VTuberなんだけど百合営業することになった。   作:kattern@GCN文庫5/20新刊

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第814話 新人の不安と先輩の不安 その2

【登場人物】

川崎ばにら  DStars3期生 ゲーム配信が得意

石清水しのぎ DStars3期生 おっぱい侍太郎

鳥羽レーヌ  DStars4期生 お姫様系VTuber

羽曳野あひる DStars2期生 またなにも知らない

津軽りんご  DStars特待生 きまぐれ僕っ娘

祇園ちまき  DStars1期生 おまつり女

網走ゆき   DStars零期生 よく炎上する

 

【シチュエーション】

レーヌ&しのぎ突発バブちゃん配信の反省会。

おふざけモードじゃないゆき&ちまきが割と真剣に話を聞く。

VTuber界隈で長い雌伏をした二人だからこそ、話せることがある。

辛い役目を担っているからこそ、届く言葉というのがあるのだ……!

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

レーヌ「じゃあ、レーヌから相談させてもらうのらね」

 

しのぎ「レーヌちゃん⁉」

 

あひる「へぇ、レーヌの方から切り出すとは意外だった」

 

   「オメーけっこう度胸あるんだな?」

 

ばにら(うぇ? なんか予想外だな?)

 

   (レーヌちゃん、しのぎに反発してばっかりで)

 

   (あんまりVTuber活動に前のめりじゃないのだとばかり……)

 

りんご「ばにらちゃん、ばにらちゃん(小声)」

 

   「ちょっとさりげなく、しのぎちゃんのフォローに入ってあげて」

 

ばにら「りんごパイセン?」

 

りんご「たぶん、レーヌちゃんは本気でぶっちゃけると思う(小声)」

 

   「後輩から責められるのって、地味にしんどいからさ」

 

   「こういう時、同期が助けてあげないと」

 

 

   「よろしく頼むね。信じてるよ、ばにらちゃん」

 

 

ばにら(相変わらず、この人はよく周りのことを見てる)

 

   (ほんと、配信での変態行為さえなければ)

 

   (素直に尊敬することができる先輩なのになぁ……!)

 

 

レーヌ「せっかく大変なオーディションを受けて」

 

   「DStarsに入ったのらよ」

 

   「四期生の応募者は二百人近くいて」

 

   「その中から抜きん出るのは大変だったのらね」

 

 

   「それは、DStarsっていう箱がとても力を持っていて」

 

   「今最も注目されているからってことだと思ってる」

 

 

ゆ き「まあ、その認識で間違いないよ」

 

   「運や巡り合わせもあるだろうけどな」

 

ちまき「そうだね。正直、ちまきたちだけだったら」

 

   「まだ中小VTuber事務所ってことで」

 

   「だいさんじやデジスポさんと肩を並べられるレベルには」

 

   「至らなかったと思ってるわ」

 

 

あひる「やけに二人とも自虐的じゃん!」

 

   「そんなことないでしょ! ちまきもゆきちも頑張ったから!」

 

   「だからこうしてDStarsも大きくなってきた!」

 

 

ゆ き「そんな簡単なものじゃないって、あひるも分かってるだろ?」

 

   「アイドルってのはさ、()()()()()()()()()仕事じゃないのさ」

 

ちまき「理不尽に理不尽を重ねがけしたような茨の道」

 

   「その先にあるステージに立って、ようやく気がつくんだよ」

 

 

   「()()()()()()()()()()()()()

 

 

   「それでも、本物に限りなく近づくことはできる」

 

   「アイドルだって自分を鼓舞して演じることもできる」

 

   「大半の人間は、そうやってなんとか毎日頑張ってるのが現状よ」

 

 

   「まあ、あひるもどっちかっていうと」

 

   「私たちとは違う側だから、この感覚はよく分からないか」

 

 

あひる「そんなことないって! あひるも二人と同じグワッ!」

 

   「いつだって、自分に足りないところがあるって不安で――!」

 

りんご「あひるちゃん、そういうことじゃないんだよ」

 

   「これはね、()()()()()()()()()()()()()の話なんだ」

 

 

   「なにもしなくてもどうしようもなく人を惹きつけてしまう」

 

   「まるで魔法のようなもの――」

 

 

   「アイドルとしての()()()()()()()()()()()()()

 

   「それは、努力で補えるものじゃないんだよ?」

 

 

あひる「わかんない! そんなことないじゃん!」

 

   「みんな頑張ってるじゃん! 頑張ってVTuberやってるじゃん!」

 

   「それが才能って言葉で片づけられるのは、絶対におかしいよ!」

 

 

レーヌ「あひるちゃ先輩は優しいのらね」

 

   「けど、レーヌはそれはあると信じてるのら」

 

 

   「なにもしなくても、誰かから愛されてしまう」

 

   「そういう素質がある人間がこの世界にはいて」

 

   「それを持っているのといないのとで全然違ってくる」

 

   「アイドルをやるのに必要な絶対的資質――」

 

 

   「それを、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

   

しのぎ「ちょっ、ちょっ、ちょっ! ちょっと待つ太郎!」

 

   「レーヌちゃん、その奇跡の世代って! もしかしなくても!」

 

ばにら「そうバニよ! ちょっとそれはいくらなんでも考えすぎ!」

 

 

レーヌ「しのぎちゃ先輩たちDStars三期生!」

 

   「黄金の世代と呼ばれているメンバーなのらね!」

 

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

僕もこうして本を何冊か出させていただいている人間ですが、自分が本物か偽物かみたいなのは、よくよく考えさせられます。もちろん、作品の質で殴れというのはありますが、この情報が飽和したご時世で「この人の作品は面白い」と思われる&推されることって、けっこうバカにできないものだなぁと。

 

そういう残酷さをしっかりとレーヌちゃんは感じていて、だからこそモヤモヤとしたものを抱えていた。一方で、持っている本人たちはそのことに無自覚で。

 

そりゃ、拗れるってもんですよ。

 

次回、レーヌちゃんの切なる思いが、しのぎとばにらにぶつけられる。持たざる者だと自分を思っている彼女の、鋭い言葉が三期生を襲う。ちょっと辛い展開にはなってまいりましたが、今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。m(__)m

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