バイオ歴史改変:EDFのターン   作:ハヤモ

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前書き
前回のあらすじ
ミア救助。 只野、エヴリンの元へ

だらけている感の中ですが……。


86.エヴリン

イーサンとミアは生き残る。

その判断で只野曹長は別れた。 時に忌々しく感じる歴史の修正力も、都合の良い部分は利用する只野は、まだ人間的ともいえる。 身体能力は人外化しているが。

最もイーサンは文字通りの展開であろう。

 

 

「あの様子じゃ人間卒業したかな」

 

 

只野はボヤく。

自分も知らず内にカビ人間になっている可能性は否定出来ないが、もしそうならエヴリンの幻聴や幻覚が聞こえている。 それがない内は平気な筈だ。

ただE型特異菌は精密検査をしても分からないのか、正史にてイーサンはローズを作り約3年間も普通に生活している。

ミアは知っている風であったが。

只野としてはカビ人間の仲間入りは勘弁して欲しい。 限界が来て体組織崩壊とか嫌過ぎる。

そもそも中身や仕組みがどうなってるのか不明である。 只野は研究員でも医者でもないから、仕組みを知りたいと思わないものの、戦闘面で役に立つ情報なら欲しい。

今後の展開は記憶が曖昧で不明な部分が多いのだ。 イーサンを歴史通りカビ人間にしたがったのも、不安要素を変に増やしたくなかったから。 ローズ絡みの話はイーサンじゃなきゃ詰みそうだし。

 

 

「あヤベ、E-ネクロトキシン持ってない」

 

 

ここに来て今更な話をする只野。

エヴリンを倒す為の壊死毒が手元にない。

今まで多くのクリーチャーは通常弾やロケランで解決出来たが、今回はどうだろう。

レールガンだのEMCだの光学兵器だの、超兵器を持つEDFだから薬が無くても何とかなるかも知れない。

 

 

「とりま前進あるのみ」

 

 

取り敢えず歴史、記憶を信じて突き進む。

都合の良い部分には全幅の信頼を寄せる癖に、都合が悪いと1%でも可能性があるならと抉るから、本当人間の思考は素晴らしい。

 

 

「おや、来たか」

 

 

それに同意する様に、ヘリの音と無線。

別部隊の声が聞こえ始める。 対バイオPMC青傘部隊……アンブレラだ。

 

 

『こちらアンブレラ、作戦領域に突入する』

『本部了解しました。 既にEDFが展開しています。 協力して制圧して下さい』

『対BOWオペレーション、BSAAより派遣されている作戦顧問のクリス・レッドフィールドの指示に従い……』

『コネクションへの足取りを掴む為にラーキング・フィア作戦を……』

『先ずは生存者の捜索を優先……』

『EDFの野営地に合流後……』

『広域封鎖する。 隔壁展開……』

 

 

ヘリと共に様々な情報が飛び交う。

バリバリと薄暗い空を、アンブレラの名と青いロゴを持つ輸送ヘリが飛んでいく。

EDFが戦場とする後方でホバリング、フルフェイスマスクで密閉防御した兵士達がロープによる降下をしていった。

 

 

「ここまで来れば勝ち確だろ」

 

 

としつつも、今最も元凶に近いのは只野だ。

手柄とか昇格は今更な只野は、仕事を処理してくれるなら喜んで押し付けたい気持ちを抱えている。 面倒は勿論、単に死にたくないので。

が、中途半端に足を突っ込んでいる身。

エヴリンがどんな対応をするか分からない。

もし逃げられたら大変だ。 エヴリンはクソガキだが見た目が人間に近いし言葉を発し理解する。 思考している様子もあるので、変な悪知恵を働かされたら困る。 ですので。

 

 

「遊びは終わりだな、エヴリン」

 

 

扉を開ける。

その先にはカビ溜まりに囲まれた黒服の少女、エヴリンの姿が見てとれる。 レーダーにも何かしらの反応がある。 幻覚ではない。

 

 

「来るな!!」

 

 

拒絶の言葉と共に、周囲のカビが襲いくる。

何処からともなくモールデッドも出てきて道を塞いでくるが、只野は容赦しない。

 

 

「でも来ちゃうんだな、コレが」

 

 

室内だろうと構わずUMAXを発射。 周囲の壁や床ごとカビ塊を抉り吹き飛ばす。

 

