メキシコ上空…
そこに一隻の母艦がいた。
外見は米海軍の原子力空母の様な飛行甲板に右舷に航空管制用の
全長400m以上ある艦体に四つの
艦首下部には
その艦橋の中央に位置する司令官用の席にS.O.N.G以外の国連直轄組織、【国連独立特殊作戦機動部隊】…通称【UNISOM】司令官ゲイリー・H・オーツが鎮座していた。
その隣に白衣を着た科学者風の男性…カルマ・フォン・ホーエンハイム(通称ドクトル)が立っている。
そしてその後ろには白衣を着た科学者の一団がパソコンを操作しながら地上で起きている戦いの様子を分析していた。
「GR-5のエネルギーゲイン上昇、本格的に稼働しています。」
「カンザス及びアインヘリヤルのフォニックゲイン、GR-5の稼働と比例するように急上昇しています。」
「とうとうGR-5を動かしたか…ドクトル、S.O.N.G側の勝ち目は?」
「…正直言って厳しいでしょう。オペレーター相手なら彼女らが有利ですが、GR相手だと威力不足は否めません。」
「という事は、やはり?」
「ええ、目には目を、歯には歯を、装者には装者を…そして、GRにはGRを。」
ドクトルの言葉にオーツ司令が頷くと、指示を出す。
「現時刻を持って我らUNISOMも介入する!GR投下準備!」
「了解!テキサス及びディーは出撃準備に入れ!」
司令の指示にオペレーターは答え、待機しているテキサスとディーに出撃命令を下す。
その頃、艦内の一室にて待機しているハンチング帽を被った男…【テキサス】とアルビノの少女…【ディー】が出撃命令を受け立ち上がる。
「ようやく出番か……行くぞ、ディー。」
「…うん、分かった。」
2人は部屋を出ると、格納庫へと向かう。
艦中央部にある格納庫には多数の作業員が作業用アームを駆使してある物を整備している。
それは約30mの黒い堅牢なボディと頭部に2本の角を持ち、背部に大型バックパックを搭載したロボット……否、GRである。
黒いGRの整備が完了した段階でテキサスとディーが格納庫に入ってくる。
「よぉ、ブラックオックスの様子はどうだ?」
「あっ、テキサス中佐。ブラックオックスはリアクター、フレーム、武装及びアバター共に異常無し。いつでも出撃出来ます。」
「そうかそうか。なら行くぞ。」
テキサスは両腕を
すると彼女の身体が光に包まれ白のインナーに軽鎧ようなプロテクター、頭部にヘッドホンとバイザーを装備した特殊装束……シンフォギアを身に纏う。
彼女のシンフォギアはS.O.N.G側と比べてプロテクターが多く、脚部のイオノクラフトで浮遊する
テキサスとディーが武装を纏った頃を皮切りに格納庫内が慌ただしくなる。
『これより【GR-OX-01 ブラックオックス】の投下準備に入る!格納庫内にいる作業員は直ちに退避せよ!』
艦内放送に従い、作業員達は格納庫の外へと退避していく。
全作業員の退避が完了すると、作業用アームも折り畳まれ収納されていく。
『全作業員の退避及び作業用アームの収容完了!ゲート開放始め!』
次の瞬間、格納庫の床が左右に開き、気圧差によって格納庫内に風が吹き荒れたと同時に外の景色が見える。
するとブラックオックスの全身を固定していた大型アームが競り下がる。
その間にテキサスとディーはブラックオックスに掴まり、投下準備が整う。
「GRオペレーターテキサス、ブラックオックス…出る!」
テキサスの掛け声と共に大型アームが外され、重力に従いブラックオックスは落下した。
ある程度落下すると大型バックパックから大型パラシュートが開かれ、機体内部にある慣性制御装置を用いながら降下する………
その頃地上では、GROのオペレーター【カンザス】が遂にGR-5を繰り出し、戦いは第二ラウンドに突入した。
GR-5は装者達を見据えると、ズンズンと近づく。
「立花、雪音は私と元にGR-5を!マリア達はカンザスとその他の軍勢を頼む!」
「分かったわ!」
「響、気を付けて!」
「うん、分かった!」
装者達は二手に分かれ、響・翼・クリスがGR-5を、マリア・切歌・調・未来がカンザス&アインヘリヤルを相手する。
向かってくる響・翼・クリスを見据えたGR-5は彼女ら目掛けて右腕を振り下ろす。
