あれから数日
トレーニングも食事も入浴も済ませ後は髪としっぽのケアくらいしかやることがない。
『はぁ』
結局あれからというもの何の進展もない
「スキンシップで距離を縮めては、いかがかな」
会長の言葉が脳裏をよぎる
『スキンシップ』
肌での接触
む、むりだ
自分から彼に触れるなど
ど、どこを触れば良いのだ?
一歩間違えればセクハラだぞ?
トレーナーに痴女だと思われるぞ?
『はあぁ』
ブライアン「随分と深いため息だな」
『ブライアン』
ブライアン「今度はなんだ」
『会長に言われた通りスキンシップを試してみたいと思うのだが…』
ブライアン「なら、あんたの体を触らせてやればいい」
『はあっ!?お、おまえ、いったい何を///』
ブライアン「何を勘違いしているんだ。髪と尻尾がまだ乾いていないだろう」
『そ、そういうことか』
『ありがとう』
ブライアン「さっさと行ってこい」
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春翔の寝室
コンコン
「どうぞー」
『失礼する』
「エアグルーヴ…」
なっ、エアグルーヴ風呂上がり、だよな?
髪もしっぽも濡れてて
いいにおいもするし
なんか…///
「どうしたんだ?」
『その、貴様にお願い、というか頼みがあってな…』
「あ、ああ。なんだ?」
『その、か、髪としっぽのケアを頼みたい』
は?え?けあ?しっぽと髪の?エアグルーヴが!?俺に!?
それは、その、触ってもいいってこと、だよな?
いいのか!?
通報されない!?
『ど、どうしたんだ?』
『いや、だろうか…?』
「いやいや、全然全く、いやじゃないぞ!?むしろ嬉しいくらいで…ってすまん!こんな変態みたいな」
『気にせん』
『それより早速お願いしていいか?』
「ああ。でも、俺そんなんやったことないぞ?ほんとに俺いいのか?」
『貴様だから任せるんだ』
『知っているとは思うがウマ娘の耳やしっぽは信頼している相手にしか触らせん…』
そ、それは
どういう意味なんだ?
信頼してくれてるのか、俺を
トレーナーとして?
教え子に恋心なんて抱いてしまっている俺を?
それともけん制してるのか?
頼むから余計なことはするなと
ならどうして触らせてくれるんだ?
エアグルーヴは俺をどうするつもりなんだ…
どう思っているんだ…
「そ、そうかそれは光栄だな」
『道具は持ってきているし、やり方は私が指示するから心配するな』
「分かった」
『まずはドライヤーで髪もしっぽも乾かしてくれ』
ブウォォン
わしゃわしゃ
『!』ピクッ
「!、わっ、悪い大丈夫か!?」
『平気だ///』
「続けるぞ?」
「髪は大体乾いたな」
『ではしっぽを頼む』
『敏感な器官だから丁寧に触れてくれ。特に付け根の部分は』
「わ、分かった」
ブウォォン
『あっ』ピクッ
『うぅ』ピクッ
『あんっ』ビクンッ
お、落ち着け
落ち着くんだ
そう、素数を数えろ
1,2,3,5,7,11…
よし
いいぞ
おれは何も聞こえていない
聞こえていないぞ
心を無にするんだ
「お、おわったぞ?」
『ああ、ありがとう』
『では次はこのヘアオイルとテールオイルを塗ってブラッシングもして欲しい』
「わかった」
「じゃあまず、髪から…」
ぬりぬり
なでなで
あぁ気持ちいい撫でられているようだ
「これで大方できたと思うが…」
『薄いが毛が生えているからな、耳にも塗ってくれ』
「分かった。触るぞ」
つぅー
ピクッ
「あっ、わるい!」
『耳もしっぽ同様敏感だからな。優しく触れてくれ///』
「お、おう」
ぬりぬり
『んっ』ピクッ
なでなで
『あっ』ピクピクッ
くにくに
『うんぅ』ピクッ
だ、だめだ彼に触られていると思うと…
落ち着けエアグルーヴ
私は女帝だ
そうだっ
素数を数えよう
1,3,5,7,9って違うこれは奇数だ!
奇数、きすう、きす…///
「エアグルーヴ?大丈夫か?顔赤いぞ?」
『ああ、大丈夫だ』
「じゃあ、つぎ、しっぽな?」
バッサ バッサ
「エアグルーヴ」
『なんだ?』
「その、しっぽ、もう少し落ち着かせられるか?これじゃうまくできん」
『す、すまない!』
あ、ああ
やってしまった
はしたないと思われてないだろうか
いや、思われたに違いない
「え、エアグルーヴさん?」
『?』
「その、しっぽがですね…」
バッサ バッサ
『なっ』
うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
なぜだ、なぜいうことをきいてくれない!?
もう、だめだ
彼にも幻滅されたに違いない
ショボーン
ピタッ
「ん、じゃあやるぞ」
ぺたぺた
ぬりぬり
手櫛
『!?うにゃぁぁ』ビクンッ
「!?!?!?」
「ど、どど、どうしたエアグルーヴ!?」
『な、なんでもない』
『少しくすぐったかっただけだ///』
「ほんとか?」
「じゃあブラッシングするぞ?」
『あ、ああ毛先の方から、優しくだぞ?』
ふぁっさ ふぁっさ
ふわふわ
さらさら
「こんなものでいかかでしょう?」
『問題ない。ありがとう』
『また、頼んでもいいか?』
「こんなんで良いならいつでもどうぞ」
『ではそろそろ失礼する』
「おやすみ」
『あぁ、おやすみなさい』
さらさらだった…
しっぽ
エアグルーヴのしっぽ
それにエアグルーヴも
いや、やめろ
思い出すな
心臓に悪い
寝るぞ
寝るんだ
今すぐ
疲れてるんだろう
「あぁー!!だめだっ!ぜんっぜんっ寝れねぇ」
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それからエアグルーヴは毎晩トレーナーにケアをお願いし絶好調
トレーナーはしばらく寝不足になったとか
なってないとか