巨神絶唱シンフォギアGR   作:あーくこさいん

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今回はS.O.N.Gの面々は登場しません。

次回以降大作達に合流します。


Qubit:1 契約

ここは南与那国島ーーー

 

そこにあるダイビングショップ店で褐色肌の青年草間大作(くさまだいさく)がテレビのニュースに目もくれずダイビング器材の点検をしていた。

 

『ご覧いただいておりますのは、BFNが取材した映像です。巨大ロボットの襲撃に関する情報はBFNがほぼ独占しています。それにしてもこの巨大ロボットを操るテロ組織『GRO』の目的はどの様なものかは未だ分かっておりません。』

 

すると奥から店長である比嘉義彦(ひかよしひこ)が出てきた。

 

「大作、今日は珍しく客が来るんだったよな。」

 

「エアのチェックOKです。ってあっ!また飲んでる…」

 

彼の指摘通り店長は朝から酒を飲んでいた。

店長は慌てて酒瓶を後ろに隠す。

 

「悪いんだけどさ、俺忘れてたんだよね〜」

 

店長の言い訳に大作は呆れるしかなかった。

 

「客は一人だろ、お前だけでも大丈夫だよな、な。」

 

そう言って店長は奥に引っ込む。

 

「はぁ…じゃあ俺迎えに行ってきます。」

 

「…すまん。」

 

こうして大作は軽トラに乗り込み、町役場に向かった。

町役場に着くと、そこにはサングラスを掛けた金髪の女性が立っていた。

大作は軽トラから降りて、

 

「マッケンジーさんですか?お待たせしてすみま…」

 

言い終える前に彼女は軽トラの助手席に乗り込む。

彼は呆気に取られながらも車を目的地に走らせた。

走らせている最中、ある施設が目に映った。

その施設は壁に覆われていて内部を見る事が出来ない。

 

「久しぶりのお客さん、大歓迎です。あれが出来てから潜りに来るお客さん減っちゃって…」

 

それでも女性は無反応だった。

大作は話題作りの為あの施設関連の愚痴を話す。

 

「…たく迷惑ですよね!放射性物質とか何とか…何もわざわざ遺跡に落とす事ないって言うか…それももう半年も経っていうのに全然見つかんないって言うのもアレだし…」

 

すると彼女が口を開く。

 

「この島って何もないのね…」

 

「そこが気に入って居着いちゃったんですけどね。」

 

「…この島の子じゃないんだ。」

 

「えへへ…」

 

こうして目的地に着いた二人はボートを降ろしダイビングの準備をする。

ダイビングポイントまでボートを走らせる。

 

「あれにボートは近づけないんです。海上保安庁が警戒してて…でも遺跡だけじゃ無くてあそこのポイントも一番楽しいとこなんだけどな。」

 

「…ボートじゃなきゃ近付ける?」

 

彼女はそう質問するが、彼は気まずい様子で答える。

 

「…僕は本当はボンベを使わないフリーダイビングが好きなんです。でも入っちゃいけない所は泳げません。」

 

彼は答えるが、女性は無口なままだ。

気まずくなり、大作は話題を変える。

 

「…ハンマーヘッドが居そうですよ、この辺は潮流が強いので気を付けて!」

 

二人はダイビングの準備を整え海に飛び込みそのまま潜る。

海にはシュモクザメが数匹泳いでいた。

二人は泳ぎ、しばらくしてこの海域で一番深い所に着地する。

そこには巨大な岩が見えた。

二人は岩肌に沿って泳ぐ。

 

すると彼はふと気配を感じ振り返ると…

 

白い少女がいた。

 

しかもシュノーケルやボンベを装備していない状態でだ。

彼が驚愕していると耳鳴りが起こる。

耳鳴りによって彼がしばらく両耳を押さえていると少女の姿は無かった。

 

その代わり彼の目に焼き付いたのは…

 

地球が業火に染まり…

 

燃え上がる地上に立つ巨人達…

 

そして上空に大きな一つ目の付いた禍々しい構造物が浮遊する…

 

まさに世界の終末を思わせる幻影が現れた。

その幻影に大作はパニックに陥るがマッケンジーが助け出す。

彼女のおかげで落ち着きを取り戻した大作は浮上する。

そのままボートを岸まで走らせると…

 

「空港まで送ってくれるかしら?」

 

「は、はい!いいですよ…」

 

