前回のあらすじ
ウスタナク撃破
情報等に間違いあれば済みません(今更
68.教会
アメリカの中小都市トールオークス。
人口約7万人。 教会、地下鉄、大学といった施設をゲーム中では確認出来る。
この都市のアイヴィ大学で大統領、アダム・ベンフォードが講演、ラクーン事件の真実を公表しようとしていた。
今までは国益や権威の為に隠蔽されてきた。
だが激化するバイオテロに対して世界と協力し合う事が必要不可欠であると考えたアダムにより、遂に公表される運びとなる。
しかし事態は急展開を迎えた。
事の発端は、その予定日より前に遡る。
「バイオテロ根絶に向けた、第1歩だ」
ワシントンD.C.ホワイトハウス。
準備も進み、後は現地でのスピーチを整理している中、1本の電話がホワイトハウスに繋がった。 担当は慌て報告する。
「大統領、緊急電話です」
「誰からだ?」
「EDF総司令官です」
「なに、繋いでくれ」
ペンタゴンではなく白亜館に直接とは。
元陸軍のアダム。 軍事繋がりでEDFとは連絡を取り合える仲であったが、状況的に文字通りの緊急事態か。
そう察し、覚悟と共に電話に出た。
「大統領、要点だけ言う。 講演は中止だ」
挨拶もなしに渋い声で一方的に話される。
理由は不明なれどEDFまでシモンズ達の様な理由で反対しているとは思えず、アダムは冷静に返す。
「理由を聞いても?」
「バイオテロが画策されていると情報が入ってな、間違いなく大統領を狙ったモノだろう」
「事前の現地入り、警備は万全で行われるが」
「敵は身内だアダム」
「そんな事が」
突然の衝撃の情報に疑いと混乱が生じるも、努めて冷静を保つ。 否定したくとも、EDFが仕方ない嘘を吐くとは思えないし、身内と言われたなら、思い付く顔が幾つも浮かぶ。
「警備情報は筒抜けだ、敢えて薄くする工作をしている可能性もある」
「分かった、講演は延期しよう」
「そうしてくれ。 後の調査はEDFがやる」
歴史が変わった瞬間であった。
只野君的には他パターンもあった。
歴史をなぞり、シモンズがミサイル撃って死んだり、阻止したら今度はEDFがコードN発動、大量破壊兵器N6で都市ごと吹き飛ばされた。 その前は地下鉄のBBAインパクトで死んだり、鉄砲店でDQNの流れ弾で死んだりピザ野郎に喰われて死んだ。
他にもあるが、トールオークスでもそれなりに死んでいる只野君。
この時点で今更ゾンビに苦戦するのかよ(笑)と思う人もいるだろうけど、それだけ数の暴力は恐ろしく、連続して起こる緊急事態に対処し続けるのは困難だ。 生存者も時に敵になるし。
その意味では、未だ戦場になっていないトールオークスは好ましい状況だろう。 肝心の只野君は、今回東欧方面だけど。
「此方からも出そう。 信用出来る者でな」
「助かる。 大凡誰か予想は付くがね」
「ご不満で?」
「大歓迎だ」
軽口を言い合う余裕を取り戻し、状況は進む。
「だが互いに油断は禁物だ。 敵が分かるまで、大きな動きは控えて欲しい」
「上手く立ち回ろう。 心苦しくともね」
そして連絡を終えていく。
これをキッカケにして、トールオークスへの講演は延期と発表された。
表向きの理由は大統領の体調不良である。 同時に療養の為として議会出席やメディアの露出を控え、隠れる様に過ごす。
対して裏側、政財界側には国益や権威の尊重意見を纏める時間を作る為と言い訳する。
シモンズは急な予定変更に勘付かれたかと警戒したが、逆に大統領が表舞台に出られないのを良い事にフットワークが軽くなる。
みなぎってきた。
としたのも束の間、ラクーンの時からドンパチしてきたEDFの存在が脳裏にチラチラし、不穏になるのであった。
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■合衆国 トールオークス■
