『またね』と言う名のおまじない   作:Kakeru_kakecha

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第六話

 

 どう言うことだ?何の連絡もなしに引っ越して行ったのか?それは流石にないよな?でも事実連絡はないしそんなことを聞いた事もない。

 

 もしかして最近休んでたのって引越しが原因だったんじゃ、、、

 

 龍は、、、何も言って来なかったから連絡は来てないだろうし。今日帰りに凛の家に行ってみよう。流石にひどすぎるよ。

 

 一応TINEを打っておこう。読みもしないと思うけど。

 

 

 

 

 

「ごめんくださ〜い、誰かいらっしゃいませんか〜?」

 

「・・・・・・・・」

 

「すみませ〜ん。誰もいない、、、もう引っ越して行ったのかな、、、」

 

「・・・・・・・・」

 

「そんなこと、ひどいなぁ。僕たちって仲よかったと思うんだけど。思ってたのは自分だけだったのかなぁ。ひどいよ」

 

 僕は項垂れながら帰った。

 

 まだ凛の事、諦め切れてないんだけどな。もっと話したかったのにな。

 

 

 

 

 

 この日から凛がいない日々が続いた。龍も何も知らなかったらしく、何も言わなかった。だが未だに僕は凛のことが忘られず、街に出るたび気づかぬうちに目で凛の姿を探していた。

 

 そうした毎日を過ごしていたが、ある日の夕方、下校の最中に僕は自転車と事故をして骨折をした。そこである大きな病院へ行ったのだが、そこにはあの日凛を車で学校まで送っていた凛のお父さんがいた。

 

 つい驚いてしまって大声で声をかけてしまった。

 

「あの!り、、姫乃凛さんのお父様ですよね!」

「わ!びっくりしたなぁ」

「す、すみません」

「病院では静かにね、それじゃ」

 

 その人は引きつった笑みをうかべながら、そそくさとその場を離れようとする。

 

「待ってください。あの、姫乃凛さんのお父様ですよね。凛さんの友達の、、、三宅優です。凛さんに合わせてもらえませんか」

 

 しばらく会ってなく、連絡も取り合ってないので、友達と言って良いのか迷った。

 

「だが、、、」

「お願いします」

「、、、仕方がないか。君なら凛も許してくれるだろう。私の名前は姫乃夕。下の名前は君と同じだね」

「ありがとうございます。優さんと呼ばさせてもらっても大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だよ」

「その、、、許すって、何をですか?」

 

 急にいなくなった事だろうか。でもそれは流石に理由が納得できる事であろうから許せる。

 

「凛、いや、娘にはね、友達を私と会えないようにしてほしいと頼まれていたんだよ」

「そんな、、、どうして、、、」

「娘はね、実は病気が治ってないんだ。と言うより、『治らない』んだよ」

 

 病気が治ってない?

 

「娘は妻が亡くなった難病にかかっていてね、余命は今日からあと3ヶ月くらいなんだ」

「そんな、、、」

「だからね、『思い出はもう十分できたから大丈夫。友達が悲しまないように急な転校として扱って高校を辞めたい』と言われてね」

 

 そんなことが、、、聞いたことも無かった。いや、僕が凛の立場だったとしても言ってほしかったな。これは傲慢だろうか。

 

「娘があの病気にかかっているとわかった時、私は娘の願いをできるだけ叶えてあげようと思ったんだ。もしかしたら妻と姿を重ねているだけかもしれないがね。さて、着いた。ここ、東棟2501号室が凛の病室だ。一応私の病院だからね、一番いい部屋を用意してあげることができたよ。さぁ、行っておいで」

「本当にありがとうございます」

「うむ、部屋の外にいるから何かあれば呼びなさい」

「はい」

 

 凛のお父さんはすごく親切な人だった。

 

    コンコン

 

「は〜い。どうぞ〜」

 

 すごく懐かしい声を聞いてホッとした。勇気を持ってその重い扉を開ける。

 

「凛、久しぶり」

「へ、、、な、なんで、、、嘘、、、」

 

 凛はやはりすごく驚いていた。扉の前にいる夕さんと目を一度合わせ、扉を閉める。

 

「なんで、、、ここがわかったの、、、」

「このざまで病院に来たら凛のお父さんがいてね、頼み込んだんだ」

「あはは、、、病院に来るとは計算外だったなぁ」

 

 そう言って凛は弱々しくはにかむ。

 

「聞いたよ、病気のこと」

「そっか、やっぱり話しちゃったか、お父さん」

「うん。すごく凛の事を想っていて、、、優しそうな人だね」

「いいでしょ」

「すごく」

 

 久しぶりに会ったからか気まずい。

 

「映画を見に行った時さ、告白してくれたでしょ?」

「うん」

「あの時すごく嬉しかったんだ。私も好きだったから両思いだー!って」

「うん」

「でもね、私はこんなだから迷惑かけちゃうって。悲しませちゃうって。そう思ったんだ」

 

 そうだったのか。いや、そうだよな。僕も同じ立場ならそうする。

 

 

でも、僕は———

 

 

「凛。僕はそれでも君がいい。たとえそれが1日だったとしても」

 

 そう言うと、凛は涙を流し続けた。夕日の光に染められたその姿は、抱え込んだものを全て吐き出した様にも見えた。

 

 

 

 

 その日から僕は毎日のように凛の病室に通っては、何気ない話で凛と笑い合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    そして、、、、

 

 




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