前回のあらすじ
ジョーに襲われつつベイカー邸へ。
老夫婦に事情聴取せずとも事情把握済みの只野曹長は、草木を掻き分け恐怖のベイカー邸に接近する。
レーダーでは既に敵表示を捉えており、目視出来る距離にいる。 相手は全身カビ野郎ではなく、エヴリンの家族ごっこに付き合わされている隊員(おともだち)である。
情報通り装備品を使用している。
歩兵の手には只野と同じスローターEZ、EXAブレイザー、グレランのUMAXなどで武装。
加えて戦車のバリアスTZ3、タイタン、二足歩行要塞なプロメテウス、自走レールガン、地底歩行タンクなデプスクロウラーという殺意マシマシのメンツである。
「あらヤダ怖い」
流石の只野もビビリ散らす。
正史的にはジャックが車やらチェンソーやら鈍器を振り回していた気がするから可能だと思いつつも、勘弁して欲しい事態だ。
ただウボァと呻いてトロトロと寄ってくるだけのゾンビの大群とは訳が違う。 武装していれば普通に軍隊である。 只野はストーム1の様なワンマンアーミーではないので殲滅難易度はインフェルノだ。
「マジエゲツない事するな。 カビに感染すると化物になって操られるなんて嫌すぎる」
改めてE型特異菌に畏怖する只野。
今までtだのGだのCだのベロニカだのアビスだのプラーガだの、人間を惨い姿にする恐ろしいウィルスや寄生虫と戦ってきたが、カビもまた恐ろしい。
プラーガの様に直接ブチ込まず空気感染、そこからは幻覚、判断能力の低下、支配、化物への転化、最終的にエヴリンなる生まれ持ってのメスガキBOWに支配され家族ごっこ。
似た事は今までもあったし、如何にウィルスを内包してる時点で存在が危険な化物をコントロールするか、という課題は悪党側も悪戦苦闘してきた。 エヴリンも結構な苦労の果ての産物だ。
そんな努力してる暇あるなら、不治の病の治療法の模索や治療薬を開発して貰いたいところだが、人間の業は深い。 言うだけ無駄である。 善人もいるが。 ルイスみたいな。
「あんのメスガキ……まだ時間が経ってないならBBAではないか。 だとしたらそれはそれで危険だな。 動き回られるし、カビの生成量も多いと捕まえるにも殺すにも難易度が高い。 あとJKみたいな姿だとダウナー系の見た目だとして殺し難いぞおい」
後半は欲望がダダ漏れの屑だったが、真面目に攻略するとなると、それはそれで厄介なのも事実。
ジャックとマーガレットと戦わずに済むにせよ、ルーカスは間違いなく敵だし、ゾイは逃げ回ってるかエヴリンのお姉ちゃんにされて内心震えながらの家族ごっこか。
その点、ミアも同じか。 今頃旦那のイーサン宛てメールでも打たされているか。
「ワクチンは此処で作れん事もないだろうが、やっぱアンブレラ部隊の装備に頼るしかないかな。 信用ならないけど」
ゾイはそれで助かった。
ジョーによる余計な犠牲も出たが、ワクチン生成は元製薬会社のアンブレラなら可能という事だろう。 隊員を洗脳から救うには連中に頼るのが現実的だ。
では今はどうするか。 そんなモノはない。 ゾイもまだワクチンの作り方を知らないだろうし、只野も必要な物を集められても、いざ作れと言われたら無理ですと答える。
ならやれるべき事はゾイとミアの救出だ。 可能ならドサクサに紛れてルーカス殺害。 時間が経てばエヴリンの支配力は高まって連れ出すのが難しくなる故に。
自身の安全のみ考慮すれば落ち着くのを待って、後を他の隊員やアンブレラ部隊に任すのが良さそうだし、EDFが介入した以上、謎の組織コネクションとルーカスが接触する等もない。 手掛かりを掴むなら泳がすのだが、あの歪んだ性格は危険だ。 いつヒトコロスイッチの餌食になるか分かったもんじゃない。
クリスの部下……ルーカスのアジトと化した鉱山に先行したアンブレラ隊員3名が死ぬ羽目になるし。 他にも一般人が犠牲に……そっちは手遅れかもだが、それでもこれ以上の犠牲は増やして良い筈がない。
と、ぐちゃぐちゃ考えた只野。
要略するとゾイ、ミア助けて可能ならルーカス殺して犠牲者増加を抑える。 後の事は知らん!
