前回のあらすじ
デボラに異変
変異してから人間に戻れるのか分かりませんが、カーラはともかく、シモンズは何とか人間の姿をしたりしなかったりでしたし……。
つまり、細かい事は良いんだよ!(殴
騒ぎは地下から地上に波及する。
偵察隊員に助けられたデボラが突如苦しみ出し、周囲は慌てる。
「デボラさん!?」
「離れるんだ!」
嫌な予感がしたマービンがマヌエラを離し、EDF隊員らが銃口を向けて取り囲む。
その中で衛生兵が勇敢に駆け寄るも、処置する暇なく体がドス黒い膜で覆われてしまった。 まるで蛹だ。
「Cウィルスだ、クソッ!」
誰かが叫んだ。
イドニア内戦より前、情報部から聞かされていた特徴と一致する。
このまま放置すれば化物が生まれてしまう。
出来れば蛹の内に処分したいが……。
「隊長! こうなったら殺すしか!」
「だがッ!」
折角助けたというのに。
デボラはDSOヘレナの妹、シモンズがバイオテロに関与していた証人でもある。 殺せば後味悪いだけでなく、下手すればシモンズを逃す事に繋がる。
「隊長決断をッ!?」
躊躇する間にも、蛹の背がパキパキと割れていく。 凄まじい速度で蛹の中で変異したデボラは、化物の体に生まれ変わり再誕してしまった。
「全裸のネェちゃんが生まれたーッ!?」
人間の姿こそ保っているものの、緑色の体は明らかに普通ではない。
背中から蠍の尾の様な巨大な腕を何本も生やす。
明らかに凶悪な見た目である。
放置すれば被害は拡大。 もしかしたらCウィルスで街が汚染される恐れも無いとは言い切れない。
今の隊員が出来る事は1つだ。
「畜生ォッ!」
一斉に銃弾が放たれた。
教会に響く銃撃音。 悲劇は拡大する……。
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「ああ、そんなデボラ……!」
教会内に戻ったヘレナは、惨状を目の当たりにして絶望の色を浮かべてしまう。
唯一の肉親にして最愛の妹デボラが、今や化物の姿となり教会内を暴れ回っている。
何人もの警備員は傷付き倒れ、衛生兵が引き摺ってでも戦場から離脱していく。
庇う様にフェンサーがディフレクションシールドを構え壁となり、同時に散弾を撒き散らして教会からデボラが出ないように振る舞った。
レンジャーはスローターショットガンで散弾をデボラにばら撒いていく。
その様子にヘレナは冷静でいられない。
近くの隊員に縋り付くと揺さぶり訴える。
「やめて! 私の妹なの!」
「離れてくれ、残念だがもう!」
揺さぶられ攻撃の手を止めてしまう。
その隙にデボラが背中の大腕を振り上げ、串刺しにしようと攻撃。
「避けろ!?」
後に続いてきたレオンが叫ぶ。
隊員は声に弾かれるようにヘレナを突き飛ばし、身代わりになる様に隊員が刺されてしまった。
「ぐああっ!!」
幸い急所ではなく肩であったが、それでも重傷を負った事に違いない。
レオンは拳銃を抜き撃ちまくる。 何とかデボラを怯ませると、その隙にカバーに入る。
「もうやめてデボラ!」
「妹以外の事も考えて周囲を見ろ。 犠牲を増やすばかりか、お前まで死ぬところだぞ」
「そんなの分かってる!」
レオンが叱り、ヘレナがよろけて立ち上がる。
負傷した隊員は倒れるも、衛生兵に引き摺られて戦線を離脱していく。
「更に負傷者1名!」
「すぐ退かせろ!」「本部、増援頼む!」
『こちら本部。 民間人の避難誘導と平和を訴えるデモ隊に阻まれ部隊の到着が遅れている、何とか持ち堪えろ』
「地下の奴を呼び戻せないのか!?」
『ファミリーと未だ交戦中だ』
「急がせてくれ!」
「フェンサー! 奴を絶対外に出すな!」
EDFの無線が飛び交う。
隊員ひとりひとりの火力は高いが、相手が証人なのと、やめてと叫ぶヘレナが居ては銃身がブレてしまう。
一方、レオンは彼が落としていった散弾銃、スローターE23SASを拾って撃ち始める。 散弾なので素早く動き回る相手に有効であれど、中距離以上離れているせいか、掠った程度では生命力の高いBOWは中々倒れない。
