バイオ歴史改変:EDFのターン   作:ハヤモ

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前書き
アリッサがスペンサーにインタビューした際の記録映像をグレースが見ます
諸悪の根源アンブレラの創始者にしてマッドサイエンティストのイメージがあったスペンサーですが、ラクーン事件後、なんか後悔しているという
…ほんま本人か?


131.スペンサー卿の贖罪/希望

グレースかみた映像。

それはフリージャーナリストで義母のアリッサ・アッシュクロフトが、世界中で頻発するバイオテロの諸悪の根源となった製薬会社アンブレラ創設者の1人、オズウェル・E・スペンサー卿にインタビューしているものだった。

アリッサから見て斜め後ろに設置されたビデオカメラを通して映るスペンサーは車椅子に座り、窓際で光に照らされているものの、ずっと背を向けており顔が映る事はない。

 

 

「───スペンサー卿。 暗い部屋で1人暮らしなんて、随分変わりましたね。 これまでの人生と」

 

「人生とは思いもよらぬ方向へ転がるものだろう?」

 

「あなたの選んだ道が、今のこの状況を招いたと、そう思う事はありますか?」

 

「当然だ。 蒔いた種は己に返る。 それが自然の理だろう」

 

「ではスペンサー卿、あなたは、世界になにを伝えたいんですか?」

 

「真実だ。 だが、始める前に少し休ませてくれないか、ミス・アッシュクロフト。 もう若くはない。 昔のようにはいかんのだよ」

 

 

それを聞き、アリッサはビデオを止める。

ここで一旦、動画は終わった。

 

 

「なぜこれを隠したの……?」

 

 

グレースは困惑、疑問を持つ。

そして手は自然と続きのファイルを、グレースと書かれたアイコンをクリックするのだった。

再生される新たな動画。

 

 

「私の研究はパンドラの箱を開けた。 そして多くの厄災が噴き出した」

 

「神話ではエルピス……希望の女神が、最後に残っていました」

 

「盲目の希望だ」

 

「と言うと?」

 

「人は死の訪れを予知する事ができない。 だからこそ希望を抱くのだ。 私は間違っていた。 今は悔やんでも悔やみきれない。 幸せというものは誰かの犠牲の上には成り立たない」

 

 

ここでスペンサー、右手に持つ杖で床を3回叩く。 何かの合図らしい。

 

 

「疲れたな。 終わりにしよう」

 

「なぜこのインタビューをお受けになったのですか?」

 

 

その質問に答える間も無く、白衣を着た男が赤子を連れてやってきて、スペンサーに渡して出て行った。

スペンサーは嬉しそうにホッホと声に出して笑い、愛おしそうに胸の子を抱く。

 

 

「その子は? 被験者の1人ですか?」

 

「いいや違う。 この子は独りぼっちでな。 贖罪のつもりで迎え入れた」

 

「その子は」

 

「まったく普通の子だ。 ただ家を必要としていた、それだけだ。 この子が、私の希望。 なんとも可愛い……どうだ? 抱いてみるか?」

 

「え……ああ。 それでは……」

 

 

アリッサ、困惑気味にも了解し、スペンサーの側まで寄ると、赤子を受けとった。

 

 

「愛らしい……名前は?」

 

「グレースだ」

 

「グレース……他に話しておく事はありますか?」

 

「言うべき事は言った。 せめて死んだ人々への鎮魂歌(レクイエム)となればいいんだがな」

 

 

動画はここで、終わった。

この後、どういった会話があって、まだ僅かにも権力はありそうなスペンサーの養子となったグレースを、フリージャーナリストであるアリッサが引き取る事になったのかは不明だ。

 

 

「……そう、なんだ……私……」

 

 

グレースは感傷深く息を吐く。

この危機的局面で、意外な形で己の経歴を知る事となった。

スペンサーの言っている事が本当ならば、グレースは一般人、特別な遺伝子や血を持つような選ばれた子という訳ではない。

となれば、コネクション側がスペンサーの養子というだけで何かあるだろと特別扱いをし、長らく無駄に追い回していた事になる。

只野とレオンとしては、よもや憎むべきバイオテロの諸悪の根源、場合によっちゃ、サタンみてぇな奴の晩年近くが、こんなおじいちゃんになっているとは思わなかった。

 

 

「マジで? ほんま本人? これクリスが見たらキレるか呆れるんとちゃう? 許すはなさそうだな?」

 

「……それで公開日は? チケットは必要か?」

 

 

バイオテロに苦しめられてきた2人としては、有名人や企業のやらかしによる批難を緩和する為の印象操作にも感じてしまう。

良い映像作品だったと薄ら感じているだろうグレースには悪いが……経験者は語るのである。

そんでスペンサーはこの後暫くして、ウェスカーと新世界の神談義的な痛い会話をして殺害されてしまう末路を辿るってマ?

 

 

「……エルピスの所に行きましょう」

 

「そうだな、十分休んだ。 仕事をするか」

 

「グレース、ARKを破壊するんだ。 俺が、俺と只野が必ず時間を稼ぐ」

 

「それよりも、私に考えがある」

 

「信じよう」

 

「何をする気か知らんが、パスワードを解くまでは、ゼノとやらも手を出して来ない筈だからな……」

 

 

時間が無いとしながら、寄り道の末、漸く目的地となるパンドラへと歩みを戻す。

病が末期でまともに動けないレオン、負傷している只野、一般人のグレース、そして遅れまくっているEDFの部隊員たち。

 

果たしてエルピスとは?

ボロボロの一向で、コネクションの野望を止める事ができるのか?

 

果たして未来は……。




後書き
スペンサーはボケていた指摘もあるので、意味不明な言動や意見がころころしていたのかも
…作者のリアル経験談ですが、普段、記憶力が欠如するなどしてボケて周囲を困らせていた老人が、突然マトモな事を言った時があって少し驚いた事があります。かと思えば、その発言を忘れたり…
バイオシリーズは、リメイク含め歴史やキャラ改変も珍しくないものと思っていますので、あまり気にしちゃ駄目かもですが
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