前回のあらすじ
クレアとモイラにスティーブ。
■本部side■
ゾンビだの虫だのといった怪物を蹴散らしながら電波塔に移動する只野伍長。
その報告を聞きつつ、本部は何度目か分からぬ溜息を吐く。
「テラセイブ本部に謎の特殊部隊襲撃。 少なくない職員がザイン島に拉致。 挙句に現地でバイオハザードか」
只野からの情報通りになってしまった。
テラグリジアの反省もあり、今度こそテロを防ごうとしていたのに。
『こちら戦略情報部です。 今回の事件の首謀者は情報通りで間違いありません』
「アレックス・ウェスカーだな」
『はい』
「テラセイブ本部の方はどうなった?」
『ビル及び周辺を封鎖。 調査をしていますが、現地警察の言い分では機密情報漏洩とスパイ嫌疑で職員を拘束、職員をザイン島に収監したとの事です』
「何処をどうした結果そうなったかと疑いたいが、モノは言いようだ。 ラクーン市警長とアンブレラの癒着があった様に、裏で何かしらあった様に思える。 それが出来るだけの権力と金をアレックスも持っていたという事だ」
本部は言う。
アンブレラが潰れて久しいが、金と材料を用意出来る位には余力があったであろう。
それをスペンサーからパクって逃げたアレックス。 一部とはいえ孤島で好き勝手出来る位の力を持っていた。 改めてアンブレラの残党を侮ってはならないと思う。
『はい。 其方の調査も進めます』
「ザイン島もな。 元より制圧するつもりだったが……こうなる前に何とかならなかったか……」
別に嘆くばかりで何もしてない訳じゃない。
具体的にはテラセイブ本部に警備員に扮したEDF隊員を多数忍ばせ備えていた。
武器は民間にも出回っているアサルトライフルPA-11だったが、フルオート機構を付けた軍用である。 人間相手なら十分な装備だった。
襲撃時は輸送ヘリの妨害をして、屋上に来た連中とドンパチをしたものの、進入ルートや相手の戦力といった細かな事は分からず、隙間を抜ける様にして職員は攫われてしまったのだった。
「事件が起きる前の都市部に大部隊を展開する訳にはいかなかったが、紛争地帯に戦力を割いている所に間の悪い……」
『今はザイン島制圧を優先して下さい』
「分かっている。 BSAAも直に来るが、ウロボロスまで蔓延する前に制圧してしまいたいところだな。 それと出来ればアレックス共々テラセイブの内通者、ニールを逮捕だ」
『はい。 間も無く制圧部隊が上陸します』
「……まだ救える者はいる筈だ。 例の少女に攫われた職員。 そうした少数を救助したところで、何か変わるのか、我々には認知出来ないが……」
EDFのガバガバ行動は続く。
歴史をなぞっているだけなのか、違うのか。
僅かな変化はあれど、未来は果たして。
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■只野君side■
電波塔に辿り着いたら、建物に懐かしい顔男女2名と新人ちゃんがいた。
記憶的には皆知ってる顔だが。 残念ながら新人、モイラ・バートンは俺とは初めましてだ。
「よぉお久。 また変な所で会ったな?」
「そうね。 またお世話になるわ」
「まぁ、俺1人でも余裕だけどよ!」
「スティーブ……」
腕を見る。 他同様に付けられている。
やはりクレア共々拉致されて来たのか。
その辺も話し合いつつ、今は協力しないとな。
「頑張れよ。 俺も頑張るから」
「おう。 任せろって!」
そうして軽く挨拶。
その光景を若い女性、モイラが見て聞いてくる。
「貴方がクレアの言ってたEDFの只野?」
「そう、初めまして。 クレアとはラクーンから知っていてね。 スティーブとはロックフォート島からだよ」
「そうですか。 その、パ……バリーとは?」
気になるのかね?
バリーとモイラの関係は、この時点では最悪だが、完全に冷えてる訳じゃなさそうだ。
「洋館事件以降ちゃんと会ってないな。 元気にしてるかい?」
「ウザったい位です」
「そうか。 あの人も歳だと思うが、元気にしてるなら良かった。 一時は大変だったからね」
洋館事件から色々行動していたからね。
アンブレラが倒産するまで家族をカナダに逃すとか。 正史だとジルを助けにラクーンにヘリで来たとか何とか?
