もしも最初に拾った悪魔憑きがアルファじゃなかったら   作:diethyl

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誰かが書くと思ったのに結局まだ誰も書いてないシャドウガーデンメンバー入れ替えもの。

私はこれが限界でした。スイーツ(笑)


全てにおいて最悪の出会い

 僕の名前は影野ミノル!陰の実力者に憧れるごく普通の高校生さ!ある日いつも通り修行をしていて滝に打たれて魔力の光を求めて全裸で走り去り光に飛び込んだら、赤ん坊となり異世界に転生していた!

 修行の成果も一切なくなり赤ん坊からやり直しになったが一から修行することで実力者としての力を取り戻すことに専念することとなった僕は魔力で肉体を改造しつつ実力を巧みに隠すことができ、とても充実とした修行ライフを送っている。

 

「とまぁ盗賊を退治して拾った悪魔憑きを使った実験はうまくいった、うまく行き過ぎた」

 

 目の前には元悪魔憑き、もとい銀髪の女の子。エルフでもなく獣人でもなく正真正銘人間。

 

「まぁ予想外の展開だけどどうしよう?」

 

 何しろ人間だ。平民だとしても厄介だし貴族だったらもっと厄介だ。この僕が悪魔憑きを治療できるなんて世に知られでもしたらそれは世界的な偉業として僕の存在は世界に知らしめられるだろう。その結果僕はモブとしていられない。だから何らかの方法で口封じをしたいところなんだけど。

 

「どう見てもこの子黙っているタイプじゃなさそうだし、心なしか性格が悪そうだ」

 

 なので選択肢は一つ。見なかったことにしてさっさと小屋から去ることだ。

 

「さらばだ、見知らぬ少女よ、君の道に幸あらんことを」

 

 去るときくらい実力者ムーブをして去ろうとしたのがまずかったのだろう。僕の裾をがっちりとつかむ何かがあった。

 

 何かって?それは一人しかいないだろう。眠っている少女がなぜか不自然に僕のところまで移動してきて僕の裾をつかんだのだ。

 

 「……」

 

 僕は無言で引きはがし、踵を返した。今度は足ごとつかまれた。

 

 「……」

 

 僕は無言で引きはがし、魔力をこめて走る準備をした。今度は腰にタックルされた。

 

 「……」

 

 「……」

 

 「……」

 

 僕は無言で引きはがし、

 

 「いい加減にしなさいよ! 女の子に服ひとつ着せずに放置してさようならなんてサイテーよ!最低!」

 

 「あ、君目を覚ましたんだね。よかった。それじゃあ僕はこれで」

 

 「まてや」

 

 怒鳴られたのを無視して去ろうとするが肩ごとつかまれた。心なしか眉間に皴が寄っている。何を彼女がイライラさせているのだろう。

 

 「私の名前はアレクシア・ミドガルっていうんだけどね、知ってるでしょ」

 

 「知らない」

 

 「ええ、知ってのとおり、ミドガル王国の第二王女だったんだけど」

 

 「そうなんだ、じゃあね」

 

 そうして去ろうとすると僕の肩からみしみしと音を立てて握力が強くなった。

 

 「ところでもう用事があるんだけど帰してくれるかな?」

 

 「私、ついさっきまで悪魔憑きだったんだけど」

 

 「……君って人の話を聞かないの?」

 

 「あら、あなたは人の話を聞く気があるのかしら?」

 

 「ぜんぜん」

 

 何せ王族なんてメインもメインだ。モブである僕がかかわってしまったら僕はもうモブではない。

 

 「正直者には不敬罪をプレゼントしたいわけだけど、仮にも私を助けてくれた恩人ですもの、不本意ですけど、不本意ですけど」

 

 「なんで二度言ったの?」

 

 「不本意ですけど」

 

 「三度言えって話でもないんだけど」

 

 ダメだこの王族、話を聞く気が全くない。

 

 「それじゃあこのことを黙っておくことでいいから、僕と君は出会わなかったということで」

 

 「私って無償の善意ってのが気持ち悪くてしょうがないのよ」

 

 「ひねくれすぎじゃない?」

 

 「あなたはわかりやすいから金貨でも渡せばそれで済みそうだからそうしたいんだけど、私個人の金貨が城に帰らないと無いのよ」

 

 「そう、後日送金でいいよ」

 

 「だからちょっと王都まで送り届けてくれたらうれしいわね」

 

 「そう、それじゃあまたね」

 

 肩を外してそのまま逃走のしようとしたら今度は首をつかまれた。クソ、僕の動きを先読みされているみたいで悔しい。

 

