朝日で自然と目が覚める。
だいたい6時より少し前といったところだろうか。
基本的に私は彼の目が覚めるまで布団から出ない。
「いかないでくれ」と引き留める姿も可愛らしいのだがやりすぎは良くないし、何より彼には安心してゆっくりと休んで欲しい。
彼も起床難ではないので直に起きるだろう。それまでは彼の寝顔や匂い、体温や心音など彼を全身で味わわせて貰う。
早起きの特権とでも言おうか。
新妻のように早起きして朝食を準備して彼を起こす、というシチュエーションに憧れないでもないが彼が嫌がることをしたくない。
そんなこんなで彼も目覚めたようだ。
『おはよう春翔さん』
『気持ち良く眠れたか?』
「ん、おはよう」
「おかげさまで?」
そう言って週末の日課であるおはようのキスをして貰う。ただ体の一部が触れあっているだけなのにとてつもない多幸感で胸がいっぱいになる。
あぁ、これにはいつまで経っても慣れないなぁ
そんなことを考えながら彼と共に寝室を出る。
洗面所でささっと洗顔と歯磨き、スキンケアなどを済ませて身だしなみを整える。
彼の方が先に終えるのでキッチンで朝食の準備を始めてくれている。
私も彼に加わると彼は暖かい緑茶を淹れてくれる。
彼は苦いものが苦手だから家にコーヒーはない。
「『いただきます』」
朝のニュースを見ながら朝食を摂る。
なんてことはない日常の1コマがどうしようもなく愛おしく感じるのは彼が共に居てくれるからだろう。
「『ごちそうさまでした』」
朝食後の片付けは彼の担当だ
私はその間に洗濯機をまわし、掃除機をかける
彼は洗い物を終えると寝室に戻りベッドメイキングをする。
洗濯が終わるまでの間はお楽しみタイムだ。
彼にたくさん撫でてもらって、キスもする。これ以上ない幸福感を感じているといつも、嫌なタイミングで
ピピーピピー
ほら、洗濯が終わった
私は下着や服を、彼にはタオル類を干して貰う。
恋人同士とはいえ、さすがに下着を見られるのは恥ずかしい。
だが、いずれ、その時が来たら…
ブンブン
ダメだ余計な妄想は良くない
彼のシャツは特に念入りにシワを伸ばして干す
洗濯を干し終えると次はお出かけ…ではなく彼が最近健康を気遣って始めた散歩とジョギングに私も着いていく。
極力人が少ないルートを通るようにしているが、走りやすい道を通ろうとするとなかなかそうはいかない。
道中で様々な人と出会う。
学園関係者に会えば彼は少しからかわれ、犬の散歩をしている人と会えば少しさわらせて貰えることもある。
老夫婦が私たちと同じく仲良く散歩をしているのを見れば、私たちもあんな風になるまで共に居られるだろうか、なんて考えてしまう。
家に戻ると交代で軽くシャワーを浴びる。今朝メイクをしなかったのはそのためだ。
体を痛めないように、二人で念入りにストレッチもする。
朝の日課はこれにて終了だ。すると当然、この後はどうするかという話題になる。スーパーには行っておきたいが、さすがにそれはデートには物寂しい。いつも行っているしな。
どうしようか、そんなことを考えていると
珍しく彼が「買いたいものがある」と。
断る理由もないので賛同すると外出用の私服に着替えて準備をする。
移動中の車内で何を買いたいのか聞いてみると。
「ほら、俺たちせっかく付き合ってるんだしなんかお揃いのアクセサリーとか欲しいなと思って」
「ホントは婚約もしてるんだし指輪を渡したいところではあるんだけど、さすがにまだ早いかなって」
そんなことはない。彼との約束の印なんだ。欲しいに決まっている。
だが、この言い方だといずれ貰えるようだし、彼が何を選ぶのかも気になるため、『指輪が良い』なんて言葉は無理やり押し込んだ。
普段はまず入ることのないであろうジュエリーショップに入ると、どんなものが良いかと聞かれる。ブレスレット、ネックレス、ピアス等々種類は山ほどあった。
