バイオ歴史改変:EDFのターン   作:ハヤモ

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前書き
ビレッジ編ももう直ぐ終わり。
その後は不明。ローズの成長過程を追うとか、精神世界に無理に干渉するとか水増しの方法はありますが、何とも……
BOWを運用してるっぽいBSAAの謎、青アンブレラの謎、クリスやレオンら主人公組のその後、謎の組織コネクションなどなど、不明点が多く。
バイオシリーズって伏線が無かった事にされたり、外伝も多々ありますからね。
レクイエムで何かしら進展があるのか。始まったらまた書くかも知れませんが、今はビレッジ編で終わりを考えています。
未完作品を減らす、或いは区切りをつける為にも。落ち着いたら他作品をやるかもです。

メモ
イーサン
旧装備
KFF51LS:各種性能が向上
PA-11改&拳銃:パーツガチャガチャ状態
スローターE20LS:拡散性を抑えた散弾銃
T5マウス:小型手榴弾。携行性が高い
インパルスY8:対地用指向性地雷 只
新装備
M5レイヴン:究極のレイヴン型。多砲身小銃
グレランUM5:リボルバー式。連射可能
MG50:MG型手榴弾の完成型
軽量リキッドアーマーE3

只野准尉
旧装備
SGM-8:自動散弾銃 弾倉大型化で手間がある
UMRA:連射性能に優れたグレラン
MR98ファング:単発の大口径狙撃銃
MG12:11の強化型手榴弾
新装備
スラッグショットZ6:スラッグ弾専用銃?
グレランUMFF:UM系特殊作戦仕様
TZ8マウス:小型手榴弾マウスの完成型
ハイブリッドプロテクターE9


113.ミランダ戦

 

 

「ぐわああ、嘘だ、ミランダアアアア!!」

 

「貴様も用済みだ。 消え失せるが良い」

 

 

イーサンと只野が黒々とした森……菌根に囲まれる祭祀場に戻ると、ハイゼンベルクがやられ、爆散したところだった。

スクラップの塊が四方八方に弾け飛び、やがて本体が大きく爆ぜる。

ミランダは痛痒にも感じていないようだ。

 

 

「協力すると言っても連帯感が無いからだ」

 

「ハイゼンベルクがやられたのか!?」

 

「愚痴るな殺るぞ。 ローズの為だろ」

 

「当たり前だ! 娘を返して貰う!」

 

 

そう言い、新しい銃を構えた。

イーサンはガトリングのような多砲身アサルトライフルM5レイヴンを撃ちまくり大量の弾丸がミランダに突き刺さる。

只野はショットガンのスラッグショットZ6で強力な単発弾、スラッグ弾を大砲のような轟音と共に叩き込む。

 

 

「イーサン・ウィンターズ! そしてジン・タダノ! しぶとい奴だ!」

 

「ローズを返せ! イカれ女め!」

 

「しぶといのはお互い様だろ」

 

 

ミランダは怯みつつ、鳥のように飛び回っては地面から根を生やして串刺しにしようとしてきたり、黄色の液体、粘性を感じるナニかを元気玉のように掲げて放ってくる。

イーサンと只野は動き回って回避しつつ、親同士、親権争いを続けていく。

 

 

「貴様も分かる筈、娘を想う親の気持ちが!」

 

「ローズはお前の娘じゃない! 俺の娘だ!」

 

「百年、百年だ! この日を待ち侘びた! この日の為に菌根が私に力を与えもうたのだ!」

 

「ああそうだ、そしてお前はイカれたんだ!」

 

「村人に意識を向けさせ、貴族を生み出してもなお、子のいない虚無感を満たす事は無かった!」

 

「それが本質だからだよ!! 結局お前は誰も愛せやしないんだ!!」

 

 

互いに激しい攻防。

淡々と交戦する只野がいることで2対1、ミランダが不利とはいえ、長年生きてきた生物兵器の親玉故に、直ぐ決着とはならない。

親同士、子を想う者同士故の親権争い。 人間のみならず、自然界でも見られる親と子。

母性本能、父性からくる子への想い。 教えられずとも行われる生物の子育ては、遺伝子レベルで刻まれている事象なのだろう。

故に喪失を受け入れられなかった個体が、他人の子を奪って育てるという話も何処かで聞いた人もいる筈だ。

人間社会や倫理観から見れば養子でもなしに許されない話だが、今回のような、ミランダの過去のような悲劇の親に同情の欠片くらいは持った人もいるかも知れない。

 