「タァァァッ‼︎」
響は両肩に生えた黄金の巨腕を突き出し、双方の拳がぶつかり合う。
アマルガム第二形態【イマージュ】が攻撃特化の為、GR-5の巨腕と互角にせめぎ合い、隙が生まれる。
「もらったァ‼︎」
その隙を見逃さず、クリスが12基の大型ミサイルを展開し発射する。
ーーー『MEGA DETH INFINITY』
発射された大型ミサイルはGR-5目掛けて飛んでいき、全弾命中する。
GR-5にダメージは無いが続けて翼が仕掛ける。
空中に投擲したアームドギアを巨大化させ、それをGR-5に向けて蹴り抜く。
「ハァァァッ‼︎」
ーーー『天ノ逆鱗』
迫ってくる大剣に対しGR-5は避ける様子はなく、真正面から迎え撃つ。
やがて大剣は胸部に命中するも身動ぎ起こすことなく耐える。
するとGR-5の腰の突起物…『ティタノ・ランサー』が伸び、大剣を串刺しにして破壊する。
「何ッ⁉︎」
翼が驚いた隙をつき、GR-5が翼を捕まえようと腕を伸ばす。
翼は間一髪で避け、そのままGR-5の腕を走り頭部に肉薄する。
彼女は二刀を連結させ、青い炎を纏ったアームドギアを回転させた一閃をGR-5の頭部に与えた。
ーーー『風輪火斬・月煌』
翼の一閃をモロに喰らったGR-5だが、これといったダメージは無い。
するとGR-5の頭部の角から稲妻が迸る。
「ッ!まずい!離れろ!」
翼の切羽詰まった呼びかけにより、GR-5から距離を取る翼達3人。
次の瞬間、GR-5は両拳を打ち付けて頭部の角から強力な電撃…『グランド・サンダー』を周囲に放った。
強力な電撃によって周囲一帯が破壊される中、装者3人は辛うじて回避に成功する。
「くっ、強い…!」
「あれだけ攻撃受けても無傷とか…頑丈にも程があんだろ⁉︎」
「立花!雪音!こうなれば一斉攻撃で蹴りをつけるぞ!」
翼の言葉に従い、3人は攻撃準備に入る。
するとGR-5は両脚に内蔵された装置を起動、その機体の周囲から強力な振動波…『アース・クエイク』が放たれ辺り一面の地面が隆起する程破壊された。
「「「きゃああああああ‼︎」」」
アース・クエイクによって大きく吹っ飛ばされる装者3人。
吹っ飛ばされながらも何とか体勢を立て直すが、GR-5は装者3人目指してズンズン進む。
現時点で装者側が圧倒的に不利なのは明白だった。
一方、マリア達とカンザス&アインヘリヤルとの戦いも熾烈を極めていた。
マリアがカンザスを、調が格闘型、切歌が剣術型、未来が射撃型のサイボーグ部隊を相手取る。
「ほぅ、私の相手は君か。」
「これ以上貴方の好きにさせないわ!」
マリアはアームドギアを構え、カンザスに対峙する。
対するカンザスも
対するマリアは左腕の籠手から引き抜いた小太刀を周囲に展開し、カンザスに向けて放つ。
ーーー『INFINITE†CRIME』
放たれた小太刀はそのまま真っ直ぐ飛んでいき、複数の小太刀が盾に当たると次々と爆発していき、それにもかかわらずカンザスは突進を続ける。
6枚の盾によって造られた壁をマリアは何とか避けると同時に、カンザスの盾の特性を理解する。
(あの盾…アームドギアが命中した途端に爆発したという事は
マリアはアームドギアを構え、突進してくるカンザスを迎え撃つ。
カンザスはそのまま突進し壁はマリアに接触するが、爆発はしない。
なんと盾と盾の隙間にアームドギアを捩じ込み、爆発を回避すると同時に勢いよくこじ開ける事でカンザスを怯ませる事に成功する。
その隙を見逃さず、マリアはアームドギアを振い切り掛かる。
対するカンザスも両手のマチェーテを振るう事で応戦するが、マリアの剣捌きの方が一枚上手であり背中から伸びているアームを2本叩き斬った。
「なんと…!中々やるな……!」
アームが斬られた事に少し驚くカンザスだが、彼は余裕の態度を崩さない。
すると斬られたアームから新しいアームが生えるように再生し、盾も再生が完了する。
そんなカンザスは彼女の戦いぶりを拍手を交えながら讃えた。
「いやいや、ここまでやるとは……私が育てたキエフに負けず劣らずの戦いぶりだな。」
カンザスの言葉にマリアはピクリと反応する。
「育てた…?」
