僕はブローカー   作:サバ缶DX

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01 悪役は暗い所がお好き

私は自室で読書をするのが好きだ。自室という閉め切られた空間は外の事を考えさせなくしてくれて本という一つの世界に没頭出来るからね。

 

 

でも、読書しているとどうしても思うことがある。漫画や小説に出てくる悪役はどうして廃墟や地下といった暗そうな場所を選ぶのだろうかって。もちろん、全ての悪役が同じことをしているわけではないし、警察や正義の味方に足跡を残すわけにいかないのは分かっている。だが、もう少し日常というべきなのだろうか?一般人の生活を装いカモフラージュをするべきではないのかと常々思う。

 

 

1番の理想としてはJ○J○の第四部のラスボスである吉良◯影だと考える。もちろん、彼の能力が犯罪に適していたからでもあるが、彼のように日常に溶け込みながら犯行をすることによってどっかの幽霊少女が主人公らに告げ口するまで完全犯罪ができた。さすがに、幽霊のようなスピリチュアルな存在はどうしようもないから彼は運が悪かったとしか言いようがない。

 

 

今読んでる少年漫画も何故か悪役は廃墟のような場所に住んでいて、妙な噂が囁かれている始末である。戸籍の一つや二つ偽装してちゃんとした家に住めば良いのに。そんな野暮なことを考えている中、扉を叩く音によって現実に引き戻されてしまった。

 

 

「どうぞー」

 

 

私の返事とほぼ同時に愛しい娘がスマホと教科書を両手に抱えながら入ってきた。娘には私のスマホで動画を視聴させながら勉強させていたので何か質問したいのだろうかと考えていたがどうやら違ったらしい。どうやら私のスマホに着信が入ったらしく急いで届けにきてくれたのだ。我が娘ながら思いやりのある娘に育ってくれて非常に嬉しい

 

 

「ありがとう」

 

 

感謝を述べながら軽く頭を撫でると娘は少し照れながら急足で部屋から出て行ってしまった。去り際に尻尾が上がっていたのできっと喜んでいたのだろう。

もう少し、娘について思いに浸りたいがさすがに電話の主を待たせるわけにはいかないと、通話ボタンに触れる。

 

 

「もしもし」

 

 

「やあやあドクター。新しい個性の調子はどうだい?」

 

 

「やめてくれ、あなたにその名で呼ばれると氏子先生と呼び方が被ってしまうし、そう呼ばれると歯痒くなる。それにあなたとは対等でいたいんだ。私の名前を呼んで欲しい。」

 

 

自分で言っておきながら少し照れ臭くなり頭を掻いてしまう。

 

 

「悪かったねチギリ、それでこの前僕が与えた個性の調子はどうだい?」

 

 

そういわれて、数週間前に貰った個性について思い出す。

事前に弱個性と言われていたのでさほど期待していなかったが使ってみると案外使いやすく日常生活面においてとても活躍してくれている。

 

 

「えぇ、あなたがくれた個性はとても使い勝手が良く重宝してますよ」

 

 

電話越しに相手は嬉しそうな声が漏れている

 

 

「それは良かった…それじゃあ本題に入るんだがいいかな?」

 

 

「少し待ってくださいね」

 

やっと本題かと思いながら引き出しに入れてあるメモ帳とペンを取り出す。適当なページを開き書ける準備をし終える。

 

 

「大丈夫です、どうぞ」

 

 

「実はね…数年前から僕は先生として教え子に色んなことを教えていたんだ」

 

 

「へぇ…」

 

 

思わず驚いてしまった。だってこの人が教え子を持っていたなんて知らなかったし。なによりこの人はほとんどの人を自分の道具としか考えていないはずなのに教えるなんて行動をすることができるのに素直に驚いてしまった。

 

 

「それでね、僕はその教え子…死柄木 弔っていうんだけどその子に宿題を与えたんだ、かの有名な雄英高校の襲撃っていう宿題をね」

 

 

「それで?私は何をすればいいんです?」

 

 

ペンの色を変えてページを新しくする。

 

 

「簡単なことだよ、弔の宿題を手伝って欲しい」

 

 

「は?」

 

 

普通、宿題ってのは学生が一人でやるもんじゃないのかな?いや、学生時代夏休みの宿題が最終日まで終わらなかった時は友人に半分くらいは移させてもらったし一概に一人でやるわけではないか。でも、大の大人に手伝わせるのはどうなのかな?

 

 

「僕の予想だとね弔は雄英の襲撃に失敗すると思うんだ、僕もできる限りのサポートをするつもりなんだけどそれでも失敗すると思う。別に僕は失敗しても構わないんだ、重要なのはそれから何を得て何を学ぶかだと考えているからね。成功率を上げるためってのもあるけど、君の姿を通して弔に新しい学びの機会を与えたいんだ」

 

 

この人の言いたいことがわかってきた気がする。

 

 

「もしかして、私を弔くんの講師にさせようとしていません?」

 

 

「まぁ簡単に言えばそうだね、どうだい?引き受けてくれるかな?」

 

 

別に断る理由なんてない、本業に差し支えなければ問題なんてないし。

なにより、こんな面白いイベント(雄英襲撃)逃したら損でしかない。

 

 

「いいですよ、悪の帝王の教え子の講師になれるなんて身に余る光栄だ。彼の現在の課題や今まで行ってきた事について詳しく教えていただいても?」

 

 

「勿論だとも。まず彼は精神が年齢に対して幼いのが現在の課題なんだがね…」

 

 

そう言い、個性といった基礎的な所から細かい情報までを彼は端的にわかりやすく教えてくれた。ものの十分で全てを言い終え軽く雑談をした後に〆に入る。

 

 

「君だからこそ頼める仕事だ。頼んだよ」

 

 

「期待以上の成果を出して見せますよ、AFO(オールフォーワン)

 

 

電話越しだが、満面の笑みを浮かべる。

 

 

「それで?いつから私はそっちに行けばいいんです?」

 

 

それまでに、必要な物資や人材といった物を揃えなくてはいけない。最悪、娘の力も借りなくてはならないと考えながら私はドアノブに手をかけ部屋を出ようとする。

 

 

「あぁ、今すぐだよ」

 

 

「は?」

 

 

あまりにも急すぎる。そう思いながらも扉を開けた時、私は黒いモヤに包まれていた。

 

 

部屋には蝋燭の火だけが唯一の光として残っていた




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次回くらいには本格的にアークナイツ要素を出したいな…
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