった。

 

「眠剤持ってるならくれたっていいじゃん」

「夜警中に使える代物じゃないのよ」

 

 アオイはコップの中身を確認しながら、本来の使用場面を想像した。

 

「こいつ、大体なんでも持ってるから取り敢えず確認してみるのはアリだぞ」

 

 本気か冗談か分からないことを言うカカシはどこか楽しそうだ。

 

 上忍同士の普段の関係性が、少し窺えた気がするアオイだった。

 

 

 ───

 

 

「……一先ず、掌はこんなものですかね」

「おお」

 

 傷跡も残らず動きも問題ない。カカシはもう包帯も要らないように思ったが、マシロは構わず新しいものをくるくる巻きつけていった。過去の誰とも遜色ない淀みなさに感心する。

 

「こりゃ将来有望だ」

「だといいんですけど……」

 

 マシロに促されるまま、カカシは残りの傷の具合を答えていく。

 

 彼のことは、初対面の頃から何か独特な子だとは思っていた。

 

 自信なさげな口振りとは裏腹に、自分の務めはきっちり果たす職人気質……穏やかだが、見た目程大人しい訳でも無さそうだ。

 

 腰を据えて最後の裂傷に当たるマシロに、カカシはふと、言葉を投げ掛けた。

 

「今回の戦闘で、サスケの奴も写輪眼を開眼させた」

「!」

「仲間を庇ってあんなことになったんだ……君も、中々無茶したらしいな」

 

 マシロの左手には真新しい包帯が巻かれている。マシロ本人の記した記録に、手の状態に関連しそうな記述は見られなかった。ただ……

 

 “マシロが雷遁で最後の分身を破壊した”

 “強酸での火傷は治癒が阻害される?”

 

 アオイの字で書かれた、覚え書きのような記述でカカシはおおよそを察していた。

 

「……僕は、僕なりの最善を尽くしたつもりです」

 

 作業の手は止めないが、露骨に視線が合わなくなる。初めて顔を合わせた時よりずっと、頑なで分かりやすかった。

 

 こいつ、どうもプライドはそこそこ高い。

 

「ま……師がどれだけ立派でも、忠言なんて煩わしいもんだ」

「煩わしいなんて──」

「オレは、そうだった」

「え……」

 

 虚を衝かれ、思わずマシロが視線を上げる。カカシは両目で、しかとマシロを観察していた。

 

 動揺と、少しの後悔と……甘えが、あった。

 

「お節介と思って聞き流してくれてもいい……ただ、オレとしても腕のいい医療忍者は多いに越したことはないと思ってな」

 

 マシロは傷に集中しつつ暫く考え込んでいた様子だったが、その傷が薄く消えていく頃にはもう笑っていた。

 

「そっちが本音だったりしませんよね?」

「いや、そんなことは……」

「構いませんよ、別に」

 

 

 ───

 

 

 最後の包帯を留めながら、マシロがポツリと言葉を零す。

 

「サスケ君の傷、体内の方は治癒を回してあります」

「……へぇ」

「外側は消毒だけなので、状態としてはすごく中途半端なんですけどね」

「なんだ、自分でバラすのかよ」

 

 共犯のヒノメがノート片手に振り返った。ツナミもクスクスとおかしそうに笑っている。

 

「本当は全部治せたら良かったんですけど……寝てる間に完治していても不気味、ですよね?」

 

 ……まあ、サスケに対する絶対安静の口実としてはまだ機能するだろう。カカシはマシロへの評価をスッと修正した。

 

「君がそうしたいってなら良いんだが……それで、帰りは保つのか?」

「そこまで軟じゃありませんよ」

 

 治療も終わり、波の国における四班の役割も終わった。 

 

「一晩くらい、ゆっくり出来んのか?」

「私が残れない以上は、そうなります」

「……スバル先生は、全くブレんな」

「アイツはそういうヤツですので」

 

 いよいよ出発、と荷物を整え出した四班の面々を心配するタズナ達だが、やはりガトー死亡の影響は大きい。スバル達が居残ることはまず不可能だ。

 

「そうだ、道中で食べられるもの持って行きなさい。おにぎりがいいかしら?」

「いやツナミさん、流石にそこまでは──」

「ダメよ。あなた達も身体が資本でしょ?」

 

 ツナミにきっぱり言い負かされ、ヒノメはすごすごと引き下がった。

 

「ああなったらワシでも敵わん。今更遠慮せんでいいぞ」

「……スミマセン、甘えます……」

 

 余っていたというご飯をせっせと握ってくれる細い背中が今は妙に逞しく見えた。

 

「テンゾウ、まだいる?」

「いいえ。伝言があるなら預かるけど」

「……まあ急ぎでもないしな。別にいいや」

「?」 

 

 上忍達は隅でなんだかよく分からない会話をしている。

 

 ふと、アオイは奥の襖に目を向けた。結局、一度も彼らと顔を合わせることは無いままだ。

 

(またね、ナルト)

 

