巨神絶唱シンフォギアGR   作:あーくこさいん

7 / 7
今回からS.O.N.Gの面々が大作達に合流します。


Qubit:2 襲来

南与那国島でGR-1が発見された翌朝…

 

GR-1の専任操縦者(マスターマインド)となった草間大作は停泊している巡洋艦の艦内に収容されていた。

 

窓から見える景色には競り上がったピラミッドとその間に佇むGR-1…

 

ふと彼は自分の左手首を見る。

そこには何やら突起物のようなものが付いていた。

 

すると扉が開き、考古物理学者の山辺清雄とその部下である研究員が入ってくる。

彼らは大作が起きている事に驚いていた。

 

「あの…そろそろ帰して貰えませんか?働いているところの社長が心配してると思うので……」

 

大作はそう頼み込むが…

 

 

 

 

 

一方、マッケンジーはUNISOM本部に連絡していた。

 

「ですから、少年とGR-1がリンクしている以上引き離すのは得策ではありません。…お分かりになっていないようですね。現在の状況はこちらにイニシアチブがあるので、こちらでの調査が終わるまでお待ちください。それでは…」

 

と言って電話を切る。

マッケンジーは嵐一尉の方を向く。

 

「南与那国島の報道管制の手配しました。日本のマスコミは抑えられますが……」

 

()()()()は来るでしょうね…あの子は?」

 

「これから生体検査を行いますが、麻酔が全く効いてなかったようです。」

 

「丁重にね…彼はUNISOMで二番目のオペレーターになるんだから…」

 

その頃艦内では草間大作の生体検査が行われていた。

まず血液を採取し解析、脳波の測定、レントゲンやスキャニングなどを行う。

検査が一通り終わった後尋問に移る。

 

「名前は?」

 

「草間大作です…」

 

「年齢」

 

「18です…」

 

「学校は?」

 

「高校を途中で辞めてこっちに来ました…」

 

「職業」

 

「ダイビングショップで働いています。あの、すいませんでした。勝手にあんな所に入って…電話だけでも掛けさせて貰えませんか?」

 

「どうやってあのピラミッドの中に入った?」

 

「…どうしてあそこに入ったか、僕には分からないんです。ただ…()()()()()()()って思ったから…何かが猛烈に頭の中に入ってきて、まるで僕の頭の中を引っ掻き回しているような感じがして…冷たい…なんかとっても冷たいものが僕の中に入り込んで染み渡っていく……気が付いたら僕はあの大きなロボットの中にいるような…いや違う、まるで僕自身があのロボットになったような感覚だ…!」

 

 

 

 

 

尋問の様子をマッケンジーは静かに観察する。

ふと彼女は疑問に思う。

 

「どうしてこの子が…?」

 

 

 

 

 

「どうして君が呼ばれたと思う?」

 

山辺の問いに彼は白い少女…ヴィーを思い浮かべるが、かと言って確定出来るわけもなく…

 

「分かりません…」

 

 

 

 

 

ダイビングショップの店長である比嘉が軽トラを走らせていると、何やら人が集まっているところを目撃する。

彼も軽トラから降りると、何やら大きなピラミッド状の構造物が彼のいる海岸から見える。

 

「あれまぁ…いねぇなぁ…どこ行っちまったんだアイツ…」

 

彼は大作を探している途中だった。

ふと見ると、大作が乗っていたスクーターが置いてあった。

 

「大作…お前、そこにいるのか…!」

 

彼は驚きながらピラミッドの方を見る。

 

 

 

 

 

南与那国島の上空をBFNの報道ヘリが飛んでいる。

BFNの衛星が南与那国島での異変を察知し、報道ヘリを送り込んだ。

 

「マッケンジー隊長、小型航空機が接近してきます!」

 

「この上に飛行許可はおりてない筈じゃなかったの⁉︎」

 

「確信犯でしょう。BFNがまもなく緊急放送を行うと予告しています。」

 

嵐一尉の報告にマッケンジーは苛立ち、机を蹴る。

 

「ハイエナテレビが…!」

 

 

 

 

 

ーーーニュース映像ーーー

 

『それは世界で唯一国籍を持たない24時間のニュース…Broadcasting Frontline Network!』

 

場面は変わってBFNのメインキャスターマックス・チャンプリンが映る。

 

