バイオ歴史改変:EDFのターン   作:ハヤモ

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前書き
前回のあらすじ
イーサンと合流するも即ホナ、サイナラ


83.突入

 

 

「起きろってんだ!」

「ぐほぅ!?」

 

 

暴力に暴力を重ねられ目覚めた只野曹長。

目の前には脳筋ジョーおじさん。

咄嗟に動こうとするも縛られて動けない。 周囲を見やれば、何処かの小屋の様だ。

 

 

「ナニこれ歴史の修正力? 青傘隊員の災難を俺が被れと刻は仰る?」

「何を訳ワカンねぇ事を言ってやがる!」

「それはお前……ぐふっ」

 

腹に強烈な蹴りを喰らい悶絶する只野。

家族……姪のゾイ達が危険に晒されている為に冷静に話を聞いてくれない害悪である。

良い点もあるが。 モールデッド達相手に素手で倒しまくるゴリラプレイが出来る事とか。

 

 

「お前は俺の質問に答えてりゃ良い!」

 

 

只野はゲシゲシ蹴られながらも、意識を繋ぎ止めつつジョーを見上げる。

ここは大人しく頷くしかない。 ここで反抗していると殺される。 そうなれば何十年と戦い続けたのが無駄になる。 それは避けたかった。

 

 

「お前らのお仲間は弟の家に大勢で押し掛けて何してんだ!」

(落ち着け……ここまで来て死にたくないぞ)

 

 

只野は努めて冷静でいようとした。

暴行を受けてクラクラしているも、馬鹿に馬鹿正直に真実のアレコレをペラペラ話して解放してくれるとは思えない。

相手にとって都合の良い話に合わせつつ、隙を作らなければならない。

 

 

(イーサン……ぶっ飛ばされて死んでないか心配だが、歴史の修正力とやらでカビ人間になっているかもな。 だがその話をコイツにしても仕方ない。

ミア……ジャックに助けられて家に入れられ、今はそこまで支配されてない筈。 その人命救助で民家のベイカー邸に軍隊が押し寄せましたなんてコイツじゃなくても信じない。

ゾイなら……信じるか? 正史じゃ3年も血清を求めて孤独に闘っていた彼女にコイツが奔走して薬を探し出し打った訳だが。 今はそこまで深刻じゃないだろうし、俺が何を言ったところで信じない。

エヴリン……クソガキ。 この早い段階なら見た目は少女の姿かも知れないが、安定してないならカビを撒き散らしてそうで嫌だ。 というか、それをジョーに話しても仕方ないだろう。

ルーカス……特異菌にやられなくても、狂人サイドのクソ長男。 このタイミングの奴はまだ話が出来る人間かも知れないが、生かしておけない。 ジャックには悪いが。 というかジョーがルーカスをどう思ってるかも知らない。 ただ家族は大切にしているなら、殺意がバレたら大変だから避けよう。

ジャックとマーガレット……老夫婦。 この世界線では部隊に助けられたらしいから、それを話せば良いか? 特にジャックはジョーの弟だし)

 

 

只野は考えつつ口を開く。

黙秘権は無い。 割らなきゃ殺されるだけ。

 

 

「軍が出動する程の凶悪犯が立て籠った。 住んでいた老夫婦、ジャックとマーガレットは部隊が助けたが、ゾイと人質に連れてこられた者はまだ……」

「何! ゾイが!?」

 

 

声が煩いなと思いつつ、頷く只野。

 

 

「そうだ。 他に何か?」

「信じられるかよ。 証拠を寄越しやがれ」

「なら野営地に行けば良い。 ジャックがいるだろうし、そうしたら信じる気も起きるさ」

「なら行ってくる。 もし嘘だったら、テメェをワニの餌にしてやるからな」

 

 

そう言って、厄介者は小屋を去った。

只野は縛り放置プレイを喰らったが、何とかもがいて気合いで縄を解く。

普通なら無理だが、気合いと根性で無茶苦茶な行動を可能とする隊員ならではだ。

 

 

「さて、武器は無くしたが無線はある」

 

 

只野は即時部隊に連絡を取る。

鼓膜を震わすは爆音や銃声だったが、暫くして誰かしらに繋がってくれる。

 

 

「こちら只野曹長。 聞こえるか?」

『聞こえます。 ご無事で?』

「そうとも言えない。 ベイカー邸に突入しようとしたらジョーっていう爺さんに妨害された。 武器を失ったばかりか同行者のイーサンと離れちまった」

『了解。 1度戻って装備を整えては?』

「そうさせて貰う」

 

 

短くやり取りし、通信終了。

逡巡した後、只野は戻る事にした。

イーサンを本気で助けたいなら、直ぐにでもベイカー邸に突入、捜索するべきなのだろうが、武器もなしに戦えない。

EDF隊員、特に只野は人外側だがジョーおじさんみたいに素手は苦手なのだ。

更に言えば、イーサンとの合流時間を寝かしたい意図もある。 彼にこそ人外になって貰わねば困るのだ。

 

 

