如何にもボス部屋な円形の部屋、パンドラへ
謎の白スーツグラサン野郎ゼノと対峙
ガスマスクと戦うレオン、予備部隊と戦うコマンドを背後に残し、1人先着する只野。
そこは円形の巨大な台座が浮かぶ特異な空間。 中央からややズレた位置には何かしらの装置が鎮座。
台座に合わせるように囲む円形の壁には、オレンジ色の球体が無数に埋め込まれている。
そこにグレースはいた。 彼女を攫った白スーツグラサン野郎、ゼノと共に。
只野、なるべく音を立てないように、かかとから爪先へと体重をゆっくり移して近寄りながら、向こうの会話を聞きつつ小銃を構える。
「───グレース、これが現実だ。 世界は脅威に晒されている。 人の意思を操作する技術は先例こそあれ、他者への感染力が弱かった。 それをスペンサーは克服した。 エルピスでな───エルピスを得る為、コネクションはラクーンシティを封鎖してきた。 エルピスはお前を待っていたんだ」
ゼノはそう言いながら、装置に寄って小さな端末を起動。
現れたキーボードと、画面には"創造主は何を望む?"と書かれていた。
「これに阻まれていた。 間違えたパスワードを入れれば、このARKは崩壊し、エルピスは永遠に失われる。 さあ言うんだグレース。 パスワードは何だ?」
「わ、わからない……」
「そんな筈はない。 お前は……」
困惑するグレース、詰め寄るゼノ。
どうして良いか分からず視線を泳がし続けたグレースだったが、格子状の橋を渡ってくる人物を見つけ、助けを求める声を上げた。
「タダノ!」
当人、心中舌打ち。
いずれバレるにしても、グレースが声を上げなければもう少し近寄れた。
狭い橋での戦闘は逃げ場がない。 とはいえあと数歩の距離だ。 どうにかなる。 いや、どうにかしなければならない。
「恥の上塗りはよせタダノ。 お前では俺に勝てない」
「やってみなきゃ分からんよ!」
刹那、只野は小銃PA-11SLS発砲。
グレースに当たらないよう、けれどフルオートで弾幕を張るもしかし、ゼノはウェスカーのように瞬間移動で避けまくりながら、只野に近寄り、次の瞬間。
「ッ!」
手に持つ、銃身の長い拳銃をこめかみに当てた。
余裕だとでも言いたげに。 言われても分からないからやって見せたぞと格好をつけて。
だが只野は諦めない。
「目立ちたがりめ!」
身を低くして射線から外れると同時、身を翻し散弾銃、スローターEZに持ち替え弾をばら撒いた。
不意打ち気味の近距離散弾だ、拡散範囲は狭くもいくらかは当たり、近距離での高威力で片手が抉れ、薄皮1枚で垂れ下がる。
しかし直ぐに再生、元の形に再結合した。
「銃も腕も中折れ式!? ベッドの上でもか?」
「フンッ!」
「はぅっ!?」
茶化して時間を引き延ばし、誤魔化そうとするも失敗した只野。
超人の力で張り手をくらい、グレースの近くまで吹き飛ばされてしまった。
お陰で足場が広くなったが、状況は依然悪い。
「タダノ!」
「嘘だろマジかよ……そう怒るなよ、冗談だってウェスカーモドキが」
「"模倣"を彷彿とさせるとは良い度胸だ。 余程死にたいとみえる」
「……やはりあの厨二病と関係が?」
考察している暇は無いが、思わず思う。
アルバート・ウェスカーはtウィルスの力に適合し、超人的な力を手に入れた。
目の前の男、ゼノは、その遺伝子を完コピないし参考にしたクローンなのか?
