ドナ撃破 ローズの両脚回収
スカウトからの報告を聞いた本部は、今のところ部隊を送る必要は無いと判断。
只野班だけで解決の兆しはあるとし、増援は送らないとする。 正史通りに事が進むのもヨシだ。 最悪は真面目にバックアップチームを送るが、特に心配はしていない。
現場のバイオハザード鎮圧は当然の仕事であるから注視はするも、現状、その為に多くの人員や物資を動かしたくない。
周囲に悟られたくない事情を抱える故に。
犯罪組織の逮捕、その障害になってはならない。
目標はミランダとは別、コネクション打倒。
そしてHCFなる犯罪組織。
連中を炙り出すにも、あまり目立った行動をして、ますます逃げられたくないのだ。
何年もの歳月を経て、未だ掴めないが……。
現場に証拠があれば良いが、今のところ有益な情報はなく、トカゲの尻尾切りの様に本体
は逃げている。
これ以上、時間を掛ければ、また生えてきた尻尾で悪さをされるかも知れない。
はやく始末しなければ。
だというのに、新たな問題も出てきた。
味方だった筈のBSAAが、理念に反した生物兵器……BOWの運用疑惑が浮上した件。
上層部は頭を抱えるも、逃げる訳にもいかず。
そうした渦中、水面下でも戦争は続く。
仕事と犠牲は増える一方。
減るは時間と命と金。
努力は実らず、賞賛もない。
あるのは世間からの冷ややかな評価。
兎も角、EDFは他組織の犯罪行為から不信感を募らせ、連帯を避けつつ、独自で調査と現場鎮圧を試みる。
地球旗の下に活動する組織が、同じ星の他組織を拒絶とは、皮肉というべきか。
生物兵器との戦いのみならず、人間とも戦うEDFは、いったい何方面に戦場を抱えているのだか。
そんな事は、これまでも散々にやってきたから珍しくも無いし特別ショックもないが、この星の奥底で燻る闇を野放しにして成長したのを摘み取るだけではキリがないのも事実。
雑草駆除は出来るなら緑の部分だけでなく、可能なら根から取り除くのが理想である。
それが分かっていても、現実は難しい。
その為に労力、負担が増えるのは仕方ない。
それを上手くコントロールし、理想へ近付ける手腕が上層部に問われ続けている。
「軽減の為にBOWを使用しては本末転倒、手段が目的になってはならぬよ」
とはいえと、上層部も溜息を吐きたい。
上も人間。 弱音も吐きたい時もある。
仕事を補助、置換するAIといった技術進歩は目覚ましいが、只野准尉の情報は既に使い潰した。
それ以降の記憶が無いならば、EDFが地道に努力していくしかない。
そして、只野准尉は"ただの"兵士と成り下がる。
その時、只野は"クビ"なのか?
否。 情報抜きにしても価値はある。
研磨された戦闘力は群を抜く。
問題児であり続けたが、ほぼ単独で事件解決、制圧へ導いた実績がある。
そんな有能を軍が自らポイするだろうか。
情報が無くても、価値として充分だ。
今回の様に、人数を動かせない時は重宝する。
ちょっと ぞんざい 過ぎているが。
とはいえ、彼も歳なのは否めない。
部隊も後継もいない事は将来的に勿体無い。
なので申し訳程度に、側で観察、情報収集、サポートをされる目的のアンドロイドを付けさせた。
ぶっちゃけ、教育ミスって手に負えない屑娘に成り果てたので、その厄介払いだが優秀なのに違いないと判断しての行為だった。
この判断、結果は只野の記憶に無かったらしく新鮮だったとの事であるが。
多少経緯が違っても修正されるという歴史に良い変化を与えるキッカケになればと思う。
「せめて、この事件だけは解決しておくれ」
そして、彼が解放される事を願っている。
「はぁはぁ……ライカンめ、何匹いるんだ」
村で、またも湧き出たライカンの群れに軽量ライフル弾をばら撒き牽制、隙を突いてUM1グレラン連射、MG11グレネード投擲、瓦礫と共に吹き飛ばす。
特に狼度が増し筋骨隆々、四足の牙狼は、弱い銃では倒し難い。
ゲームルート的にあったように、グレランで対抗、吹き飛ばしてケリをつける。
「100年分は溜まってるってか」
幻覚を見せられたのもあり、心身共に疲労の色が浮かぶ只野。
もう良い歳であり、肉体にも限界が現れている様子だが、武器装備に助けられ、未だ現役であり続ける。
クリスも、あと何年現役ゴリラマンなのか。
この世界線ではピアーズが生き延びているから後継はいるとしても、当のBSAAは怪しい事をしている始末で、不安材料は事欠かない。
バイオハザードは、いつまで続くのだろう。
そんな辟易奮闘中の彼の元に、見た目は若き父イーサンと機械人形TOWAが駆け寄り合流、此方は呑気なものだ。
「只野、また派手に暴れたな」
「やっほー! 人形共を始末してきたよ!」
思ったより早かったな、と只野。
幻覚の効かない、味方人形の存在は大きかった。
「良くやった。 次は沼地かな」
「そうするつもりだ。 沼には恐ろしい怪物がいると言うが、只野も来るか?」
「そりゃな。 そのついで、伝える事がある」
「なんだ」
只野はハイゼンベルクの件を言う事にした。
正史じゃ敵対したが、それはミランダから解放されたいが為に、ローズを兵器扱いしようとした為に意見が合わず、最後は交渉決裂、殺し合う仲になったからだ。
今回は そうしなくても良い。
何故なら只野が、EDFがいるからだ。
「沼地のモローは敵として、工場のハイゼンベルクとは交渉しているんだ」
「なんだって?」
「奴はミランダから解放されたがっている。 その協力をしてやる代わりに、その力を貸せってな」
「それじゃ」
「敵は、これから倒すモローとミランダだけ。 逆に此方は味方が増える」
それに素直には喜ばないイーサン。
只野もそうしてくれた方が安心する。
「信用出来るのか?」
「そこの人形よりはマシかもな」
「ヒドッ!? 頑張ったのに!」
「なら、もっと信用されるよう振る舞え」
ぷんぷん起こり始める人形を軽く咎める。
その様子は相変わらず人間染みており、機械に見えないから不思議なモノだ。
チューリング・テストをしたら───この思考している様に見える機械は、本当に機械なのか、イーサンには判断がつかない。
「どうした、イーサン」
「いや……変わった娘だよな、と」
「娘、ね」
それは殆ど認めている様なモノだから、只野は好んで言いたくないモノである。
「機械はあらゆる誤作動を起こす可能性を秘めている様にも思える。 絶対はない。 今後も信用するなよ」
その只野の言葉には、一応今後出てくるであろうハイゼンの鋼の軍団の事も指す。
交渉の席に着いてくれた奴が簡単に裏切るとは思いたく無いが、それすらも絶対はない。
或いは本人に裏切る気はなくても、生み出された機械と屍の融合であるゾルダートシリーズが暴走しないとも限らないのだ。
「そうだな、気に留めておこう」
「そうしてくれ」
「うっわ、人間様は酷いなぁ。 こりゃ反乱されちゃっても文句言えないよね?」
「したら即刻破壊するわ」
銃口を向け合いキツい冗談をかましつつ、一向はモローが待ち受ける沼地へ入る。
道中、生理的に受け付けられない、気持ち悪いグジュグジュを何度も見せられつつも、立派な風車や水門があるエリアへ足を踏み入れたのだった……。
更新未定