『新たなテロ手段なのか或いは軍事実験なのか…世界各国に出没し都市や軍事基地、古代遺跡等を破壊しているGR…ジャイアントロボットがまた新たに発見された模様です。意外な事にそれは日本領海内の西端にある南与那国島沖合にある海底遺跡からです。現在BFNのマリア・ヴァイニッチが向かっている所です。マリア!』

 

ここで報道ヘリに乗っている突撃リポーターのマリア・ヴァイニッチが映る。

 

『こちら八重山諸島上空のマリア・ヴァイニッチです!もう間も無く南与那国島に到着する所ですが、現在この付近の海上及び上空は日本政府と在日米軍よって規制されており接近出来ないかも知れません!』

 

『…では、こちらで引き取ります。今回発見されたGRは国連組織UNISOMと日本政府が共同で発見したと思われており、これが自由主義同盟国が初めて手にしたGRという事になります。もしこれが自由に動かせるのなら、GR同士の戦争になるかも知れません。』

 

ーーーニュース映像終わりーーー

 

 

 

 

 

UNISOMの隊員達はGR-1の遺跡を調査していた。

嵐一尉のところへ隊員がやってくる。

 

「他に人は居ません!」

 

「そうか。調査の結果、構造は()()()()()()に比べて簡素な造り、か…」

 

そう呟くと山辺と大作がやって来る。

 

「どうですか?ピラミッドの中は?」

 

嵐一尉は首を横に振る。

 

「そうですか…」

 

「うわぁ…!でっかいなぁ…!30m…?いやもっとか……」

 

GR-1の大きさに改めて大作は驚愕する。

 

「大作君、このGRをピラミッドの中に仕舞う事って出来ないのかな?」

 

「え?どうして…?」

 

「いやぁ…もうすぐここを無法な放送局がカメラ担いでやって来るんだ。UNISOMとしてはGRの存在をまだ知らせたく無いんだよ。」

 

「UNISOM…?」

 

「国連独立特殊作戦機動部隊…」

 

声のした方を振り向くとマッケンジーがいた。

 

「マッケンジーさん…!」

 

「また会ったわね。」

 

「僕を島に帰して下さい。」

 

「残念だけど無理ね。GR輸送の準備が出来次第、貴方も一緒に横須賀まで移送し、そのままUNISOM本部に向かう。」

 

「何の権利があって、そんな事勝手に決めるんです⁉︎」

 

「気に入ったわ。自分の主張をはっきり言う子ね。」

 

彼女の態度に少しムッとする大作。

するとヘリのプロペラ音が聞こえてくる。

 

「BFNがもう来たか…」

 

「BFNってニュースの…?」

 

「世界中の戦争を追っ掛けているハイエナさ。GRが現れるとやたらしつこく取材して来る。」

 

「まぁいいわ。まだGR-1が思い通りに動かせるかどうか分からないけど、UNISOMがGRを手に入れた事実をアナウンス出来る。ただ…」

 

彼女は考える素振りをして、こう言う。

 

「…大作、一緒に来て。」

 

 

 

 

 

ーーーヘリからのリポートーーー

 

『ご覧ください!海底からピラミッドが突出しており、その前に新しいGRが立っています!これまでに出現したGRとは明らかに違う形です‼︎』

 

ーーーリポート映像終わりーーー

 

 

 

 

 

ここは南与那国島周辺海域。

そこを潜行する潜水艦がいた。

S.O.N.Gの潜水艦…否、その潜水艦より一回り大きく、より重厚な黒鉄色の船体…

 

この潜水艦こそ世界各地にGRを送り込み破壊活動を行う機甲テロ組織GROの潜水型GR輸送プラットフォーム…潜水母艦リール号である。

艦内には艦長含む船員や研究員、GRO実働部隊司令官マイク・ホッジス少佐とその副官イザベラ・レイド中尉がいた。

 

「間も無く大陸棚に到達します。」

 

ホッジス少佐は頷くとレイド中尉の方を向く。

 

「オペレーターの様子は?」

 

「ダブリンのコンディションは良好。出せます。」

 

中尉はそう報告すると、ブリーディングルームへ赴く。

そこの扉を開けると部屋には金髪碧眼のツーブロックに整った顔立ち、まるで海水浴に来たかのようなラフな格好をした男…ダブリンが座っていた。

ダブリンに対し中尉は今回のミッションについて説明する。

 