「終わりだ。 貴様の後で、レオンやお仲間をあの世に送ってやる。 寂しくないようにな」
「お気遣いなく!」
只野、バックパックからテルミット弾を投擲。
ゼノを火壁の向こうへと追いやった。
「時間稼ぎのつもりか?」
「キャンプファイヤーを前に、フォークダンスはどうかなってな」
「どこまでもふざけた男だ……」
「コマンド! レオン! 早く来てくれ! 間に合わなくなっても知らんぞ!」
「こちらコマンド! すまない、予定地点への到達は困難! 奴らBOWを解放してきた! 現在リッカーβ2及び人造ゾンビと思われる群れと交戦中!」
「もうつく、持ち堪えてみせろ」
コマンドはまたしても足止めを食らって役立たずであったが、レオンはガスマスクとケリをつけて駆けつけている最中だった。
ならば英雄の到着を夢見て、踊り明かす他ない。
「レッツ、シャルウィダンス!?」
血反吐を床に吐き捨て、只野は散弾銃を炎の壁越しにぶちかます。
「ベロニカを思い出す! クソ女アレクシア! あと天使マヌエラ! 見ているか! 俺も中々に頑張ってるぞ!」
「さっきから何を言ってるの!?」
グレースのツッコミを背に受けつつ戦う只野。
その意味を彼女は知る由もないだろうが。
あとマヌエラは当世界線では生きている。 最も彼女もゾンビだらけの環境にいた経験があるので、tウィルス症候群になっている可能性は否めないが。
そんな彼女が、もう1度助けてくれたとしたら、こんな感じに火が上がるかなと妄想しつつ戦う只野。
関連して、ロックフォート島の囚人からテラセイブになったスティーブとか、米特殊作戦軍からEDFに鞍替えしたクラウザーを走馬灯のように思い出す。
その間にグレースを逃そうと思ったが、護衛もなしでは心許ないか。 ここはレオンに期待して粘る他ない。
「そろそろ踊りも飽きた頃だ」
刹那、弱まった炎の壁向こうからライフル弾が飛翔、只野のボディアーマーに命中する。
「ぐはっ……!」
またも吹き飛び転がる只野。
EDF製の強靭なアーマーだ。 ライフルの1発を耐える。 しかし衝撃は受ける。 只野も人間だ。 アザ、内臓の損傷、骨にヒビが入ったかも知れない。
「タダノ! だめ、立って! お願い!」
「ふん、終わりだな。 グレース、どけ」
「い、いや。 私まで撃てない……でしょ?」
「死ななければ良いだけだ……」
「に、逃げろグレース……!」
迫るゼノ。
刹那、新たな発砲音。
ゼノ、何発も不意打ちを喰らい、銃を持つ腕が再び折れる。
「なに?」
「隙あり!」
「ぐっ!」
その隙をつき、只野は体当たり。
ガードレールや街灯を吹き飛ばすEDF式ローリングを食らわせれば、今度はゼノが床を転がる番となる。
「待たせたな」
「思ってたより早かったよ……!」
レオンが到着したのだ。
ボロボロの只野はグレースを彼に預け、共に並び立つ。
「ガスマスクに勝ったんだな?」
「ああ。 奴は強かった……特戦はどうした?」
「来れそうにない。 BOWと交戦中だ」
「良いね、なりふり構ってられないって事は、追い詰められているって事だ」
「そうともいえるか。 コマンドだけじゃない、後続で本隊も来る筈だ。 そうなればゼノといえど、抑えられないだろ」
そのゼノは立ち上がり、苛立ちを浮かべる。
黒いアザが顔面に広がり、能力を行使する。
「どこまでも邪魔をしてくれる! 遊びは終わりだッ!!」
「リベンジだこのコピペグラサン野郎!」
只野とレオンが弾幕を張れば、さすがのゼノといえど、何発も被弾していく。
だが勢いは止まらない。 やはりいつぞやのように薬を打たないといけないのか。 しかし、そう都合よくない。 グレースがクラフトして持てる破血剤をハイサイクルリバーサーやリバースシューターに詰めてぶち撒ければ効果はあるかも知れないが、無い物強請りしても仕方ない。
技研のルイスの協力があればとも思うも、それもまた無い者強請りだ。
「レオン! 駄目だコイツ、ポッと出の癖して強いぞ! グレースを連れて逃げろ、ここは俺が時間を稼ぐ!」
「只野1人でやって勝てる相手か!」
「隙を見て逃げるさ……全滅するよりマシだ」
「……死ぬなよ」
「そっちもな」
レオン、レクイエムで近くの巨大アームロボットの付け根を破壊。
グレースの手を引き、倒れ落ちるアームにしがみつく。
「しっかり掴まってろ!」
「きゃあああ!?」
2人してパンドラの底に落ちていく、と見せかけて途中、壁際を自動で移動していた小さなリフトに乗り移る。
そのまま2人はトンネルを潜り、壁の向こう側へ消えていった。
「さて、次は俺の番か……」
「逃げられるとでも?」
「逃げるんだよぉ!」
「なに!?」
「アイキャンフラアァイ!!」
只野、グレースがいなければと自由奔放。
そのまま円形足場から飛び降り、自由落下。
レオンと異なり考えなし、リフトに飛び移る真似もせず、底の方へと落ちていくのだった……。
「……まあ良い。 人は希望に縋る。 溺れる者は藁をも掴む。 グレースは此処へ戻らずを得ない。 死にかけのレオンとタダノに何ができる。 EDFの本隊もBOWが十分足止めしている。 エルピスを得るまでの時間を稼げれば良い……」
取らぬ狸の皮算用。
都合の良い未来を妄想し、笑みを浮かべるゼノ。
ウェスカーのように銃弾避けをできる能力者相手に、レオンと只野は勝てるのか。
果たして未来は……。
後書き
ゼノの掘り下げ、DLCでされるのか否か