「知らないのも無理はない。あれは私が元上官からの誘いで組織に入った時の事だ。組織に入ったばかりの私に与えられた仕事はGR-3のオペレーターを戦えるようにしろとの事。キエフの装者としての適正は群を抜いて高く、フォニックゲインを共鳴させてGRを制御する事が可能な程だ。だが性格面が戦闘向きではなく、シンフォギアを戦いに用いる事に抵抗を覚えていた為、早急に対処する必要があった。そこで私はある
「戦闘訓練…?」
「そう、30人程の元ゲリラやテロリストを集めキエフを殺すよう命じた。無論、殺せば今までの罪は不問とし恩赦を与えるという条件でな。」
「…何ですって⁉︎」
「当然ゲリラ共はキエフに襲い掛かった。案の定シンフォギアの前では手も足も出なかったが、キエフ戦わず健気にも説得を続けた。その甲斐あってかゲリラの1人が銃を下ろした……と同時に首から爆発した。」
「………は?」
「実のところゲリラ共の首には首輪型の爆弾が取り付けてあってな、彼女の説得に耳を貸すもしくは制限時間内に彼女を殺せなかった時爆発するようセットしておいた。お陰でゲリラ共は死に物狂いで彼女を殺そうとしたが…結局殺せず、全員まとめてドーンと消し飛んだって訳だ。」
カンザスは指で首を切るジェスチャーをしながら、当時の状況を説明した。
唖然とするマリアを他所に彼は説明を続ける。
「この訓練の目的は彼女……否、全ての人間に備わっている残虐性と闘争心を呼び覚まし、純粋無垢な少女を残虐な
「貴方って人は…!」
「まぁそんな有様だから戦闘訓練は遅々として進まなかった。故にF.I.Sからくすねた強化薬物【P30】を投与し彼女を
「酷い…!」
「セレナは
「…この腐れハゲ!」
未来、切歌、調がカンザスの所業を非難するが、彼にとっては何処吹く風のようでこう言い放つ。
「…重ねて言うが、戦争のモチベーションは人間が元来持つ残虐性……つまり人間の本質によって齎される。私は彼女の中にある残虐性を引き出し、人間の本質において純粋な存在に生まれ変わらせたのだ!最早彼女は君が思うようなシンフォギアという素晴らしい力を行使する事に抵抗を覚える甘いガキでは無い!」
カンザスの言葉にマリアの堪忍袋の緒が切れた。
「貴方だけは絶対に許さない!」
「そうだ、怒りだ!好きなだけ激らせるといい!残虐行為が復讐を生み、その復讐が更なる残虐行為へと駆り立てる!それこそが戦乱の縮図!それこそが人間の本性!私はそれが好きだ!堪らない程大好きだ!」
そう言うと盾の裏側からチェーンソー、ガトリング、バズーカが生成され、それぞれ2枚ずつセットされる。
「さぁ、闘争の時間だ…!たっぷり楽しもうじゃないか!」
それぞれの武装とマチェーテをマリア達に向け、カンザスは獰猛な笑みを浮かべた。
対するマリア達もアームドギアを構え直して対峙した……その時だった。
響達と戦っていたGR-5が突如として動きを止め、空を見上げる。
「あれ…?」
「動きを止めただと…?」
「どうなってんだ…?」
戦っていた響達は勿論のこと、マリア達も首を傾げる。
それはカンザスも同じだった。
「どうしたのだ、GR-5…?」
疑問に思った彼がGR-5が見上げている方を見ると、その方角の空に黒い何かがいた。
始めは小さい点であったが、徐々に大きくなり姿も顕になる。
それは黒い人型のような物がパラシュートで降下してくる光景だ。
「…パラシュート?」
「誰かが降りてくるの?」
装者達は益々困惑する中、カンザスが納得した表情で呟く。
「…なるほど。
そんな中黒い人型はどんどんと近づいていき、その姿が明らかになると彼女達は驚愕した。
それもその筈である。
今まで人間大サイズかと思われたのが、段々とこちらに近づくにつれその大きさがおおよそ30mのロボットだと判明した。
「何あれ⁉︎」
「調!空からロボットが!」
「切ちゃん落ち着いて…でも、あの様子だと着地する。」
驚く装者達を他所に降下してきたロボットはそのまま地面に近づき、その勢いのまま着地する。
岩塊や砂埃を巻き上げながら着地し、やがて収まるとその全容が明らかになる。
そのロボットはGR-2のように黒一色に彩られた約30mの堅牢なボディ、頭部にある2本の角が特徴的なロボット………GRであった。