「そっちの状況は?」

『守備隊と拮抗しています。 ですが増援も続々到着。 制圧は時間の問題です。 最悪は部隊を勢いで突入させて、ベイカー邸の生存者を救助します』

「そうか。 だが良い事ばかりでもない」

『と言いますと?』

「エヴリンだよ」

 

 

只野はレーダーを頼りに移動。

ジョーとは別方面の拠点に向かいつつ話す。

 

 

「奴は定期的に投薬しないと急激な老化を起こすらしいが、今はそうでもない筈。 いや老化の有無は最悪関係ないにせよ……特異菌の力は謎も多い。 例の如く巨大BOWでも発生したら困る」

『本部は既に心得ています』

「これ以上、犠牲は増やしたくないが」

 

 

その内にテントが広がる拠点に到着。

警備も戦場に駆り出されて無人だったが、荒らされている様子はない。

只野は1番乗りの如く無遠慮に漁って使えそうな物を奪っていくと、側に停めてあるキャリバン救護車両に様々を放り込んだ。

 

 

「PMC……アンブレラ部隊は?」

『もう直ぐ来るはずです。 作戦領域に入れば無線も聞こえてくると思います』

「分かった。 薬物治療は奴らに任すが、あまり信頼するなよ。 なんたって奴らは」

『分かっています。 元の企業体がラクーン事件や色々な諸悪の根源とも言うべき存在でしたからね』

「最も今は……アンブレラ以外の敵も多い。 嘆かわしいね、この世界は」

 

 

警備隊用なのか、放置されていたPA-11SLSを護身用に、運転席に乗り込む只野。

 

 

『ですが戦う他ないのです。 準備が出来たら任務に戻って下さいね』

「元より任務を遂行しているつもりだよ」

 

 

エンジンを始動、発進。

連動して車上のサイレンが鳴り響く。

 

 

「じゃ、行きますかね」

 

 

沼地で足場が悪いが、履帯で動く救護車両だ。

戦場での運用を想定している為、装甲もある。

道中のモールデッドを轢き潰しても何ともない。

 

 

「何処から行くべきか。 ガレージが良いか」

 

 

只野はレーダーを頼りにベイカー邸へとお邪魔する事にした。 見ようによってはシュールな絵面だが、使える物は何でも使えの精神である。

 

やがて爆音や火の手が派手に見え始め、レーダーも赤や青表示で埋め尽くされる。

その中でガレージのシャッターを見つけると、今度は堂々突入。

 

 

「弁償は政府やEDFがするさ!」

 

 

と、他人に責任を押し付けつつ、シャッターを突き破りジャックの車を廃車にしつつ、ダイナミックに侵入を果たす。

 

 

「ッ!? 只野か!」

「ん? イーサンか、こんな所にいたのか」

 

 

降車するとイーサンが転けていた。

左腕は既にホチキス止め的な痛々しいもので、コデックスなる腕時計みたいな機械が付いていた。 この短時間で恐らくはゾイかミアに会っている様子。

室内の取り回しから、手には何処かで拾った拳銃を握っている。 渡したPA-11は背負っており、一応使っているらしい。

 

取り敢えず彼が歴史通りの展開を見せてくれた事に安堵しつつ、只野は挨拶。

 

 

「ダイナミック納車だ。 中には武器装備、ステロイドとか医療品なんかがある。 好きに使ってくれ」

「それは有難いが、急にいなくなるなよ。 色々知っていそうな癖して、ありゃないだろ」

「仕方ないだろ。 脳筋ジジイが来るなんて予想出来なかったんだし。 それよりソッチはどうだ、ミアは見つけたか?」

「ああ、だが直ぐに見失って……代わりにゾイっていうここの娘に会った。 外のドンパチが落ち着いたら逃げるつもりらしい」

「息子のルーカスと、クソガキは?」

「他の奴は見てないな」

 

 

取り敢えずヒロインらは無事そうだ。

EDFの早期介入で変化している部分も多い様だが、誤差の範囲内だろう。

一応違いそうな点としては、ゾイは感染している訳ではないのか、血清云々は飛ばして単純に脱出を考えている様子。

ミアはベイカー邸に来る前の護送の段階で感染しているのだろう、完全な支配はされてないにせよ警戒しつつ確保しなければ。

ルーカスは……屑だから助けなくても良いだろうが、出来れば始末したい。

この段階ならコネクションなる他の犯罪組織は接触してない筈。 していてもEDFの大部隊が来たから撤退しているか。

本人は今、初めてのBOW(?)にビビってるか、感染してるかだろうが……とにかく狂人なので潰したい。 更生には期待しない。 その意味では後者……感染していて化物にでもなってくれた方が良い。 始末し易いから。

 

 

「分かった、取り敢えず好きな装備を持っていけ。 予定通りミア達の救助と悪人、BOWの始末をしていこう」

「助けるのは良いが、始末はプロに任せたいね」

「期待するなよ、俺も歳なんだ」

 

 

軽口を言い合い緊張をほぐしつつ、こうしてベイカー邸に突入した只野。

既に正史と異なる展開になっているが、修正力がどこまで適応するのか。

 

 

「邪魔な壁や扉は吹き飛ばす。 遠慮するな」

 

 

取り敢えず謎解きをする気はない只野であった。




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