前回のあらすじ
バリー合流。 その後皆でピクニック(白目
感想、評価ありがとうございます。
励みになります。
島探索をする事になった只野班。
只野を隊長(一応)にクレアとモイラ、スティーブにバリーの計5名。
その内、軍人は只野だけ。 その上で退却ではなく島の探索を皆でする気という狂気。
「───という訳ですので。 あー、部隊長は誰か分かりませんからオープンの一方通信でお送りしました。 はい終わり!」
あまりに粗末な通信に、何処で聞いた事ある様な男の声が悲鳴に似た静止を掛ける。
何処ぞの冤罪を着せられた少尉殿な気がするが、気の所為か否か。
『おいこら待て! 民間人の避難が先だ!』
「してますよ。 ただ緊急避難中です」
『センサー見ている限り内陸に移動しているんだが!? どんどん回収ポイントから離れているんだが!? これの何処が緊急避難なんだ!?』
「煩いんです。 通信終了」
『待て待て只n(ブツ』
よくもまぁ許されるものだ。
いや許してないんだが。
ただ今までこんな調子で降格か除隊も減俸もなく、逆に(遅いが)昇進すらしているから謎である。 ループしてるから雑にもなっている。
それでも規律は何処へ行ったんだろうか。 それでもEDFの名誉の為に敢えて言う。 いくら何でも、ここまで酷くはないと。 只野個人の問題である。 それでも一般的な軍人のイメージではないと思うが……。
「只野、昔より雑過ぎないかしら」
「良いんだよ。 階級上がれど下がれど戦場に単身ブチ込みやがる連中に遠慮しても仕方ないから!」
「EDFにも問題がある様だが……思えばアークレイでも派手に暴れていたな。 よく許されたものだ」
「なんだ。 只野の行動力は昔からか」
「EDFって世界規模の軍隊でしょ。 なのに……これが日常ってワケ?」
皆に呆れられるも、構わず進む。
本人は更にグレたが、そう悲観する事もない。
クレアは本職顔負けの強さだし。 バリーは最前線を引退しているもアドバイザーの立場故か未だ頼れる強さを誇る。
スティーブ君もロックフォートや極地を生き延び、その後もテラセイブで色々あって鍛えられていた。
即席だが単なる烏合の衆ではない。
となるとモイラだけ心配だ。 過去のトラウマで銃がNGである。 体当たりやバールを振り回して戦える勇気がある分は断然マシだが。
まぁなに。 大丈夫。 戦えないテラセイブメンバーが他にも島にいるから(違うそうじゃない)。
「それより今だ。 バリーは兎も角、クレアは拾った拳銃があるから良いとして」
「出来れば他にも欲しいのだけれど」
「モイラはエクスカリバールとライト」
「は?」
女性陣の冷めた目を無視しつつ、本命を見てニヤけ始める只野君。
その視線の先は丸腰のスティーブ君だ。
「で、スティーブ君は素手の化物退治とは恐れ入った。 それとも聖剣探し中?」
「茶化さないでくれよ! ここまで見つけた武器も直ぐ弾切れか壊れて駄目になったんだって!」
揶揄うと、つっかかるスティーブ。
久し振りに会ったのもあり、只野はつい意地悪をしてしまうのだった。
それと素手で化物退治、というが後々の人物はソレをやっている。 彼等は人間なのか疑いたい時もあるが。
ゴリス以外だとウェスカーの息子ジェイク、ベイカー邸の近くに住む野生のジジィとか。
「冗談だって。 取り敢えずTZストーク貸すよ」
「その青白いライン入りの? 玩具じゃねえよな」
訝しむスティーブ。
仕方ない。 TZストークは前のモデルと比較するとSFぽさが際立つから。
特に銃に沿って走る水色ラインが無骨な銃火器に似合わない。 だがEDF製。 しかも最終モデル。 そのスペックはそこら辺、並大抵の銃火器を圧倒している。
近距離ならオーキッドの方が良いかも知れないが。 アレはより貫通力と破壊力がある。 射程が多少犠牲になっているが、特別気にする程でもない。
ラクーンや後々起きるかも知れないアメリカや中国の都市部のバイオテロ……ゾンビが大量に押し寄せて来る戦場では特に活躍するかも知れない。 願わくば、テロそのものが起きてほしくないが。
「EDFのストーク型アサルトライフル最終系だぞ。 初心者にも優しいレーザーサイト装備。 スコープもつく。 至近距離なら敵を貫通するし、それどころか簡単な装甲目標程度なら倒せる威力がある。 量産型な生物兵器なんて目じゃ無いさ」
「マジか! 有り難く借りとくぜ!」
