ソードアート・オンライン 儚き虚夢のラスベリー 作:神矢レイラ
地の文少なめです。
予めご了承ください。
どうもお疲れ様です、神矢レイラです。
今回は番外編、そーどあーと・おふらいん ラスベリー版です。
もはや小説とは呼べない茶番全開フルスロットルですが、あくまで今回だけの仕様ですのでお許しください(汗)
今回はこんなんですが、本編はものすごく真面目に書いています。
どうか細かいこととかは気にせず見てくださると幸いです(汗)
【オープニング】
――都内の某スタジオ。
暗闇と静寂に包まれたセットの中、ただ一人見慣れた衣装に身を包んだ男性が佇む姿があった。
僅かに響く程度に静かな呼吸をした後、晴れやかな色を宿した瞳を開く。
それまで震えていた足もピタリと止まり、覚悟を決めた表情からは緊張が消え去っているのが読み取れる。
向かい側から聞こえてくる男性のカウントダウンがいよいよ三つ刻まれ、直後にライトがステージを一瞬で照らす。
カメラの先に映されたその光景は、端的に言えばニュース番組の様相。
この撮影に臨むのは、今や幻夢の閃光という称号を正式に名乗った男――ラスベリーだ。
ラスベリー
「ニュースヘッドラインです。
今年8月初頭、攻略組選抜メンバーによって結成された討伐隊が、史上最悪のオレンジギルド【笑う棺桶】を討滅しました。
双方ともに少なくない犠牲が出ましたが、討伐隊に飛び入り参加したとあるギルドの活躍により、被害は最小限に抑えられ、笑う棺桶の主要メンバーを全員確保。
現在は黒鉄宮の牢獄に幽閉されているようです。
これによって危機は一つ去りましたが、未だオレンジプレイヤーは増加する一方……
引き続き、細心の注意を払う必要がありそうです。
……以上、ニュースヘッドラインでした」
最後に一言告げると同時に、天井のライトが一斉に消灯。
軽快な効果音が鳴り響き、どこからともなく現れた数人のスタッフによってセットが組み替えられていく。
同時にラスベリーの元に、新たに二人の姿が駆け寄った。
髪の長い少女は特に迷いなく、もう一人のピンク髪の少女は暗闇に手間取って派手に躓きながら。
スタジオ中に散らばったコードにでも引っ掛かったのだろうか、そんな風に三人で談笑しつつスタッフたちの準備を待ち、いよいよその時がやって来る。
再び空から、惜しみない光が照らし出した。
ラスベリー
「皆さんこんにちは。
そーどあーと・おふらいん、儚くないトークのラスベリーの時間です。
司会を務めさせていただきます、ラスベリーと申します」
リズベット
「うっわ凄い丁寧……
あ、解説のリズベットです」
ミト
「同じく、ミトです。
まぁ、そこはラスだしね」
リズベット
「というか今さらだけど、ラスが司会なのね。
てっきりミトがやるものとばかり思ってたけど」
ラスベリー
「まぁ原作に倣うなら確かにお前さんらのどっちかなんだが、ウチってヒロイン二人でやってるだろ?
それで作者が、出来るだけ二人の格差を作りたくないってよ」
ミト
「だから消去法でラスが担当することになったってことね。
結果私たちは、仲良く解説席にいると」
リズベット
「……まぁ、それなら仕方ないか。
さてこの番組は、『ソードアート・オンライン 儚き虚夢のラスベリー』の、あらゆる出来事を皆さんへお伝えする、情報バラエティ番組です。
多数ゲストもお迎えしてお届けしますので、ご期待ください」
ラスベリー
「いやお前さんも大概丁寧じゃねぇか。
さすがは接客業……」
ミト
「私もそうだけどね?
それでラス、司会ってどんな感じ?」
ラスベリー
「まぁ、緊張するのはそうなんだが……
どうも複雑っつーか、なんつーか」
リズベット
「複雑?
……あー、なるほど」
ミト
「え、何?