「ダブリン、今回のミッションは今までの破壊活動とは異なり南与那国島沖合の海底遺跡で発見されたGR-1の奪取。いいわね?」

 

「了解だ、中尉。ただでさえ鬱陶しいUNISOMとS.O.N.Gに加えてGRまで俺の海洋保全計画の妨げになっちゃあ堪らんからな。」

 

彼は不敵な笑みを浮かべる。

それからしばらくして…

 

「ダブリン、配置に着きました。」

 

中尉からの報告を受けた少佐は指示を出す。

 

「GR-2射出用意。」

 

彼の指示で艦首の小型ドックから海水が入り徐々に満たしていく。

そこには三日月型の角に黒鉄色の巨神…GR-2とそのオペレーターダブリンがいた。

彼の姿は先程のラフな格好から三又の冠に各所に黒色の装甲、青を基調としたインナーで構成された戦闘装束…イグナイトギアを装備していた。

GROがオペレーター用に開発した新世代型シンフォギアであり、ダブリンのは聖遺物『トライデント』を核としている。

またシンフォギアは宇宙空間や深海でも問題無く活動出来る為、シュノーケルや酸素ボンベの類は必要ない。

やがてドックの中が海水で満たされると、白い装束をした研究員がGR-2とダブリンの各種チェックを済ませていく。

 

「GR-2のヴァイタルウェーブ及びダブリンのフォニックゲイン共鳴指数一定値を超過、同期完了。」

 

「オペレーター、GRと同期しました。」

 

中尉からの報告を聞き、少佐は指示を出す。

 

「GR-2、射出。」

 

少佐の指示で潜水艦の艦首が上下に開きレールが競り出す。

そのレールに沿ってGR-2が運び込まれ、両肩と背部に接続された水流ジェットを噴かし、GR-2はダブリンと共に勢いよく射出された。

そのまま南与那国島沖合の海底遺跡へと進軍する。

 

 

 

 

 

その頃、遺跡にて大作とマッケンジーは遺跡内部へと足を運んでいた。

 

「ここなら上から覗かれない。」

 

そう言うと彼女は大作の方を振り向く。

 

「まだGRの操縦者をバラしたくない。」

 

すると彼女は近づき、大作の左手首を掴む。

そんな彼女に対し大作は尋ねる。

 

「僕はどうなっちゃったんですか…?」

 

「おそらく貴方のDNAは強制的に書き換えられただけで無く、()()()()()の遺伝子までも組み込まれた。もう普通の人間では無くなったの。」

 

マッケンジーは残酷な事実を伝える。

 

「そんな…!僕が“契約”したから、こんな事になっちゃったのか…」

 

告げられた事実にショックを受ける大作。

マッケンジーは“契約”という言葉が気になった。

 

「契約…?」

 

「大体、あのGRって何なんですか⁉︎テレビではよく見てたし、日本も被害を受けた事は知ってるけど…自分には関係の無い事だと思ってた。」

 

彼の反応にマッケンジーは少し微笑み彼に説明する。

 

「確かに…私も思った。GRが初めて現れたのは一年前、それは突如現れた30mの巨人…世界各国の都市や軍事基地、古代遺跡等を破壊して消え去ってしまう…最初にあれと戦った者達は異星人の侵略かと恐れたけれど、あれが発している通信波はスクランブル化されてはいても明らかに我々の同じテクノロジーの延長にあるものだった…度重なる襲撃を受けて分かっている事はGR一体につき武装したオペレーターが付いている事、そのオペレーターごとに破壊対象が異なる事のみ…

『Gigantic Rebellion Operators』…GROと私達はあれを操っている者を呼ぶ事にした…国連安全保障理事会は互いに疑心暗鬼に陥りながらもあれの正体を探る事に全力を挙げた…そこで動いたのは様々な超常事件解決の実績を持つS.O.N.Gと私達UNISOM…まぁUNISOMの実態はフロンティア事変の後始末で存在が抹消された米国連邦聖遺物研究機関『F.I.S』を国連組織として再編したものだから、実質合衆国の特務機関ね。」

 

彼女は大作を事のあらましを説明する。

 