 「ところでこんなところに王女を服なしのままにして放置した、なんてことになったら一族郎党処刑されても文句言えないと思わない?」

 

 「あぁ、服なら多分そこにあるよ。もともと君を乗せてた御者の服だけど贅沢言わないでね」

 

 「ふーん、その御者はどこにいるの?」

 

 「盗賊に襲われて死体になってたから多分あっち」

 

 「死体から剥げってことじゃない!何考えてるのよ!盗賊でもまともな服着てるわよ!」

 

 「しょうがないな、ちょっと確保してくるから待ってて」

 

 「待ちなさい、だからって無差別に盗賊を襲って服を剥げって言ってるんじゃないわよ」

 

 王族は本当にわがままだ。品質の高い服なんてこの時代には貴重なものだ。一介の男爵の息子にそんなもの持ってこれるつてなんてあるわけないのに。

 

 「まったく、王族っていうのはこれだから現場を知らなくて困る。こんな田舎に王族御用達の服なんてあるわけないのに」

 

 「ふ・つ・う・の・ふ・くを用意しろって言ってんのよ、あんたみたいなそこそこな服とまで言わなくてもいいから」

 

 「えぇ、しょうがないなー。僕の服上げるからそれで勘弁してね」

 

 「しょうがないわね、いいわそれで」

 

 そういうと僕の上着を剥ぎ取り自分に羽織った。王女というのは横暴で困るものだ。姉といい偉い人の女性はなんでこう落ち着きというものがないのだろう。

 

 「ふぅ、これで落ち着いて話ができるわね」

 

 「うん、これで君は帰れるね。じゃあ」

 

 「私は悪魔憑きとして存在が抹消されたのかしら、あんた知ってるでしょ?」

 

 「さぁ?そんな話流れてきてないけど」

 

 「せめてお姉さまにだけでも無事を伝えたいんだけど、駄目ね、元悪魔憑きの王女なんて……」

 

 「君は盗賊としてもやってけると思うよ、それなら僕が狩る理由になるからおすすめするよ」

 

 「その前にあなたの息の根を止めたほうがよさそうね。恩人であることすら忘れそうになる前に」

 

 「まったく、ただ拾っただけの相手なんて放っておけばいいものを」

 

 「だって悪魔憑きを治したのあんたでしょ」

 

 「は?」

 

 驚いた、そこまで認識してるとは、意外と頭のまわりはいいのかもしれない。ちょっと残念だけど。状況は最悪の最悪だった。

 

 「王族を治療したとあったら莫大な賞金が出るでしょうね、ついでに治療法とかの提示とか求められるかもしれないけど義務の内だから観念しなさい」

 

 「オーケー、王女様、まずは落ち着いて話し合おう」

 

 「あら、ようやく人の話を聞く気になったようね。よっぽど悪魔憑きが治せることがばれるのがまずいようね。それと私を殺しても無駄よ。だって私が悪魔憑きになってたのを見た人が大勢いたのに綺麗な死体を見たらみんなどう思うかしらね」

 

 くそっ、先手を打たれた。スライムボディスーツで一刀両断してやろうと思ってたのに。

 

 「とりあえず、君の話は分かった。だが君も悪魔憑きから治療されたとばれてしまったら大変なこととなる」

 

 「どうして?私が城に戻ってあなたは恩賞をくれるだけでなく地位も名誉も思いのままね。あなたは嫌い?でしょうね」

 

 「それだけじゃすまない。君はおかしいと思ったことはないか?」

 

 さて。ここからが僕の腕の見せ所だ。この性悪をだまくらかすのにありきたりな動機を突きつければロイヤルパワーで何とかできてしまう。だから壮大で蠢く世界の闇という設定を持ち出す必要がある。

 

 「何、言ってるのよ?」

 

 

 「悪魔憑き、なぜその存在が忌み嫌われ続け、病的までに排斥され、教会によって始末されてきたのか」

 

 「知ってるっていうの!?」

 

 彼女の驚き、一瞬の思考の隙間の間に設定を立ち上げるのも陰の実力者たるものの設定の根幹。僕はその設定を網羅して考え抜いた設定。つまりは、僕のこの世界における立ち位置。の設定。

 

 「元は悪魔憑きは英雄にかけられた呪いだった。だからこそそれを発症する英雄の子孫は邪魔でしかなかった」

 

 「誰が邪魔だって言うのよ。英雄の子孫ならそれは誇られることでしょう」

 

 「そう、何者かが歴史を捻じ曲げた」

 

 陰謀論の基本。お前の見ている真実は嘘っぱちだと突きつけること。だがそれは本質ではない。真に誘導したいことに繋げる話術のアクターに過ぎないのだ。

 