「玩具じゃないのよ」
「分かってるってクレア! 心配すんな!」
強いと聞くや掌返し。
クレアがお姉さんとして注意するも、スティーブは子供の様な笑顔で対応。
ロックフォートを思い出す。 ヤンチャ坊主な部分は未だ健在な様だ。
スティーブといえば拳銃かサブマシ2丁持ちだろォ〜? という意見もありそうだが、無いものは仕方ない。
「おい只野、良いのか?」
ベテラン勢のバリーが心配になり言う。
スティーブの子供っぽさと銃の組み合わせは、過去の事故を少なからず彷彿させるから。
対して只野は察しつつ、適当に返す。
「ああ見えて出来る方だぞ。 それに銃は貸すだけさ。 EDFの事なら心配しないで欲しい、管理ガバガバだから。 無くしてもサーセンって頭下げとけば何とでもなる」
「雑なんだか心が広いんだか」
「前者だな。 扱いが雑なんだよ」
BSAAだったら、もう少し厳重に管理している。
逆にEDFの組織内情が垣間見えた気がして、バリーはクソデカ溜息を吐いてしまう。
「仲間探しの道中、部隊に出会ったら武器を貰う。 それまで俺は拳銃で戦うかね」
「そんなので良いの?」
「大丈夫だ問題ない。 1番良い装備を奪う」
「……ねぇクレア。 EDFって皆こうなの?」
「どうかしらね。 人によると思う」
モイラが小声でクレアに耳打ち。
税金を納めている民間人視線からしても、只野の発言や行動は問題だらけに思えた。
クレアもロックフォートの時に武器を借りた経験があるが、只野ほど無遠慮ではない。
ただ非常事態に変わりないので、必要なら手段として全然アリだとも思う。 他人の生存率を下げる行為には反対だけど。
「クレア」
居住区のバーであったろう場所、ヴォセクに移動しつつ只野は声を出した。 それもモイラ同様に小さな声で。
「どうしたの? 装備の話?」
「そうじゃない。 テラセイブの、アンタらのリーダーを信用するなよ」
「ニールの事?」
そうだ、と只野。
奴は内通者であり、今回の事件を手引きしたのを只野はループの何処かで知っている。
この情報は上層部にも伝わっており、島の制圧に合わせて奴も逮捕する算段。
本人はEDFが来た事に内心慌てているだろうが、最悪は首謀者のアレックスに罪を押し付けて逃げる気だろう。 そうはさせない。
「今回の拉致事件の首謀者はアレックスって奴だが、ニールはそれに協力していたんだ」
「そんな、何かの間違いじゃ」
「悲しいが調べが付いている。 どうしても知りたかったら無事会えたら聞くと良い」
ニールも信用していただけに、板挟みに遭った心境になってしまうクレア。
表情は困惑顔。 深く息を吐いてしまう。
だが歴戦の戦士だ。 直ぐ立ち直る。 今は成すべきを成すべきだ。 切り替えは生き延びる上でも大切だ。
その意味、全体ではなくクレアに耳打ちした只野。 皆がクレアの様に立ち直れる訳ではないのだ。
「分かった。 教えてくれてありがとう」
「とりま進む。 他の生存者も探さないと」
そうして一行は廃墟と化した居住区、その中にあるバーなヴォセクとやらに着いた。
かつて賑わっていただろう土地は、今や錆びた廃墟が立ち並び、不気味な雰囲気に支配されている。
それでも今じゃEDFが久し振りの客となり派手な祭りを島全体に齎した。 最初で最後のつもりで遠慮のない振る舞いだ。 下水道をアジトにしているエフゲニーはどう思っているのだろうか……。
日が暮れて闇に包まれ始めた。
それでも島中から上がる派手な花火と爆音が中途半端に地上を照らし続ける。
モイラもいい加減慣れてきたらしい。 少なくともビクビクするのはやめている。
他のメンバーに至っては他の戦場でEDFの振る舞いを間近で見てきた。 聞き流すのみ。
「もうEDFに任せて良いんじゃね?」
「人手は多い方が良い……先行する」
言いつつ中に入る只野。
センサー上は民間人表示の白丸が2つ。
と言う事はテラセイブ職員だ。 只野は記憶通りだとして安心しつつ、同時に此処までの犠牲者を思えばツライさんになる。
けど死ぬ気は無い。 なので……。
「ッ!」
扉を開ければ敵と間違えられ、ナイフで襲い掛かって来た白丸。 間髪入れず、只野はカウンター。
レオンやクラウザーの様な格闘は出来ないので、EDF隊員十八番のローリング吹き飛ばしをかましておく。
「ごふっ!?」
喰らった相手は情け無い声と共に壁際まで吹き飛んでしまった。