 

「きゃあああッ!」

 

 

その余波がエヴリンをも襲い、喧しい悲鳴と共に後方の闇へ吹き飛んだ。

レーダーには未だ反応がある。 彼女の境遇や求める愛、まだ見た目が子供だし色々と心苦しいがトドメを刺す。 でなければ歪んだ思考により行使される力が人類に牙を向き続け死人が増えてしまう。

始末したら、次はルーカスだ。 アレはエヴリンより同情の余地がない屑だから遠慮なく殺れそうだ。 コレも変に生かすと犠牲者が増えそうなので揃って駄目だ。

 

 

「コネクション、どんな教育をしたんだか。 だが俺を倒すには及ばなかったな」

 

 

倒れながらも只野を睨むエヴリン。

体表面からは所々黒いカビが溢れている。

 

 

「お前なんか嫌いだ! 地獄に堕ちちゃえ!」

 

 

せめての抵抗か、罵声を浴びせるエヴリン。

見ようによってはグロく痛々しいが、只野は容赦なく砲口を向けるのだった。

 

 

「生まれ変われるなら、次は愛を知れる場所だと良いな……じゃあの」

 

 

そういって殺そうとした刹那、変化した。

臨界に達したのか。 口から体積を超える凄まじい量のカビを撒き散らし始め、あっという間にエヴリンは飲み込まれた。

 

 

「嘘だろマジかよ!?」

 

 

只野も堪らず退避。

壁にグレランを撃ち込み吹き飛ばし、無理矢理外への脱出口を開いてローリング。

振り返る時には屋根を突き破った巨大な蔦と先端の顔が、只野や周囲で唖然と見上げる部隊を見下ろす。

 

 

「ここで全員殺してやる! 死ね!」

 

 

くぐもった声でエヴリンは死刑宣告。

硬化したカビか何かな巨大鞭を振り回し、周囲の隊員や戦車を吹き飛ばしてしまった。

 

 

「毎度こうなるんだよな!」

 

 

只野は無線を飛ばし、周囲に指示を出す。

 

 

「巨大BOWに集中砲火! 奴はエヴリン、この事件の元凶となるBOWだ!」

 

 

瞬間、砲撃が雨霰とエヴリンに放たれる。

怯みこそすれ、再生能力を上回るのか火力不足なのか、直ぐに倒れる様子がない。

 

 

「やいアンブレラ! 元製薬会社だろ何とかしろ!」

『もしかして、とんだ噂の只野曹長!? いや無茶言わないでくれ、現地サンプルから作る予定だったんだぞ!?』

「なぁニィ!?」

 

 

ここに来て早期介入の弊害が出てしまった。

正史では約3年もの間、ベイカー邸はエヴリンに支配されたが、多分その間に特効薬を開発していたのだろう。

その時間を飛ばしてしまったので、アンブレラは薬を持ち込んでいない、否、持ち込めなかった様だ。

 

 

『只野!』

 

 

ここで別の声。 イーサンだ。

 

 

『血清が1本残ってる! コレを打てば効くんじゃないのか?』

 

 

正史ではジャックに打った分が、ここできた。

只野はそれに可能性を求める。 ただ血清とE-ネクロトキシンが同じなのか分からないし、それをBOW本人に打ち込んで効果があるのか分からないが、何もしないよりマシだとして行動に移す。

 

 

「よし! まずエヴリンを弱らせる! イーサン、近くに兵士はいるか?」

『フルフェイスの、デカいアンテナを背負った奴ならいるが』

「エアレイダーだ。 頼んで何かしらビークルを要請して貰え! 緊急時特例で搭乗を許可してくれるさ!」

『なんだって?』

「それに乗って俺の所まで血清を持ってこい、以上! 幸運を祈る!」

『民間人に何を頼───』

 

 

文句を言い終わる前に無線を切った。

イーサンなら何とかしてくれるだろう。

 

 

「さて」

 

 

エヴリンに向き直る。 好き放題暴れている。

周囲の部隊が必死に撃ちまくっているが、それだけで倒れるには時間がいりそうだ。

 

 

「他にも悪党が待ってるんだ。 エヴリン、お前1人に手間掛けさせるなよ……!」

 

 

只野は残弾を全てくれてやる。

新鮮な爆発が上がるも、終わる事はなかった。




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