バイオ歴史改変:EDFのターン   作:ハヤモ

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前書き
「二手に別れよう」発動。


74.ディレック・C・シモンズ

クリスと別れクーチェン クンルンビルへ。

シモンズが指定してきた合流場所。

そこは戦闘区域にあるビルであり道中危険は免れない。 そこまでしてシモンズが来いというのは、それだけ追い詰められているという事だろう。 或いは歴史の修正力か。

出来ればシェリーらには向かって欲しくないなぁと思いつつ、そこまで言わずして只野軍曹はシェリーとジェイクの護衛を始めた。

只野だけ向かってシモンズと護衛のファミリーをボコしても良いが、地味にしぶといシモンズの事だ。 化物にでもなられて逃げられたら困るし、そうでなくてもシェリーの不信感を買いたくない。 Gウィルスの影響で若く見えるらしい美人のシェリーにスタンバトンでバシンバシンされたくないのだ。

 

 

「御免なさい、巻き込んで」

「構わない、これもEDFの仕事さ」

 

 

そんな変態思考を知らず、シェリーは謝る。

対して只野はクールに答えた。 格好付けで。

 

 

「自由にやって金貰えるのか?」

 

 

そこに横槍を入れるジェイク。

良くも悪くも金の話に、水をぶっかけられた気分になりつつションボリ答えた。

 

 

「…………普通の給金と年金を将来」

「はっ、傭兵やってた方が楽そうだな」

「EDFに入れば衣食住あるぞ、ブラックだが」

「束縛されるのは趣味じゃねえんだ」

 

 

正史で2回捕まった奴がナニか言ってるよ。

そう思いつつ街中を走り続ける。

既に市民は見当たらないが、代わりにジュアヴォ含むBOWが動き回る。 EDFとBSAAの部隊が手分けして撃ち返しているも、都市戦闘となるとビルの上や窓から撃ち下ろす敵がいるなど、立体的で複雑だ。

無線越しに怒号が響く。 状況は楽じゃ無い。

 

 

『カジノのある建物に研究施設確認……』

『奴ら戦車や戦闘ヘリで飾り御満悦ときた』

『ジュアヴォは予想以上の知能だぞ!』

『チェンソー振り回してるBOWもいる!』

『アレも体の一部だというのか!?』

『エメロード、テェッ!』

『距離に気を付けろ!』

『グラントを持ってる奴、戦車を始末しろ』

『フェンサー部隊、頼むぞ!』

『ブルージャケット、ハンマーズ屋上確保』

『こっちにも戦車とヘリを寄越してくれ!』

『EDFは腰抜けの集まりか? 違うだろ!』

『喰われるな、喰らいつけ!』

『EDF! EDF!』

『海軍の陸戦隊は!?』

『油田と空母の状況は?』

『構ってる余裕ねぇよ!』

『通信状況が悪く……』

『KM6突入、大通りに機銃掃射開始!』

 

 

混戦、乱戦の激しい銃撃戦。

爆発と叫びに塗れつつ、すべきは前進1択。

 

 

「邪魔な奴だけ倒して先を急ごう」

 

 

只野は空軍基地の警備からパクった多砲身小銃M4レイヴンを撃ちまくり弾幕を張り、その間にシェリーとジェイクを前進させる。

 

レイヴン型はアサルトライフルなのだが、M3あたりからビークルに取り付けて使う回転式機関銃の様な見た目になった。 連射速度を上げる為か。 これを歩兵単独で運用出来るのは強そうだが、しかし。

 

 

「って! M4レイヴン使い難いんよ!」

 

 

あっという間に弾が尽きた只野。

弾なしを投げ捨てスラッグショットを構える。

 

 

「新兵って訳でもねぇ癖して射撃下手か?」

 

 

ジェイクが意地悪そうに言う。

弾道が安定せずバラけていた為だ。

 

 

「M4レイヴンが悪い」

 

 

対し銃の所為だと只野氏。

次の文句を考えつつ、ショットガンを撃つ。

もれなく射線の敵が纏めて肉塊になった。

が、弾幕を張れず勢いは衰える。

 

M4レイヴンは連射速度の早さは良いとしても精度の悪さがあり、安定性を欠いている。 失敗作という声もあった。

設計に問題を認めた後はM3の改修が行われる。

残されたM4は現場で不評、予備や警備用として後方に回される形となった。 或いは売却されてイドニア内戦の様な場所で使用されていく。 只野はソレを持ち出したのであった。

 

 

「このスラッグショットも旧式だし」

 

 

只野の文句は続く。

今度はスラッグショットについて。

スラッグ弾を使用するショットガン。 散弾ではなく1発の弾丸が発射されるのみだが、破壊力、貫通力が高い。

が、大型で空気抵抗を受けやすい。 射程が無くて距離に応じて威力も弾丸も落ちていく。 よほど至近距離でなければ、少し斜角を上げて撃たねば当たらない。

またポンプアクション式で連射が効かない。

散弾ではないから咄嗟に当てられない。

外せば、その間に反撃を喰らう。

射線上に敵がおらず散開していても危険。

また初期型で性能が低い。

 

