TSヤンデレ死に戻り少女はニコ・ロビンと共に在りたい   作:あるがまま

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まだヤンデレじゃないです。
死を重ねて病んでいく予定です。


プロローグ

 

 

 

 

 

 

 

 「嘘だろ・・・・・・なぁ、生きてるんだろ、起きてくれよ・・・・・・」

 

 流れ出た血は乾いた地面が吸収した、後に残ったのは一人の少女の遺体だけ、物言わぬ骸が転がっていた。

 横たわる少女は既に息をしていない、それでも呼びかける。

 信じられないんだ、死んでしまうなんて。

 

 「一緒にこの島を出て美味いもの食べるって約束したじゃないか・・・・・・起きろ、起きろよロビン・・・・・」

 

 銃弾に貫かれた頭、穴が空いた頭蓋骨、目に浮かぶ涙、それら全てがニコ・ロビンの死を象徴していた。

 それに耐えられるほど俺の心は強くなかった。ただただその場に膝をつき、時間だけが過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なぁクローバー博士、この果実の名前がなんだか教えてくれないか?」

 

 西の海(イーストブルー)に位置する小さな島、オハラの中心に聳え立つ全知の樹の内部、数えきれない程の本に囲まれたその場所にて俺は丸い果実を手に持っていた。

 

 「それの名前はみかんと言う、目にするのは初めてか?この島じゃ育ててない貴重品なのだからよく味わって食うといい」

 

 「そう、俺の手の平の上にあるこの果実はみかんだ。間違いなくみかんであって俺が目にするのは初めてだ。にもかかわらず博士に聞く前から、俺はこれがみかんであると認識していたんだよ」

 

 生まれた時からこの身に付き纏う違和感があった。

 誰にも教えられていないのに、本で読んだわけでもないのに、初めて見る物体の名称や使い方がわかったことがある。

 既視感があると言った方がいいだろうか。

 一度や二度だったら『以前に聞いたのを忘れていたのかな?』「実は昔見たことがあるのでは?』と言えただろう。

 しかし何度も何度も同じことが繰り返されれば、物忘れじゃすまなくなってしまう。

 

 「前世の記憶の話か?」

 

 先程ロビンが受けた博士号試験、その採点をしながらクローバー博士は問いかけた。

 そう、俺は自らに前世の記憶はあると思っている。

 なんともバカバカしく滑稽な話だ、俺自身他の誰かがそんなことを言っていたのなら信じようともしなかっただろう。

 

 「八つという年に見合わない計算能力、異様な既視感、そして時折脳裏に映し出される映像、どれもこれもオレに前世の記憶があるとするならば説明がつく。むしろそれ以外ありえない。ま、計算能力なんて言ってもロビンの足元にも及ばないんだけどな」

 

 ちょっと自虐を挟みつつみかんの皮を剥く。

 うまくいかない、ペリペリ上手に剥げない。

 

 「人が死んだ後どうなるかというのは学者の間でも意見が分かれている。

 死んだ人の魂は黄泉の国へ向かうと言う考え、向かう先は無だという考え、そもそも人に魂などないという考え、様々なものがある。

 勿論生まれ変わるという説もあるが・・・・・・わしは否定派だ。

 悪いが一切実例が存在しない説など信じられるわけがない。

 やはり図鑑で見たことを忘れていたというのが有力じゃないか?」

 

 生まれ変わり、それを肯定するには数多くの障害を突破しなければならない。

 全ての人が生まれ変わるのか一部の人間だけなのか、では魚人が生まれ変わって人間になることはあるのか。

 何故俺は断片的な記憶を保持しているのか。

 今ままで誰も前世の記憶の実在を証明できなかったのは何故なのか。

 その他多くの矛盾と疑問が存在する。

 

 「・・・・・・まぁ学者としては実例がないとな。完全に俺の頭がおかしいだけであってその考えが普通、そりゃそうだ。でもそれじゃあ『映像』のことが説明できないんだよな・・・・」

 