「お仲間も弾薬も減ってきたな」
愚痴りつつ周囲を見る。
フェンサーのような全身鎧で盾を構えてる隊員は踏みとどまっているも、このままでは倒せない。
どうしようか悩んでいると通信が。 物陰に隠れて呼び出しに応じる。
「ハニガン、取り込み中だ後にしてくれ」
『それを解決出来るかも知れないわ』
「なに?」
この機に及んで冗談ではないだろう。
レオンは聞く事にし、傾聴する。
『EDF先進技術研究部のルイス・セラという研究員がCウィルスに有効なワクチンを作ったの。 大至急向かっているわ』
「作るの早いな」
ツッコミつつも、嘘でないなら縋りたい。
レオンは了解すると銃を握り直す。
『まるでこうなる事が分かっていたみたいね。 BSAAが確保した抗体者のいる場所に突如と現れて、そのままワクチンを精製。 都合良く空軍の戦闘機に乗っけて貰い、今はトールオークス市内をバイクで爆走中』
刹那、教会のステンドグラスを突き破り飛び込んで来るは1台の軍用バイク、フリージャー。
教会の床に着地するもバランスを崩してバイク共々地面をスライド。
丁度レオンの足元に転がっていく胡散臭い男。
技研に組み込まれたルイス・セラである。
「よぉアミーゴ。 助けに来たぜ?」
が、無かった様に笑顔の挨拶。
手にはリバースシューター。
ナノマシンを噴霧する装置で、兵士のアーマーやビークルに不可視の装甲を施し修復する。
が、ルイスのモノにはCウィルスワクチンとして使用出来る液体が封入されている。 これを使用すれば恐らくは、というもの。
「アンタがルイスか?」
「おう。 ここでは初めましてだな」
この世界線ではバイオ4的な展開は無い。
それ故の初対面の挨拶。
「挨拶は良い、何とか出来るのか?」
「その為に来たんだぜ?」
よっこらせと立ち上がると、リバースシューターを構えるルイス。 視界には教会内を飛び回る化物の姿が。
「教会だってのに官能的だな、村より良いが」
「野郎は良くてレディは無理とか言うなよ」
「おいおい、俺は紳士だ勘違いするな」
野郎2人にキレそうになるヘレナ。
けれど藁にも縋りたい。 怒り混じりに頼む。
「良いからお願いよ! デボラを助けて!」
「そして、レディの頼みは断れねぇ」
そういい前に躍り出る。
レオンも共に往く。
「援護してくれサンチョ!」
「誰がサンチョだ!」
こうして野郎2人に希望を託し、再び銃声が鳴り響く。 今度は違って陽気な声も交えつつ。
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教会の外では警官達が避難誘導。
マービンも例に漏れないが、DSOのマヌエラは戦場に駆け戻る。
「よせ、戻れマヌエラ!」
マービンが叫ぶもマヌエラは止まらない。
そのまま教会内に戻れば、レオンとルイスがドンパチしているところであった。
「レオン!」
マヌエラが叫び、レオンがハッとした。
デボラの視線は彼女に向いている。
「来るんじゃない!?」
刹那。
デボラが弾丸の様にマヌエラに飛び掛かる。
レオンが止めるべく銃撃するも当たらず掠め、マヌエラに凶刃が刺さろうとして。
「ッ!?」
マヌエラは咄嗟に片腕でガード姿勢。
その腕に一瞬刺さると、空気に触れた血が発火。
異形を焼く業火となり、相手の尾を消し炭に。
「オオオオッ!?」
悲鳴を上げて後方に飛び回るデボラ。
対してマヌエラも苦しげに顔を顰める。
「くぅ……っ!」
片腕を押さえ、よろめくマヌエラ。
咄嗟にレオンが割って入り、ルイスも拳銃に持ち替え援護態勢に。
マヌエラの体内にあるベロニカウィルス。
その影響で血液が大気に触れると発火するという特徴があるのだ。 だが、それは血を消費するという事。 過度に能力を使用すれば命に関わってしまう。
そんな彼女をレオンは叱り付けつつ、ルイスも厳しい表情で状況を見る。
レオンは女難の相でも出てるんじゃないか。
女性絡みでの苦労は正史同様、下手すると更に酷さを増している気がする。