「私達はこれでも優秀でね…GROの実行部隊が優れた傭兵部隊ってところまでは掴んでいるの。彼らが都市や軍事基地を襲うのもGRの力を世界に喧伝する為よ。」

 

「待ってください!GR-1は…」

 

「GRは全部で七機。内五機はGROが、残る二機の内一機がUNISOMが発掘している。そして両組織が血眼になって探しているのがGR-1よ。都市や軍事基地の他に古代遺跡を破壊しているのも残りのGR…GR-1を他の国や組織に持たせないようにする為…」

 

「じゃ、じゃあこの南与那国も…」

 

「候補の一つだった…でもその可能性は最も低いランクだった…こんな所に飛ばされた私はもう未来が無いと思っていたけど、とんだ番狂せだわ。」

 

その後、マッケンジーは電話を掛ける。

何やら揉めているようだが、嵐一尉が慌てた様子で駆け寄る。

彼女は電話中の為、待ってもらうよう合図するが…

 

「マッケンジー部長!嘉手納から緊急通告です!」

 

「ちょっと待って…どうしたって言うの⁉︎」

 

何やら緊迫しているので彼女は電話を切る。

遺跡の周りでは携行型ミサイルランチャーや銃で武装した兵士が周りを固める。

只事では無いのは確実だ。

マッケンジーが嵐一尉に事情を聞くと…

 

「警戒命令が出たんです。」

 

「警戒⁉︎…予感が当たったって事?」

 

その時、爆発が起きた。

彼らは慌てて伏せる。

 

「彼らが来たのね…!」

 

「何が来たんです?」

 

海中からの襲撃で停泊していた巡洋艦は轟沈。

近くにいた兵士がミサイルランチャーで応戦するが、全く効果が無い。

逆に巨神の右肩に乗っていた人物によって無惨にも殺された。

そう、強襲してきたのは三日月型の角に黒鉄色の巨神GR-2とそのオペレーターダブリンだ。

 

「総員、迎撃せよ!」

 

嵐一尉が指示を出す。

 

(GR-2…BFNが嗅ぎつけたからいずれ来ると思ってたけど、思ったより早い…!やっぱりこれは本当にGR-1なんだわ…!)

 

マッケンジーがそう喜ぶ中、GR-2は施設を破壊し内部へと侵入しようとする。

応戦を効果が無い中、大作はマッケンジーに逃げるように手を掴む。

 

「マッケンジーさん、逃げなきゃ!」

 

そのまま逃げようとするが、彼女は逃げる気は無い。

 

「大作、逃げる事ないわ。貴方はGR-1と“契約”したんでしょ?」

 

「でも…!」

 

そしてとうとうGR-2が外壁を破壊し内部へと侵入する。

大作が唖然としていると、彼女は彼の両肩を掴む。

 

「戦うのよ、貴方が!GR-1を動かしなさい‼︎」

 

彼女からの命令に戸惑いながらも、彼はGR-2が徐々に近づいていくところを見る。

彼はしばらく考え、行動を起こす。

そのままGR-1に近づき、

 

「GR-1!動け!アイツと戦うんだ!」

 

彼はそう命令するが、GR-1が動く気配は無い。

 

「GR-1!動け!動けよ!」

 

繰り返し命令するが、GR-1は沈黙したままだ。

ダブリンも少年の姿を見るが、特に気にする様子も無くその間にもGR-2が徐々に近づき、間合いを詰める。

 

「動けよーーーッ‼︎」

 

彼の絶叫が響き、GR-2がGR-1に触れようとしたその時…歌が聞こえた。

 

「歌声…!まさか!」

 

「チッ…!おいでなすったか……!」

 

ダブリンが忌々しそうに歌が聞こえる方を向く。

彼にとって鬱陶しい事この上ない連中のお出ましだった。

ダブリンは水の渦を発生させ自分と瓜二つの分身を作る。

 

ーーー『二重海神(ドッペルダゴン)

 

すると二人のダブリンに向けてX字の斬撃やら丸鋸やら無数の短剣やら多数の大型ミサイルやら刃やらが上空からダブリンに向けて飛んでくる。

 

二人のダブリンがアームドギアを地面に突き刺すと、前方に水で出来た巨大な壁が出現し、これらの攻撃を全て防ぐ。

 

