VTuberなんだけど百合営業することになった。   作:kattern@GCN文庫5/20新刊

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第138話 紫の芋の人 その6

【登場人物】

 

川崎ばにら  DStars3期生 ゲーム配信が得意

青葉ずんだ  DStars特待生 グループ最恐VTuber

トキワいま  DStars零期生 事務所発足の切っ掛けになったV

宮古島たると DStars零期生 事務所の絶対的清楚歌姫

 

【シチュエーション】

 

たるととばにら、事務所で3D撮影の楽屋待ち。

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

たると「ばにらちゃん、先輩と後輩には適切な距離があると思うの」

 

   「そう、例えば――楽屋の壁と壁くらいの」

 

ばにら「遠すぎじゃないバニですか⁉」

 

   「こんなに離れて座られると、こっちも寂しいんですけど」

 

たると「私だって寂しいよ!」

 

   「寂しいけれど……清楚を保つためにはしかたないの!」

 

   「清楚っていうのはね、ばにらちゃんが思うより大変なんだよ!」

 

ばにら「……たると先輩!」

 

たると(これだけ離れれば大丈夫)

 

   (ばにらちゃんの匂いも、ばにらちゃんの声も、ばにらちゃんの温もりも)

 

   (ここなら完全に伝わって来ないわ)

 

   (これでいつも通り。配信を眺めているのと変わらない状況よ)

 

ばにら(よく分からんけど、運営から言われてるんだろうなぁ)

 

   (まぁ、ばにーらも色物枠だから)

 

   (うっかりたると先輩のイメージを壊しちゃうかもしれない)

 

   (おとなしく距離とっておこうバニ)

 

たると「と、所でばにらちゃん、最近はどんな配信してるの?」

 

ばにら「あー」

 

   「最近はマインクラフトをよくやってるバニですよ!」

 

   「やっぱり、マイクラは神ゲームバニ!」

 

たると「いやいや、ばにらちゃんのプレイングが面白いからだよ」

 

   「司書ガチャ配信で、あれだけ盛り上げられるのは才能だと思うよ」

 

ばにら「…………たると先輩?」

 

 

   「もしかして、ばにーらの配信見ててくれたバニか?」

 

 

たると(しまったぁー! 言ってるそばからやっちゃったぁー!)

 

   (なに口走ってるんだ私のアホォー!)

 

 

ばにら「まさかね? 切り抜きで見たとかバニよね?」

 

たると「…………」

 

   「そ、そう! たまたまレッスンの空き時間があって!」

 

   「私も、配信のネタを探してたら、たまたまばにらちゃんの切り抜きが!」

 

ばにら「あははは! そうバニよね!」

 

   「びっくりしちゃったバニ!」

 

   「まさかたると先輩がばにーらの配信見てるなんて」

 

たると(がっつり見てます!!!!)

 

   (私、ライブじゃなくて、動画投稿系のVTuberだから)

 

   (時間が有り余っているんです……!)

 

   (ほぼリアタイで、ばにらちゃんの配信を見てます!)

 

 

   (むしろばにらちゃんの配信を見るために、仮病を使ったまである!!!!)

 

 

   (私はダメなVTuberなんです……!)

 

 

ばにら「どうしたバニか、たると先輩?」

 

   「そんな苦しそうな顔をして?」

 

たると「…………」

 

   「清楚って大変でね」

 

 

   「言いたいことも言えないんだなって思うと、ちょっと辛くって」

 

 

ばにら「たると先輩……!」

 

 

たると(はぁー!!!!)

 

   (私のこと心配してくれる推しがかわたん!!!!)

 

   (こんな幸せなことってあります⁉ あります⁉)

 

 

   (やっぱ、ばに~らは最高さぁー!!!!)

 

 

ばにら「ばにーら、清楚はまだよくわかんないけれど」

 

   「たると先輩が事務所のために頑張ってるのは伝わったバニ」

 

たると「うぅん、私なんかよりばにらちゃんの方が頑張ってるよ」

 

   「DStarsの顔、人気ナンバーワン、遅れてきた大本命」

 

   「レースクイーンバニー川崎ばにらこそ、最強のVTuber」

 

ばにら「なんでばにーらを褒める流れになったバニ?」

 

   「どういう切り返しバニ?」

 

 

たると「やっぱり、川崎ばにらしか勝たん!!!!」

 

 

ばにら「本人の前でそういうのやめてもろて!」

 

   「どうリアクションしていいか分かんないバニよ!」

 

たると「とにかく!」

 

   「カメコ(ばにらのリスナーの愛称)のために毎日配信する、ばにらちゃん」

 

   「対して」

 

   「収録だ、ボイトレだ、レコーディングだ」

 

   「あれこれ理由をつけて配信を休む、私」

 

   「どう考えても、ばにらちゃんの方が大変でしょ」

 

   「むしろ情けないよ――」

 

 

   「先輩として、私は自分が情けないよ!(絶叫)」

 

 

ばにら「そんなことないバニですよ!」

 

   「たると先輩は、うちの事務所の清楚枠として」

 

   「頑張ってくれてるバニ」

 

たると「いいや、もっとできるはずさぁー!」

 

 

   「私もばにらちゃんみたいに、もっとファンをドカンドカンと笑わせる!」

 

   「面白いVTuberにならないと!」

 

 

ばにら「たると先輩のファンはそんなの望んでないバニ!」

 

   「お願いですから、自分のイメージを大事にしてもろて!」

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

イメージ戦略って本当に大事ですよね。

特に、看板やプロジェクトをしょってる人は、いろいろ大変だと思います。

アイドルの道というのは険しく厳しい。清楚は一日にしてならず。

 

がんばれたるとちゃん! 割と今の方向性で、大丈夫だぞ! ばにらみたいな色物枠に落ちるな――と思った方は、ぜひぜひ応援・評価・フォローをお願いいたします!m(__)m

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