まぁ、俺は洋館事件から会ってないんだが。 今回会えるだろうか。 正史だと半年後に上陸してくるんだけど。 EDFが早々に制圧しそうだし無理かな。
その絡みでモイラとバリーの仲が冷戦維持になるなら悲しいが。 まぁ命あれば儲け物だし。 生きていれば大丈夫。 和解するさ。 たぶん。
「……それより救援は?」
「もう直ぐ来るよ。 そうすりゃ、このイかれた島ともお別れさ」
そういうとクレアが真面目な顔で注意を促す。
合わせる様にしてスティーブも頷く。
「気を付けて。 私達はこの島に拉致されてきたけれど、何かの実験に付き合わされているみたいなの」
「この腕輪から時々女の声が聞こえるんだが、監視されてるみてぇなんだよ」
「成る程把握」
うん。 知ってる。
でも変にツッコミ入れると疑われそうなので同意して流しておく。
「後はEDFがやる。 君達は此処にいなさい」
「おいおい、そりゃないだろ」
「コッチの台詞だよ。 あの時は一緒の方が良かったけど、今回は違うんだ。 救助が来るまで大人しく待っていてくれ。 俺もいるから」
ロックフォート島は自爆したからね。
その意味では一緒に逃げた方が良かった。
でも此処、ザイン島は違う。 島中央部に聳える塔が自爆するものの、島全体まで爆発はしない。
していたら下水道をアジトにしているエフゲニーというクソジジイとモイラは半年も生きてない。
ああ、モイラはルートによって死んじゃうんだよなぁ。 しかも連鎖してなのか、転生の儀が成功してナタリアがナタリアじゃなくなるという絶望。
最も事件収束してナタリアが無事でも、何か怪しい雰囲気出してたりする。
で、それら後味の悪さを無くす為には、この段階でEDFが制圧するのが良いかと思われ。
ナタリアが半年もの間、転生の儀で眠らされる事態を避ければ何とかなる。 たぶんな。
「何か知ってるの?」
「多少ね。 だからEDFが動いた。 君達が攫われて、その先がこの島だと知って、調べたらバイオハザード状態って事で」
適当言いつつ、電波塔の周囲を警戒する。
アレックスに会話は筒抜けだろうが、今更逃げるなんて真似も出来まい。
かといって癇癪起こして皆殺しだオラァともなるまい。 拉致った者に投与されてるt-フォボスの問題あれども。
半年後ならやらかすだろうけど。
この段階なら流石に……。
いや、ウェスカーだからなぁ。 アルバートの最後を思うと……急に不安になってきた。
い、いやいや。 今は今だ。 うん。
そんな俺の気持ちを察してか否か。 クレアが懸念を語る。
「島には他に仲間が……!」
「クレア、分かってくれ。 君達の強さを疑ってる訳じゃないし心配事は最もだ。 けれどEDFとしても個人としても不必要な危険に晒したくない」
この機に及んで民間人を連れ回したくない、などと綺麗事を言うつもりはない。
でもねクレア。 正義感が強いのは分かるけどさ、本職来るんだから任せて良いのよ?
それに君1人の身体じゃないんだよもう。 あっ、エロい意味じゃなくてね?
「モイラもいる。 やむを得ないなら仕方ないけど、他の仲間を危険に晒してまで行動する気かい?」
「……御免なさい、その通りね」
分かれば良いのよ、分かれば。
モイラは初期段階だと銃握れないし。 子供の頃のトラウマでね。
父親のバリーとの仲がギクシャクしているのも、それが原因である。
この事件をキッカケに克服し、バリーとの関係も改善に向かうのだが……最悪、その辺は諦めよう。 命大事に。
「スティーブ。 モイラと一緒に脱出して。 私は島の仲間を探すから」
「おいこら待てや」「何考えてんだよ!」
うん最悪やんけ。
スティーブと意見が合ったよ。
ホンマ、ナニ考えてん、この嬢ちゃん。
「この流れでモイラを放置する気か!?」
「そうは言ってないでしょ」
「先輩が行くってんのに、後輩がはいそうですか、なんて言い辛いだろうが察しなさいよ」
「そうだぜ。 残るなら俺だけにしとけよ」
「ナイト君が姫から離れるんじゃーない!」
何でこう、聞き分けが無いんだ!
バリーの気持ちが少し分かった気がするぞ!
「あのー……取り敢えずさ、救援が来てから考えようよ。 ね?」
モイラが助け舟というか、問題を先送りにしてくれた。 取り敢えず妥協案だ。 良くやったモイラ。 サポート係は伊達じゃない!
「ナイスアイディア。 良い後輩だな?」
「一刻も惜しいけど……」
「慌てて良い事なんて無い。 今は救援来るまで篭っておこう……ほら、噂をすれば」
これ幸いとばかりに外を指差す。
その先には夕日でキラキラ反射する飛行物体。
「EDFの輸送ヘリ部隊だ。 あと船もいるかな」
この実況を聞いて、今頃アレックスはどうなってるんだろうね。 ねぇ今どんな気持ちア"ヘ"ック(ry。
「うん……?」
「どうしたんだ?」
いやー……何か見覚えのある船なんだよね。
明らかに民間用の小型船舶って感じなんで、EDFとは違うんだけど。
まさか。 いやマジかアレは。
「ありゃバリーのとっつぁん!?」
「パパが……?」
乗ってるのは、まさかのバリー・バートン。
正史では半年後に来る筈の男が何故!?
ツライさん詐欺をしつつ、でもツライさん。
リアルが厳しい中……(堂々巡り