ーーー『大海絶壁(オーシャンウォール)

 

全ての攻撃を防ぎ切り壁を解除すると、彼らの前方に六人の装者が着地していた。

 

『ガングニール』の装者…立花響

『天羽々斬』の装者…風鳴翼

『イチイバル』の装者…雪音クリス

『アガートラーム』の装者…マリア・カデンツァヴナ・イヴ

『シュルシャガナ』の装者…月読調

『イガリマ』の装者…暁切歌

 

六人の装者はそれぞれのアームドギアを用いてダブリンと対峙する。

 

「へっ、ついさっきまで南アフリカにてGR-6とリヨンを相手取り、今度は南与那国島まで飛んでくるとは…随分とご苦労なこった!」

 

「黙れ!今度こそ貴様の狼藉止めて見せる‼︎」

 

ダブリンの皮肉に翼がそう返す中、分身が装者達に突貫する。

錨状の刃に鎖によって遠心力を高めた一振りが装者達に襲い掛かるが、装者達は難なく回避する。

 

分身に戦わせて間、本体は『噴龍水槍(アクアジャベリン)』やら『龍河苦玉(トラジェディーオブザボール)』など遠距離主体の技を繰り出し装者達を苦しめる。

彼女達は本体と分身の攻撃を回避しなければならず、苦戦する。

 

するとダブリン(本体)が援護を中断し一気に距離を取る。

彼の行動の意図が分からなかった装者達だったが、動きがあったのはGR-2だった。

なんとマスク部が展開・開口し、それが装者達に向けられる。

 

彼女達はそれが何なのかを理解しており、すかさず回避行動に移る。

次の瞬間、GR-2のマスク部から高出力のビーム……『ヘキサ・クォーク・キャノン』が放たれる。

 

高出力のビームは分身も巻き添えにして地面を抉り破壊し尽くす。

彼の作戦は彼女達が分身に気を取られている隙に分身諸共GR-2のビームで焼き尽くすものだった。

上手くいけば装者達を一網打尽に出来たが、彼女達はいくつもの死線を潜り抜けた歴戦の猛者…全員無事に回避した。

彼は苛つきながらも、次の手を打つ。

 

「…なら、これはどうだ‼︎」

 

アームドギアを地面に突き刺し、彼の周りに六つの水の塊が浮かび上がり、ダブリンを守るように展開する。

 

「…こんなの!」

 

響は水の塊に向かって突貫する。

彼女の拳が当たろうとしたその時…水の塊から手が出現し拳を掴む。

 

「な⁉︎」

 

響が驚くのを他所に水の塊は人の形に姿を変え、最終的に響自身と同じ形となる。

さらに他の塊も翼、クリス、マリア、調、切歌に変わる。

 

「これは…!」

 

「お前らと瓜二つの分身を作り出し使役する、俺の新しい技…『深淵奇術(アビスイリュージョン)』だ‼︎」

 

そう自慢すると彼のアームドギアの穂先を翳し分身に攻撃命令を下し、分身達は攻撃を開始する。

 

それぞれの装者を模った分身達はオリジナルと同じ技を繰り出し、彼女達に襲い掛かる。

装者達は応戦するが、分身自体彼女達の技と練度を模倣している為、ダブリンの分身と戦うより苦戦を強いられる。

 

装者達が自分自身の分身との戦いに手一杯の間、ダブリンはGR-1をかっ攫おうと近づく。

そんなダブリンに向けて兵士達は銃やら対物ライフル、携行型ミサイルランチャーで応戦するがイグナイトギアを纏っているダブリンには効かない。

 

「鬱陶しい奴らだ…纏めて串刺しになっちまいな‼︎」

 

彼らを纏めて殺そうと『噴龍水槍(アクアジャベリン)』を20本程展開し突き刺そうとしたその時…上からの気配を感じ取り彼は図早く後退する。

 

次の瞬間紫色のレーザーが数本降り注ぎジャベリンは破壊、彼のいた地点に集中的に着弾した。

レーザーが収まると上空から何かが降り立つ。

 

その姿はシンフォギアに比べて布の割合が多く、白と紫を基調としたインナーに花嫁のベールのような布飾り、両脚部には布と装甲が一緒になったギアを備え、彼女の周りに円形状のビットが複数展開しており異質なシンフォギアを纏った装者…

