前回のあらすじ
ウェスカー戦終了
「首謀者は死亡、ウロボロス計画は破綻。 証拠も十二分に回収、BSAAの金蔓トライセルはアンブレラの二の舞と」
BSAAご意見番、オブライエンは言う。
通話先はEDF総司令部参謀だ。
『そうなる。 シナリオ通りだ、今はな』
「ふむ。 EDFは神にでもなったおつもりで」
『知らんのか? 神は死んだぞ』
「ニーチェですかな」
『或いはプライマーとの最終決戦時の話だ』
意味深そうでそうでもない。
裏表が分からぬ腹の探り合いをしてそうで、実は単なる軽口を叩き合っているだけという。
掴み所がない会話は彼等にしてみれば挨拶みたいなものなのだろう。
『EDFは万能ではない。 情報を知り得たところで、対策が無ければ敵の思う壺だ。 それはプライマーとの戦争で学んだ事だ』
知る人ぞ知る話だ。
バイオシリーズとは関係ないEDF6の話となるが、此処では割愛させて貰う。
「では、指を咥えて見ていると」
『それをしなかったから今がある。 まだEDFは足掻き続けておるよ』
「左様ですか。 で、何か変わりましたか」
『多少の人命を救えた事しか分からんな。 今後は政財界の有権者に働きかけ、EDFがより動き易い環境に……とは長らくやって来ている話だが。 分かるだろう、その世界にも敵がいると』
「……名指しは控えさせて頂きますが、どこぞの"家族"で間違いないかと」
『話が早くて助かる』
今後の懸念を互いに感じつつ、今を語る。
バイオテロ、兵器は世界各地の紛争地帯やら個人規模に至るまで様々だ。
これ以上拡散させない為にもブラックマーケットを潰しても、次から次へと湧き上がる。
キリがない。 今回の厨二病みたいに新世界の神になるなどという欲望に塗れて起きるのもあるし厄介過ぎる。
それだけバイオ兵器が市場として成り立ち、または価値があるという事だ。 世界規模の軍隊であるEDFとしては仕事が増えて困る。 逆にそれで食っていける人間がいるのも皮肉であるが。 色んな意味で。
『BSAAも問題を抱えている部分はあるだろう。 今回の件で資金不足、戦線の拡大に伴う人員不足。 あと戦略情報部が調べているところだが……BOWを戦力として使用するという噂は本当かね?』
「根も葉もない噂ですなぁ。 最も私の目と耳が届かない所で何してるか分かりませんが」
『お互い様だな……この先、アメリカと中国で大規模なバイオテロが起きる可能性がある。 備えてくれたまえ』
「あー、起きる前に止めるべきかと」
『努力はする───以上だ』
こうして簡単な話は終了した。
未来で起こる事をある程度知れても尚、結末を変えられないものなのか。
オブライエンはEDFの最高機密……リングやタイムリープの話を詳しく知らない。
だがそれらが真実であると薄ら感じつつも、バイオテロより現実味の無いものだ。 だが可能性としては片隅に留めている。
「だというのに。 我々が今いる世界が変わった結果なのか、そうでないのか。 努力が見えないのは辛いものだ」
歴史は繰り返す。
人類は過ちを繰り返す。
その中で僅かに変わった何か。
それを知っているのは只野だけだった。