こうしてダイビングは終了した。

実の所彼女は何故大作がパニック症状を起こしたのか理解出来ないでいた。

それもそのはずである。

何故なら先程の幻影は大作にしか見えなかったからだ。

 

大作はマッケンジーを空港まで送り届けるとダイビングショップに戻った。

奥にある襖を開けると店長が横になりながら酒を飲んでいた。

 

「花酒は飲みすぎない方がいいよ。」

 

大作はそう忠告し、その場を後にしようとすると…

 

「大作。」

 

店長が呼び止めた。

 

「何?」

 

「お前ここ来てもう半年だっけ?」

 

「ああ。」

 

「…ずっとここ居る気、無いんだろ?」

 

「分かんないですよ、居るかもしれないし…」

 

「一回くらい(ウチ)帰ってもバチ当たんないじゃないか?親御さん、心配してないかもしれないけどさ。」

 

店長からの問いに彼は答える事が出来なかった。

 

 

 

 

一方、例の施設に一台のヘリが向かっていた。

そのヘリの機内に先程の女性…マッケンジーが搭乗していた。

ヘリはそのまま停泊している巡洋艦のヘリポートに着艦する。

待機していた軍人がドアを開けると彼女は降り、施設内へと入っていく。

外壁の内部は遺跡となっていて、無数の岩肌が連なっていた。

 

すると施設から一人の男性…嵐克己(あらしかつき)が駆け寄り、一礼する。

 

UNISOM本部から至急連絡が欲しいとの事です。」

 

「…携帯持って行かなくて悪かったわね。」

 

「南アフリカにて破壊活動を行なった『GR-6』はまた消えました。航空力学を無視した飛行能力でもって何処かへと…」

 

「そう。」

 

そう言うと彼女は施設内部を見る。

 

「やっぱりここはただの巨石文明でしか無い。可能性の低いこんな島に飛ばされた私はUNISOMにとって何の期待もされてないって事なのね…」

 

彼女は諦めた様な口調で語る。

 

「マッケンジー隊長?」

 

「嵐一尉…おっと失礼。嵐さんはどうなの?日本政府(御宅の会社)はあなたに期待してる?」

 

「…ここを封鎖海域にしておくにはあと3ヶ月が限界かと思われます。」

 

「3ヶ月…それまでにあの先生は何か見つけられるかしら?」

 

遺跡内部では三人の研究者が調査をしていた。

その中の一人が機材に付いていた泥を手で掬う。

 

「この泥がスキャニングを阻害してたんだな…ここを全部掘り返さなきゃならないな!」

 

UNISOM所属の考古物理学者の山辺清雄はそう意気込む。

 

 

 

 

 

夜になり店長が寝た事を確認すると、大作はダイビングショップを出る。

スクーターに乗り向かった先は、施設が見える場所だった。

彼はフリーダイビングする為にここに来たのだ。

浜辺まで歩くと彼は施設を遠くから眺める。

 

すると、またしても後ろからの気配を感じ振り返る。

暗くてよく見えなかったが二人いる事は分かった。

 

やがて月明かりが差し込むと…

 

赤い目と異様に白い肌、脱色した毛髪が特徴的な少女が立っていた。

その隣にはその子の保護者らしき女性がいる。

 

「誰?」

 

大作が声を掛けようとすると、ある事に気付く。

彼女は足が不自由なのか杖をつき、足を引きずっていた。

 

「こっちに来てくれない?私、速く歩けないから。」

 

不思議に思いつつも彼は少女の元に来る。

 

「…呼ばれたのは貴方なの?」

 

「え?何のことか分からない…」

 

「…どうして貴方なのか、私にも分からない。」

 

「…僕は潜りに来ただけさ。君は泳げないんだね、ごめん。」

 

「泳げるわ。水の中の方がずっと体が楽だもの。」

 

「へぇ…」

 

すると彼女の保護者らしき女性が前に出る。

彼がその女性に目を向けると、少女が質問する。

 

「どうして今潜るの?」

 

「僕は潜るのが得意だと思ってた、でも今日昼間よく分からないけど溺れそうになって…このままじゃ僕海が苦手になっちゃうと思ってさ。」

 

「そうなんだ。」

 

彼は一旦下を向き、それから前を向いて自己紹介する。

 

「僕は草間大作。君は?」

 

ヴィー

 

彼女はそう答えた。

 

「ヴィー?そっか…その気になったら潜りを教えるよ。じゃ…」

 