どういうこと?」
リズベット
「原作の司会があの娘だったから、同じ立ち位置にいるのが落ち着かないんでしょ」
ミト
「あっ、ふーん……」
とても今さらな地の文、もとい天の声で失礼するが、ミトは彼らの言う原作こと『そーどあーと・おふらいん』を知らない。
理由としては、原作自体が映画一作目を最後にストップしてしまい、彼女が登場する頃には影も形もなかったためである。
そして今ミトは、ラスベリーの心中を察してしまった。
到底穏やかではないだろうが、それは彼女自身も同じ。
ラスベリーを支える側についたと言えど、『あの娘』に対する感情は変わらないからだ。
ラスベリー
「天の声さん、説明いつもありがとうございます!」
いえいえ、大丈夫ですよ。
主役はあなたたちなんですから。
ラスベリー
「そんな、とんでもない」
リズベット
「ちょっと待って!?
なんで天の声と話せてんの!!?」
あ、どうも。
地の文で天の声こと、作者の神矢レイラです。
普段は三人称視点で書かせてもらってます。
いつも本作品を読んでくださり、本当にありがとうございます。
改めてよろしくお願いします。
リズベット
「三人称視点ってそういうこと!?」
ミト
「作者が俯瞰的に状況を解説していたということね」
リズベット
「なんでそんな呑み込み早いの!?」
ラスベリー
「リズ、あまり深く考えちゃいけねぇ。
ここは本編とは明確に切り離された場所なんだ」
リズベット
「さっきから思ってたけど果てしなくメタいっ!?」
あぁそうそう。
ここでの記憶は本編には持ち帰れないんで、よろしくです。
リズベット
「ご都合主義!!」
ミト
「え……
ってことはここでラスにアピールしまくっても?」
覚えてないですね。
ミト
「終わった、世界終わった」
リズベット
「大袈裟!!」
ラスベリー
「大丈夫だミト、逆に考えるんだ。
ここなら仮に付き合っちまっても、本編にはなんの支障もない」
ミト
「ら、ラス……!」
ラスベリー
「ここでだけは恋人だ、ミト」
リズベット
「あら優しい!!
でもせめてあたしの前ではやらないで欲しかった!!」
ラスベリー
「まぁ、リズも同時にだがな」
ミト
「えっ」
リズベット
「上げて落とすなクズベリー」
ラスベリー
「まぁさすがに冗談だよ」
リズベット
「ですよね」
ミト
「……ちなみに、どこまでが冗談なの?」
ラスベリー
「全部」
ミト
「よし56す」
ラスベリー
「助けてリズ」
リズベット
「無理」
ラスベリー
「知ってた」
有名な某作品風に言うなら、この始末である。
はてさてこの先いったいどうなるのか、それはすべて彼ら次第だろう。
というかまだ番組は始まったばかりなので、この先があってくれないと困るのだが。
ミト
「ふぅ……
いい加減ふざけてないで進めましょう。
尺も限られてることだし」
リズベット
「それ、アンタが言う?」
ラスベリー
「まぁまぁ。
それでは『儚くないトークのラスベリー!』、スタートです!」
【SAO'Lトリビア①】
アルゴ
「本作におけるSAO正式サービスでは、全プレイヤーに初級武器が一通り配布された状態で始まル。
いわゆるスモール・レイピアなんかが属する、『スモール・シリーズ』だナ。
基本的に自分の使う武器を選んだあと、他のヤツはみんな売っ払うっていうのが定石だゾ。
ちなみにラー坊もそうしたらしいゼ。
あと、スラントやリニアーみたいな初級ソードスキルは、実は武器種さえ合っていれば誰でも最初から使えるようになっていル。
ラー坊がアウリオンを手にした途端急にスラントを使えたのは、こういうワケだったのサ。
今思えばこれは、クロスオーバーを円滑に使えるようにするための措置なんだろうナー。
以上、SAO'Lトリビアでしタ!」
【THE・PLAYBACK!】
ラスベリー
「このコーナーは、儚き虚夢のラスベリー第1部の話の中から、いくつかのシーンをピックアップして、ゲストとともに解説していくコーナーです。
ではまず、一人目のゲストを紹介しましょう。
……つってもまぁ、俺は誰が来るか知らねぇんだけどさ」
リズベット
「そう言えばあたしも聞いてないわね」
ミト
「どうやら知っているのはスタッフさんだけみたい。
とりあえず呼んでみましょうか。
では一人目の方、どうぞ!」
戸惑いを含んだ声と同時に、向かい側の舞台に独特の転移エフェクトが現れる。
一応これはCGによる演出ではあるのだが、収録中にも関わらずラスベリーたちは思わず見入ってしまう。
だからこそ気付けなかった、そこに入ってきた人物に。
まるで瞬間的にそこに現れたかのように姿を現したその少女は――
アスナ
「どうも〜」
ラスベリー
「いや最初っからクライマックスゥ!?」
原作の司会進行役こと、アスナだった。
ラスベリー
「ちょちょちょ、ちょっと待て!?