しかし今まで現れたGRは人間のような瞳があるのに対し、降下してきたGRの目はロボット特有の瞳のないデュアルアイ式の複合光学センサーを装備している。
「あれって…⁉︎」
「黒い…GR⁉︎」
突然の乱入者に皆驚く中、上空から複数の何かが飛んできた。
それは円形の盾であり、複数の盾がカンザスを囲う形で展開すると彼に異変が起こった。
「何ッ…⁉︎」
盾に囲まれたカンザスの身体は金縛りにあったかのように動かなくなる。
よく見ると盾の中央に宝玉型の赤い結晶があり、それが妖しく輝いていた。
「カンザスの動きが止まった⁉︎」
「あの盾の光で動きを止めたのか!」
「まさかあれって、アームドギア⁉︎」
「ッ!おい、上を見ろ!」
盾をアームドギアと推測する響達だが、クリスが何かに気づき上を見上げると上空から大量の剣がカンザス目掛けて降り注いでいた。
そのままカンザスに命中するかと思いきや、周囲にいた射撃型のサイボーグ達がガトリング砲を放ち、降り注ぐ大量の剣を圧倒的な弾幕で次々と破壊する。
その間にカンザスは盾の
これによって身体の自由を得たカンザスは脚部ホバーで退避に成功した。
「…どうやら、君達のお仲間が到着したようだ。」
「仲間?」
「あっ!誰か降りてくるデス!」
切歌が指差す方を見ると、黒いGRの両肩に人がおり右肩から誰かが飛び降りる。
その次に左肩にいた人が飛び降り、浮遊しながら先に飛び降りた人と空中で合流し右肩に掴まった事を確認すると響達とカンザス達の方へ飛んで行く。
やがて地面スレスレで止まり、右肩に掴まっていた人は飛び降り地面に着地する。
1人目は白のインナーに軽鎧ようなプロテクターを身に纏い、頭部にヘッドホンとバイザーを装備し脚部のイオノクラフトで浮遊する少女。
シンフォギアを纏い、自身の周囲に円盾のアームドギアを展開している。
そして右肩に掴まっていた人はシャツと長ズボン、ハンチング帽を被るなどラフな格好だが、両腕に
黒いGRと共に降下した2人がカンザスとアインヘリヤル達に対峙する。
「あれは…シンフォギア⁉︎」
「確かに私達と同じシンフォギア……だが、男の装備している物は…?」
装者達が困惑する中、男がカンザスを見据え口を開く。
「よぉ…久しぶりだな、カンザス…いや、ロバート・ウォーレン!」
「その声…なるほど、バート・サウザー…今はテキサスか。久しぶりだな、元気にしてたか?」
「元気にしてたか、だと……テメェのせいでこっちは文字通り地獄を見たとしか言えねぇな!」
男…テキサスはカンザスに対し激しい怒りをぶつける。
彼から発せられる怒気に響達は怯むが、カンザスは平気である。
「…君が極秘作戦にて瀕死の重傷を負ってから組織に回収され初期のGRオペレーター候補として調整を受けたものの、紆余曲折あって【
カンザスから語られるテキサスの壮絶な過去に響達は言葉を失う。
「望んでなった訳じゃねぇ……だが、GRオペレーターに加えて
そう言うとテキサスは無数の剣を生成し周囲に展開する。
対するカンザスも楽しそうな表情でマチェーテを構える。
「GR-5、お前と対等に戦える相手だ!全力でかかれ!」
「ブラックオックス!まずは
テキサスの掛け声と共にブラックオックスが両腕を突き出して指先をGR-5に向ける。
すると指先が上下に展開し砲門が競り出す。
そして10門の砲口から砲弾が発射され、GR-5に次々と命中する。
爆発に塗れたGR-5だが、負けじと腰部から展開した2門のキャノン砲…『ガイア・キャノン』を放ち応戦する。
ブラックオックスの指先から放たれるキャノン砲…『フィンガー・キャノン』は10門の砲からなる圧倒的な弾幕でGR-5を牽制するが、GR-5の『ガイア・キャノン』は1発1発の威力が凄まじく当たっただけで大規模な爆発と共にブラックオックスを怯ませていた。
「チッ…!あのキャノン砲厄介だな……なら!」
テキサスはブラックオックスに指示を出し、砲撃を止めキャノン砲を指先に収納すると両脚部の足首にあるリングからボルトを解放する。
そこから電流が迸り、しばらくするとブラックオックスはその巨体からは考えられない程のスピードでGR-5に肉薄する。
