上層部の会話。
哀れ只野、また飛ばされる。
今回のあらすじ
クリスとシェバ合流。
油田方面へ。 アーヴィング逮捕へ向けて。
居住区を制圧、確保したEDF。
後は鉱山、港の敵を殲滅して油田に向かう予定だが、いっぺんに出来ないのでデルタの合流を待ち、共に仕事をする運びをする。
油田には最後に向かうつもりだが、先遣隊として安心実績の只野君と厄介払いな形でのBSAA隊員クリスとシェバをハッピーセットにして送り込む事に。
それにはヘリを使う事に決めたEDF。
彼等に旧式化しつつあるビークルを押し付け、早速戦場に放り出す。
「ヘリが来た」
輸送機ノーブルがコンテナ投下、中からEDF重装ヘリ、空飛ぶ要塞ことブルートがポンと出てくる。
今回、只野が使うヘリだ。
大型で、左右に大砲ともいえる機関砲が取り付いている、3人乗りのヘリ。
機動力が無いが被弾を想定し装甲は厚めで、左右にドーントレス重機関砲を搭載。 取り回しが悪く連射も効かないものの、放たれる大口径徹甲弾の破壊力と貫通力は強力無慈悲。 大砲ともいって差し支えない。
最も最新鋭戦闘ヘリ、ヘロンYG20Eと比較すればアレだが。 ただアレは1人乗りなので、人数的にはブルートが良いとの判断か。
それに乗り込むは合流したBSAA隊員クリスとシェバ。 そして只野。
パイロットは只野、他はガンナーとなる。
互いに顔を合わせると軽く敬礼。
会話しつつ即時行動に移していく。
「久し振りクリス。 ジルの件は聞いている」
「そうか……只野、また世話になる」
「気にするな。 そちらはシェバだね?」
「ええ。 宜しくお願い」
戦場なので挨拶もそこそこに、ヘリに移動。
クリスは旧友よりジルの関係で憂いを帯び、けれど希望が見え隠れした表情。 シェバはEDFとの共闘に思うところがあるのか、こちらも複雑な表情だ。
只野も先遣隊として油田方面に放り込まれるのは複雑であった。 というか隊とは名ばかりの少人数だ。 それでも動くのは命令だから、と言えば言い訳に近く、クリス達の為と言った方が良い。
「ヘリに積んである武器装備は好きに使って良い。 取り敢えず歩兵用レーダーと無線は繋いでおいて」
「分かった」「了解」
「その、クリス」
「なんだ?」
「希望はある」
「……そうだな。 確かめないとな」
離陸、飛行を始めながら只野はクリスに言った。
ジル生存を知っている只野だが、うまい励ましの言葉が思いつかない。 確実な証拠がないので、変に強くも言えなかった。
だが、この先に進み続ければ再会出来るのを知っている。 ついでにウェスカーとも再会するが、解決の方法も知っている。
一方、シェバはクリスの事情を既に知った上で行動を共にしていた。
家族同然のデルタチームは後方でEDFと合流、死人を出していないから、今回仇討ちで動いている訳ではないが、バイオテロを憎んでいるし、クリスへの同情もあって任務に関係なく動いている。
それが許されているのは、BSAAが隊員を捨て駒の様に扱っている以外にも、オブライエンやEDFのような寛容な者の影響もあった。
何にせよ、只野にとっては大凡記憶通りであり、多少違う点はあれど事を刻に任せて運ぶしかない。
只野は現在の情報を整理、共有し合う。
「鉱山と港は本隊とデルタが制圧する。 俺達先遣隊は油田に逃げたと思われるアーヴィング逮捕を目指す、その道中でジル探しだ」
「3人だけでやるのか?」
「いんや、本隊とデルタの片付けが終われば増援が来る。 ただ、また派手に暴れられたら、アーヴィングはまたどっかに逃げるだろうね。 その意味では早めに"穏便に"終わらせる必要がありそうだけど」
フルスロットルで油田に飛びつつ、会話を続ける。 喧しいローター音にも慣れてきた。
正史におけるBSAAの指示よりマシな展開に思えるが、この世界線ではEDFの大火力で祭り騒ぎを起こしたものだから、アーヴィングはビビって鉱山ではなく直接油田に逃げてしまっていた。