ある意味でお約束だが、使い勝手の悪さは戦場で生き死に直轄するので笑えなかった。

特に今は乱戦の中。 咄嗟の攻撃が必要だと対応が遅れる。 それでもある物でやるしかないが。

 

 

「そんな文句あるなら素手で戦えよ」

「お前じゃないんだ、遠慮する」

「なら我慢しろ。 今更拳銃を返す気もねぇ」

「2人とも! 真面目に戦って!」

 

 

シェリーに怒られつつ先へ進む。

敵味方の銃弾が交差する中、大通りを避けて路地裏や建物内部、屋上伝いに目的地へ。

 

 

「ここが合流地点なんだけど……」

 

 

不安気なシェリー。

只野から上司シモンズは悪党と聞いたから。

そんな表情を見て励ますジェイクと只野。

 

 

「ビビんな、行けば分かる」

「向き合う時だ。 最悪ジェイクが何とかする」

「お前も仕事しろ」

「もう十分働いてる」

「……ありがとう、私も進まないとね」

 

 

そうして合流地点のビルに入る面々。

只野としては何度目かも分からない。

死ぬ度に退職金込み込みの死亡保証が貰えるなら、今頃小金持ちだ。 そうはならないし除隊しようにも展開を思えば後味が悪いから、こうして頑張る他ない。 良くも悪くも只野も己の欲で戦っているのだった。

 

 

「待っていたよ、エージェントバーキン」

 

 

出迎えたは暗躍者シモンズ。

表向きは大統領補佐官で、FOSの指揮権を持ち、裏の顔はアメリカを陰で牛耳るファミリーのボス。 ラクーンにミサイル打ち込んで街を消し飛ばした奴でもある。

正史だとトールオークスにも同じ様な事を。

大統領暗殺の為にバイオテロ起こして、その罪をレオン達に被せた上で、街にミサイルを撃ち込み証拠隠滅を図るというマッチポンプ的なのをした大悪党。

 

エイダとも関わりがあったらしいが、ラクーンの件で危険人物として縁を切られていた。

エイダに歪んだ愛情を向けていたシモンズは、作中屈指のヤバい性癖というか、執着を見せてレオン達を苦しめた。

 

今回も似た事になるのか。

只野としては変態に嫌な顔をするばかりだ。

 

 

「ふむ、部外者との接触は禁じていたが?」

「教えて下さい、バイオテロに貴方が関わっているというのは本当ですか?」

「その男、只野に吹き込まれたか。 哀れな」

 

 

シモンズは只野を知っている様子。

対して只野、驚きもせず言い返す。

 

 

「こっちもアンタを知ってるぞ。 このバイオテロはネオ・アンブレラ……カーラの仕業だが、トールオークスの騒ぎはお前の所為だろ」

「何か証拠でもあるのかね?」

「EDFとBSAA、DSOが調査している。 遅かれ早かれ罪は立証されるぞ、諦めて捕まれ」

 

 

堂々する只野に誤魔化しを諦めたのか。

シモンズはハンドサインで配下の黒服に銃口を向けさせる。

 

 

「……あの男を始末しろ」

「シモンズ!? そんな、話を!」

「ジェイク!」「チッ!」

 

 

只野が叫び、弾かれて動くジェイク。

シェリーを庇い物陰に退避。 只野もローリングして銃撃を回避した。

 

 

「おいおい、マジでヤバい奴だったな」

「言った通りだろ」

「で、ここからどうするよ?」

「援護するから向こうの扉から脱出しろ。 本部に保護を要請しておく、シェリーを守ってやれ」

「死ぬなよ」

「そっちもな」

 

 

ジェイクがシェリーを連れて走り出す。

只野も飛び出し、黒服にスプレッドグレネードをばら撒いた。 豆まきの要領でバラけたコイン大のグレネードは散弾の様に飛び散り、黒服を赤く染めていく。

 

 

「小癪な、逃げた2人を追え!」

「EDF歩兵を、俺を舐めるなよシモンズ!」

 

 

別の物陰にローリングして飛び込む。

残りのショットシェルを銃身に送り込み、只野は覚悟を決める。

 

 

「やはり只野、貴様は邪魔だったな!」

「個人を恨むな、EDFを恨め!」

 

 

叫びつつ銃撃を浴びせる。

会話しながら周囲の黒服を倒す器用さを見せる。

 

 

「貴様が情報を流したのは知っている、貴様さえいなければアメリカの権威は守られ、世界の平穏は守られたのだ。 それを貴様が邪魔をした!」

「お前が消えたら、更に平穏になるさ!」

 

 

言い返しつつ撃ちまくる。

スラッグ弾により黒服がミンチになる中、シモンズは逃げ隠れせず怒りを撒き散らす。

 

 

「分かってないな、ファミリーが消えEDFが残ろうと世界は纏まらん! 私の様な統率者がいなければ人々は争い、破滅への道を進むのみだぞ!」

「やり方が気に入らん、やっぱ潰す!」

 

