バイオ歴史改変:EDFのターン   作:ハヤモ

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前書き
前回のあらすじ
クリス合流


60.荒廃の猛者達

 

 

「戦わないと……!」

 

 

激しい銃撃戦が始まった。

聞こえてくる銃撃音と爆音、弾が装甲に当たり金属音が車内に響き渡る緊張感。

新兵のフィンは僅かに手が震えるのを覚えつつ、ロケランを喰らえど耐え忍んでくれたグレイプに感謝した。

 

 

「EDF製の装甲車。 普通の機動車だったらアウトだったな……」

 

 

呟きつつ、車体上部にある砲塔を操作する。

良くも悪くも運転手がそのまま砲撃手となるグレイプは、新兵にも平等の力を与えてくれる。

 

 

「訓練通りやれば……!」

 

 

運転席からガンカメラを頼りにトリガーを引けば、高い連射性能を遺憾無く発揮。 榴弾が連続で放たれ、前方に爆炎の山脈を形成する。

固まっていた前方のジュアヴォは沈み、変異する暇なく四散していった。

 

 

「これで旧式だなんて……」

 

 

EDFの兵器に畏怖し、フィンは震えた。

 

聞かされた銃火器提供理由を思い出す。

反政府軍も使用しているEDF製の武器だが、それらは旧式化して余剰が出た為に国軍や警察向けに売却された物だ。

紆余曲折あり闇市に流れたり、改造されたりで反政府軍やテロ組織が使用する事もある。

BSAAも過激化するバイオテロに対抗するべく市場に出回った旧式を購入したと聞く。 古いといえどEDF製は品質はそれなり。 かつての大戦で活躍しただけはある。

それら組織の装備品が、今回の任務で提供された。 今後もそうなら頼もしい話だ。

 

 

「なら、なんで正規軍は……」

 

 

違和感が口に出る。

何故、ここイドニア内戦で戦い続けていた正規軍のEDF隊員はボロボロだったのだろうと。 反政府軍の使用している武器より旧式、なんなら故障したのを直して誤魔化し使用しているし。

 

世界規模の軍隊が、ひと地域の内戦に手間取り戦争が続いているのも妙だ。 増援もなく、装備もなく、同国の駐屯兵のみでの対処が続いている。 EDFが本気なら、とっくに内戦は終結していて良い。 それだけEDFの戦力は強大の筈だ。

 

 

「新兵! フィンといったな、良くやった!」

 

 

考えていたら無線で只野軍曹が話しかけてきた。

EDFの大ベテランは、銃弾飛び交う状況に関わらず落ち着いている。

 

 

「緊張するだろうけど、君達のクリス隊長は良い奴だし、俺達EDFもいる。 安心して欲しい」

「はっ! 全力を尽くします!」

 

 

プロ(自由行動の問題児)に褒められ、励まされ。

フィンは高揚する気持ちと共にアクセルを踏んだ。 歩兵の盾となりつつ他の車両と連帯し敵を蹴散らして進む。 先程までの悩みは頭の隅に追いやられた。

 

只野はその様子に頷き、銃を握り直す。

 

 

「敵は内側にもいるかも知れない。 だから深く考えるな、それも生き延びる術だよ」

 

 

只野は独り言を呟きながら予備弾倉に交換、新鮮な弾を銃身に送ると再びフルオート。 敵を蹴散らした。

 

 

「HQ、ポイントハート2にて攻撃を受けた、現在交戦中」

『了解、新種に注意せよ───部隊は広域に散開しており増援は送れない』

「EDFが派手にやっている、問題ない」

 

 

一方でクリスがHQに連絡を入れてる間も、アウトローなEDF隊員がジュアヴォを押していく。

ついでの様にMG11手榴弾を投擲、敵高射砲を破壊。 味方ヘリの離着陸を支援しつつ前進。

 

荒廃装備とはいえ歴戦の猛者。 戦闘力は凄まじく、装備している荷台載せコンバットフレームも強力だ。

 

 

「新種なんざ怖くねぇ!」

「ヒャッハー! ウィルスごと消毒だァ!」

「年季の違いを思い知らせてやるぜ!」

「正規軍舐めるなよゴルァ!」

「EDFを敵に回した事、後悔させてやる!」

 

 

