VTuberなんだけど百合営業することになった。   作:kattern@GCN文庫5/20新刊

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第9話 【突発コラボ】ずんばにスーパーマリオ併走!(後編)

「それじゃばにらちゃん、どれで勝負する~?」

 

「それはもちろん! やっぱりファミコンと言えばアレでございますよ!」

 

「アレって~? もしかして――アイスクライマ~?」

 

「違うわ! そんなマニアックなゲーム、誰も知らないバニよ!」

 

「なんでぇ! ポポくんとナナちゃん、スマブラ出てるじゃない!」

 

「出てますけど! そうじゃなくてですね! ほら任天堂と言えば!」

 

「任天堂と言えば~?」

 

「やっぱり世界の『マリオ』でございますよ!」

 

「あ、マリオね~!」

 

「というわけで! 今日はずんだ先輩と『スーパーマリオブラザーズ』の併走対決をやっていこうと思うバニ!」

 

 ルールは簡単。

 1時間でどちらが先までステージを進めることができるか。

 

 禁止事項は「どこでもセーブ」以外に特になし。

 ワープあり。鳩(リスナーがコメントで対戦相手の進捗を報告すること)あり。煽りあり。なんでもあり。

 

 とにかく1時間後に先の面にいた方が勝ちとした。

 

 実にシンプルな併走勝負。

 お互いのゲームの腕前&知識が勝敗を決する、ゲーム配信系VTuberらしいコラボだ。当然、私のファンもずんだ先輩のファンも喜んでくれた。

 

 ただし――。

 

「ちなみに、ばにらちゃんは『マリオ』はやったことあるん?」

 

「前に『ワープなし』の『どこでもセーブ』ありで、『全クリ配信』したことがあるバニです。それ以外では、これが2回目バニな」

 

「あらあら~? じゃあ、『マリオ初心者』ということですねぇ~?」

 

「なんバニか『マリオ初心者』って」

 

「ちなみにずんだは『マリオ』は初代から64まで、最低3回はクリアしてるでな。これは初心者のばにらちゃんにハンデが必要かしらぁ~?」

 

「煽ってくるバニなぁ! 大丈夫バニ!」

 

「けどばにらちゃんの『全クリ配信』て、10時間くらいかかってなかった?」

 

「配信ちゃっかり見てるんじゃねーですか! そうバニよ! 悪かったバニか! レトロゲーみたいなアクションは、苦手なんだバニ!」

 

 そう。

 

 実はレトロなアクションゲームを私はあまりやったことがない。

 ゲーム配信系VTuberだが、やるのは最新のゲームがメインなのだ。

 レトロゲーもするけれど、主にRPGしか触れてこなかった。

 

 なによりミニファミコンに触るのがこれがはじめて。

 小さなこのコントローラーではたしてうまくプレイできるだろうか。

 

 つまり――この勝負は私にとって圧倒的アウェー!

 

「まぁ、ハンデが要らないって言うなら、ずんだは別に構いませんけどぉ~!」

 

「余裕バニな、ずんだ先輩! 絶対にキャンて鳴かしてやるバニ!」

 

「鳴くのはいったいどっちバニかねぇ~♪ それじゃあ、リスナーのみんなも待ってることだし、そろそろはじめよっか!」

 

「バニ! それではそれでは! ずんばに『スーパーマリオ』併走、開始バニ!」

 

 私とずんだ先輩はDiscordのボイスチャットを切った。

 

「言ってくれたバニなあのワンころ! ばにらがレトロゲー苦手だって分かってて、煽ってくるなんて! 下剋上するから、みんな見ててくれバニ!」

 

「強がっちゃってまぁ、かわいいですねぇ、ばにらちゃんてば。まぁ、金盾配信でずんだが救ってあげたんだから、泣かせちゃってもいいよね!」

 

「「絶対に勝つ!!!!」」

 

 通信が切れた瞬間に相手をディスるのも忘れない。

 併走配信の様式美だ。

 

 まぁ、背後にいるんですけれど。

 お互いに丸聞こえなんですけれど。

 

 かくして、リスナーたちをしっかり焚きつけて私たちは併走配信を開始した。

 

 まずはステージ「1-1」。

 ここはチュートリアルステージだ、あぶなげなくクリア――。

 

「でゅあああ! てめぇクリボー! 邪魔だぁ!」

 

(……あ、言ってる傍から死んでるバニな)

 

 と思ったのに、いきなりずんだ先輩の悲鳴が響く。

 

 レトロゲーが得意なずんだ先輩が「1-1」で苦戦するはずがない。

 きっとコラボのことを考えてあえてミスったのだろう。おそるおそる後ろを振り返ると――青い顔をしてずんだ先輩が固まっていた。

 

「嘘でしょ。ミニファミコンのコントローラー小さすぎじゃない」

 

 マイクに拾われないように小声で悪態を吐くずんだ先輩。

 

 あ、これ、ガチで失敗した奴だ。

 

 どうやらずんだ先輩もミニファミコンでの「スーパーマリオ」ははじめてらしい。

 プレイする環境が変わればゲームの難易度も変わってくる。

 

(これはもしかしてワンチャンある?)

 

 希望を抱いた矢先――私もジャンプのタイミングをミスって、穴に落下した。

 

 仲良くふたり揃って「1-1」でゲームオーバー。

 なんとなくだがレトロゲー併走コラボは泥仕合になりそうだった。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 はたして「川崎ばにら」と「青葉ずんだ」のどちらが勝つのか? どうやって勝つのか? 気になる方はどうか評価お願いいたします。m(__)m
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