誰だアスナ連れてきたの!!」
アスナ
「呼ばれてないよ。
スタッフさんに少し‘お話’したら出してもらえたの」
リズベット
「アスナ笑顔が怖いっ!?」
ミト
「さすがアスナ、中々やるわね。
単純な方法ながら恐れ入ったわ」
リズベット
「なんでアンタは褒めてんの!?」
アスナ
「でしょう?
10万ポンっと出したらアッサリ許してくれたわ」
リズベット
「って賄賂かよ!!」
ラスベリー
「あの、これって無効化は……」
アスナ
「無理です☆」
ラスベリー
「ウッス」
カオスの極みである。
というかさっきまで向かい側にいたはずのアスナが、いつの間にかラスの右腕を抱いているのはいったいどういうことなのか。
正直に言って、天の声たる私にもサッパリ判らない。
リズベット
「いや理解諦めないで!?」
アスナ
「さぁラスベリー、やっと捕まえたよー。
収録終わったらたくさん話そうねー」
ラスベリー
「あ、あの……俺終わったらJET47のライブ行くんだけど」
アスナ/ミト
「なんですって???」
ラスベリー
「ヒエッ」
リズベット
「いや急に揃うの恐怖なんだけど。
とりあえずプレイバック進めましょ。
ほらアスナ、ラス連れて行っていいから元の位置に戻って」
ラスベリー
「あの、俺の人権は?」
ミト
「無いわ、人権無いわ」
ラスベリー
「うわー、なんか殺人ギルドにいそうな発言」
アスナ
「大丈夫!
今すぐKoBに入れば人権どころか、SAOでもトップクラスの地位につけるよ!」
ラスベリー
「丁重にお断りさせていただきます」
半ば強引に拉致されていった結果、ラスベリー以外の全員が改めて定位置に着いた。
開幕から司会進行役が取られてしまうという異常事態が発生しているが、まぁ些細な問題だろう。
リズベット
「いやだいぶ問題あるわ!!」
ミト
「とりあえず一話から見ていきましょうか」
リズベット
「あっ、はい」
ラスベリー
「とうとう折れたな……」
ミト
「えー、ではまず。
個人的に言いたいことのあるこのシーンからね」
リズベット
「理由がえらく個人的!?」
「もぅ、いい加減起きなさいっ!」
「うおぉっ!?」
刹那のうちに居合い切りでも放たれたのか、そう言いたくなるような速さで彼を包んでいた布団が勢いよく吹き飛んだ。
あまりに突然な出来事にそれまでふわふわしていた意識が完全に覚醒し、暗い灰色の瞳をパチパチとさせて赤黒髪のその男は目の前の女の子を見る。
夢に出てきた騎士服の少女そのもの――いや、少し髪形は違うだろうか。
何にせよどこかの学校の制服に身を包んだ栗色の長い髪の少女が、自分の目の前で腰に手をつき立っていたのだ。
「な、なんだ!?