話し合った結果、ピアスは既にお気に入りの耳飾りを着けているし、ブレスレットは何らかの拍子に引っ掛かってしまいそうでネックレスに決まった。
ネックレスに嵌め込む石は、ラピスラズリに決まった。
ラピスラズリはただの青だけでなく金色も所々混じっていて、「あっ、エアの色だ」と彼が嬉しそうにひとりごちた。
石言葉は健康、愛、永遠の誓いだと店員さんが教えてくれた。
まさに今の私たちにピッタリのものを選ぶことができた。
ジュエリーショップを出るとちょうど昼前だったので近くのモールに行きフードコートで簡単に済ませた。
『この後はどうする?まだ買いたいものがあるか?』そう私が尋ねると「うん」と彼が答える。
「ここで揃うものだから急がなくても大丈夫だよ」
『何を見るんだ?』
「スーツ関係かな」
「ネクタイとシャツとヒートテック。あっ、靴下も新調しようかな」
『もう冬が来るからな』
「うん」
そうしてメンズスーツ用品の取り扱いのある店に足を進める。
「ねぇエア。」
『なんだ?』
「せっかくだからさネクタイ選んでよ」
『良いのか?』
普段男性もののネクタイを選ぶことなどないので少し不安だ。
「うん、エアが選んでくれたのを着けたい」
『そ、そうか///』
こうして不意に私を照れさせにくる
彼の困ったところだ
にしても本当にどうやって選んだら良いのだろうか。花や先ほどの石のように色によって意味があるのか?
そうしてぐるぐるの見て回っていると、ひとつ目に留まったものがあった。
「エアの色だ」
彼が隣にいたらそういっていたであろう。
青と黄色そしてシルバーのストライプ柄がはいったシンプルなデザインのネクタイだ。
うん。これが良い。そう思って彼の元に行き、彼が新しく選んだシャツに宛ててみる。
「ん、それにする?」
『あぁ』
「じゃあ買ってくるから」
ちょうだい
そう言おうとしていたんだろうが、私は彼の言葉を遮る。
『いや、これは私から春翔さんにプレゼントさせて欲しい。』
「え、でも」
『いつも貰ってばかりでは気持ちが落ち着かない。』
『それに、』
『ネクタイを送るのには意味があるんだぞ』
それだけ言い残すと私は彼を置いて会計へ向かう。
モールの一階にあるスーパーで買い物を済ませるともう夕方だったため、家に帰ることに。
ガチャリ
「ただいまー」
『ただいま』
「おかえり」
そのまま洗面所へ行き手洗いうがいをすませる。
洗濯物が乾いているようだったので、私はそれを取り込んで収納する。彼は買ってきた食材をしまってくれた。
一通り家事が落ち着いたので、買って貰ったネックレスを互いに着けてみる。
石は同じだが、カットの仕方やデザインが男女でやや違う。
互いに見て感想を言い合う
「エアすごく似合っているよ」
『春翔さんも自然でかっこいいぞ』
あぁ、嬉しい
もうはずせないかも知れないな
これは
そのまま昨日と同じように夕飯や入浴を済ませてベッドに潜る。
「おやすみ」
そう言おうとした彼の頬を両手で包むと
耳を絞り明らかに不機嫌そうに演じて見せる。
「ら、らひ?」
「ろうひらの?」
『たわけ』
『忘れたとは言わせんぞ。』
『昨晩、あとで続きをすると言っておきながらなにもせずに眠っただろう。』
「わ、わかった」
「しよう!つづき!」
『あ、あぁ』
「ちゅっ、れろっ、んっ」
『ふっ、ちゅるっ、うむっ』
「はむっ、ふぅっ、ちゅっ」
『ふうっんっ、もっとぉ』
「れろっ、ん、ちゅるっ」
「はぁっはあっ」
「えあ、ちょっ、もうダメ」
『いや、なのか?』ウルウル
「違うよむしろ逆」
「気持ち良すぎてこれで止まれそうにない」
ぽすっ
『わたしは…いいぞ…?この先に進んでも…』
「俺がダメなの」
「いまはまだ準備出来てないから」
『むぅ』
「いまはキスだけで我慢しよ?」
「もう寝るよ」チュッ
『…おやすみなさい』
「おやすみエア」