 カカシの治療の間、ヒノメが幻術で見せてくれた光景にて、ナルトは小さい男の子と仲良く並んで眠っていた。

 

 もう不安は無い。

 

「それじゃあ、皆さんお元気で」

 

 ……予定より少々遅れはしたものの、四班は無事に波の国を出発したのだった。

 

 

 ───

 

 

『……ジュズって人の話は、叔母に聞いたんです』

『口うるさいし、怒ると怖いけど……自慢だった、って』

『……似てたらいいって、思います』

 

 

 ───

 

 

 空が明るくなり始めた明け方。

 

 日向一族の屋敷の裏庭では、まだ少女ともつかぬ女性……イヨが、縁側からぼうっと外を眺めていた。

 

 早く起きたはいいが、それも連日続くと片すべき雑事はもう残っていなかった。

 

(……これなら、忙しい方がマシね)

 

 一度暇を自覚してしまうと、どうにもならない焦燥に襲われる。そうなれば、ただじっと時間が過ぎるのをやり過ごすしかなかった。

 

 ……このまま無為に時間を過ごすよりは、少し早くても朝食の支度に取り掛かった方が良いのかもしれない。

 

「……ハァ」

 

 少々しつこい自己嫌悪を振り払い、イヨが立ち上がった時。

 

 ──ザッ、ザッ、ザッ……

 

 廊下の曲り角の向こうより、重たい足取りで砂を蹴りつけ近付く気配がある。

 

「なんだ、イヨ姉もう起きてんじゃ──ンッ、!?」

 

 完全に気を抜いていたヒノメは、血相変えて走り寄って来る従姉の反応がまるで読めなかった。心当たりもないのに怒られるのでは、と身構えたのは今までの行いの賜物だ。

 

 あと単純に、薄暗い中白いものがヒラヒラ揺れて近付いてくるのは視覚的に怖い。ただのエプロンだとしても怖い。

 

 走り寄ってきたイヨは勢いそのまま、鬼気迫る様子でペタペタとヒノメの輪郭を確かめる。まだ脚絆のまま縁側に乗り上げるわけにもいかず、ヒノメはされるがままになっていた。

 

「……ヒノメ?」

「他に誰がこんな格好してんだ……ってて」

「良かった……!」

「ちょ、タンマ、背骨、いや腰が逝く……!」 

「……なんだか愉快なことになってますね」

 

 縁側でじゃれ付くヒノメ達を、荷物を置いてきたマシロが後から発見した。背負われたままのリュックサックを後ろから持ち上げてやれば、やっとヒノメが大人しくなる。

 

「イヨさん、お気持ちは分かりますが一旦ヒノメを離してやってください。どう見ても虫の息なんで」

「ま、マシロ君? ごめんなさい、私ったら……」

 

 イヨが腕を緩めた途端、ヒノメは素早く逃げ出しそのまま倒れるように縁側へ腰を降ろした。リュックサックだけはマシロの手に残っている。

 

「……オレが何したってんだ……」

「ご、ごめんなさい……でもあなた達が全然帰ってこないから、つい……」

「フフ、ただいま戻りました」

 

 マシロの言葉に応じるように、ヒノメもふんぞり返っていつもの調子を取り戻した。

 

「た、だ、い、ま! ほら、見ての通りピンピンしてっから。何も心配無いって」

「……おかえりなさい」

「……」

 

 また、イヨがヒノメを抱きしめる。今度は力加減も間違いない。

 

「……ただいま」

「やっぱり、ちょっと臭うわね」

「頑張ってきたヤツにそれ言う?」

 

 臭い、という割にイヨはヒノメを手放さなかった。

 

「お風呂……の前に、また髪伸びてるわね。先に切っておきましょうか」

「そ、それは今じゃなくていいだろ!」

「良いじゃない。ついでなんだから」

 

 いつもの問答が始まった。マシロこっそり笑って肩を震わせるのをヒノメは見逃さなかった。

 

「アイツ、アイツもおんなじだけ伸びてる!」

「僕は額あてでゆとりがありますから」

「ほらもう、ごちゃごちゃ言ってないで行くわよ。マシロ君、また後でね?」

「はーい」

 

 首根っこ捕まれたヒノメがイヨに連れられていく。

 

(相変わらずだ)

 

 リュックサックはヒノメの部屋の前にでも届けておこうか、とマシロも歩き出す。人に押し付けておいて、「洗濯の手間云々」なんて言っても知らない。

 

「……お、マシロ? 久しぶりじゃないか?」

「おはようございます。さっき戻ってきたばかりなんですよ」

「お疲れさん。先、風呂だろ? また食堂でな」

「ええ、また」

 

 屋敷の内で人々は朝の鍛錬に、それぞれの支度に、取り掛かろうとしている。

 

 遠くの方で夜が明けた。木ノ葉の朝が、今日も始まろうとしている。

 

 




これにて波の国編完結となります。













↓追い忍メイ・イメージ








【挿絵表示】
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。