それでもなのだ。

やはり人の子を、ローズを奪って良い訳がない。

 

 

「ローズを返せッ!!」

 

 

イーサンの強い意志のまま、EDFの武器レベルが相手の再生力と攻撃を凌駕していき、やがて歪んだ思想をも打ち砕く。

 

 

「そんな、馬鹿な……!」

 

 

再生が追い付かず、或いは再生したローズが力を奪った事で崩壊を始めるミランダ。

ドミトレスクの娘達のように、体が枯れた幹のように変質、動きが遅くなり、バラバラと崩れていく。

 

 

「私の娘! 私のエヴァアアアア……ッ!!」

 

 

断末魔があがり、遂に朽ち果て砂塵となる。

同時に祭祀場を覆っていた黒い根も崩れ去り、隙間から夜明けの光が差し込んだ。

照らされるように鳴き声を上げるローズが現れ、イーサンは武器を放って駆け出し抱き上げる。

 

 

「ローズ! よしよし、もう大丈夫だ……」

 

 

しかし同時に、イーサンの体も崩壊を始める。

右腕が砂の色に枯れ崩れ去ってしまうと、力尽きたように膝をつく。 それでもローズだけはしっかりと抱き抱えていた。

 

 

「やったなイーサン! だが終わりじゃないぞ脱出しねぇと! 菌根が暴走し始めた、ここは危ねぇ!」

 

 

只野が向ける視線の先。

夜明けの空を覆うように巨大化していく菌根。

黒く巨大な心臓のように脈打ち、周囲に根を張り全てを飲み込もうとしているかのよう。

 

 

「それは俺もらしい……」

 

「弱音を吐くな、ローズを助けるんだろ? ここに居たら仲良く吹き飛ぶぞ!?」

 

「タダノ、ローズを頼む。 俺は捨て置いて」

 

「馬鹿言ってんじゃねぇ! 死なれて明日食う飯が美味いかよ! ほら立つんだ、ミアは生きてる、会う猶予はある筈だ! 何のために俺が、EDFが苦労してると思ってんだ! 生きろ、ローズと俺の為に歯を食いしばって生きて息をするんだよ!! それくらいの歴史改変くらい今更なんだよ、だから立て! 歩け! 肩は貸してやる、だから勝手に終わってんじゃねぇ!!」

 

 

ここまで妙に冷静さを保ち、生き永らえてきたものの、歳を食い、未来が不透明になってきた現状、体力も涙腺も緩くなってきた只野は、抑圧してきた心が弾けて叫ぶ。

 

正史のクリスのようにイーサンに肩を貸し、足を引き摺るように後方に撤退する。

遅れてクリスが合流、状況を察する。

 

 

「ミランダを倒してローズを取り返したのか」

 

「クリス! だがイーサンが限界だ!」

 

「ミアは俺の輸送機にいる! お前とローズを信じて待ってるぞ、頑張れ!」

 

「ミア……すまない許してくれ、愛してる」

 

「まだだっつてんだ! おい誰か応答しろ!」

 

 

只野が広域で呼び掛けると、履帯音とノイズ混じりの返答有り。

やがて目前で停止する戦車バリアスTZ4-S。

改造したのか、砲塔のキューポラ付近に本来は無い機銃が付いている。

 

 

「こちらドーベルリーダー! 只野准尉、お迎えにあがりました!」

 

「すまないがここにいる全員をハウンドウルフ隊の輸送機まで送ってくれ! タンクデザントで構わねぇから!」

 

「了解! 急ぎ撤退! 前進!」

 

 

キューポラを開き、ローズを抱えるイーサンを突っ込み、クリスと只野は後部の排気ダクト近くに座る。

激しい揺れに落とされないように耐えつつ、肉薄してくるライカンの残党に発砲、寄せ付けない。 時々リモコン機銃が作動、道を塞ぐライカンを蜂の巣にし、そのまま戦車の馬力で轢き飛ばす。

 

 

「只野! 菌根にN2爆弾を設置してある! 起爆すれば村ごと吹き飛ぶぞ!」

 

「分かった! ウチらEDFはソレが上手くいかなかった場合、N6なんて物騒なモノを使う気だが、その前に衛星兵器バルジレーザーなりサテライトブラスターなりを使用する筈だ、何とでもなる!」

 

 

やがてVTOL機がアイドリングしている広場まで到達。 突然現れた戦車に全員が警戒するも、搭乗しているクリス隊長の存在で銃口を外す。

 

 

「隊長!」

 

「急いで離陸だ、只野も乗れ! イーサンも!」

 