そのまま逃すつもりはないから、こうして行動する訳だが、EDFの部隊が追いついて再度暴れ始めたら面倒が増しそうである。
EDFはソレで良くてもBSAAにしては良い訳がない。 只野としても身内から遅いだの、お前が悪いだのと文句言われ、クリスらBSAAからも小言を言われる挟み撃ちは勘弁なのだった。
そんな思いの中、シェバが言い始める。
「EDFもBSAAの上層部も上手く動いてくれたなら良いのに」
「そう、だな」
力無く返す只野。
シェバの言葉は昔の苦い思い出を振り返っての事。 その言葉はどこか重い。
シェバは幼い頃、両親を生物兵器絡みで失い、バイオテロを憎んでいた。 それがBSAAに入隊した理由であるが、同時にたられば、の話をしている。
あの時EDFが駆け付けていれば、と。
今更どうしようもない話だが、この世界線では昔から存続するEDFには、そういう個人的な感情があった。
昔から地球を守ると喧伝する世界規模の軍隊なのに、何故、私達を守ってくれなかったのと。
大人になり現実への対処は困難な事を知り始めて、折り合いはつけたつもりだけど、それでも子供の頃の辛い記憶は残っていた。
その事はループ系只野君は存じている。 けれど遮る事なく相槌を打ち、述懐を聞いた。
「肝心な時にいない。 俺も思う時がある」
コックピットから背後に向けて言う只野。
1人バイオハザードに放り込むからねEDFは。 本部の罠かと思うレベルに酷いと思うのです。 現在進行形で。
そんな心境を知らぬシェバは、話を合わせてくれる只野に言葉を続けた。
ひとりの兵士に言っても仕方ないけれど、溜まり続ける思いは何処かで吐きたいものだから。
「……世界規模の軍隊EDF。 もし早くに動いてくれていたなら、私の両親や他の多くの人をもっと救えたんじゃないかしら」
「かも、な」
とは言うが、EDFは未来で起きる様々を大半は知らない。 只野からの情報をナシに自力で調査、未然に事件を防ぐ活動もしているが、やはり世界各地で起きている事件全てを把握し対処するのは困難だ。
一方、只野はバイオハザードを事細やかに記憶している訳では無い。 小さな事まで含めるとキリがなく、一々覚えていないのだ。
その際、失われた命まで小さな事だと軽くみるつもりはないが、EDFの力を持ってしても救えない命はある。 それでも立ち止まる訳にはいかないのも確か。
只野は気を引き締めて、今を生きるしかない。
「その意味、今回の事件や、もっというとジルが行方不明にならずに済んだかも知れないんだ。 EDF、隊員の俺にも少なからず責任はある」
そう言う只野の言葉を、クリスは止める。
「……EDFも万能じゃ無い。 悪く言うつもりはないし、それ以前にBSAAの任務の責任を押し付けるつもりはない」
「クリス……いや、何でも無い。 今は今に集中しよう。 シェバもそれで良いね?」
「ええ。 話はお終い、任務に戻りましょう」
アフリカの空をヘリが往く。
その先に工業地帯……油田が見えてきた。
刹那、前方で閃光。
RPGと思われるロケット弾が飛翔。
「ッ、回避ッ!」
操縦桿を動かし、ギリギリで避ける。
機動力が無いブルートだが、まだ距離があった事で何とか回避出来た。
間髪入れず反撃したいところだが、しかしパイロットはヘリ操縦しか出来ない。
反撃にはクリスとシェバに機関砲を操作して貰うしかなく、只野は声を出した。
「この距離で撃ってくるかよ!」
「ヘリで来たからな、流石に目立ったか」
「まぁ良い、敵がいるのは分かった! 先ず射程圏内まで近付き上空を旋回する!
クリスとシェバは銃座を操作して手当たり次第に敵を撃ってくれ! 油田への損傷は気にするな、どうせ吹き飛ぶ!」
「了解だ! シェバ、反撃するぞ!」
「ラジャー!」
こうして油田も戦場になった。
ゲームでは空飛ぶ棺桶なカ●コン製ヘリコプターだが、EDF製は果たして通じるのだろうか……。
中途半端(?)ですが……。
次回未定(殴。