 

正史だと、この後ジェイクらは油田施設に偽造した海底研究施設に拉致られてしまうし、シモンズはCウィルスを打たれて化物になるが、この世界線ではどうなのか。 ジェイクはイドニア内戦で捕まってないので、その血はネオ・アンブレラに渡っていない。 だから強化型Cウィルスは作れてない筈。

だからとシモンズが化物にならないとは保証出来ないのが怖いところだ。

 

やがて弾切れ。

銃を捨て、バックパックに残るスプレッドグレネードを鷲掴みにすると、怒り声と共に投擲。

やっている事が幼稚染みてきたが真面目だ。

 

 

「そもそもだ、カーラをエイダの姿にしてキモいんだよ変態が!」

「カーラとエイダを知っている様だが、それこそ貴様に分かるまい! この私の愛が! エイダの事は頭の先から爪先まで愛しているのだぞ!」

「やだおめぇ、気持ち悪ィ……ッ!」

 

 

本人が見えない状況で愛を叫ぶシモンズ。

吐き気がしてくる只野君。

こんな男だからカーラが復讐しようとして世界がヤバくなり、不愉快になったエイダに刺されるのだ。 文句は言えない。

只野は思ったが、言わなかった。 一刻も早く始末したい気持ちが勝る。

 

 

「つーか、当のエイダは今何処だよ。 いたら手を貸して欲しいんだけど、レオンじゃなきゃ駄目ですかそうですか」

 

 

そのレオンも今ナニしてるのか。

太平洋の向こうにいたままなら、間に合いそうにない。 代わりに殺るしかない。

 

 

「そこを動くなよ変態野郎!」

 

 

最後のグレネードをばら撒き、黒服を始末。

死体と転がるサブマシを拾うと、片手で弾幕を張りつつダッシュで接近。

護衛を失ったシモンズは、今になり漸く追い詰められているのに気付くと、逃走を開始した。 無数の火花がシモンズの周囲に散るも、命中弾は望めない。

 

 

「しつこい男だ!」

「お前に言われたくねぇ。 つか動くなよ」

「ファミリーが来れば貴様の負けだ」

「来たら倒すだけだ!」

 

 

ハイブリッドプロテクター装備により身軽に動く只野は、シモンズとの距離を確実に狭めていく。

ところが、あと1歩のところで。

 

 

「ッ、私の邪魔をするな!」

 

 

ジュアヴォが道を塞ぐ様に現れる。

その手にはCウィルスを注入する特殊銃。

既に構えられている。 只野が咄嗟に撃ち殺すも、弾丸と交差する様に注射針が射出され、シモンズの首に命中してしまう。

 

 

「ぐあっ……ぐぅッ!?」

「シモンズ!」

 

 

注射針を抜き、放り投げるシモンズ。

だがCウィルスは既に注入されており、もはや手遅れというところだ。

 

 

「くそっ、カーラめ……復讐のつもりか!」

「歴史の修正力か。 だとしても、強化型は作れない筈。 なら普通の奴か?」

 

 

考えても仕方ない。

シモンズを確保するのは失敗したと見た只野は、射殺するべくトリガーを引くも、しかし。

 

 

「こんな時に弾切れかよクソッ!」

 

 

拾った銃も駄目になり投げ捨てる。

丸腰になりつつシモンズを警戒していると、みるみる内に蛹状態となる。 コレは正史と違う展開だ。

 

 

「ただ、の……ッ、エイ、ダァ……ッ」

「カーラの名前無いの可哀想、とも思わん」

 

 

最後にそう言うと、完全に蛹に飲まれる。

この後は化物が生まれるのを知っているので、只野は武器を探しつつ無線を入れた。

 

 

「本部! シェリーとジェイクの保護を、それとシモンズがCウィルスにやられて化物になりかけていてヤバい、座標送るから武器なり仲間なり寄越してくれ!」

『本部了解。 救援到着まで持ち堪えろ』

 

 

蛹の背中がピキピキと割れ、刹那。

 

 

「グオオオオオオッ!!」

 

 

中から巨大な蠍な化物が。

昔見た事あるような無いような見た目で、普通の奴よりかは強そうだ。

 

 

「俺も素手で戦えと?」

 

 

取り敢えず建物の屋上によじ登る只野。

誘われる様に追いかける元シモンズ。

味方ヘリが来ると信じ、耐える事にする。

 

 

「おっ早速味方ヘリが……って、敵かよ!」

 

 

味方でなく、ファミリーのヘリが来た。

攻撃を受けてオワタと思ったがしかし。

 

 

「……行くぞ、退け」

 

 

が、元シモンズだったBOWを見て撤退。

只野も無視する様に、ファミリーはシモンズを捨て置き何処かへ去った。

 

 

「この辺の"歴史通り"には助けられたよ」

 

 

とは言うも、ピンチは続く。

蠍を見上げつつ、只野は拳を構えたのだった。




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