アンタいったい誰だ!?」
「何寝ぼけてるのよ晴輝さん、私よ。
明日奈、結城明日奈」
ミト
「アスナ、教えて頂戴。
いつもこんなことしてるの?」
アスナ
「いやさすがにそれはないよ?
この時はたまたまラスベリーがうちに鍵を置いてっちゃってたから入れただけ」
リズベット
「だいぶ無用心ね……」
ラスベリー
「と思うだろ?
ところが仕事から帰って部屋を漁ってみたら、鍵が見つかったんだよ。
スペアじゃない方な」
アスナ
「え゛っ」
リズベット
「まさか、合鍵とか言わないわよね?
作ったとかじゃないわよね!?」
ミト
「さすがアスナ!
私に出来ないことを平然とやってのけるっ。
そこに痺れる憧れるッ!」
リズベット
「憧れんな!
そして勝手に決めつけんな!!」
アスナ
「……いやまぁ、その通りなんだけど」
ラスベリー
「決めた俺引っ越すね」
アスナ
「嘘だけど」
ラスベリー
「寿命返せ」
リズベット
「というかさっきのミトのセリフ、なんとなくキリトに言わせたいなって思ったのあたしだけ?」
ミト
「よし、あとで絶対言わせるわよ」
ラスベリー
「なんだこの団結力」
アスナ
「じゃ、じゃあ次は二話だね。
ミト、私だってあなたに言いたいことあるんだからね!」
リズベット
「また個人的な理由!?」
一通り話し終えた深澄は横になっている晴輝の左手を取り、憂いを帯びた瞳で彼のことを真っ直ぐ見つめる。
笑っているはずなのに、その表情はとても寂しそうで。
また泣き出しそうなはずなのに、どこか幸せそうで。
そんな彼女は、また口を開く。
「リアルで兎沢さんって言われた時、悲しかった。
晴輝さん、どうしちゃったのかなって。
……けど、晴輝さんは晴輝さんだった。
ふざけるなって思ったけど、あんな無茶はあなたしか出来ない。
そんなあなただから、私は」
「……深澄ちゃん?」
映像が途切れた瞬間、アスナの周囲にドス黒いオーラが迸り始める。
どこかの戦闘民族か、あるいは超能力に目覚めた英雄か。
それらを彷彿とさせる威圧感を放っていた。
アスナ
「よくもまぁ私のいない時にこんなこと出来るよねぇ」
リズベット
「だから笑顔が怖いってぇ!?」
ミト
「アスナ、落ち着いて。
逆に考えるのよ、あなただってこれが出来たんだって」
アスナ
「無理よ、だってこの頃のラスベリー素っ気なかったもん。
なんかやたら距離があったし、壁作りまくってたし」
リズベット
「それ今もじゃない?」
アスナ
「なんでか私に対してだけはそんな感じなのよねぇ、この人」
ラスベリー
「まぁアレだ、年頃の女の子が俺みたいな男と親密になりすぎんなってことだよ。
第一けっこう歳離れてるしな」
アスナ
「の割りにはリズやミトにはけっこう甘いよね?」
ラスベリー
「……ごめんなさい許してください」
アスナ
「じゃあ今だけでいいから離れてた分優しくして」
ラスベリー
「……まぁ、ここでなら良いか。
どうせ戻ったら忘れるんだし」
アスナ
「えっ、マジ?」
はい、マジです。
三人にはもう言いましたが、ここでの記憶は向こうには持ち帰れません。
ご理解ください。
アスナ
「終わった、世界終わった」
リズベット
「いやアンタもかい!!」
ミト
「こんな世界、滅びれば良いんだ!!」
リズベット
「いやソードスキル使うなァ!!」
――瞬間、大爆発が巻き起こる。
スタジオ内は当然パニックに陥り、スタッフさんたちはほとんどが負傷。
近くにいたラスベリーたちも当然ただでは済まず、ゲーム的に言えばHPがすでに赤色となっている状態。
にも関わらず何故かカメラは無傷であったため、番組は進行されるのであった。
リズベット
「いやなんでよ!?」