 映像、それは時折脳内に溢れ出すナニカ。

 白衣を着た女性が俺を見ながら悲しそうな顔をしている映像、『何故こんなことに』『突然の事故だったそうだ』などなどの言葉も聞こえて来る。

 高い高い塔の中で外を見下ろす映像、『スカイツリー』『旅行』などの言葉。

 野原の中心で周りを見渡す映像、『ピクニック』「サンドイッチ』などの言葉が聞こえて来る。声の主はおそらく母親だろう。

 

 博士は映像は脳が作り出した夢のようなものではないかと言った、これほど鮮明な映像が夢であってたまるかとオレは思うのだが、こればかりは実際に映像を見てみないと実感できない。

 あの映像を見ればわかる、わかってしまう、これが記憶なのだと言うことを。

 

 だから僕はこれを記憶だと捉えた。

 映像から考えるに何かしらの事故にあった前世の俺は、記憶の一部を引き継いだまま生まれ変わったのだというのが仮説であり主張だ。

 でもそんなこと誰も信じてくれなかった、当たり前だ。

 そんなこと信じる方がどうかしてる、クローバー博士は何も悪くない。

 むしろ八歳の子供に対して適当にあしらわずに真剣に向き合ってくれたんだ、それだけで俺は嬉しかったんだ。

 それでも時々この話をしてしまうのは、心の何処かで信じて欲しいと願っているのだろうか。

 目に見える証拠もなしに信じてもらおうなんて、とても烏滸がましいとは思うのだけれど。

   

 

 

 ───────私は信じる、馬鹿になんてしない

 

 

 

 脳裏に思い起こされるは親友の姿、ただ一人俺のことを信じてくれたんだ少女の姿。

 悪魔の実のせいで虐められてるロビンと、とある事情のせいで輪に入れず排他された俺。

 傷の舐め合いかもしれないが、俺とロビンの間にある友情は真実であると信じている。

 

 「っと採点が終わったぞ。やはりオルビアの血か・・・・・・・・・まさか満点で合格するとはな」

 

 「血統ねぇ」

 

 至極どうでもいい話だが、俺は血統という言葉にあまりいい印象を抱いていない。

 その理由は俺の生まれと血統に起因する。

 海賊の娘、それが多くの島民が俺に抱く印象。

 この大海賊時代において海賊というのはそれだけで嫌われる要因になりうる、勿論その家族も同様だ。

 賞金をもかけられるほどの海賊の家族、それ故に俺はこの島で肩身が狭い。

 まだ両親が海賊として名を馳せる前、つまり娘一人を残して島を離れた時に俺はとある一家に預けられた。

 ただ旅行に行くといって旅立った両親はいつしか海賊になっていた、理由も経緯も何もわからぬまま。

 結果として預けられた家庭に俺の居場所はなくなった、最悪だ。

 と言ってもその家族は、行き場所のない十にも満たないガキを見捨てるほどスバラシイ人間性をしていなかったらしく、今も家事雑用その他仕事の全てを一手に引き受けるだ代わりに俺は一日一食くらいは飯を食わしてもらっている。

 扱いこそ悪いしものの、同じ島民の縁でメシ喰わせてくれたことは感謝してるという次第だ。

 この島は大海賊時代にしてはかなり平和なので、追い出されてもある程度の年齢までは食いっぱぐれることはないだろうとは思うのだけれど、それでも恩は恩だ。

 まぁどう考えても一日一食じゃ腹が減るので、森や浜辺で食料調達したりクローバー博士の飯を分けてもらったりしてるわけだが。

 

 

 『海賊の血を引いてるからきっとあいつも危険人物だ』血統なんてもののせいで一括りにされちゃたまったもんじゃない。

 そして母親が素晴らしい才能の持ち主というだけで、ロビンの努力が血統で片付けられるのもそれはそれで気に食わない。

 確かに俺がロビンと同じだけの勉強をしたとしても、あそこまで優秀にはなれやしないだろう、その点ではロビンには大きな才能があることは事実だ。

 クローバー博士もロビンの努力は知っているはずだ。

 だからこれは俺の勝手な感傷、ほんのちょっとのモヤモヤだ。

 

 「ひいては明日来るロビンを祝うサプライズでもしようかと思うのだが、アリスも参加するか?ケーキもあるぞ?」

 

