バイオ歴史改変:EDFのターン   作:ハヤモ

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前回のあらすじ
ライカン退治


100.イーサンと合流

人形は夢を見た。

人類が原始的な猿で生存競争の底辺であった頃。

ただただ石と棒を握り、圧倒的な力を翳す猛獣に日々怯え、ひたすら種の存続だけを願っていた時代。

 

暗く、寒く、ひもじく。 明日には死が迫った時。

 

彼らの前に現れた『かの者』。

 

かの者は人智の及ばぬ力を操り、導き、文明を授け、生存する術を教えてくれた。

呆れるほど脆い人間に力を授け、星の覇を与えてくれた。

『かの者』が故郷へ帰る時、人々は感謝し、崇め、壁画に書き記した。 自分たちをここまで育ててくれた『かの者』に、自分たち栄華を授けてくれた『かの者』に、次会う機会があるとするならば。

返しきれぬ恩を、僅かばかり返そうと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして永き歳月の果て『かの者』は再臨。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人類の抹殺を開始したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「獣と交渉なんてしませんよ、私は」

 

 

アンドロイドは歪な命を奪う。

自然にいない存在を。 いちゃいけないと。

いると都合の悪い存在を次々消した。

 

効率的に。

害虫駆除の様に。

 

その様はプライマーと似ているのかも知れない。

 

ただ願わくば。

伴侶たる只野准尉の魂が解放されます事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ルーマニア トランシルヴァニア地方 寒村■

 

 

 

「何処なんだ、いったい……」

 

 

イーサンは夜の雪山を彷徨っていた。

訳も分からずクリス率いる武装集団に家を襲撃され、目の前で妻を殺され、生まれて半年の娘ローズマリーを攫われた。

銃床で殴られ気を失い、次に目が覚めたら武装集団の仲間らしき死体が1、2体と護送車が転がっていた。

つまり訳が分からない。

転がっていた書類に目を通せば、サイトBなる場所に運ばれている最中だったらしい。

ところが目覚めの惨劇を見るや何者かに襲撃された様だ。 ここに居るのは危険か。

そうして当てもなく、道らしき道を探しながら進む内に日が昇り始め、目の前に城と村が広がるのだった。

 

 

「城に村? 火の手も見える。 なんなんだ」

 

 

惨劇に次ぐ惨劇。 混乱するばかり。

それでも棒立ちも危険だと、前に進む。

此処が何処かを調べるにも、娘を取り戻す為にも、イーサンは止まってられないのだ。

 

 

「ヘイ、イーサン!」

 

 

そこにいつか懐かしの呼び声が。

見ると、疲れ気味に手を上げて近寄る兵士が。

警戒の色を刹那的に出すイーサンだったが、やがて思い当たる人物だと声を出す。

 

 

「タダノ? EDFの只野なのか?」

「そうだよ。 奇遇だな」

 

 

などと言う彼だが、偶然な訳がない。

ある程度知っている節を見せた只野だ。

今回の事件も彼が関わっていると見るや、鬼気迫る表情、剣幕で掴みかかり訴える。

 

 

「何が奇遇だ、本当の事を教えろ!」

「落ち着けイーサン」

 

「落ち着いてられるか! 俺の家族が襲われて、ミアが殺されたんだぞ! 娘のローズはクリスに攫われた! お前も関与しているのか、教えろ!」

 

「それを伝える為に俺が来たんだよ」

 

 

努めて冷静な只野に説得され、イーサンは漸く力無く「すまん」と手放した。

気持ちは分かるが、同情している場合じゃない。

 

 

「……クリスが襲撃したには理由がある」

 

 

ホラーあるあるな、真実を濁す真似は此処ではしない。 淡々と伝えるのみである。

 

 

「どんな? 俺達を守ると言った奴が裏切るだけの理由があるのかよ」

 

「ミアが殺されたと言うが、本物じゃないんだよ。 ミアに擬態したミランダって生物兵器だ。 ローズが生まれた後、本物と入れ替わっていたんだ。 クリスはソイツを殺す為に襲撃した」

 

「なっ……そんな、嘘を吐くな! それなら俺に教えてくれても良かった筈だ!」

 

「あのゴリラは民間人を巻き込んだら、ややこしくなるからと何も教えなかったんだ」

 

「そんな……じゃあ、本物のミアは?」

 

「生かす理由もない、と言いたいが。 どうしてか生きているんだな。 この村の何処かに監禁されている」

 

「ローズ、ローズマリーは!?」

 

「ローズも生きているよ」

『4つにバラバラにされてるけどねぇ!』

 

 

ここで敢えて言いたくない事も言うは、血も涙もない人形だった。

コイツこそバラバラにされて然るべき悪意だ。

幸いなのは無線越しでイーサンには聞こえなかった事である。 聞かれていたら、それこそややこしい事になったであろう。

 

 

「黙れ。 大人しく村の監視に努めてろ」

『はーい』

 

「誰と話してるんだ」

「村外れにいる仲間だよ」

 

「EDFか? クリスか?」

 

 

怖い表情は拭えないイーサン。

クリスに一言は言いたいのだろう。

残念ながら、彼とは連携していないが。 今は。

 

 

「EDFだよ。 クリスらBSAAはいない」

 

「……どっちにしても助けてくれるのか?」

 

「助けるさ。 ルイジアナの時みたいな戦力は用意出来ないが、武器弾薬の提供はする」

 

 

そう言って、イーサンをコンテナが積まれた場所へ案内する。 村はその後だ。

 

 

「取り敢えずPA-11を持て。 あの村にローズもミアもいる。 ただ村にいる誘拐犯共はイカれた生物兵器だ。 いざとなったらソレで身を守れ」

 

「くそっ、ルイジアナで終わったと、家族を守れると思ったのに……俺はまたしても」

 

「まだ何も終わってない。 共に助けるぞ」

 

「ああ、イカれた奴らに1発喰らわせる」

 

 

と、またもここで無線が。

人形からだったが、何やら嬉しそうだ。

 

 

『ごっめーん! ハイゼンに捕まって4貴族の前に引き摺られちゃった!』

 

「ファッ!?」

 

 

まさかの事態である。

人形は悪びれも慌てもなく話し続けた。

 

 

『ミランダ司会の雑な貴族会議の末にね、ドミトレスクに始末される事に決定しちゃった! 今、お城の中を逃げ回ってる!』

 

「……そうか頑張れ。 じゃあな」

 

 

応援だけして通信を切った。

頭痛がするが、吸血鬼相手なら何とかなるか。

 

 

「おい、助けがいるんじゃないのか?」

 

 

雰囲気に優しいイーサンが尋ねるも、只野は呆れ顔、疲れ顔で首を振る。

 

 

「いや良いんだ。 放置しても死なんだろう」

 

 

なんたって機械だし。

血、ないし。 あってもオイルか何かか。

少なくとも人間とは違うだろう。

その事実を知れば笑劇の鬼ごっこな訳だ。

 

ハイゼンベルクは事実を知って譲ったな。

そしてドミトレスクらは知らずに追い回してる。

 

今頃笑ってるだろうな、ハイゼンの奴。

只野も薄ら笑みを浮かべて思うのだった。




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