幸せになりたいトレーナーとエアグルーヴ   作:たわけ

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復讐とリベンジ

あの事件が、あってからというものURAや理事長はどうにか対策を取らねばと躍起になっていた。今までも類似の事案はあったのだが今回はトレーナーの名が世に知れ渡っていたこともあり重く考えていた。だが誰よりも憤っていたのは他でもないエアグルーヴだった。彼に暴行を加えた犯人が逮捕された際には「奴らにも彼が受けた以上の苦しみを与える」と我を忘れて暴走しかけた。

 

理事長の助力を受け会見を開くことが出来たエアグルーヴ。もしものことを考えてシンボリルドルフとナリタブライアンは会場の端で待機をしていた。

 

『この度はお忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます』

『議題はお察しのことと存じますが、私のトレーナーが死の間際に追い込まれた件に関してです。』

記者「犯人は既に逮捕されたとのことでしたが、何かお話などはされたのでしょうか」

『いえ、まだそれは叶っていません。』

『確かに彼に対し暴行を加えた犯人の一部は逮捕されましたが、まだ残っています。』

記者「まだ残っている、とはどういう意味でしょうか。エアグルーヴさんは犯人の顔や犯行現場をご覧になられたのですか?」

『彼の身体に傷を付けた現場は見ていませんし、その方々の顔も知りませんがそれ以外の人たちは概ね分かっています』

記者「それ以外とはどのような人なのでしょうか?」

『彼の心に傷をつけた者です。』

『具体的には』

『私や彼へのファンレターを装ってトレーナーに対する誹謗中傷や中に毒物やカッターの刃などを仕込んだ者。インターネットで彼に対する侮蔑を軽率に放った者。彼の苦労を努力をすごさを何も知らないくせに分かったような口で彼を批判した者。勝てばウマ娘の才能だと持て囃し負ければトレーナーは無能だと手のひらをコロコロ変え国民の意識を左右させ、彼を傷つける要因を無限に産み出し続ける週刊誌を書いている者。などです。』

『この会場の中にも彼を傷つけた犯人は山ほどいますよね』

記者「それは我々に対する冒涜か何かですか」

記者「私たちが悪いかのような口ぶりですね」

記者「我々がいなければファンなんかもつきにくいのでは?我々に喧嘩を売って損するのはどちらですか?」

記者「勝てなかったのであればトレーナーが悪いに決まってる、責任転嫁もいいところだ」

『はぁ、まったく、何も反省していないのだな貴様らは!』

『では聞くが、今までに世間からの批判でどれだけのトレーナーが職を辞したか、心を体を病んだか、それによってどれだけの人にウマ娘に損害が出たか知っているか!!』

『トレーナーがどれだけ過酷な仕事か、普段どれ程の苦労を努力をしているか知っているのか!!!』

『貴様らのような外から批判することしかできないような連中に、彼らの代わりが勤まるとでも思っているのか!!!』

『貴様らごときではトレーナーになることすら叶わん』

『それに、先程の発言、喧嘩を売って困るのはどちらか、だと?』

『その発言こそ不公平さ、情報の不適切さ、不正確さの証明だろう』

『トレーナーがいなければ私たちは満足に走ることすら叶わん。だがな、貴様らなどいなくても何一つ困ることはない』

『分かったらもう二度と彼を侮辱するような行為をするな!』

『それが出来ない会社の取材は二度と受けないし、一度でも約束を違えばすべての会社からのインタビューも取材も全て断る!』

『以上だ、私の発言に決断に異論が有るものは今すぐ会場から出ていけ!それ以外社の質問には答えよう』

 

 

 

『誰も出ていかないということは先程の話に同意した、ということでかまわないな?』

『では、何かあれば受け答えよう』

記者「トレーナーさんが回復された暁には謝罪の機会を設けて頂けますでしょうか?」

『わからない。彼が望めば有るかもしれない』

 

 

 

 

 

 

『もうないか?なら会見は終了だ。』

『会見中の乱雑で失礼な言葉に関しては謝罪させていただきたい。申し訳なかった。だが撤回する気は毛頭ない。』

『長い間お疲れさまでした。会見は以上で終了とさせていただきます。』

 

 

 

 

 

[newpage]

「よしっ!いい仕上がりだ。これならスズカも逃げ切れないぞ!」

『あぁ、だが油断も満身もする気はない』

「だな、じゃあストレッチして終わりにしよう」

 

 

 

 

 

 

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天皇賞(秋)当日 

 

 

「何も心配することはない。安心して勝ってこい」

『あぁ、女帝の走り、しかとその目に焼き付けてくれ』

 

 

実況「2番人気は3番エアグルーヴ」

実況「先日の宝塚記念ではサイレンススズカに逃げ切られてしまいました。リベンジなるか!」

 

 

 

ガコッ

実況「さあ、ゲートが開いて真っ先に先頭を目指すはサイレンススズカ!」

実況「エアグルーヴは少し後ろの方につけています」

 

 

 

 

実況「さあ、曲がって最後の直線!まだハナを進むサイレンススズカには距離がある!後ろの娘達は間に合うのか!?」

実況「おおっと!上がってきた!エアグルーヴ!!すごい加速!すごい脚です!!」

実況「でも逃げる!それでも逃げるサイレンススズカ!!まだ追い続ける女帝!!」

実況「速い速い!エアグルーヴ!並んできたか!先にゴールを駆けるのはどちらか!?」

実況「異次元の逃亡者がまたも逃げきるのか!それともトリプルティアラが、女帝が差しきるのか!!」

実況「逃亡者か!女帝か!逃亡者か!いや!じょていだあぁぁぁぁ!エアグルーヴ!!見事雪辱を晴らした!!!」ワァー

 

 

 

「お疲れさま。よく頑張ったな!!」

『見ていてくれたか?勝ったぞ!スズカに!!』

「見ていたさ、きっと、一生忘れられない走りだった」

『ふふっ、なら良かった』

『ライブもしっかり見ていてくれよ?』

「任せとけ!!」

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