そしてテキサスの方も無数の剣を展開しながら、カンザスに接近する。
途中射撃型サイボーグ達の攻撃を受けるものの、ディーがすかさず盾を展開して防ぐ事で彼をアシストする。
そんな中テキサスの援護に集中している隙を狙い格闘型サイボーグ数体がディーに迫るが、響・切歌・調がサイボーグ達を退け彼女を助ける。
「君、大丈夫⁉︎」
「誰かは分からないデスけど、あのハゲの敵デスね!」
「協力するわ。」
「…ありがとう。」
助けてくれた3人にお礼を言うディー。
一方カンザスに迫るテキサスだが、剣術型サイボーグ数体が行手を阻みマチェーテを振り翳す。
「邪魔だァァ‼︎」
対するテキサスは周囲に展開した剣を飛ばす。
2体程剣によって串刺しになるが、残りは回避する。
しかしそれによって道は開かれ、ここぞとばかりにカンザスに迫る。
そして右腕の
カンザスはマチェーテで剣を防ぎ、もう片方のマチェーテを横に薙ぎ払うように斬る。
しかしその斬撃もテキサスの左腕の
「ほぉ…【エクスカリバー】に【プリドゥエン】……かのアーサー王が所持していた聖剣と盾を核とする
「ヘッ!そういうテメェは【カラドボルグ】……かのエクスカリバーの原形とも言われる代物…しかし肝心のギアは人間の狂気をフォニックゲインに変換するイかれたシンフォギア…【イグナイトギア】とは、これじゃ聖剣というより魔剣じゃねぇか!」
そんなやり取りとしている最中、ブラックオックスがGR-5との間合いを詰める。
そしてブラックオックスが右腕を振り被ると右腕のボルトが解放され、そこから電流が迸る。
エネルギーチャージが完了し、電撃を纏った鉄拳…『プラズマ・フィスト』をGR-5にお見舞いする。
「まだまだァ‼︎」
続け様に左腕のボルトを解放し、『プラズマ・フィスト』を喰らわせる。
続いて右腕、左腕の順に連続で『プラズマ・フィスト』をGR-5に浴びせ続ける。
「すごい…!」
「電撃を纏った鉄拳とは…!」
「しかも連続で浴びせてる…!」
「これならあのGR-5もひとたまりも無いデス!」
「待って切ちゃん、それフラグに聞こえる…」
調の懸念の通り、GR-5のダメージは胸部の装甲を少し凹ませた程度で健在である。
「…もう終わりか、なら次はこちらの番だ!」
GR-5は右腕を大きく振り被り振動エネルギーを収束させた鉄拳…『ハンマー・フィスト』をブラックオックス目掛けて放つ。
ブラックオックスは両脚部の足首にあるリング…『
だがGR-5は腰部にある伸縮自在の突起物…『ティタノ・ランサー』を伸ばし、ブラックオックスの脇腹を少し抉った。
「ぐッ…⁉︎」
するとテキサスが痛みに悶え、動きが少し鈍くなる。
その隙をカンザスは見逃さなかった。
彼は盾をぶん回しテキサスにぶつけると、
ブラックオックスの方もGR-5の攻撃によってバランスを崩し勢いよく倒れ込んでしまった。
「テキサスッ!」
ディーが叫び駆け寄る。
格闘型と剣術型が追撃に入ろうとするが、すかさずディーが盾でテキサスの周囲を守りクリスと未来が牽制射撃にてサイボーグ達を退ける。
その間にディーはテキサスの元に到達する事が出来た。
「テキサス…!大丈夫?」
「ヘッ…!屁でもねぇよ!ブラックオックス、もう一度間合いを詰めろ!」
起き上がったブラックオックスは脇腹の装甲が少し抉れており、火花が飛び散っている。
テキサスの方は表面上平気そうであるものの、脇腹あたりを押さえている。
テキサスの指示通りブラックオックスは『
対するGR-5は右腕を大きく振り被り、迎撃の構えを取る。
このまま突っ込めば『ハンマー・フィスト』をモロに喰らってしまう。
「お、おい!あのまま突っ込んだら間合いを詰める前にパンチ喰らうぞ⁉︎」
クリスの忠告を無視して突貫を続けるブラックオックス。
そのまま『ハンマー・フィスト』が炸裂しそうなその時、テキサスが叫ぶ。
「…今だァ‼︎」
テキサスの指示に従いブラックオックスは大きくジャンプし、『ハンマー・フィスト』を回避する。
GR-5の背後に着地し、そのまま振りかぶって右手を張り手のように勢いよく突き出す。