 

彼女の名は小日向未来(こひなたみく)

ファウストローブ『神獣鏡(シェンショウジン)』を纏う装者だ。

 

今まで特異災害対策機動部二課と国連組織S.O.N.Gの民間協力者として親友である響のサポートをしていたが、シェム・ハとの戦いでファウストローブを纏い、続くGROとの戦いでは正式にS.O.N.Gの一員になった。

 

「テメェが七人目の装者か…!」

 

ダブリンは未来を見据えるとアームドギアを構え、襲い掛かる。

未来は円形状のビットからビームを放ちダブリンを牽制する。

 

ダブリンはアームドギアを回転させる事で力場を発生させビームを歪曲し一気に間合いを詰める。

 

「もらったぁ‼︎」

 

ダブリンはここぞとばかりにアームドギアの重量を活かした回転斬りを掛けようとしたが、彼女は両腕部の鞭で防ぎ切りそのまま連続の鞭打ちで応戦する。

彼女も猛攻に防戦を余儀なくされるダブリンだが、彼の目的はあくまでGR-1の奪取。

その間にもGR-2はGR-1に近づき、再び触れようとした。

他の装者達も自分自身の分身で手一杯の状況でGR-2を攻撃する暇もない。

 

その時嵐一尉の通信機からある通告がなされる。

 

「総員退避!総員退避だ!」

 

彼の指示で兵士達は直様退避する。

マッケンジーは何が起こるか理解できた。

 

「騎兵隊の御到来ね…」

 

すると突如としてミサイルの雨がGR-2に降り注ぎ、GR-2は大きく怯む。

何事かと上空を見るとヘリの大群がGR-2に攻撃を仕掛けていた。

嘉手納基地より派遣された在日米軍の戦闘ヘリ部隊だ。

 

戦闘ヘリ部隊はバルカン砲やロケット弾、対GR用に開発された新型ミサイルにて攻撃を敢行しGR-2を怯ませる。

だが…

 

「何やってんだ、米軍の奴ら⁉︎GRに通常兵器は効かないんだぞ‼︎」

 

クリスの言う通りGR-2は無傷だった。

実際ダブリンは鬱陶しさの余り苛立ちがピークに達する。

 

「五月蝿ぇ蠅どもだ……焼き払え、GR-2‼︎」

 

彼の指示を受けたGR-2はマスク部を開口し目を見開く。

 

「全機後退せよ‼︎」

 

ヘリ部隊は退避を試みるが、高出力のビームが放たれ戦闘ヘリの集団を破壊する。

 

「うわぁァァァァ‼︎」

 

兵士達の断末魔がビームによって掻き消され、ものの数秒で戦闘ヘリ部隊は全滅する。

この光景を見て大作は戦慄する。

 

「こんなの…こんなの嫌だよ…僕は…僕は関係無い……」

 

弱音を吐くが、そんな彼を見てマッケンジーは銃を突きつける。

 

「マッケンジー部長…!」

 

周りが騒然とする。

それはUNISOMの兵士を守る為に展開している未来も同じだった。

 

「何をやって…⁉︎」

 

だが、それが大きな隙となってしまった。

 

「余所見とは随分と余裕だな‼︎」

 

すかさず大きい一撃をお見舞いする。

彼女は回避が間に合わず、腕を組んで防御の構えをとるが大きく吹っ飛ばされてしまう。

 

「未来ッ⁉︎このぉ‼︎」

 

響はパーツの一部を展開・超回転させてドリルアームを形成、そのまま自分自身の分身を突き刺し倒す。

そのままの勢いでダブリンに突貫する。

ダブリンもアームドギアで彼女の攻撃を防ぎ、戦いは拮抗する。

 

そんな彼女達を他所にマッケンジーは大作を叱責する。

 

「集中しなさい‼︎大作、貴方はGR-1の専任操縦者(マスターマインド)になった。その運命からはもう逃れられない…」

 

そうこうしている間にGR-2はGR-1の頭部を掴む。

最早一刻の猶予もない。

 

その時だった。

突如として耳鳴りが起こり、彼の視界には昨日会った少女…ヴィーが映る。

しばらくの間ヴィーを映していた視界が真っ暗になり、そこから声…いや脳内に直接語りかける。

 

