バイオ歴史改変:EDFのターン   作:ハヤモ

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前書き
只野君、また単独でブチ込まれるの巻


43.ウェスカー戦前半

後から向かうとした大尉らに期待せず、只野はウェスカーの大型船に追いついた。

迎撃もない雑さにホッとするも、爆撃機が発進する前に乗り込まねば手遅れだ。 最悪は空軍と海軍が撃墜するも、そんな事すれば大量のウィルスが海にドボン。 海洋汚染の被害がどれほど出るか分からない。 それにウェスカーが簡単にくたばるとも思えなかった。 ここで取り逃す真似は絶対にしたくないのが本音である。

それらの為にも結局船に乗り込むしかなく、これもテラグリジア・パニックを彷彿とさせる状況だ。 只野は辟易した。

 

 

「でもやらないといけないんだよ。 クリスとシェバが乗り込めなかった分な」

 

 

EDFが何もしなかった方が楽出来たんじゃね、と今更思っても仕方ない。

より良く楽な未来を描こうとして足掻いたら苦労がより増したとして、放置したらより最悪な展開になってしまうなら動く他ない。

 

 

「ヘリは乗り捨て御免!」

 

 

そうして滑走路上空からスカイダイブ。

只野もEDF隊員。 生身で落ちても怪我なく猫の様に綺麗に着地した。

主を失った戦闘ヘリ、YG20は海原へよろよろと落ちていく。 高価なビークルなのに勿体無い事をしているが、金より世界の危機なので。

 

 

「うっし、早速爆撃機を……ッ!?」

 

 

刹那。

正面から迫る大型爆撃機。

正に発艦しようとしているところだ。

 

 

「おいおい冗談じゃないぞ!」

 

 

叫びつつも逃げずに向かう。

ここで取り付かなかったら、爆撃機とウェスカーを逃す事になる。 最悪は地球がウロボロスで犯されてしまう。

 

 

「逃すか厨二野郎ッ!」

 

 

ギア……車輪部分に抱きつき一緒に格納されていく只野君。

 

 

「ぐっ、キツイなこりゃ」

 

 

などと軽口吐くも普通飛びつけたとして、高速で向かってくる物体に飛びつけば無事じゃ済まなそうだが、そこはEDF隊員なので(暴論)。

 

 

「こちら只野、奴が爆撃機を発進しました」

 

 

追い掛ける準備をしてると信じたい本隊、クラウザー達に連絡を取る。

緊急事態だが、逆に冷静な口調で対応された。

 

 

『間に合わなかったか』

「機内に潜りました。 無力化を試みます」

『そうしろ、海の藻屑になりたいなら別だが』

「俺ごと撃墜ですか」

『当然だ、個人より世界が優先される』

「最もで」

 

 

冷酷な中に温情が見え隠れする声色を感じつつ、只野は動いた。 この場にクリスはいない。 荷が重いが自分だけでやるしかなかった。

 

 

「ああ、くそっ……ウェスカー潰す!」

 

 

スローターEZを構え直して叫ぶ。

只野の声が機内に木魂する。 それに呼応してウェスカーが姿を現す。

 

 

「EDFにクリスに只野……放っておけば消えて無くなる……そんな都合の良い存在じゃないな」

 

 

そう言ってはグラサンを投げ付けて突っ込んでくるウェスカー。

対する只野も文句言いつつ応戦。 散弾を撒き散らし牽制。

 

 

「分かったなら、死ね!」

 

 

ウェスカーが拳銃、サムライエッジのアルバートモデルを片手で正確に撃ってくる。

ローリングで回避しつつコイン大の手榴弾、1号弾をばら撒き牽制。 それら散弾形式のものすら瞬間移動並みの動きで回避される。

 

 

「ラクーン市警時代のか、物持ちが良いな。 それとも未練でもあるのか?」

 

 

鉄骨の影に隠れつつ、残弾をばら撒く。

全て回避されるも、純粋な人間の力のみでここまで戦えるとは。

正史ではクリスらにお薬をブスリとされて、力が多少弱まったに見えたが、それが無い今のウェスカーは万全に近い。

そんな化物相手に単独で大立ち回り出来る只野も相当な化物だ。 タイムリープによる練度にしても異常化している。

ひょっとすると人類の英雄、ストーム1の域に近いのかも知れない。

それでもウェスカーが強い事に変わり無い。 只野は確実に追い詰められていく。

 

 

「……飢餓、戦争、権力、金。 闘争を止められない人類。 EDFがいようと本質は変わらない。 今、貴様とこうしている様に」

「ぐっ!」

 

 

語られながらも、只野は何箇所か被弾。

 

 

「無理矢理紛争を抑え込もうと、プライマー共を片付けようと、1つの意志に纏まる事はなかった」

「ごふっ!?」

 

 

常人なら死ぬボディブローをかまされる。

 

 

「互いに殺し合い、傷つけ、くだらない優越を競い合う。 そして緩やかに人類は滅び逝っている」

「がはっ……」

 

 

首を絞められながら持ち上げられる。

 

 

「俺がいようと変わらない、ただこの先起こり得る災厄を先取りするだけだ」

「ごほっ!」

 

 

腹に強烈人外パンチを喰らう。

それでもEDFアーマーと只野本人の強靭な肉体が何とか持ち堪える。

 

 

「貴様にも分かる筈だ、この世界を守る事に何の価値がある!」

 

 

だがウェスカーも容赦ない。

叫びつつ張り手で壁際に吹き飛ばした。

そんな只野。 咽せながら笑って見せた。

 

 

「かひゅっ、ひゅー……ふっふふ……」

「何がおかしい!」

「いやなに。 突然高説垂れようとな、お前のせいで死んでいったSTARS隊員含む多くの人々や残された人間は、お前の所業を許さないからな。 それに、俺はこの世界が憎みきれない。 だから」

 

 

ニッと笑うと壁際のハッチ解放レバーを下ろす。

 

 

「世界の為に死ね! ウェスカー!」

 

 

刹那。

機体後部が開く。 気圧差等で外へと吸い出されていくウェスカーと只野。

警報響き機体の高度が著しく下がる中、近くの鉄骨に只野はしがみつき耐える。 その足に捕まるウェスカー。 EDF隊員の只野なら堕ちたくらいじゃ死なないにしても、ウェスカーも或いは分からない。

 

 

「おのれ只野! 貴様だけでも道連れだ!」

「断る! というか展開的に同じだなコレ!」

 

 

只野は何かを察しつつも、足元のウェスカーに1号弾をばら撒いた。 流石に避けられず被爆、衝撃で外へと消えていった。

後に残るは只野だけだが、これで終わった訳ではない。 それを察して余りあるから、只野は憂鬱だ。

 

 

「こちら只野! 現在機体が墜落中! 墜落先はたぶん火山島かナニかだ、レーダーでも予測航路でも見て助けに来てくれよ!」

 

 

一方的な通信だけ入れた刹那、強い衝撃に襲われる只野。 その勢いのまま外に放り出されたなら、灼熱の大地、いや島に転がされた。

 

 

「運が良いんだか悪いんだか」

 

 

よろよろと立ち上がり見渡すばかり。

都合良く大海原ではなく、そこに浮かぶ火山島。

正史通りの展開に只野は笑うしかなかった。




ああ、リアルがキツイ(何度目か分からぬ思い
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