すると掌から巨大な杭…『ブラストホール・スピア』が右腕内部の圧縮プラズマを解放した事により勢いよく射出される。
その杭はGR-5の背中に突き刺さり、痛みに悶えるような声を出す。
「グゥッ…!」
それと同時にカンザスも背中に激痛が走り、痛みに悶える。
無論テキサスもその隙を見逃さなかった。
「ブラックオックス、やれ!」
彼はブラックオックスに指示を出すと同時に、無数の剣をカンザスの周囲を取り囲むように出現させ配置する。
そして無数の剣がカンザス目掛けて降り注ぐ。
ーーー『
カンザスは3対6枚の
ブラックオックスの方もジャンプしGR-5の頭部目掛けて回し蹴りをお見舞いする。
回し蹴りをモロに喰らったGR-5は大きく倒れる。
カンザスの方も頭部にダメージが入ったのか、頭部を片手で押さえる。
「ククク…やるじゃないか……!」
「ヘッ!そりゃどーも…!」
そんなやり取りの中、調はある事に気付く。
GRにダメージを与えると同時にオペレーターも同じ部位にダメージが入る事に。
「…おかしい。」
「どうしたのデスか、調?」
「GR-5もブラックオックスもダメージを受けると、オペレーターも同じ部位にダメージを受けてる…!」
「ほぉ…よく気付いたな、小娘。」
カンザスはある事に気付いた調を賞賛し、説明する。
「前に主任に聞いた通りGRのヴァイタルウェーブとオペレーターのフォニックゲインを共鳴させる事でGRを制御しオペレーターの意のままに動かす……それが主任が開発したGRオペレーティングシステムだ。従来型の制御システムと比べ安全性・制御能力共に向上しており、これによって初期のオペレーター候補者全員が廃棄処分または【
「そんな…!」
「なんて事を…!」
「従来型の制御システムでは動かすのは愚か、起動するだけでオペレーターを死に至らしめる程不安定な代物だ……そうなるのは当然の帰結だろう。だがGRオペレーティングシステムにも欠点がある。それはGRのヴァイタルウェーブと共鳴している関係上、GRのあらゆる感覚とリンクする。それによってGRを己の手足のように動かせる反面、痛覚もリンクしている為GRがダメージを受ければオペレーターにもダメージが移る。」
「だからテキサスやカンザスが痛みに悶えてたのね…」
「というか痛覚があるの⁉︎」
「そもそもGRには【アバター】と呼ばれる生体器官がある。人間でいうところの脳髄に当たる器官だ。この事からGRはただのロボットではなく、ある程度の知性・自我を持つ生体ロボットといった方が正しい。なにせ簡単な命令を与えてもGR自身が考え最適な武装を選択し行動する……話を戻すが無論痛覚も存在しておりGRのダメージはオペレーターの身体にも影響を与える。そして最悪なのがGRが破壊された時、致命的なダメージがオペレーターを襲い……死に至る。」
カンザスから明かされた真実に装者達は絶句する。
するとマリアはある事に気付く。
「まさか、セレナも…!」
「セレナ……キエフか。無論キエフもGR-3と密接にリンクしている為、GR-3を破壊されたら彼女は死ぬ。我々オペレーターはGRと運命を共にしている……と言いたいが、実はもう一つ欠点がある。ヴァイタルウェーブとフォニックゲインを共鳴する事でGRをオペレーターの意のままに動かす……とどのつまり、」
そう言った次の瞬間、カンザスはホバーを駆使してテキサスに肉薄しマチェーテで斬りつける。
テキサスは間一髪で防ぐが、すかさず盾をぶん回す。
この攻撃も間一髪で回避した……と思いきや盾の裏側からチェーンソーが伸びテキサスの左腕を文字通りぶった斬った。
「…オペレーターを無力化すればGRの力は自ずと半減する。」
無情にも斬り飛ばされた左腕は地面に落ち、断面から血が大量に吹き出した。
あまりにも凄惨な光景に装者達は戦慄し目を背ける。
「テキサスッ‼︎」
ディーが慌てて駆け寄ろうとするが、格闘型の1体が展開されている盾を掻い潜って急接近し、トンファーでの打撃の末腹部に蹴りを喰らわせディーを吹っ飛ばす。
「ディーちゃん!」
地面に激突する前に響が支え事なきを得るが、その間にカンザスは合図する。
「やれ。」
カンザスの合図に従い剣術型サイボーグ全機がテキサスを包囲し、一斉に飛び掛かる。