『草間…大作…』

 

「だ、誰…?」

 

『我が名はカイ…GR-1…エドフの鉄神の操り手……』

 

大作の目の前に大人の二倍の身長を誇る巨人が立っている。

 

「貴方が…どうして僕にこんな力を……?」

 

『鉄神が…ヴィーを通じて君に強い反応を示した……故に君を神殿に誘導し契約するかを問いた…そして君はそれに応じた……それだけの事だ…』

 

「そんな…勝手に決められても……!」

 

『分かっている…だが我々にはもうこれしか方法が無い……我らの遺産は悪しき者の手に渡ってしまった現状、エドフの鉄神はそれらを止める為の安全装置(セーフティ)…謂わば希望として悪しき者の手に渡らないよう特殊な術式を施し封印した……そして我らが滅んだ後エドフの鉄神の操り手を探していた……そして君が操り手に選ばれた……時間がない、GRに関する情報を君の脳内にインストールする。』

 

巨人は右手を翳す。

すると右手から光の粒子が溢れ出て、そのまま大作の身体に吸収される。

 

『これで君は正式にエドフの鉄神の操り手となる。エドフの鉄神と共に生き、共に死ぬ……運命共同体となり一つとなる……ずっとだ…』

 

そう言うと巨人は光の粒子となって消えた。

そして大作の脳内にGRに関する情報がインストールされ、それと同時に操縦の仕方を感覚で理解する。

 

「草間大作…エドフの鉄神と一つになれ……」

 

そう呟くと彼の左手首の突起物が変化し腕輪となる。

そして彼の身体は虹色のオーラを纏い、目も虚ろな状態となり、身体の各所から光の筋が浮かび上がる。

 

「始まった…」

 

マッケンジーが呟くのを他所に、光の筋が全身に巡らされると彼は浮かび上がる。

 

「何ッ⁉︎」

 

「え…?」

 

兵士達やダブリン、装者達も彼の変化に驚いていると、GR-1に動きがある。

なんとGR-1の右手と右足が動き、まるでパンチを打つ構えを取る。

 

「まずッーー」

 

この後何をするのか理解しダブリンは指示を出そうとしたが、GR-1の右ストレートがGR-2の顔面に当たり、引き剥がすと同時に大きく怯ませる。

 

ダブリン自身も頭部にストレートパンチを喰らったかのような痛みに悶える。

 

大作の意思によって起動したGR-1はGR-2を見据える。

 

「GR-1…行けッ‼︎」

 

大作がそう言うと、それに応えるかのように両腕を挙げ、咆哮を轟かせる。

 

グオォォォ‼︎

 

正式にGR-1の専任操縦者(マスターマインド)となった草間大作は遂にGROとの戦いに身を投じる………




このコーナーではBFNが独自に入手したGRに関する裏情報を皆様にお伝えします。

今回はテロ組織GROの保有する潜水母艦リール号について。

この潜水母艦はS.O.N.Gの潜水艦よりも一回り大きくより重厚な船体で白を基調としたS.O.N.Gの潜水艦とは対照的に黒一色のカラーリングが特徴的な潜水艦。

性能に関しても申し分無く、僅か3日で世界一周出来る航行力に電磁推進・アクティブステルス機構、計8門の魚雷発射管に自衛用の兵器を多数搭載しています。

そしてこの艦の一番の特徴と言えるのが、艦首のGR輸送用小型ドックで艦首が上下に開き格納してあるGRを速やかに発艦・収容出来る機能を誇ります。
ただ海中から発艦する関係上リール号に搭載できるのはGR-2・GR-5・GR-7の三体のみとなっています。

GRという巨大ロボットを世界各地で短期間で展開出来る機動力を見せつけられた我々人類は未曾有の脅威に晒されていると言っても過言ではありません。

さて次回は、遂に大作の意思によって動き出したGR-1。
果たしてエドフの鉄神は襲い来るGR-2を倒す事が出来るのでしょうか…?
そしてGRを操るオペレーター集団『GRO』は…?
もう後戻り出来ない大作と装者達は、大きな流れの渦に身を任せるしか無いのか………?

次回、『Qubit:3 激突』にご期待ください。

BFNのマックス・チャンプリンでした。
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