「じゃ、女貰って帰るから」
誤解を招く発言をしつつ姿勢を低く、ベイカー邸の中に転がり込もうとして……。
「見えてるゾオ只野サァン!」
「うおっ!?」
即バレして銃弾が飛んできた。
レーダー上でワラワラと只野に押し寄せるのが分かる。 ゾンビより素早い。 しかもペラペラ喋る。
「えっなんで? あ、そうだ歩兵用レーダーを敵が使わないなんて言ってないわ!」
「当タリ前ダよナァ?」
今更である。 標準装備を失念していたとは。
頼もしい高度な技術も、敵になれば恐ろしい。
「あの娘の為ニィ!」
「お前も家族ダ!」
「死ねェ!」
「お前もトモダチにナるンだヨ!」
「止めろ命令だぞ! くそっ、屈強な隊員が短時間でメスガキに屈し奴隷化とか、そういう趣味? 弱すぎグホッ」
歴史の修正力がバグったのか、別のナニかで補完しようとした結果なのか。
この事態に悪態を吐いていたらEDF製の高レベル帯の散弾を喰らい、光線が脇腹を掠め、榴弾で吹き飛ばされる。
レールガンやプロテウスまで来て集中砲火はいよいよ蒸発モノ。 只野は瀕死になりつつ手遅れになる前に撤退する事にした。
「こりゃマジで無理……ッ、過去1の難易度」
EDF製の武器が敵になった事は今までもあるが、今回は最新鋭の兵器群相手。
歩兵1人が相手して良いモノではない。 ストーム1の様なワンマンアーミーなら兎も角。
血反吐で沼地を赤く染めながらも、歯を食いしばり後方に撤退。 生きてるのが謎だが、そこは屈強(肉体が)なEDF隊員なので……。
「只野曹長を援護!」
すると陣営の味方が流石に気付き、ブルージャケットやハンマーズの狙撃による援護を受ける。 追手の蜘蛛型タンクのデプスクロウラーが爆発炎上。 周囲がよろけ、その隙に撤退急ぐ。
「はぁはぁ、対物ライフルか、何処から撃ってるのこ知らないが、KFF70以外にもライサンダーZとファングかな」
此方にも最新鋭装備がある事に安堵しつつも、テントまで逃げ帰る只野。
その情けない姿に隊員は呆れる。
「曹長、何しに行ったんですか」
「威力偵察(言い訳」
「上の命令を待ちましょうよ。 急がないと手遅れって事でもないのでしょう?」
「最悪はな」
歴史通りになるならなるで仕方ない。
ゾイには暫く恐怖体験して貰い、ミアは洗脳されたままに、一般人は知らん。
ルーカスはコネクション辺りから洗脳を解かされて、そのまま監視員として屑ムーブをかますのだろう。
度し難いが諦める。 だが後で殺す。
ジョーは、どうだろう。 兄弟喧嘩は起きなくてもゾイがヤバいと知れば駆けつけそう。
というか既に行動している可能性が。 俺と接触しちゃったし。 厄介ゴリラめ。
イーサンは来たら来たでとっ捕まえてテントに放り込みたいが、ここでカビ人間になって貰わないとローズ絡みに支障が出る。
EDFと後から来るクリス、アンブレラに任せるのも良いが、やはり自ら観測し、手を下すのが確実なのかも知れないし。
破損したアーマーを修復ナノマシンで応急処置しつつ、次を決めていく。
「おk、だがベイカー邸周囲の装備……ビークルは出来るなら破壊したい。 アレらは脅威そのものだ。 こっちの陣地も吹き飛ばされかねない」
「洗脳された隊員は?」
「救えるなら救うさ。 この後、アンブレラが来るなら、彼等の医療の力を借りよう。 信用ならんが他に思いつかない……技研のルイスもいるが」
感染防止の気密フルフェイスヘルメットを被る。
見た目はエアレイダー風。
これがないと高濃度汚染地帯は突破出来ない。
「後は周囲を捜索。 徘徊するモールデッドを駆除しつつ、この騒動を起こした組織が拠点にしていた廃坑を捜索、調査する」
その時、無線から連絡が。
『こちらスカウト。 一般車両が封鎖区域に接近中です。 追い払いますか?』
只野は察して、止めておく。
「いや待て、乗ってるのは1人か?」
『はい、若い男が1人のみ』
「情報にあるイーサンかも。 接触する」
早い到着で。
EDFが先行した影響で、後続はアンブレラ部隊かと思っていたが、これも歴史の修正力か。
「な、なんだお前達は!?」
「EDFだ、イーサン・ウィンターズ」
「何故俺の名前を?」
正解か。 複雑だね、この後を思うと。
「妻のミアを助けに来たんだろ」
「ッ、お前、何か知ってるのか!」
「お前じゃない只野だ。 ここからは俺達の言う通りにしないと死ぬぞ。 良いな?」
死んで貰うんですがね。
歴史連呼厨に配慮して、君にはカビ人間になって貰いますよ。
「悪く思うなよ」
そういって只野は銃を手渡したのだった。
更新常に未定