ある者はマチェーテで頭部を叩き斬り、ある者は籠手から伸びたブレードで滅多刺しにするなど文字通りリンチにした。
「やめろぉぉ‼︎」
装者達が駆け寄るものの、残りの格闘型と射撃型サイボーグ全機が彼女達に攻撃し妨害する。
無論応戦するが、そのせいでテキサスの元に行けない。
その間にもテキサスはサイボーグ達に攻撃され続け、彼は血塗れになり所々欠けているなど最早何故生きているかが不思議な程であった。
「うっ…酷い……!」
「テキサスさん…!」
「貴様…!」
カンザスとサイボーグ達の所業に装者達は憤慨と共に戦慄する。
既に瀕死とはいえトドメを刺そうと剣術型サイボーグの1体がマチェーテをテキサスの頭部目掛けて振り下ろす。
「甘えよ…!」
その時だった。
テキサスがそう呟いた途端、剣術型サイボーグに複数の剣がブッ刺さり絶命する。
それだけではない。
突如としてテキサスを袋叩きしていた剣術型サイボーグ全機が同じように複数の剣によって串刺しとなり絶命した。
何が起きたのかテキサスの方を見ると、想像を絶する光景が目に浮かんだ。
そこには所々切創により血が溢れ出し左腕をはじめ欠けている部位があるが、なんと欠けている部位や切創から血と共に剣が複数生えた。
「ククク…カーカッカッカッ‼︎」
テキサスは猟奇的な笑い声と笑みを浮かべながらカンザスとサイボーグ達に相対する。
あまりにも異常な光景にサイボーグ達は愚か装者達も絶句し戦慄する。
「…【
カンザスの説明に響が目を見開く。
「それって私と同じ…!」
「そうだ。かつての君と同じ融合症例……最も偶然そうなった君と違って彼は主任の実験によって誕生した謂わば【融合症例第零号】だ。」
カンザスは嘲笑するように説明する。
「…ああそうさ!テメェのせいで俺は瀕死の重傷を負った挙句に初期のオペレーター候補として頭や身体を弄くり回された!そして終いには次世代型のオペレーターが登場してから俺達はお役御免になり【
テキサスはこれでもかとカンザスや主任に対する恨み辛みを吐き出しながら剣を複数生成し、展開する。
対するカンザスはというとマチェーテを腰付近に装備している盾に収めた。
「…何の真似だ?」
「いやぁ…私としても戦いたいのは山々だが、本部から撤退命令が下ったのでな。それにこの遺跡も
「ハズレ…?」
「要するに探し物はここに無かったという訳だ。私自身こんな退屈な任務、君達の介入で楽しめると思ったが命令は命令だ。ここでお暇させてもらう。」
「オイ、待ちやがれ!」
逃すまいとテキサスが襲い掛かるが、カンザスはジャンプで難なく躱しGR-5の右肩に乗る。
サイボーグ達もGR-5に飛び乗り、撤退準備を開始する。
「テキサス!装者諸君!これから我々GROとの戦いの日々に突入するだろう!GRによる更なる戦乱の拡大が楽しみだ、また会おう!」
「逃すかァ!ブラックオックス!」
テキサスの命令を受けたブラックオックスは腹部のレンズを展開しエネルギーをチャージする。
そして地中に潜って撤退しようとするGR-5を照準に定め、エネルギーチャージが完了する。
「ぶちかませ、ブラックオックス!」
そしてブラックオックス最大の兵装である荷電重粒子砲…『ギガ・ブラスター』を放つ。
赤黒い光弾が腹部から放たれ、GR-5に迫る。
あと少しで命中しそうになった次の瞬間、振動と共に土煙が上がりそれに阻まれる形で『ギガ・ブラスター』の威力が減退する。
やがて土煙が収まるとそこにGR-5やカンザス達の姿は無く、その下の地面に穴が開いていた事から逃げられてしまったのは確実であった。
「く、クソッ…!逃げや、がったか……ゴブッ…!」
テキサスは膝をつき血反吐を吐く。
周囲に展開していた剣は消滅し、完全に満身創痍である。
瀕死のテキサスにディーをはじめ装者達が駆け寄る。
「テキサスさん、大丈夫ですか⁉︎」
「酷い傷…!すぐに治療しないと!」
「…いや、大丈夫。」
「何を言って…⁉︎」
するとテキサスの心臓が白く光り、身体が光に包まれると切創や欠損した部位が再生し元通りになる。
両腕部の
「あ〜…何度経験しても慣れねぇな、この感覚は……」
「マジかよ…!」
