バイオ歴史改変:EDFのターン   作:ハヤモ

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前書き
大詰め。エルピスの正体へ
当世界線ではバッドエンド√回避
パスワードはそのままグレースの名前とか、贖罪とかと思っていた初見のワイはお笑いだったぜ(自虐


132.エルピスの解放

死してなお、ARKを推して輝く推死活ゾンビとリッカーβ2を蹴散らす道中、グレースの出生の秘密を知り、その足でエルピスのある空間、パンドラへと向かう一行。

そこには白スーツグラサンのゼノが、堂々と待ち構えていたのだった。

 

 

「漸く放蕩娘が戻って来たか」

 

「パスワードなら知ってる」

 

「運命を全うしろ。 そうすれば許してやる」

 

「でもレオンの命は保証して!」

 

「いいだろう……タダノはどうする?」

 

 

ゼノのグラサン越し、只野のゴーグル越しの視線が交差する。

すると只野、わざと弱音を奏で始めた。

レオンはイケメンで女子にモテて庇って貰える事はあっても、自身は自然淘汰されて仕方ない、そんな劣等遺伝子で構成された勘違い激キモおじさん。 根元から違うのを悲しくも自覚している彼は、自力で窮地を乗り越えようと足掻いた。

 

 

「ぐえぇ、ワイ瀕死んゴ。 怪我が酷いから降参します、命までは奪わないでくれお願いします、なんでもお願いします!」

 

 

クッソ情けなく喚いてレオン共々床に倒れる。

銃は持ったままだが、斧を持っていたら投げ捨て両手を上げていたかも知れない。

そんな只野を怪訝そうに見るグレースとゼノ。

確かに怪我は酷そうだが、元気があるだけに絶望的に胡散臭い。 それがEDF隊員の特徴でもあるが……。

 

 

「まぁ良いだろう。 力の差は歴然だ。 グレース、エルピスを解放するんだ、さあ」

 

「ええ……」

 

 

グレース、緊張感に包まれながらも小さな入力画面の前に出る。

画面には変わらず"創造主は何を望む?"の文字。

 

 

「よし……」

 

 

過去の記憶、映像の言葉が脳裏を過ぎる。

 

 

(忘れないで。 あなたは私の希望なの)

 

(希望。 この子が、私の希望だ)

 

 

グレースがキーボードに打ち込む文字は。

"希望"(Hope)

 

そして……enter keyを押す。

ごおおお、と静かな重低音がすると───

 

───ウィン

 

下からエルピスと思われる、ガラス容器兼注射器ともなる、縦長のカプセルが6つほど出て来た。

中身は黄金の液体が入っているようだ。

 

 

「これがエルピス……」

 

 

グレースはその1つを手に取った。

レオンは苦しそうにしながら尋ねる。

 

 

「どういうことだ?」

 

「スペンサーは後悔してたの。 だから」

 

「グレースよくやった」

 

「ッ!」

 

 

説明しようとした刹那、ゼノがグレースを跳ね除けて自身もエルピスの1つを手に取る。

そしてレオンへと向かった。

殺すのかと思ったグレースは抗議する。

 

 

「約束したでしょ!」

 

「ああ、コイツの命を取ったりはしない……Mr.ケネディ。 そしてタダノ。 光栄に思うんだな、先ずはお前らでこのチカラを試すとしよう。 フンッ!」

 

 

そう言うや、ゼノはエルピスを自らの首に注射、体に取り入れた。

噂は噂でしかなく、得体が知れない薬剤だかウィルスを、よくもまあ確認なしでぶち込めるものである。

そしてゼノの勘違いを指摘するように、グレースは己の経歴を語る。

 

 

「エルピスは思っていたものと違うのかも。私は極普通の人間だし、鍵でも何でもなかった。 スペンサーは償おうとしていた」

 

「貴様はエルピスを解放した……何を言いたいんだ、答えろ!!」

 

 

己の体が不調、様子がおかしくなっていく感覚の中、グレースの言葉に引っ掛かりを覚えたゼノがサングラスをとり彼女に迫る。

 

 

「きゃああ!」

 

「グレース!」

 

 

そこをボロボロのレオンが力を振り絞り体当たり。 ゼノを突き飛ばし身を挺してグレースを庇う。

 

 

「レオン!」

 

「ぐっ……何故だ……力が、抜ける……!」

 

「エルピスはスペンサーの贖罪なの! 抗ウィルス薬……それが正体よ!」

 

「おや? おやおやおや。 そうとは知らず、自滅とは滑稽だなウェスカーモドキさんよぉ? 形成逆転のようだなオイ!」

 

 

ゼノが弱体化したとみるや、瀕死のフリをしていた只野が益々イキイキと立ち上がり銃を構える。 加齢臭と共に小物臭がプンプンする。

昔のウェスカー戦を思い出すようだ。 アレも薬物絡みでヤツは弱体化した記憶がある。 今回の光景にも似た展開を感じたのだ。

 

 

「ここからはEDFのターン!」

 

 

さっさとゼノを拘束して手柄とし、コネクションへの手掛かりとしつつ、エルピスが治療薬ならばレオンにブスリしようと思った刹那。

またも新たな客がやって来る。

 

 

「くくくっ!」

 

 

声の方を見やれば、バイク戦で死んだと思っていたヴィクター・ギデオンだった。

 

 

「素晴らしい! 頭が下がる。 我が師の天才ぶりには」

 

 

ゴーグルを外し捨て、スペンサーを讃える。

 

 

「ヴィクター!? 生きとったんかワレェ!」

 

 

銃口をギデオンに向け警戒する只野。

向こうも血は流し、左腕は欠損している。 しかし何処か様子がおかしくもある。

変異型tウィルスの影響? いや、それとは違う、特殊な手術を自身にしているのか?