 「そいつは何者なのよ」

 

 「英雄の子孫が邪魔な存在。そんなのは限られている。そう、魔人ディアボロスの存在、それを復活させようとさせるものだ」

 

 「なっ!?」

 

 驚いてる驚いてる。

 

 「奴らは各国に潜り込み王族をもいざとなったら葬ることができるほどの力を持つ者たちだ。君が軽はずみに動けばこの国すら意のままにされてしまうだろう」

 

 「…………」

 

 「奴らの名は、そう、ディアボロス教団――」

 

 「あんた適当に言ってない?」

 

 …………この性悪は、本当に勘のいい。

 

 「真実でないと思うのは君の自由だ。ただ奴らは狡猾だ。どこにでも紛れ込み、君の姉くらいならどうこうできてしまうだろう、君が城に戻るのは勝手だ。だが僕のことは黙ってるように」

 

 「よーし、つまりあんたはそいつら相手にどうこうする力はあると、協力しなさい、王女命令よ、嘘だったらあんたの首をねじり切る」

 

 「え~、一人でやってよ。僕も一人でやるからさ」

 

 「お黙り、そんな話聞かされて放り出す方が薄情でしょ。そういやぁあんたの名前も聞いてなかったわね」

 

 「僕の名前?」

 

 ここも重要だ、陰の実力者たるもの。かっこよくてスタイリッシュな名前にしなくてはならない。ああああとか適当な名前を名付けてしまおうものなら一生ネタにされ続ける、そうでなくても名乗りというのは重要だ。登場シーンで闇夜に紛れてスタイリッシュな演出とかをしなければ様にならない。うどんを食べながらやってくる陰の実力者、笑える。

 

 「きゃっ!」

 

 だからこの場で持つスライムボディスーツの力を使いどろりと漆黒をまとい、スーツを身体に張り付かせ一瞬で早着替えをしながら、ポーズを決める。観客(性悪)を意識しながら角度をつけるのを忘れず。そして名乗る名前はもう決めてある。

 

 「ならば名乗ろう、我が名はシャドウ! 陰に潜み! 陰を狩るもの!」

 

 決まった。目の前の性悪は体をフルフル震わせて……

 

 「そんなスーツあるなら最初から出しなさいよ! この服サイズあってないんだから!」

 

 「むぅ……仕方がないな、使いこなせるものなら使いこなしてみろ」

 

 しょうがないからスライムを投げやりに投げる。ポヨンポヨンとバウンドしながらふるふると震え王女様の前に止まった。

 

 「ねぇ、どうやって使うの?」

 

 「魔力を通すと固形化する。体をまとうように魔力を通すといい、練習は必要だろうがな、せいぜい使いこなすといい」

 

 「いらっと来たわ、その物言い。絶対に使いこなして見せるわ、ついでにあんたを超えて見せる」

 

 「はっ、やってみろ、ベータ」

 

 「……何よベータって」

 

 「いつまで自分の名前にこだわっている。まさか公衆面前でその名前を使い続けるつもりなのか?」

 

 「偽名を使うことには異論はないわよ。でもベータってなに?」

 

 「何って二番目という意味の……うぉっ!服の前に剣を作り出すな!」

 

 「私が第二王女って知ってて言ったでしょ!絶対ぶっ殺してやるんだから!」

 

 とまぁ。シャドウガーデン設立の秘話はこんなところだ。

 

 

 

 それから時は流れ、スタイリッシュ盗賊スレイヤー時代に助けた女の子がオリアナの王女で悪魔憑きとして盗賊にとらわれてたから助けて引き込んだり、アーティファクトの解析を専門としていた学者を母に持っていた子を囚われたから助けて引き込んだり、悪魔憑きの兆候を目ざとく見つけ人の姉を引き込んだり、ベガルタの剣客を助けたついでに引き込んだり、何百年も生き続けた吸血鬼ハンターを助けて引き込んだり、無法都市の3大トップの内の九尾の獣人を助けて引き込んだり、と派手にやってくれた。

 

 最大の失敗は最初に助けるべきじゃなかったこのベータ(性悪)。ナンバー2のくせに態度でかくない?

 

 「しかしまぁ。本当にディアボロス教団なんてあるとは思ってなかったわ」

 

 「えっ!?」

 

 「おい」

 

 ノータイムで首を絞められた。




ちなみに本来の七陰メンバーは全員悪魔憑きになってない設定なのでどこかで暮らしてるでしょう。多分。

七陰メンバー入れ替えものを読んでいいと思ったあなた、是非執筆に挑戦してください。私が見たいです。

続きが読みたいんだけど書いてくれる人いる?

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  • いやいや俺が
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