イーサンと合流
■補給路について■
輜重の類だが、調達には只野准尉の部下であるアンドロイドが担当した。
信用ゼロの機械人形様だが、そこは仮にもテクノロジーの塊、仕事を熟す。
そもそも信用なんて いらなかった。
前にも述べた様に、嘘の紛失顛末書や改竄した補給指示書を関係各所に送り付けるだけで良かったのだから。
武器倉庫で埃を被って邪魔な銃火器を取り寄せるのに、馬鹿正直に自分自身の名前や所属、場所を教える必要はない、どうせ全て嘘である。
ただこのやり方、ツッコミもあったが横流し扱いとして普通にアウト。
民間に出回る賞味期限切れ糧食とは訳が違う。
バレたら除隊されずとも降格、減俸、営倉ブチ込みの反省してどうぞな展開をされても文句言えない、寧ろそれで済めば良い。
その様な懲罰を受けないのは、EDFが管理弱々組織なのと、上層部(ここでは戦略情報部)が「准尉絡みのヴィレッジ用ね、持ってけ泥棒」と黙認してくれたのが大きい。
そうしてくれるならブレイザーとか、最終作戦仕様や完成形の武器、戦闘部隊を寄越せと欲が出るが……現行や最新鋭兵器ほど管理されており、何処からかBSAAや青傘、コネクションといった最近信用ならない組織にバレる恐れから出来なかった。
運び込まれた武器弾薬類に関しても、ベース228の様な田舎基地だとか、監視の目が緩そうな場所を選んでいる。
その移動も民間から徴発したトラック等を駆使、ルートも複数に分けて運搬する徹底振り。
ライカンら強靭なBOWに対抗出来る旧式装備があるのか不安もあったが、そこは世界の軍隊EDFだ、プライマーと殴り合っただけの技術力だ品揃えが違う。
他、長期滞在の都合でレーションだの整備用品だの、細々しているのも準備している。
「あーしんど」
とは仕事完了後、人形様の感想。
人形に疲労感なんてあるのか怪しいが(金属疲労あれど)この世界の某豆腐も言っているから、しんどいものは しんどいのかも知れない。
取り敢えず人形に お疲れ様を。
今はドミトレスク城で鬼ごっこ中である。
「若い女の血!」
「先ずは逆さ釣り。 そして動脈を……」
「逃げても無駄よ」
イカれた魔女達……3姉妹と八尺様な恐ろしき女性達を相手取り城内を逃げ惑う。
人形は笑う。 相手も自身も人型のナニかだ。
そして向こうは求める血どころか涙も無い機械を追い回している事に気がついていないから滑稽だ。
「イーサンはともかく、私が機械なのを気付いてないなんて。 虫にしても……汗はかいてないし臭いも……発熱に反応してるのかな。 都合が良いから良いけどね」
豆腐もゾンビに食われてたからね。
さても只野とイーサンの為に時間を稼ぐ。
或いは歴史を騙す為の欺瞞は、内も外も。
徹底すれば、最早本物だ。 イーサン以上に。
人間。
それが正常かは分からない。
■ヴィレッジ■
只野准尉はイーサンに自動小銃を渡すと、彼は訓練された動きで弾倉を抜いて残弾確認、銃身のスライド動作を見たり、軽く銃身ごと叩き揺らして弾薬を整列させたり、再度スライドして初弾を込めたり。
セレクタをセーフからフルオートへ。
最低限の戦闘準備は出来た様子だが、イーサンは不平不満を述べ始めた。
無料の武器にケチつけるのは贅沢かも知れないが、銃に命を預ける身であるが故に。
「只野。 このPA-11、ストックがガタついているんだが。 アイアンサイトも破損して照準が出来ない。 ハンドガードは汚れてベトついて気持ち悪いのは我慢するにしても、やはりガタついて収まりが悪い。 セレクタも妙に固い、トリガーガードも無いぞ、どうなってる」
「そりゃ倉庫に半ば捨てられたBroken(壊れた)だからな。 有り合わせの部品で修理されてる。 本来の性能が出せる訳がない」
よりによってEDF6の荒廃初期武器である。
なんならゲームより壊れている可能性がある。
バイオシリーズの初期装備ハンドガンやナイフより火力はあるにしても別の酷さが否めない。
「……まともなのを寄越してくれ」
「この場にはない。 武器を用意した奴も、ある意味ではbrokenな奴でね。 マトモなのはデュークって商人に売りやがった。 欲しいならソイツから買うしかないな」
まさに悪意の子。