 

 

「その郷愁にも似たしつこさ、呪いのようだ」

 

 

そんなギデオンにゼノも気付くと、指を差し、レスバが始まった。

 

 

「お前の研究は誤りだった! エルピスは武器ではなかった! 鍵などなかったのだ!」

 

「スペンサーの論文は明らかに未完成だ。 グレースもエミリーも関係は無かった」

 

「この計画にどれだけの時間と資金を費やしてきたと思ってる!」

 

「まだ分からないのか? エルピスがあればウィルス兵器は全て無効化される。 この世界は混乱に陥るだろう」

 

「我々が望むのは兵器だ」

 

「代わりにスペンサーは混沌を与えたのだ。 私はその意志を継ぎ、理想を現実のものとする」

 

「お前が? ははっ、お前もスポンサーもただの道具に過ぎない!」

 

「師はお前達を出し抜いた」

 

「スペンサーは我々に背き、その代償に命を落としたのだ! ただの無価値な存在だ!」

 

「そしてお前は、模倣品に過ぎない」

 

「ッ! 終わりだヴィクター! コネクションは、もうお前を見限る!!」

 

「グオオオオッ!」

 

 

ゼノがヴィクターの言葉にショックを受けた様子を見せ、感情のままに啖呵を切った刹那、今度はヴィクターが雄叫びを上げた。

刹那、左腕が変質。 大きな触手を生やして振るうと、ゼノの頭が消し飛んでしまった。

 

 

「あ、ああっ、アイツに渡しちゃ駄目!」

 

 

グレース、そんなショッキングな光景に狼狽えながらも、手にもつエルピスを見つめて、どうするべきか考える。

レスバの成り行きを審判者のように見守っていた只野は、考えるより先に動いていた。

 

 

「野郎、よくも俺の手柄を!?」

 

 

小銃のトリガーを引き、弾幕を張る只野。

だが何かしらのチカラで強靭な体を持つに至るヴィクターは怯まず、触手でグレースごと薙ぎ払う。

 

 

「ぐはっ!?」「ああっ!?」

 

 

床に転がされる2人。

グレースの持っていたエルピスが只野の前に転がった。 只野は本能的にそれを掴む。

 

 

「無知とは恐ろしいものよ」

 

 

一方、ヴィクターは2人にトドメを刺すでもなく、端末に適当なワードを入力し始めた。

 

 

「……何をしてんのか知らんがヤバそうだ。 レオンの助けがいる、この薬を今打ってやるから元気だしな!」

 

 

只野、自力での解決は困難と判断。

 

 

「体にピース! エルピスッ!!」

 

 

エルピスをレオンの腕にブスリと刺す。

すると忽ち黒いアザが消えていく。 効いているようだ。 かなり強力な抗ウィルス薬、即効性だ。

 

 

「よし効いてる……レオン、立ってくれ!」

 

 

……しかし話通り全てのウィルス、エルピスの完成以降に生まれたウィルスにも効くのだろうか?

未来で開発されるモノも無効化する、そんな事が可能なのか?

大元となるであろう始祖ウィルスやtウィルスを対象にする事で、一応可能になるのだろうか?

そうした話に疎い只野には分からなかったが、今求めるのは結果だ。

 

 

「さあ……全て終わらせよう。 何もかも」

 

 

施設全体が揺れ、足場の台座が崩れ始めた。 間違えたパスワードでARKの崩壊が始まったようだ。

そんな中、レオンが起きる。 何が起きたのか把握しておらず、只野に尋ねる。

 

 

「……何があった?」

 

「見ての通りヤバい状況だ。 ARKが崩壊する」

 

「ッ、倒れるぞ!」

 

 

轟音を立て、足場が斜めに傾き、壁にぶつかりながら底へ底へと落ちていく。

 

 

「きゃあああ!?」

 

「掴まってろ!」

 

 

施設側の安全装置なのか、パンドラに蓋をするように菊紋状のハッチが閉まり始め、落ちてきた台座のそれ以上の落下を塞ぎ止める。

だがその閉まる寸前の隙間に滑り込むようにレオンと只野は入り込み、底へと着地。

だがグレースを見失った。 レオンは見回す。

 

 

「グレース、グレース! どこだ!?」

 

「ああ、また底に戻ってきたのか。 いや、一緒に落ちてきた瓦礫やら崩壊の進みで訳がわからんステージになってるな……こう滅茶苦茶になると、どれだけコネクションへの手掛かりが残されるものか……」

 

「グレースを探してくれ!」

 

「してるさ、これでも。 でもよ、先ずあの触手野郎を倒してからじゃね?」

 

 

只野が指差す先。

左腕から大きく凶悪な触手をウネウネさせた、ヴィクター・ギデオンが此方に面と向かっている。

 

 

「アンブレラの亡霊め。 ケリをつけてやる!」

 

「おう! 分からせてやろうぜ!」

 

 

男2人、並んでギデオンに銃口を向ける。

今回の事件も大詰めだ……!




後書き
ギデオンはどこまで知っていたのか…
ゼノも何者だったのか…
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