現代都市の光景の中。
ある美しい女性は教会に向かう。
道中、何人かの男にナンパされるのを断りつつ、これからの事に緊張が強まる。
懺悔とかではなく、任務に対してだ。
「教会……」
綺麗な声を静かに響かせた。
過去を思い、少し憂いのある表情。
それすらも男を惹き寄せる甘い蜜。
そんな彼女の名はマヌエラ・ヒダルゴ。
オペレーション・ハヴィエでレオンとクラウザーの道案内をした少女である。
あの事件を生き延び、合衆国政府に身柄を確保され、厳重な監視体制の下で暮らしてきたマヌエラ。
その体に潜むベロニカウィルスへの警戒は今なお続いているが、両親同様化物になる事はなく安定したと認められた。
それでシェリー同様にエージェントになるのを条件に開放されたのであった。
正史ではどうなったのか不明であるが、この世界線ではそうである。
それ言うと、他一部もそう言える。 とりま細かい事は良いんだよ(殴。
「EDF隊員もいるそうだけど……」
手元の端末で確認をしつつ進むマヌエラ。
情報によるとEDFの偵察隊員が先行調査に向かったきり音信不通となったらしい。 その後、BSAAエージェントが調査と可能なら救助の為に突入したとの報告。
EDF上層部は只野よりだだっ広い地下空間があるので「なんか拷問部屋とか怪物とかデボラとかヤベェから成る早で」と聞いているので、大戦時代の様に急ぎ攻撃隊を編成中。
バイオテロが起きていない都市部に大部隊を送るのも騒ぎになりそうだが、戦力を温存する場面でもないとの判断だ。
もしウィルスが蔓延しているなら、ここを抑えないと正史通りバイオハザードになるかも知れないし。
それまで教会を確保しとけ、仲間もいるからという優し過ぎる(単独で地獄にブチ込まれてきた只野からすれば)任務がマヌエラに与えられている。 戦闘は想定していない。
とはいえども実質行方不明が出た教会に行くのだ、怖いものは怖い。
「私もレオンやクラウザー、只野みたいに」
そう言い聞かせつつ、教会の前まで来た。
既に入り口は警備員で固められている。
一見すると民間警備会社だが、実際はEDF隊員か、EDFに雇われた者だ。
味方がいる事に安堵しつつ、脇を通り中に入る。
すると中にもいた警備員に止められた。
「済まないお嬢ちゃん。 教会は封鎖中だ」
「私はDSOのマヌエラ・ヒダルゴです」
「失礼……マービンだ。 EDFに臨時で協力している警官だ」
「マービン……ラクーンの生き残りの……」
「そうだ。 そっちも大変だったそうだな」
ハンドシェイクする両者。
ここで唐突のラクーンメンバー。
マービン……レオンの警官時代の上司に当たるが、正史だと暫くしてゾンビ化してしまう。
けれども当世界線では只野の活躍でワクチンを打たれて助かっている。 その後の行方は不明だったが、どうやら警官に復職、今はこの街にいる様だ。
だいぶ歳を取ったが、まだ現役で、銃をホルスターに収めつつ仕事をしている。
「状況を教えて下さい」
聞かれてマービンは素直に教え始める。
歳若い見た目の彼女だが、DSOなら協力するべきだろう。 それで助かる命があるのなら。
クリップボードを手に取ると、読み上げるように情報を共有していった。
サポート組織FOSが彼女に色々教えているだろうが、現場確認は大切だ。
「少し前、BSAA隊員のパーカーとジェシカ、レイモンドとレイチェルが地下へ突入した。 その後は連絡が取れていない。 今は救援が来るまで教会を封鎖、市民が入れない様にしている。 其方は?」
「私も部隊が来るまで教会の確保です」
「それが良い、1人で行くのは危険過ぎる」
マービンも地獄を見た1人だ。
マヌエラもだが、ゾンビに塗れた空間を生き残るのは至難の業である。
教会の地下も可能性はある。 何故そうなるのかは考えない。 大抵は想像を超えて碌でもない事ばかりだ。 起きた理由はプロに任せて、鎮圧や閉鎖に力を入れるべきだろう。