「すごい…!元通りに再生した…!」
「文字通りの不死身デース…!」
「あの…大丈夫ですか、テキサスさん?」
「あ?大丈夫な訳ねぇだろ。再生する度にとんでもない激痛を伴うし、その上死ねれない……文字通りの生き地獄だ。」
不死身の代償に装者達は改めて絶句する。
しかもこの代償は彼自身が望んだ訳ではなく、主任によって無理矢理に改造された結果なのだから余計タチが悪い。
やがてテキサスは立ち上がり、ディーが隣に立つと彼は装者達を見据える。
「…さて、S.O.N.Gの装者達だな?俺の名はテキサス。今日からお前らと一緒に行動する事になった。まぁ、よろしく。」
「えっと…私はディー、よろしく。」
「よろしくね!テキサスさん!ディーちゃん!」
そんなやり取りの中、一同の視線は約30mの巨体を誇るブラックオックスに向けられる。
「でかーい!説明不要デス!」
「切ちゃん落ち着いて…説明は要るから。」
「…とにかく、この黒いGR…ブラックオックスといい貴方達は一体…?」
「それはだな……おっと、おいでなすったか。」
テキサスが上を見上げると上空から戦闘機の編隊が作戦空域に展開し、それらに護衛される形でUNISOMの空中移動母艦…『ヘリキャリア』が現れた。
全長400m以上ある艦体でありながら四基の反重力エンジンと二基の推進用ジェットエンジン、慣性制御装置の恩恵によって空中に浮かびながら進み、ブラックオックスの真上で滞空する。
あまりの巨艦ぶりに度肝を抜かれる装者達を他所にテキサスは紹介する。
「さて、改めて紹介しよう。俺達は【国連独立特殊作戦機動部隊】……通称【UNISOM】。国連直轄の特務機関、つまり同業者さ。」
「同業者?」
「ああ、今回の主犯格である国際機甲テロ組織【GRO】の対処をS.O.N.Gと連携して当たるように命じられている。ただ
新たな国連組織【UNISOM】の登場……
GRとオペレーターを要するテロ組織【GRO】との戦いは新たな局面へと移った………
このコーナーではBFNが独自に入手したGRに関する裏情報を皆様にお届けします。
今回はGR-5のオペレーターカンザスについて。
本名はロバート・ウォーレン
彼は比較的裕福な中産階級生まれであり、両親を強盗集団に殺され全員射殺した事から、闘争こそが自分の生き甲斐だと実感。
大学に進学したりはせずアメリカ陸軍に入隊、優秀な成績を収めた為
卓越した戦闘力で数々の功績を上げますが、その頃から捕虜虐待、死体損壊、民間人への無差別攻撃など数々の戦争犯罪を行った上に、作戦中における問題行動により不名誉除隊処分を受けます。
その後はPMCコントラクターとして世界各地の戦場を渡り歩きましたが、最終的にグリーンベレー時代の元上官からの勧誘を受け、GR-5のオペレーター兼戦闘サイボーグ部隊『アインヘリヤル』隊長として組織に加入、GRの普及による戦乱の拡大、そして心の底から楽しめる闘争の為に力を行使します。
彼の纏うシンフォギアは『カラドボルグ』
欧州某所から発掘した聖遺物で一瞬にして無限に伸びる刀身と凄まじい切れ味を誇る剣であり、かの聖剣エクスカリバーの原形とも言われる代物です。
アームドギアは凄まじい切れ味と伸縮自在の刀身を持つマチェーテ【
この盾は外部からの衝撃を受けると爆発するという攻防一体のアームドギアとなっており、盾を振り回す事で相手を吹き飛ばしたり、盾を展開した状態で体当たりを行うなど防御だけでなく攻撃にも使用できるのが特徴です。
また盾の裏側に様々な武装を生成・使用する事が出来、これによって幅広い戦術が取れるようになりました。
それだけに留まらず彼自身の戦闘センスと残虐性、戦闘サイボーグ部隊『アインヘリヤル』との連携により、装者達を圧倒する実力を持っているといっても過言ではありません。
さて次回は、国連組織UNISOMから派遣されてきたテキサスとディー、そしてドクトルの3人。
彼らからテロ組織GROとそこに所属するオペレーターの一団『
UNISOMと共に迎撃に向かう装者達だったが、そこには自らを【
次回、『Qubit:0 巨神(4)』にご期待ください。
BFNのマックス・チャンプリンでした。