そう言って彼は潜ろうとする。

 

「大作…契約をしても、大作は大作だよ。

 

すると彼女が気になる事を言ったので振り返ると、女性に連れられ何処かへと行った。

さっきの発言が気になるが、彼はフリーダイビングを始める。

ある程度泳ぐとタグボートが近付いてきたので、一旦潜りやり過ごす。

 

タグボートが過ぎ去ったので大きく息づきをしてダイビングを始めた。

昼間通ったルートを泳いでいるとまたしても耳鳴りが起こった。

彼は耳鳴りに苦しむが、ふと目を開けると岩肌の大きな空洞から泡が大量に吹き出す。

それが気になった彼は意を決して空洞めがけて潜る。

耳鳴りに苦しみながら泡の発生源を目指して泳いでいると、浮上出来る所が見つかったので水面から顔を出す。

 

辺りを見渡すと、奥にある大きな階段とその先にある異様な模様の壁を見て驚愕する。

気になった彼は浮上する。

階段の段差が大きくて昇るのに一苦労したが、何とか壁にたどり着く。

壁の模様が点滅しており、不気味な感じだった。

不思議に思いつつも彼は壁に触れる。

すると模様が光出し自動ドアの様に開いた。

そう、壁だと思っていたのは実は扉だった。

 

呆気に取られながらも、大作は扉の先にある空間に入りその中にある構造物をよじ登る。

空間の隅々に模様が彫られており、人工物なのは間違いなかった。

 

「何だよここ…?」

 

そう思いながら中央の構造物の中心に立つと、彼の周りに螺旋状の光が現れ大作を拘束する。

驚いていると円が形成され左右の床が迫り上がる。

このまま押しつぶされるかと思いきや、迫り上がった床は彼の近くで止まる。

 

「何なんだよ…」

 

訳も分からず困惑していると、光でスキャニングされ左右の壁に彼の影が映し出される。

次の瞬間…

 

「うわぁぁああああああああ‼︎」

 

電撃が走り、彼は悲鳴を上げた。

やがて治ると彼は安堵する。

 

すると前方の壁から文字が浮かび上がる。

英語、ラテン語、中国語…

あらゆる国の言語が変わる変わる映し出され彼の読める日本語になる。

そこには、

 

『契約するか』

 

と書かれていた。

 

「契約…?何の契約だよ…?」

 

するとあらゆる言語を経て文字が浮かび上がる。

 

『エドフの鉄神と契約するか』

 

映し出された文字の意味が分からなかったが、彼はふと思い出す。

 

『契約をしても、大作は大作だよ…』

 

ヴィーの言葉を思い出し、彼は目を閉じて考える。

やがて何かを決意し、目を開くと…

 

「契約…する!」

 

彼は契約した。

 

契約してしまったのだ。

 

すると壁の一部が開き、伸びた突起物が大作の額を突き刺す。

貫通した箇所から光の粒子が身体全体に流れる。

すると彼の脳内に何者かが念話(テレパス)で語り掛ける。

 

『草間…大作…お前はエドフの鉄神と契約をした……もうお前は死ぬ事は許されない……お前はエドフの鉄神の操り手である……ずっとだ………』

 

声が収まり突起物が収容されると、揺れが起こった。

もちろん地上の施設にも揺れが伝わり、壁から水が出る。

マッケンジーも駆けつけ、山辺に事情を尋ねる。

 

「山辺!何が起こっている⁉︎」

 

「この下から、何かが浮き上がって…うわああああ‼︎」

 

すると足場が大きく崩れ去り、下から光が浮かび出る。

山辺は間一髪で退避する。

 

「ここはハズレじゃなかったのか…!」

 

彼女がそう感心する中、下からピラミッドらしき構造物が迫り出す。

 

「まさか!ピラミッドが自分から…⁉︎」

 

「嵐!UNISOM本部を呼んで‼︎ここがそうだったのよ!」

 

「は、はい!」

 

一方、浜辺から様子を見ていヴィーが呟く。

 

「やっぱり契約したんだ…大作。」

 

そしてBFNの衛星も反応を捉えた。

 

外壁が崩れ出し、中から海水が入ってくる。

ピラミッドの周りに光が浮かび上がり、ますます揺れが激しくなる。

 

「この遺跡は意図的にあれを隠す為に磁気を浴びた岩で固められてたんです‼︎」

 

「掘り出す手間が省けたわ…どうやって開いたの?」

 

