『またね』と言う名のおまじない   作:Kakeru_kakecha

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第七話

ある日の夕方。

 

 プルルルル プルルルル プルルルル

 

「はい」

「夕だ!今すぐ病院に来てくれ!凛の様態が悪化した!」

「す、すぐ行きます!」

 

 

 

 

 夕さんは病室の前にいた。

 

「夕さん!凛は!」

「中へ!」

 

 病室の中に入ると凛のそばに看護師さんがいた。

 

「院長!もう持ちません!」

「そうか、、、優くん、そばに行ってあげて」

「はい」

 

 夕さんに促うながされるまま、凛の隣に行って手を握る。

 

「凛、、、

「優、、、来てくれてありがとう」

「あぁ」

 

 凛はいつもに増して元気がなかった。

 

「優、今までありがとね。いろんな所に行って、みんなと話して、最後にたくさんの思い出ができて、、、とっても楽しかった」

「ううん。僕も凛がいたから楽しかったよ」

「ふふっ、ありがと。本当は来年も優と桜並木の下を歩きたかったんだけどな。こうやって手を繋いで」

 

 凛の手から段々と力がなくなっていく。

 

「何泣きそうになってるのよ」

「だって、凛が、、、凛が!」

「大丈夫。とっておきのおまじないがあるから」

 

 おまじない?

 

「またねって言えば、、、来世で会えるかもでしょ?」

「そうかも、、、しれないね。会えるかも、、、しれないね」

 

 もう凛の手には力があまりない。

 

「うん。それじゃあ最後に、、、お父さん、、、今までありがとう。お願いをたくさん聞いてくれた事も、、、優をここに連れて来てくれたことも」

「あぁ」

「優も一緒に笑って、、、元気をくれて、、、思い出をくれて、、、ありがとう」

「うん、、、」

 

 もっとはっきり見ていたいのに、凛の姿がぼやけてくる。

 

「もう時間、、、ない、みたい、、、また、、ね?、、、」

「あぁ、またな、、、」

「うん、またね、、、」

 

 そう言って凛は静かに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 この日、姫乃凛と言う少女は遠い世界へと旅に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    15年後

 

 

「それはA欄の3番に刺しといて」

 

 僕、三宅優はある製薬会社の開発部に就職していた。

 

「すげぇよな。優先輩」

「あぁ、ついこの間難病の治療薬を開発してノーベル賞とったばかりだろ?」

「俺ならまだ感慨に浸ってるぜ」

 

 そう、ついに凛がかかっていた病気の治療薬の開発に成功したのだ。

 

 龍と一緒に。

 

「おら、お前ら」

「龍先輩!」

「お前らは新入りだからあいつの昔話聞いたことないんだっけか?」

「はい、昔話ですか?」

「おう。あいつがなぜあそこまで頑張れるのかだな」

「聞きたいです!」

「ふっふっふ、ならば話してやろう。そうだな、タイトルをつけるならこうだな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   『またねと言う名のおまじない』

 

 

           おわり




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