静寂が流れていた。
互いに距離を取り間合いを測っているが、最初の一手がなかなか出ない。
ビスケにとって飛び道具自体はなんら脅威ではない。ありとあらゆる経験則からその都度対応し、勝ち抜いてきた。だが今回ばかりはそう上手くもいくまいと判断した。だからこそヘタは打てないし打たないのだ。
「ふん…どうしたんだい? 何ちゃらの真髄と言うやつを拝ませまてくれるんじゃないのかい?」
「カーネフェルですよ。これはレディファーストと言うやつです」
「そうかい…それならお言葉に甘えて……」
一陣の風が吹いた。
双方遂に動く! と思われたその時だった。
「「ッ‼︎」」
突如二人の間に一筋の斬撃が降り注ぐ。
二人の体が同時に弾ける。
「今度は何だい⁉︎」
即座に視線を向けるビスケ。
そこにいたのは、唐傘帽子を被る着物姿の男だった。
「おや、貴方ですか。どうしたんです?」
「……遅いと思って様子を見に来たら…貴様何をしている!」
「何を、ですか? 見ての通りデートですよ。とびっきりのね」
「貴様…!」
(おいおい、仲間割れかい?)
何やらもめてるようだが、どうやら二人はお仲間らしい。
オズワルドの発言から初音領の何処かの組織に組みしているようだが果たして……
(っと、いけないいけない。ボーッとしてる場合じゃなかった)
「あぁ、そうそう。紹介しますよ。彼女が今宵のパートナー、ってアレ?」
「女ならとっくに逃げたぞ」
「……」
「それよりも貴様、我々の役割を忘れたか? こうなる以前に石と引き換えになのは嬢を保護出来たはずだろ!」
「フフフ…そうでしたね。いやはや私としたことが熱くなり過ぎました」
「……次こそ頼むぞ。最早、失敗は許されんからな」
「畏まりましたよ。『相棒』」
そう言うとオズワルドは、姿を消した。
「チッ…」
(どうにも奴は苦手だぜ)
荒れ果てた暗がりの凱道で一人、嘆息する斬鉄だった。
一方その頃、ビスケとなのははと言うと…
「ふぅ…どうにか捲いたみたいだね。もう大丈夫…って何してるのよ?」
「あの…さっきはごめんなさい。言う事聞かなくて……なのは、やっぱり悪い子なの」
ガックリと顔を俯かせるなのは。
ビスケはそれを見てはぁ、と大きく溜息を吐くとゆっくりとなのはに近づき頭を撫でた。
「子供が遠慮するもんじゃないよ。迷惑をかけるのが仕事なんだ。大人はそれを上手くフォローする。私は見た目程ガキじゃないんだわさ」
「お姉さん……」
「うっ…なんだい?」
「本当にありがとうなの! よかったら友達になってほしいの!」
「あ、あはは。今更何言ってんだい。私らとっくに友達だろ?」
「‼︎ うんッ‼︎」
感涙してより一層輝かせた瞳を向けるなのはにタジタジとなるビスケだった。
「僕……忘れられてるよね……」
頑張れ! フェレット
その後、二人と一匹がなのはの自宅に帰ると中から心配した家族が現れて夜中の外出の事、フェレットの事、ビスケの事で一悶着あったがどうにか落ち着き、結局のところビスケは訳あり家出少女として高町家に居候することになった。
そして現在、夜中の二時を回ったところ、誰もいないはずの道場に二つの影があった。一つはビスケット=クルーガー。そしてもう一つが、高町家長男、高町恭也だった。
「それでは手合わせ願います」
手を合わせペコリとお辞儀をする恭也に対してビスケはたじろむカタチで苦笑いを浮かべていた。
(どうしてこうなった)
こんにちわ。あずき@です。
そろそろまともな戦闘に入りたいけど上手く書けないから歯がゆいことこの上ないです(涙