「無茶をするんじゃない、今度こそ死ぬぞ!」
「私は、それでも皆を守りたい……!」
「嬢ちゃん、それは俺達に任せなって……しかし今のがベロニカか……ラボにも資料はあったが実物は違うな……とにかく今だ」
マヌエラに肩を貸し、物陰に隠れる一行。
思う状況にならない事に焦りを見せつつ、野郎は揉めるばかり。
「レオン、何とか奴の動きを止めてくれ」
「さっさとソイツを打ち込めば良いだろ」
「射程が無いんだって! そうでなくてもワクチンの量は限られてる、確実に命中させたい。 外しても良いならやるけどな」
「泣けるぜ」
再び銃撃を開始するレオン。
ルイスも微力ながら加わり、遅れてヘレナも震える手で銃撃を開始する。
「もう泣かない。 だから、許して……!」
泣き叫んでいた彼女も戦い始めた事で、生き延びていた隊員も戦意を取り戻す。
段々と銃撃が命中する様になると、デボラの動きが目に見えて鈍くなる。
「よぉし! このまま動きを止めろ!」
ルイスが張り切り、再度ワクチン入りシューターを構えて吶喊していく。
無謀だがそうする他ないらしく、周囲もルイスに当てないよう撃ち続ける。
「これで!」
ルイス、デボラの目の前でトリガーを引く!
「どうよ!」
ワクチン噴霧。
可能な限り、相手の身体中に撒き散らす。
相手は苦しみ始め、のたうち回るも、段々と弱々しくなり静止した。 血色も戻り始めていく。
「どうなった?」
「デボラ、お願い戻ってきて」
祈る様に呟くレオンとヘレナ。
周囲の生き残りも同じ想いである。
ルイスも結果が分かるまでは迂闊に語らない辺り、研究者としての振る舞いか。
「恐らくは、成功だ。 ただし」
ルイスは寝ているデボラを見つつ言う。
「これは一時凌ぎだ。 Cウィルスによって1度変異している以上、姿形含めて完璧な人間にまで戻すのは難しいかも知れない」
「そんな!」
「それでも人格を戻せる可能性はある。 似た事例もあるみたいだしな?」
近くのマヌエラを見つつ言う。
口元をキュッと締める彼女。 レオンも間に入り視界を遮った。
「で、デボラをどうする気だ」
レオンが厳しめの口調で問い糺す。
ルイスは真顔で答えた。
「ラボに連れ帰ってワクチン投与を続ける」
「その身のこなし、ただの研究員じゃないな。 何処で何をしていた」
「俺はただのハンサムなプーさ」
「……元アンブレラの人間を、俺が信用すると思うか?」
「そこまで知ってるのか」
その言葉に、この場にいた全員が反応。
アンブレラ。
ラクーンが地図から消える程のバイオハザードを起こし、他にも裏で様々な悪事を働いた製薬会社。
ルイスはそこで働いていた研究員だった。
ハニガンに軽く説明されただけだが、ただの研究者にしては戦闘慣れして軽やかな動きに見える。 少なくとも知っている普通とは違う。
「アンブレラはEDFやら何やらの活躍でブッ潰れた。 今更何も出来やしねぇ」
「そういうのを聞きたいんじゃ無い、なんで元アンブレラの人間がEDFにいるんだ。 EDFだって知っていて雇ってるんだろ」
「まぁな……敢えて言うと贖罪かな。 勿論、アンタらを助けた程度でチャラになるとは思ってない。 それでもな」
「ならその、真面目に働け」
「厳しいね、従者の癖に」
「誰が従者だ」
微妙な空気になってしまう。
完全に信用は出来ないが、反省して命懸けの戦場にも駆け付けたというなら深く切り込めないし、助かった事に変わり無い。
それに今はすべき事が残っている。 問答をしている時間でも懺悔する時間でもない。
「ほら、手を貸してくれ。 フェンサーもいるし」
「ヘレナ。 妹について行ってやれ」
「ええ……ありがとう。 レオン、みんな」
「礼なら全て丸く収まってから頼むぜ」
こうしてデボラとのドンパチは終わった。
一方、地下ではファミリーを片付けた面々が証拠を漁り始めていく。
また、戦場は中国や油田施設へ移り往く。
只野君は何処へ向かっているのやら……。
更新常に未定。
リアルが不安定になりつつあり。