緊張の色を出すマヌエラ。
その表情を見たマービンは、緊張を解す話題を振る事にした。
「レオンも来るそうだ」
マービンが共通の人物の名を口にする。
少し明るくなるマヌエラ。
「レオンが?」
「大統領の警護に当たる予定だったそうだからな、あの時の新人が随分出世したよ、先輩としては嬉しい限りさ」
嬉しくなるも、ふと疑問を口にする。
「警備情報は何処で?」
「EDFだ。 より詳しくは突入したBSAAのジェシカとパーカーだ。 偵察任務も熟すんだろう、俺達の知らない情報も持ってる」
聞いて、また不安になってしまう。
今回の講演中止と絡んでそうだ。 ただの体調不良で中止というのなら、捜査なんてしない。
教会地下の情報なんてEDFから齎された。
もしかしたらEDFかBSAAに敵がいるのでは、と疑いが生まれてしまう。 いやでも、と否定する自分もいる。 命懸けでバイオテロに挑む人達が悪さをする筈がないと。
でもFBC長官の様に……気付いたが、突入したのは元FBCではないか。 疑心暗鬼。 疑い出すとキリがない。
まさか只野が情報源とは知らないだろうけど。
暫く確保という名の待機モード。
そしてやっと訪れる先輩エージェント達。
その姿は見知った者である。
「レオン!」
破顔するマヌエラ。
一応任務中とはいえ、恩人に会えた喜びが勝る。
「マヌエラか!? エージェントになったと聞いてはいたが、そうか君も」
「皆の事、守るから」
「簡単に甘えないさ」
それと隣に6の相棒、ヘレナも来た。
妹のデボラを人質に取られ、講演の警備に隙を作れとシモンズに指示されていたが肝心の講演は延期。
結果、大統領も無事であり、妹も利用価値は続くとしてCウィルスを打ち込まれてもいない。
教会の地下に監禁されているので心中穏やかではないものの。
「初めまして、私はヘレナ・ハーバー」
「マヌエラ・ヒダルゴ。 宜しくお願いします」
「レオンとは知り合いみたいね?」
「ええ、助けて貰って……」
何故か女2人のやり取りに妙なツライさんになるレオン。 2人とも笑顔で会話するのに、その仮面の下に恐ろしい顔を見た錯覚に陥り内心泣けてくる。
そこに助け舟を出すは、かつての上司にあたるマービンであった。
「レオン、久しぶりだな」
「マービン警部補! いや、今は違うのでしたね」
レオンの珍しい(?)敬語に反応して、静かになる女性陣。 マービンは続ける。
「畏まるな。 ところで、胸元のナイフは」
「はい、貴方から頂いた物です」
「そうか。 物持ちが良くて感心する」
ナイフについて話し合う。
この世界線ではラクーン脱出後、マービンがEDFのツテでレオンに送ったものもある。
レオンはエージェントの仕事の都合もあり、マービンに直接会う機会が今日まで無かったが、ナイフを相棒とし大切に扱ってきたのであった。
「有難いが、ナイフも消耗品だ。 研いでいく内に消耗する。 実際、刃がスリムなんじゃないか?」
「そうだとして、まだまだ使えます。 その内は使わせて貰いますよ」
「俺も良い後輩を持ったものだな……もう言うまでも無いが、いざという時は躊躇うなよ」
「勿論です」
戦士同士の会話を軽く済ませると、マヌエラ同様に情報を確認。 その後、地下への入口を睨み、銃を握る。
「よし行くぞヘレナ。 お前の言う真実とやらも確認しないといけないからな」
「ええ。 そこでなら信じて貰えると思う」
「レオン、私も……!」
「マヌエラはマービンと入口を守るんだ。 それも大切な任務だぞ」
まだ経験不足であろうマヌエラを待機させ、正史通り地下へ降りていくレオンとヘレナ。
その背中を目で追うしかないマヌエラは、少し寂しそうである。
「レオンなら大丈夫さ」
マービンは安心させる様に言うのであった。
更新常に未定