バイオ歴史改変:EDFのターン   作:ハヤモ

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前書き
前回のあらすじ
エヴリンの反撃


87.エヴリン戦

突如としてベイカー邸の屋根を突き破り、現れたE型特異菌による巨大BOWエヴリン。

蔦のようなソレは天まで昇る事なく、途中で折れ曲がると、周囲にいる部隊を薙ぎ倒し始めた。

それは自身が操っていた筈の味方……洗脳した者やカビに置換された様々をも無差別に。

 

 

『民間人を避難させろ!』

『戦闘可能な者は応戦せよ!』

 

 

EDFは直様反撃開始。

不意打ちだった為に、ベイカー邸近くの戦車や隊員はやられてしまったものの、態勢を立て直して撃ちまくる。

青傘部隊も増援の如くやってきたので、共同で事に当たる。 が、中々無力化出来ない。

 

 

「壊死毒を用意出来ないのか!?」

 

 

作戦顧問として青傘と行動中のクリスが叫ぶ。

かつての若々しさは失われているが、逆に歴戦、指揮官の貫禄が浮き出ている。

それに対して申し訳ない様に隊員が答えた。

 

 

「医療班がミアと名乗る民間人協力の下、急ぎ精製を試みているが期待しないでくれ」

「直ぐ出来るとは思っていないが放置も出来ん」

 

 

ドカンドカンと爆音が響き、その度に揺れる巨大BOW。

が、やはりというか途中で折れ力尽きる事なく周囲を好き勝手荒らしている。

 

 

「大変だ!」

 

 

ここで誰かしらが叫んだ。

 

 

「民間人が戦場へ向かったぞ!」

「なに!?」

「イーサン・ウィンターズって奴だ! 現場の兵士に血清を届けると言って、EDF製の戦闘マシンに乗り込み……」

 

 

指差す向こう。

奇しくも今のアンブレラのロゴと同じ様な青いボディの二足歩行兵器BMX10プロテウスが戦場へ突入している。

 

 

「なんだアレは!?」

「EDFの歩く要塞だ、ダサいが強いぞ!」

「そんな事は聞いていない! アレほどの兵器が野晒しな訳がない、EDFが民間人に提供したな!?」

「なっ、そんな馬鹿な!」

「なにせEDFだ。 やる事なす事、下手すると生物兵器より意味不明な連中だ」

 

 

付き合いが長いクリスは眉間に皺を寄せた。

常識の通じない相手はBOWに留まらない。

 

 

「乗ってるのはイーサンだけか?」

「他にもいる筈だ! 武装が起動しているから、パイロットだけじゃ武装は動かない、ガンナーが乗っている!」

「複雑な動作が必要だろうパイロットは正規軍だとして、イーサンがいるならガンナーだろう。 それよりも何のつもりだ。 まさか血清を奴に打ちに行ったのか?」

「おそらく」

「全く! 民間人を戦場に放り出すか!?」

 

 

文句は出るが、放置は出来ない。

BMX10は特殊装甲に覆われ防御力は戦車を大きく上回るし、武装はレーザーやミサイル、種類によってはバスターカノンや火炎放射器等で火力が高い。 搭載弾薬も満載で継戦能力もある。 まさに歩く要塞だ。

とはいえ無敵ではない。 小回りが効かない分は歩兵の援護を必要とする。

 

 

「見殺しに出来ない。 援護するぞ!」

 

 

こうしてクリスも参戦。

乗り込んだ側の筈なのに、またしても巻き込まれる形で戦い始める。

たぶん下手人は只野であろうと当てつつ、落ち着いたら殴り飛ばすかと考えるクリスであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イーサンは巨大人型バトルマシン、BMX10のレーザー砲座に搭乗。

無我夢中でトリガーを引きつつ文句たらたら。

 

 

「おい只野! 頼んだらとんでもない兵器に乗らされたんだが!?」

『凄いな。 希少な体験だぞ、楽しめ』

「楽しめるか! EDFはイカれてやがる!」

 

 

只野は遠くからやってくる、青白いレーザーをエヴリンに放ちながら寄ってくる大型兵器に満足気だ。

モブなエアレイダーが、どうしてそのビーグルを呼んだのかは深く考えないが、複数搭乗出来て防御や継戦に優れた兵器としてチョイスしたのだろう。 或いは車輪や履帯系だと湿地帯の泥濘みに嵌る恐れからか。

ミサイルポッドともう片方の砲台が動いていないのを見ると、パイロットとイーサンしか搭乗していないという贅沢をしているが。

 

エヴリンも気付いてか、バチンバチンと鞭打ちを繰り出しているも、プロテウスは堅牢。 姿勢制御も優れているのか倒れない。

流石に無傷とはいかないが、暫く耐えるだけの耐久性能を誇る。 強い。

 

 

「今や量産型とはいえ、民間人が乗り込める機会はそうそうない。 ましてや実戦」

『ふざけるな! 提案しておいてなんだが、早く血清を受け取って、アレを何とかしてくれ!』

「今取りに行く」

 

 

イーサンの怒りは最もであるが、只野は気にせず機体に取り憑くと、何やら一生懸命に動いている砲台まで登りハッチを開けた。

 

 

「お疲れ様」

「軍人の仕事を俺にやらせるな!?」

「とか言って動くイーサン好き」

「気持ち悪いのは奴らだけにしてくれ!」

 

 

血清を受け取りエヴリンを見上げる。

未だ元気に暴れている。 戦車隊やヘリ部隊が頑張って撃ちまくっているものの。

 

 

「俺もやるか」

 

 