 

開いている後部ハッチに次々乗り込む。

只野は今にも崩れそうな、けれどしっかりローズを抱えるイーサンを引き摺り、機内に寝かせた。

同時にハッチが閉まり、離陸が始まる。 戦車は撤退命令のままに村から急いで離れていく。

 

 

「ローズ! イーサン!」

 

 

中にいたミアが駆け寄り、ローズを抱き上げると、しゃがみ込んでイーサンと対面する。

 

 

「ミア……また会えて良かった……ローズは取り返したからな……」

 

「ええ、ええ……! ありがとう……! そしてごめんなさい、貴方の体の事、黙っていて。 こんな事になるなんて……」

 

「いいんだ、ローズを……たの……む……」

 

「イーサン!!」

 

 

脇では遂に砂となり、服を残し消え去るイーサン。 悲しみに暮れながら、ローズを撫でるミア。

 

 

「クリス……助けるって、私達を守るって言ったわよね? 確かにイーサンは限界だったけど、それでももう少し家族としての時間を過ごしたかったわ……!」

 

「すまない。 これが限界だった。 救えなかった」

 

「うっ……うぅ……」

 

 

只野はその慟哭を見守る事しかできない。

この場で部外者が何を言っても仕方ない。

 

ただそれでも内心毒吐くなら、正史では再会が叶わなかったのだから、旅立つ瞬間に立ち会えただけでもマシとしたい。

 

 

「隊長、見てくれ」

 

 

その雰囲気に関係なく、部下が仕事を振る。

良くも悪くも、この場にいるのは兵士だった。

 

 

「BSAAが寄越したのは兵士じゃない。 BOWだ」

 

「奴ら何を考えている?」

 

「隊長、指示を」

 

「チームを集めろ。 BSAA欧州支部に向かう……このツケは必ず払わせる!!」

 

 

そして、ここからはまた正史をなぞるのだろう。

 

 

「俺は? 一応EDF所属なんだが?」

 

「嫌なら途中で降ろす。 落ちても死なんだろ」

 

「勘弁してくれよ。 俺との仲だろ」

 

「その軽いノリが治ったら考えてやる」

 

 

そして戦いは、バイオハザードは続く。

只野に安息は訪れるのだろうか。

 

さても機内で仮眠をとり、少しでも休む只野。

ローター音を子守唄に、揺れる機内を揺籠に、タイプライターがカタカタする夢を見ながら、あやふやな未来を夢想する。

 

これは変わった未来なのかそうでないのか。

我々に知る術は無い。

 

果たして未来は───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、村は菌根ごと吹き飛んだか」

 

「狼は狼に狩られたようですよ、ええ」

 

 

EDF総司令部参謀と、BSAAご意見番オブライエンの声が聞こえる。

お互いに歳なのか声が枯れ気味だが、意志はしっかりしている。 ボケるには早そうだ。

 

 

「研究用に色々持ち出された様で?」

 

「お互い様だろう」

 

「はて。 何の事か判りかねますな」

 

「BSAAがBOWを運用しているというのも、言い逃れ出来なくなってきたぞ」

 

「私もその点につきましては、非常に憂慮すべき事態と考えております、ええ」

 

「FBCの時もそうだったが、組織とは人の集まりだ。 規模が大きくなると監視の目が届かなくなり、見えていても見えないフリをする様にもなる。 その点においてもお互い様だが、目に余るようなら動かねばならないぞ」

 

「既に狼が次なる獲物を求めています」

 

「……お互い、寝床の上で死にたいものだな」

 

「全くです。 生きてる内は努力しましょう」

 

 

途切れる音声。

上も下も、どこにどれだけ悪が潜むのか。

 

人が人である限り、悪事は無くならないのか。

拡散した生物兵器もまた、同様か。

 

それでも人知れず戦う人を忘れないで欲しい。

 

この世界に、人類に価値がある。

救いはある。 滅びぬよう命の限り足掻く。

 

そうして世界は辛うじて保ってきた。

 

それが永劫に続くとは限らない。

いつかは終わってしまうかも知れない。

 

それでも今日努力をしなくて良い理由にならない。

 

どうか人類に、地球に。

只野達に安息あれ。




後書き
雑ながら進行、ここまで到達しました
長年放置もありつつ、ここまで頑張った感。文章は酷いものかと思いますが、御付き合いしてくださった読者の皆様、ありがとうございます
ビレッジ後、レクイエムの物語が判明したら再開するかもですが、今はこの物語までを考えています
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