 「ケーキは魅力的だけど明日は無理。うちの裏側にある倉庫を補修しないといけないんでね。かなり時間かかりそうだしそっちに顔出してる暇はなさそうだ」

 

 一昨日の話だ、俺が居候している家の倉庫の壁に穴が空いた。

 そこで居候の俺が修復作業をすることになったわけだ。

 小遣い稼ぎに島の建築作業に関わってきたため、そこそこの修復技術が俺にはある。

 幸運なことにそこの大工の長は海賊の娘だろうと労力になるなら偏見なく使う人間だった、そうでなきゃ働かせてもらえるはずがない。

 そのおかげで本職には及ばないがまあまあの出来に仕上げることが可能となった。

 節約のためとはいうがどうせこれからも住む家に倉庫なんだから、多少金かかっても本職の大工に頼めばいいのにと思ったのはナイショの話。

 木材と釘を買ってきて板を張り付けて腐った板を撤去して、色々考えるとかなり大変な作業になりそうだとため息をつく。

 

 「残念じゃな・・・・・・ロビンが考古学者になる特別な日、そこにアリスも立ち会って欲しかったのだが家の用事ともなれば仕方がない。後で別途で祝ってくれんか?」

 

 「勿論、これでもかってくらい祝って褒めるさ。コツコツ貯めた金でプレゼントでも買うよ。いや、その金使って二人で美味いメシ食いに行くのもいいかもな・・・・・・よし!なんか食いに行くか」

 

 大工の手伝い、島に立ち寄った商人の手伝い、色んなことをして稼いできた。

 もちろん違法行為は一つもしてないし、ロビンに失望されたくないから良心が痛む行為もしていない。

 だけれども俺の手先が器用でもガキの身分と労力で得られる金はそう多くはない。

 それでもここ二年でそこそこの額は溜まった。

 何に使うかはまだ決まってないのだけれど、どうせならロビンのために使いたい。

 俺の心を救ってくれたロビンのために、俺と一緒にいてくれるロビンのために。

 

 「一食二人分、そのくらいの金ならわしが小遣いとして出してもいいぞ?」

 

 「気持ちはありがたいけど遠慮しとく、あくまでこれは俺からのお祝いなんだ。というわけで俺は俺は稼いだ金で気持ちよく奢ってくるとするよ」

 

 何を食べに行くのかはまだ決まっていない、というより決められない。

 今回の主役はロビンなんだから何を食べるかは当然ロビンが決めるべきだ、ロビンが食べたいものを俺も一緒に食べるんだ。

 そんなことを考えながら壁にかかった時計を見ると、想像以上に遅い時間になっていた。

 恐らく外はもう暗くなっているだろう。

 

 「っと俺はそろそろ帰るよ、あんまり遅いと家の鍵が閉まって入れなくなる」

 

 「おお、もうそんな時間か。ならわしもそろそろ夕飯を作るとしよう。実は夜通し研究してるうちの学者が鍋を希望しててな、今夜はキャベツ鍋なんじゃ」

 

 「いいじゃん美味そう、余ってたら明日食わせて・・・・・・そういえば明日は来れないんだった。残念」

 

 この間編んだ手持ちの鞄に借りている本を入れて立ち上がる。

 クローバー博士に別れの挨拶をして部屋を出ながら、俺はこの間森で手に入れた果実について考えていた。

 

 

 ─────悪魔の実。

 

 

 普段緑色の果実しか育たない木にぶら下がっていた渦巻模様の果実、間違いなく悪魔の実だ。

 図鑑にこそ載っていなかったが、あの特徴は悪魔の実で相違ないだろう。

 食べれば悪魔の力の持ち主として今以上に迫害されるだろうが、クローバー博士やロビンは今まで通り接してくれるはずだ。

 石を投げてくる島のガキへの対抗手段も手に入る。

 それにここ二年で得たサバイバル技術を持ってすれば、もし家から追い出されても森の中で生きていくことが可能。

 だがこれを食べればカナヅチになる、将来的に海へ出ようとしている俺にとってはかなりの痛手だ。

 

 「食うか、食わないか」

 

 まだ、俺は迷っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はオリ主の簡単な紹介です
ロビンは次回から出ます
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