只野も攻撃する事にしたらしい。

唯一所持していたグレランは弾切れなので、代わりに空いている片方のガンナー席に座ると、イーサン同様に撃ちまくる。

レーザーが大きく伸びた蔦を撫でる様に放たれる。 機体が動きながらにも関わらず命中していく。 慣れた動きだ。

 

 

「どうにかなるのか?」

「どうにかするんだよ」

 

 

などと威勢良く言うも、思う様にいかない。

その内に機体の装甲がベコベコになり、火花や黒煙が上がり始めた。

エアレイダーが途中で降りて、誘導ビーコンを打ち込んでからのミサイルランチャーを撃ちまくってみるも削りきれない。

 

 

「ここまでやっても倒れない。 どうなってんだ」

「このまま心中は絶対嫌だぞ!」

 

 

思わず吐き捨てる様に言うも仕方ない。

只野は諦めて血清を手に持った。

 

 

「もう良い、退却してくれ」

 

 

名も知らぬパイロットに告げると只野は機外に飛び出した。

イーサンらが叫ぶ間も無く、エヴリンに突撃する只野。 正史ではヘリから投下されたハンドガン、アルバートモデルで有効弾を撃ったが、今そんな物はない。

向こうも危険を感じてか。 周囲のビーグルより意味深に突撃してくる只野を優先。

鞭が振り払われると吹き飛ばされてしまう。

 

 

「ぐふっ」

 

 

転がされる只野。

下手すると死ぬ威力だが、そこはアーマーで命を繋ぐ。 既にここまでボロボロの身だが、ここでコンテニューはしたくない。

 

 

「……もう死に戻りは勘弁だぞ、俺」

 

 

その願い通じてか。

遠くなり掛けた意識を呼び戻す声が。

聞き覚えのある、戦友の声だ。

 

 

「……ノ。 タダノ!」

「……その声は……クリス、か?」

 

 

見やれば初老に入ったらしいクリス。

少し細く見えるが、青傘装備の所為だろうか。

 

 

「……歳をとった。 見てられないな」

「お互い様だ。 変わらない事もあるが」

「敢えて聞こうじゃない」

「敢えて言おう。 民間人を連れ回すな」

「ご最もで」

 

 

差し伸べられた手を取れば、起こされる只野。

次に見上げた先はエヴリン。

 

 

「援護する。 その隙に血清を打て」

「話が早くて助かるよ。 頼んだ」

 

 

丸腰の只野に出来るのはそれくらいしかなく、クリス側も通常攻撃の効果が望めないなら援護するだけだ。

 

 

「総員、散開して撃ちまくれ!」

 

 

クリスが指示すれば、揃って撃ち始める青傘部隊。 EDFに倣う様に撃ちまくれば、巨大なBOWの表面に無数の飛沫が上がる。

 

 

「注意を引ければそれで良い!」

 

 

クリスの援護が入ると、意図を察してかEDF隊員らはデコイを起動したりナパーム弾による火炎や榴弾の爆炎を根本付近でわざとらしく上げまくり、煙幕とする。

途中からクリスはプロテウスの空いているレーザー砲座に乗り込み撃ちまくる。

その中を只野は走り抜けた。 多勢に無勢というべきか、只野を見失ったエヴリンの妨害を避けつつ接近に成功。

容赦なく注射針を根本に打つ。 相手に対して頼りない小さな注射器だったが、効果は絶大だった。

 

 

────グギャアアアッ!!?

 

 

のたうち回るエヴリン。

漂白剤にでも漬けたかのように白く色が抜け落ち、ボロボロと体組織が崩れいく。

 

 

「今だ! 撃ちまくって粉々にしろ!」

 

 

只野が叫ぶや、待ってましたとばかりに撃ちまくる周辺部隊。

青傘部隊も歩兵火器しかないとはいえ撃ちまくり、生き延びていた戦車隊やヘリ部隊も残弾を全て撃ち込んでいく。

 

再生能力を失ったら、後はEDFの火力が解決。

先程まで効かなかった攻撃が嘘の様に通じ始めると、エヴリンの巨大な体はボロボロと崩れるばかり。

遂には幾つもの戦車砲やヘリ部隊のミサイル攻撃で爆散、散っていった。

 

 

「どうして みんな 嫌うのォ……ッ!!」

 

 

断末魔は恐ろしくも多少でも可哀想と思えるだけや余地がある。

コイツの所為で少なくない命が消えたのだから怒りや断罪の気持ちはあるが、こんな状況を生み出したコネクションなる元凶は度し難い。

只野は白く横たわる残骸を見やりつつ、呟いた。

 

 

「終わったな……取り敢えず」

 

 

刹那。 EDFお馴染み勝利の雄叫び。

 

 

「うおおおおお!」

「EDF! EDF!」

「勝ったぞー!」

「どうだ! EDFの力を見たか!」

 

 

モブ隊員らが叫ぶ中、クリスは只野に近寄る。

取り敢えずブン殴られる。 吹き飛ぶ只野。

 

 

「ぶへらっ!? 何しやがる!」

「民間人を連れ回すな。 責任取れるのか?」

「イーサンの事なら心配ない。 強いから」

「何を根拠に……いや言うな。 仕事がある」

 

 

前に聞いた死に戻りの件だろうと当たりを付けたクリスは、それ以上は聞かない。

これ以上、好んで頭が痛くなる趣味はない。

 

 

「次はルーカスとかいう奴の捜索と、周囲の調査だ。 アンブレラはコネクションの痕跡を探したいらしい」

「知ってる。 ラーキング・フィア作戦だろ」

「さすが、色々と知っている」

「そろそろ記憶が怪しいがね」

 

 

まだ仕事は残っている。

クリスは弾倉式自動散弾銃トールハンマーを手に持ち、只野は火炎放射器オメガを装備、怪しげな鉱山跡地へと向かうのだった。




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