『またね』と言う名のおまじない   作:Kakeru_kakecha

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「姫乃君、入って来なさい」
「はい」

 ある日、僕は君と出会った。

 二重のパッチリと開いた目、スラッと伸びた鼻、薄いが程よく紅い唇。それは誰がどう見ても美人と言う顔だった。

「今まで病気で入院してましたが、今日から学校に通える事になった姫乃凛です。よろしくお願いします」
「三宅の隣の席が空いていたな。そこに座ってくれ。一番右後ろだ」
「はい、よろしくね」
「よろしく」



 次に会話をしたのは夜の公園だった。

 コンビニに行った帰りに歩いていると、君が一人でベンチに座って月を眺めていた。見た目も相あいまってかどこか近づきにくい雰囲気だったのは、気のせいではないだろう。

 だが、僕はそんな事は気にも止めず、ただ純粋な興味だけで話しかけた。

「どうしたの?こんな時間に」

 振り向いた君は今にも泣きそうな、しかし愛想笑いをしている様な、色々な感情がごちゃ混ぜになった表情をしていた。

「家に居てもつまらないから出て来たの」

 と君は言った。

 これが君が僕についた一番最初の嘘だった。

 だけど、僕はそんな事も知らないで、格好をつけようとした。

「こんな時間に女の子が一人で出歩いていたら危ないよ?」

 と言った。すると君は、

「なら、君が私をどこかに連れ去ってくれるの?」

 と言って帰って行った。

 次の日から僕らは何も無かった様に学校でよく話す様になった。次の授業はなんだっけ?とか、教科書忘れたから見せて?とか。

 そんな普通の会話だったけど、それが楽しかった。だけど、僕はずっと、あの日の言葉が気になっていた。


第一話

 

「おはよ!」

「おはよ、今日も元気だね」

「まぁね」

 

 僕は三宅優、彼女は姫乃凛。彼女はこのあいだ退院してこの学校に通える様になり、たまたま隣の席になったので仲良くなった。

 

 こんなことを言っては「顔だけで人を評価している」と非難されそうだが、女性にあまり興味というものを持たない僕が興味を持つくらいには彼女は顔が整っている。

 

 なので、よく他の男子から注目されている。僕も彼女と同じぐらいには視線を感じているが、それは彼女とは違って嫉妬の混ざった視線であり、理由は分かりきっている。

 

 まぁ、その視線を受けて少し得意な気持ちになったりしているのだが。

 

「今日って健康調査の日だよね?身長伸びてるかな」

「もう高2だから流石に伸びないんじゃない?」

「うそ、、、あと5センチは欲しかったな」

 

 入院していたためか、彼女の身長は平均より小さい。目測150センチぐらいだと思う。

 

「身長が小さくても女子なら可愛いって言われるじゃん。そんなに高い方がいいの?」

「うん、もちろん!可愛いって言われるのは嬉しいけど、身長が高い方がこの世界の景色をたくさん見られるような感じがするし」

「そういうものかねぇ」

「あはは!おじさんっぽい!」

 

 誰がおじさんだ

 

「まだ、17歳だよ」

 

    キーンコーンカーンコーン

 

「それじゃ、また後で」

「うん」

 

 

 

 

 

「おうおう、相変わらず仲良さそうだな。ついに優にも春がやって来たか?」

「うるさいなぁ、、、そんなのじゃないって」

 

 今話しているのは黒部龍斗。幼稚園から高校までずっと一緒の幼馴染だ。

 

「でも、気になってはいるんだろ?姫乃は美人だから早くしないと取られるぞ〜。どうせ、勇気が出ないんだろ」

「まぁね」

「そこはほら、、、あれだよあれ、、、ガツンと行けよ!」

「アバウト過ぎるよ」

「うむむ、、、」

 

 さすが、人生で両親よりも長い時間を共にしている幼馴染。全てお見通しらしい。そして相変わらずアドバイスが下手だ。

 

「よし!着替え終わったし一緒に行こうぜ」

「うん、行こうか」

 

 

 

 

 

「うっしゃあ!5センチ伸びてたぜ!優はどうだった!」

「身長はもう止まってるから伸びてないよ。体重が増えてた」

 

 ごめん凛、まだ伸びてる人いたわ。と、心の中で謝っておく。

 

 てか、なんでだよ!龍!お前もう180センチ超えてるだろ。時期といい身長といいちょっとおかしいぞ!

 

 僕なんて高1の夏に170センチで止まってむしろ縮んでるんだが⁉︎

 

「優は細いんだからもっと体重増やせよ。増えたって言ってもまだ50キロじゃん」

「食べても太らないんだよ」

「おいおい、その発言は多くの人を敵に回すぞ」

 

 そんなことを言われたってしかたない、太らないんだもの。

 

 

 

 

 

 身体測定が終わった後、僕は龍と凛と一緒に話していた。

 

「凛、身長伸びてた?」

「ううん。止まってた」

「お前ら身長止まるの早すぎだろ」

「それは龍がおかしいと思うよ」

「そうか?」

 

 うん。幼馴染はいつも通りだ。

 

「今日って数学の授業2時間あるんだよな、、、めんどくせーから一緒にサボろーぜ!」

「いやダメでしょ」

「この学校は授業サボれるの?」

「保健室にしんどいから休ませてくれって行くんだよ。どの学校でも一緒だと思うよ?」

「へぇ、でも授業に着いていけなくならないの?」

「なるよ。だから龍は定期テストで毎回赤点ギリギリだもんね」

「うるせぇやい」




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