人命が掛かっている中、ふざけないで欲しい。
ロボット三原則にしても……今は手遅れ感と哀愁が漂っているだろうけれども……。
解釈の問題もあるが、悪意に教授された人形様なので信用出来ないのは解釈一致。
「それは仲間なのか?」
「一応な。 今は……進む他ない」
只野とイーサンは山を降り、村へ入る。
既に ある程度の安全は確保されていたが、火と血肉の海に顰めるイーサン。
「この村で何があった?」
「BOWの群れが襲撃した」
「なんで……」
「ローズ誘拐と関係しているのは間違いないけど。 この村はミランダの実験場みたいなもんだったが、もう要らないと判断したのかもな」
「だからって、ここまでするか?」
「悪党に理性を求める派か?」
何となく答えつつ、ライフルを構えて城方面へ。
避難所となっている家は後にする。
道中、理性も正気もないライカンの生き残りが飛び出たが、最初の襲撃ほどの数じゃない。
「ッ、コイツが!?」
「BOWライカン。 村人の成れ果てさ」
今更手間取る事もなく、只野は容赦なくミンチに変えていく。 良くも悪くもそうする他ない。
「なんたって、こんな……早く助けないと」
整理のつかないイーサン。
無理もない。 異常な村に家族の危機だ。
だからこそ只野の存在は頼もしい。
「分かってる。 けどな、闇雲に立ち回っても仕方ないだろうよ」
「只野は分かってるのか?」
「当てがあるってだけ。 村に城、もう怪し過ぎて向かう他ないでしょうよ」
「分かってるのか、いないのか。 確かに他の手も無い今は、そうするしかないか」
イーサンは時々只野が何者なのか訝しむも、城の扉まで来ると更に怪しげな人物に会う事になる。
馬車の扉が開かれて、のっそりと現れる肥満体型の男がひとり。 デュークだ。
「お待ちしてましたよウィンターズ様」
「何故名前を?」
「この村では、もう有名人ですからねぇ。 噂じゃ娘さんを お探しだとか。 確かに こちらの城は怪しげな雰囲気ですなぁ」
「ああ。 お前もな」
「ふぉっふぉっ。 私は ただ商いをしているだけ」
「ここで?」
「ああ申し遅れを。 デュークと申します。 いかがです? 武器に弾薬、傷薬。 欲しい物は何でも提供しましょう」
只野は間に口を挟まず、向こうも史実通りの会話をしていくも、ここまでだ。
「そうだ、EDF製は扱っているか?」
「ええ、貴方様のご友人から。 是非貴方にと」
「そうか、なら……」
「サプライズ価格でお売りしますよ」
「……やっぱり売り物か」
「ふぉっふぉっふぉっ」
無料より安い物は無い。
そして案の定、売られるEDF製品。
全ては金、金が解決する……ッ!
「只野」
「悪いが金なら無いぞ」
「善意も無さそうだな」
「文句なら、売った奴に言ってくれ」
ともあれ、イーサンは村で拾ってきた拳銃と金で安い装備を整えた。
EDF謎の技術で3桁マグが生み出す弾幕は強力だが、ライカンを貫くには足らない。
少ない手持ちだが、出来る範囲でデュークに改造(修理と言った方が良いかも知れない)して貰う事にした。
「直ぐに仕上げます。 少々お待ちを」
何とか現行のPA-11と同等性能まで引き上げる。
そこから先はレーザーポインタや倍率スコープのオプションパーツの購入、追加。
改造範囲は精度の良いパーツに取り替えて貰う事での威力や精度の増加が見込める。
……が、金が無いので今は出来なかった。
「いっそ捨てたくなってきた」
「分かるよ、その気持ち」
それでも金も武器も無い内は頼る他なく。
文句たらたらしつつ、ドミトレスク城内へ。
人形が逃げ惑っているのか、銃声や爆音、笑い声が響き渡っていた。
「この城、誰かいるのか?」
「聞こえるだろ、馬鹿げた女共の声が」
只野は辟易するも、放置も出来ない。
BOWは始末しなきゃだし、人形も回収だ。
ミランダを真っ先に潰したくとも居場所が分からない、なら地道にローズのフラスコを集めて向こうから現れるのを待つしかない。
「化物退治だ、イーサン」
微妙な変化はあれども歴史を辿る。
例え悲惨な未来が待っていようとも。
更新未定
デュークの正体は分からないので、あまりイーサン以外と会話させたくなかったりします
ハイゼンベルクは出さないとですが