転生特典刀一本   作:護廷−十三番

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孤独とは誰も居ないことではない

孤独とは失って初めて感じるものだ

貴方もまた孤独を知った気になったつもりの一人

何故なら私だけは貴方を独りにしないのだから

『孤月』


協力

 民衆を守る英雄にならないと言い切った綱夜に、フィンはそうかい、と残念そうに肩を竦めた。

 都市の平穏に興味はなく、闇派閥(イヴィルス)を殲滅したいだけの復讐者を予想していたが違ったらしい。だが、問題ない。誤差の範囲、修正可能。結果的に協力関係になるよう誘導すれば

 

「んん? ねえ、なんでそれだと私達と協力しないことになるの?」

 

 と、フィンが口を開く前にアリーゼが首を傾げながら尋ねた。

 

「アリーゼ、しかし……彼は民衆を守る気がないと」

「ええ。でも、問題なくない?」

「は? え…………は?」

「だって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()じゃない!」

 

 名案だわ! と得意げに胸を張るアリーゼに誰もが言葉を失う。フィンは硬直しながらも闇派閥(イヴィルス)を討つという実績と住民を護っているという功績。そのどちらがより名声を得るか、どちらで名声を得るように動かすか、そこまで考えてしまう己に気づき自嘲する。

 敵わないな、やはり。

 

「それは、しかし…………えっと、だって…………あれ?」

「イヴィスレさんの守りたい人はいずれ来る。今は守りたい人はオラリオにいないから、闇派閥(イヴィルス)殲滅(スレイ)することだけが目的なのよね?」

「……………綱夜だ。クロキ・綱夜」

「うん。綱夜が『一』しか守りたくないのを、私達は否定しないわ。否定しちゃいけないの。だって私は貴方じゃないし、私達が『百』を守ればいいだけだものね!」

 

 無茶苦茶なことを言っている。だけど、不思議と誰も文句を言わない。綱夜もはぁ、とため息を吐いた。

 

「解った、協力してやる。民衆を守るためではなく、闇派閥殲滅のためにな。そこを履き違えず俺を運用しろ」

「僕かい?」

 

 アリーゼではなく自分に視線が向けられたことを意外そうな顔をするフィン。少し話して理解する。彼は自分やアイズのように失った側の人間で、そしてその回数は自分達とは比べ物にならない。だからこそ、明らかに気を許したアリーゼに従うと思っていた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 確信めいた言葉は、フィンの噂を知っているだけでは説明がつかないほど実感がこもっている。もしかして、過去に出会ったことがあるのだろうか?

 

「それと、正式に動くなら報酬を寄越せ」

「あ、ああ。それぐらいなら………問題ないだろう、ロイマン」

「ギ、ギルドから出せというのか!?」

「むしろ、出さないという選択肢があるとでも?」

 

 闇派閥(イヴィルス)と戦い実績を出している相手に報奨金も払わないとなれば、それこそギルドが非難される。フリーを良いことに無償で働かせようと思っていたが、そうしたらフィンがその情報を流すだろう。ぐぬぬ、と唸るロイマンはしかし不承不承で了承した。

 

 

 

 

 

 冷めてしまったジャガ丸くんを食いながら帰路につく綱夜。今後拠点の情報はフィンが逃げ道、隠し通路の予想とともに教えてくれるらしい。

 

「懐かしい顔ぶれがチラホラと。過去に戻ったようで御座いますねえ」

 

 人気が無くなり、綱夜しか居なかったはずの帰路で女の声が混ざる。

 

「勝手に具象化するな、孤月」

「まあまあまあ、一人寂しく泣く主様を慰めるために覚えた特技ですのに、そのようにぞんざいに扱われるのは悲しいものですねえ」

 

 現れたのは極東の服を着た、髑髏を模した仮面で目元を隠した女。少女と言っても過言ではない体躯でありながら、どこか大人の色気をはらんだ女。

 何時から居たのか、当たり前のように綱夜の隣を歩きカッコッと小町下駄を鳴らす。

 

「あの御方、面白い方でしたね。あの道化様を思い出しますね」

「そうだな」

「ふふ。あの御方の魂、天界で2つに分かれたのですかね?」

「………………」

 

 綱夜の世界にも輪廻転生の概念自体はあった。この世界では、神が魂を漂白し再び外界に流すらしい。当初はそれが事実かなどどうでも良かった。どうせ全てが消された魂で、違った人生を歩むなら最早別物で、そもそも転生した誰かと会う前に死ぬだろうと思っていた。

 まあ実際は千年近く封印状態だったことを抜きにしても千年以上生き続ける謎の存在だったが。神々曰く精霊に似たなにからしい。

 

「でも、良かったじゃありませんか。主様が死ぬに死ねなかった理由の一つでしょう?」

「………………」

 

 長い時を生きる中で、生まれ変わった皆に会えるのではという期待はたしかにあった。だがそれ以上に死を恐れたのは、怖かったからだ。

 この世界のものではない自分の魂が死後どうなるのか分からなくて。例え全ての記憶を失うのだとしても、だからといって自分の魂だけが皆が何時か転生してくるこの世界から弾かれるのが。

 

「主様も解っているのでしょう? 何も覚えて………何も知らなくとも、あの方達は間違いなく彼等の魂を継いでいると…………」

「………だが、それだけだ。共に地下迷宮に潜ったわけでも、怪物を倒したわけでもない。所詮ただの感傷………ましてや冒険者だ。そうでなくとも、どうせ俺より先に死ぬのだろう。意味などない…」

「………………」

「それだけ言うために具象化したのか?」

「出過ぎた真似を………ですが、過去を思い出し、彼等に再び会えても再会ではなかったことに悲観しているのではと思いまして」

「俺の中にいるなら解ることだろ」

「ええ。態度に出るぐらい気分が悪くなってましたね」

 

 ニコニコ微笑みズバリと言い放つ孤月に目を細める綱夜。また屈服させてやろうかこの女と殺気が漏れる。

 

「でも、また歩むのでしょう? 彼等と共に。ええ、ええ、私を胸に抱いてくれたあの一時も幸福でしたが、やはり貴方が誰かと関わってくれるならそれに越したことはありません。過去を思い出し寝れぬなら、私が寝物語を語るか、歌を歌いましょう………」

「………明日三味線でも買ってやる。今日は寝物語で頼む」

「はい、主様」




アリーゼ の パーフェクトコミュニケーション !
綱夜 は 仲間に なった


『孤月』
勝手に具象化する斬魄刀。親しみを込めて孤月ちゃんと読んであげよう。綱夜が忘れている前世の罪を知っている。
綱夜がまた誰かと結婚してくれないかなと思ってる。幸せになって欲しいし、別れた後縋るのは自分しかいないからね。



綱夜が正式に尸魂界の死神になった場合の斬拳走鬼の各才能
斬→あらゆる流派をマスターする。八千流の襲名者になれるかも。まあその前に修行でテンションが上がった師匠に殺されなければ
拳→砕蜂よりは弱い
走→ゾマリよりは速い
鬼→霊力に物を言わせて威力を増すが使えるのは精々30番台程度

才能はある。ただし強くなっても守れるとは言ってない
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