だが逆にその程度で済んだのも事実。
レンジャー隊員本気のローリングなら、ガードレールや街頭、バスの様な大型車両もスクラップにしてしまう威力だから。
普通の人間が喰らったら無事とは言い難く、それでも無事に済む程度に振る舞った只野は力加減が手慣れているといえよう。
「なんだ人間か(棒)」
口調にわざとらしさが出ているが。
でもそのままナイフでザックリやられる訳にもいかない。 化物ではなく民間人の間違いで死んだら笑えない。
「ゲープ!? 無事だったのね!」
クレアが相手の正体に気付き、銃を下ろす。
ゲープと呼ばれたガタイの良い男もクレア達に気付き、安堵の息を吐く。
「ああクレアにスティーブか……新人も無事か。 それとアンタはEDFか」
「只野だ。 以後宜しく」
「済まなかった只野」
「こんな状況だからね。 仕方ない」
「そう言ってくれると助かるぜ……しかし現役相手とはいえ、みっともねぇ所見せちまったな……」
壁まで吹き飛んだ人間……元軍人のゲープに手を差し伸ばし起こす只野。
その様子を見て、隠れていたビビリのペドロもノコノコ姿を現す。
「お、俺はお前らだって分かってたけどな!」
明らかにビビっていた様子だが、安堵した笑顔で話されたら皆も再会を喜ぶだけだ。
只野も薄く笑う。 この様子だと、後の生存者は記憶通りだろうから。
それでも一応聞く。 希望的観測で。
「他に生存者は?」
「今は俺とペドロだ。 仲間のエドワードがやられて、途中でニール……俺達テラセイブのリーダーが化物共の囮になって別れた。 後で落ち合う予定だが……」
駄目そうだった。
只野は落ち込む。 となればクレアの方も。
「エドワードまで。 こっちはジーナが……」
「そうか……くそっ」
予想通り、歴史通りになってしまった。
この事件が起きた時点で嫌な展開は覚悟しているが、それでも現実は毎度厳しい。
「皆、済まない。 EDFがいながら」
思わず只野が呟いた。
こうなるのを防ぐ為にEDFがいる筈なのに。
結局、こうなった。 タイムリープした者までいながらだ。 やはり一兵卒だけでは状況は変わらないのか。
「悪いのは拉致グループだ。 アンタじゃない」
言えば、ゲープを始め皆も頷く。
お決まりの台詞であるが、バイオテロ経験者、元とはいえ軍人もいると意味が重い。
「文句言うにしても物事決めてる上層部だ」
「……そうだな」
そう言うしかない。
階級・立場的に只野は兵士でしかない。
タイムリープで得た情報を上に流せたとはいえ、最終的に部隊を動かしているのは本部ら上層部。
アークレイ・ラクーン事件は仕方ないにせよ、今日に至るまでのバイオテロは防げていない現実がある。
強いて良く言えば、早期戦力投入で正史より早く鎮圧している位だ。 だが出来るならテロそのものを防ぐのが1番なのだ。
EDFは起きるのを知っている。 知っていながら防いでいない。 起きてから動いている。
コレが只野としては納得出来ない。 上にも事情があるのだろうが、そんなものは下々からすれば知っちゃこっちゃない。 それともこうした思考は我儘なのだろうか。
未来のクリスの様に特殊部隊を私兵化すれば或いは分からないが、そんな人望も力も只野にはない。
「今すべきは……ニールや他に生存者がいるなら、助けないとな」
「ついでに腕輪の女を捕まえようぜ。 EDFも来たんだ、余裕だろ」
「スティーブ、気持ちは分かるけど今は生存者を優先して。 ニールにも用が出来たし」
「父親としては危険な事に首を突っ込むのは反対なんだがな……モイラ、分かったから、そんな目で見ないでくれ」
「えっえっ、早く島から出ようぜ!?」
「まぁ脱出が1番の筈だがな……ペドロと新人は此処にいた方が良い、戦場でパニック起こせば危険だ」
「だね……流れ弾も怖いから」
「な、なんだよ。 それじゃ俺が……じゃあ、せめて此処で出来る事はする。 エドワードの腕輪を持って来てるんだ、コイツを解析してみる」
「じゃあ……夜明けを待とう。 俺は近くの部隊から皆の武器を融通して貰う」
パーティを再編成しつつ只野班は戦いに備える。
外では休む事なく銃撃音と爆音が響いている非日常が繰り広げられている。
マトモに寝れたもんじゃない環境だが、EDFがいるだけマシなんだろう。
「制圧部隊が粗方片付けてくれれば良いが」
それもまた、希望的観測か。
遠く、黒い触手の影を見ながら只野は思った。
毎度次回未定(殴