悪路に悲鳴を上げつつも、トラックの荷台に載せられたコンバットフレームはマシンガンを撃ち、火炎放射を敵に浴びせる。

歩行システムがなく、小回りは効かないも、コンバットフレームに変わりない。 その火力は歩兵を圧倒する。

 

勿論、BSAAが使用中の武装装甲車両グレイプも強い。 対人戦闘を想定し榴弾砲を搭載、高い連射性能もありジュアヴォの群れを爆炎に沈め一掃。

 

最早、ジュアヴォは一方的に殲滅されていた。

その様子に反政府軍は慌てたのか、再び巨人BOWを投入。 只野達の進路上を塞ぐ様に現れた。

 

 

『HQよりアルファ! また大型が来るぞ!』

 

 

再び大型輸送ヘリが飛来。

辟易しつつ、各員は戦闘態勢維持。

 

 

「奴ら見世物小屋でも作る気か?」

「装甲車を寄越してくれ!」

「丁度良い! 退屈していたところだ!」

 

 

現地隊員は威勢良く言うと、ガンワゴンが高射砲を撃ちまくる。 放たれた無数の大口径弾はヘリに命中、黒煙を撒き散らし地上に墜落。 共に落ちた巨人は痛そうに悲鳴を上げながらも逃げ惑う。

フィンはグレイプで、隊員はコンバットフレームで追撃。 榴弾砲、マシンガンを撃ちまくり、体表面で爆炎を咲かせまくる。

 

 

「可哀想とは思わん」

 

 

一方、只野は廃墟の屋上によじ登る。

またプラネットを構えた。 膝をつき、しっかり保持。 睨む目で遁走中の大型BOWを捉える。

 

 

「俺はここまで生き延びて、凡ミスでデカくて背中に弱点剥き出しな以外特徴の無いお前らに踏まれて死んでラクーンに戻されツライさんになった。 だからコレは復讐の意味もある、という訳で今度はお前が死ね!」

 

 

怒りの早口と共にズドンと轟音再び。

大威力の弾丸は、今度も命中。 大型BOWは肉塊と化し周辺に血肉の雨を降らして終わる。

 

 

「さすが只野軍曹ですね」

「おべんちゃらだとしても嬉しいよ、ピアーズ」

 

 

短く無線で軽口を叩き合いつつ、部隊は前進を続ける。 今のところ順調だ。

 

 

「装甲車は先行、皆を守りつつ前進。 この先のブラボーチームと合流して市庁舎前の橋を制圧する」

 

 

クリスが予定を言い、皆も倣いついていく。

ここまでは大凡予定通りの展開だ。

 

長らくこの地でドンパチしていた荒廃隊員はクリス達後続組に警告する。

 

 

「あの橋には反政府軍の切札が陣取っている。 旧型のT-42とブラッカーE1だ」

「戦車が2両も?」

「加えて列車砲までいやがる」

「そんなにか」

 

 

クリスも敵戦力に銃を持つ手に力が入る。

隊員は続けた。

 

 

「それと傭兵共の武器もここら辺より良い物を使っている。 より高い性能のNN3、レーザーサイト付きのPA-11LS、ゴリアスD1、ペトネイター、セントリーガン、まぁ色々だ」

 

 

ピアーズが眉間に皺を寄せるも、只野は平然としている。 ゲームではT-42と列車砲だけだったが、EDFのいる今回は様々にジャラジャラしていた。

だとして殲滅する他ない。 やれなきゃループするだけだ。 簡単に死ぬつもりは無いが。

 

 

「それと言い忘れたが、戦車にはコンバートの形跡があった。 かなり手を加えてやがる。 これら情報と引き換えにウチのスカウトはおっ死んじまった。 覚悟しとけよ」

「元よりその覚悟だ。 だが俺の元じゃ誰1人死なす気は無い。 皆、行くぞ!」

「「イエッサー!」」

 

 

こうして市庁舎前、橋の制圧が始まった。

只野は知っている。 覚悟とは常に想像の上を往く。 未来で起きる事を知り先回りしたつもりでも、次から次へと問題が起きる。 キリがない。

だからある程度は自力で突破するしかない。 只野はサイドアームに持ち込んだアルバートモデルの弾倉を1度抜き、中身を見て残弾を確認すると、再び装填し祈った。

 

 

「ヘマするなよ俺」

 

 

自分だけ生き延びれば良い訳じゃない。

只野軍曹は皆に遅れて駆け出した。




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