「私じゃない…!」

 

彼の返答に彼女は驚愕する。

 

「じゃあどうしてあれが…⁉︎」

 

「分かりません…!」

 

「誰が開いたというの…⁉︎」

 

「分からないんです…!」

 

マッケンジーは無線を取り出す。

 

「嵐一尉、第一種警戒を!この施設に侵入者がいる‼︎」

 

大作は意識が朦朧としていたが、脳内に映像が映し出される。

するとピラミッドから円が形成され、ピラミッドが左右に開かれる。

 

その中には…

 

全長が30mもあり…

 

全身が灰色一色、手首や足首などにオレンジ色の装甲、スフィンクスに似ている頭部に額の神秘的な紋章…

 

胸部のV字型装甲板が特徴的なGR…

 

「無傷のGR…!GR-1が‼︎」

 

エドフの鉄神…またの名を…

 

『完全聖遺物 GR-1』

 

「誰があれを開いたの…⁉︎」

 

大作の脳内にはGR-1から見た光景が映し出されている。

そこには昼間会ったマッケンジーがいた。

それを見つけた彼は右手を伸ばす。

するとGR-1も右手を伸ばし、マッケンジーの方を見る。

 

「私を見ている…⁉︎」

 

GR-1は動き出し、緩慢な動作でマッケンジーの方へ歩き出す。

山辺は恐怖の余り逃げ出してしまったが、マッケンジーはGR-1を見ていた。

駐屯している部隊が展開している中、嵐は無線で連絡していた。

 

「違う!ターゲットは侵入者だ!ここにある武装でGRを止められるか‼︎」

 

GR-1はどんどんマッケンジーの方へ近付いていく中、彼女は心当たりがある。

 

「貴方なのね、昼間の…!」

 

意識が朦朧としていた大作だったが、

 

『契約しても大作は大作だよ…』

 

その言葉が脳内に響き、

 

「契約しても僕は僕…」

 

と呟いた後、身体中を駆け巡っていた光が左手首に集まり、()()を形成した。

彼はやっと正気を取り戻す。

それと同時にGR-1は動きを止めた。

 

銃を持った隊員が取り囲む中、嵐一尉が何かを発見する。

 

「あいつか…!」

 

そうピラミッドから出てきた大作だ。

彼にサーチライトが照らされる。

彼は怯んだがよく見ると周りの人達が自分に対し武器を向けている事が分かった。

 

「待って!僕は武器を持ってない‼︎」

 

彼はそう言い両手を上げる。

 

「貴方…とてつもない力を持ったのよ……」

 

GR-1の契約者となった草間大作を見て彼女はそう呟いた………

 

そして………

 

彼は覚悟も定まらぬまま、世界や地球の存亡をかけた壮大な戦いへと赴いていく………




このコーナーではBFNが独自に入手したGRに関する裏情報を皆様にお届けします。

今回は国連組織S.O.N.Gの本部である巨大潜水艦について。

前身である特異災害対策機動部二課の本部が敵の攻撃で機能不全になった事で仮説用の本部として建造された巨大潜水艦。
S.O.N.Gに再編されてから海外に展開するのに都合がいい事から正規の装備となった本艦はノイズ発生の探知システムやシンフォギアシステムの各種バックアップなどの機能はもちろんの事、医療施設や生活居住区に娯楽施設までもが設けられ職員達の健康を損なわない様に配慮がされています。
また日本から南米、南極大陸までを2、3日で横断可能な航行力を誇り、甲板部に装者達を緊急発進させる為のミサイル風ロケットに管制ブリッジを含んだエリアを中型艇として緊急離脱させる事が可能など相当多機能な潜水艦であります。

現在、同じ国連組織であるUNISOMの技術提供を受けて機関部や推進器の強化、艦尾部分にGRを一台格納可能なカーゴユニットを取り付けており未だ発見に至ってないGR-1を輸送する機能を追加しました。
しかし、これよりもさらに高性能な潜水母艦がいるとかいないとか…

さて次回は、エドフの鉄神の導きか運命の悪戯か図らずもGRという強大な力を手にした草間大作。
S.O.N.Gも南与那国島に急行する中、GROはGR-1奪取の為GR-2とダブリンを差し向ける。
その時、GR-1の専任操縦者(マスターマインド)となった草間大作はどうするのか……

次回、Qubit:2 『襲来』にご期待ください。

BFNのマックス・チャンプリンでした。
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