あ、ちなみに今の一瞬でスタジオも全スタッフさんの怪我も色々諸々治りましたよ。
リズベット
「ナンデ!?」
ラスベリー
「では、続けて三話からです」
リズベット
「……あぁ、そう。
深く考えちゃいけないのね、よく判ったわ。
……じゃあ映像、ドゾー」
「最後に親切心で教えてやる。
攻略会議中に黒い髪の可愛い顔した野郎を見かけたら、ソイツを頼れ。
必ずお前の力になってくれるはずだぜ」
その瞬間だけ、いつもの優しい晴輝に戻ってくれたような気がした。
しかし自身に対して向けられる感情は依然として諦めのもので、あまつさえ自分ではない他人を当てにしろとさえ言ってくる。
二人で強くなろうと決めたあの日に夢で見た、彼と初めて会った日の記憶が――
音を立てて、壊れていく。
次の瞬間、ラスベリーがそれまで使っていた得物を地面に放り投げた。
「持ってけ、そのぐらいの餞別はくれてやる。
たまになら連絡してやる、だから……達者でな」
「っ……待って」
「もし来るなら、お前を殺す」
アスナ/ミト
「なにか言い残すことはある?」
ラスベリー
「……お墓は立派にしてください」
その言葉を最後に、それまでラスベリーのいた場所には杜撰な出来の墓標が立てられた。
しかも貼り付けられた紙には『らすべり〜のはか』と雑すぎる文字が書かれており、もはや死者への冒涜なんてものではない。
リズベット
「ラスぅぅぅぅぅううう!!」
アスナ
「まぁ……良い人だったわ」
ミト
「待っててラス、私も今逝くから」
リズベット
「何サラッと後追いしようとしてんのアンタは!?」
アスナ
「……しかし今思うと、ここでラスベリーが離れたから後々色んな人が救われてるのよね」
リズベット
「ま、まぁそうね。
あたしとかその筆頭みたいなものだし」
ミト
「あとでも語るだろうけど、特にシオウの計画を阻止出来たのが大きかったと思うわ。
じゃなかったら今頃、アスナたちはみんな……」
アスナ
「惜しい人を亡くしたわね……」
ラスベリー
「マダイキテルヨー?」
とんだ茶番である。
では尺も限られているので、少しだけ飛んで五話のプレイバックと行こう。
何故かと言われれば、先ほどリズが四話で取り上げたかったところをさらっと言ってくれたからである。
まぁ掘り下げられるところはまだまだたくさんあるのだが、何分一話一話の内容が多いので全部取り上げていたら、それこそ五回ぐらいこの企画をやる必要があるのだ。
ラスベリー
「説明ご苦労様です。
では、映像をどうぞ」
――瞬間、灰色だった世界が音を立てて砕け散り、同時に再生され始めた世界に従って落石が容赦なくラスベリーを襲う。
呆気なかったと鼻で笑うカトーに、彼が死んでしまったのかと声にならない喪失感に苛まれるリズベット。
しかし、リズベットの瞳は完全には曇らなかった。
何故なら自身のHPバーの下にある名前が、まだ消えていないのを確認したから。
すぐに落ち込んでいた顔を上げ、崩落した岩の山を真っ直ぐ見つめていると、中心から無数の光が迸り始める。
この場にいた全員が驚愕し、やがて爆発したように落石だったものたちは一瞬で吹き飛んだ。
そしてそこにいたのは、見たこともない純白の得物を携えたラスベリーだった。
「な、何ィィ!?」
「ラスベリーっ……!!」
「……さぁ、行こうぜ。
‘アウリオン’!」
ラスベリー
「懐かしいな……
この出会いが、俺の未来を大きく変えたっつってもいいな」
アスナ
「私たちが九の懐と戦っている間に、こんなことがあったなんて」
リズベット
「うんまぁ確かに感慨深いけど……ようやくまともに振り返りしてて、なんか違和感」
ミト
「そう言えばこの中だと、直接アウリオンを見てないのって私だけね。
壊れた姿ぐらいしか知らないかも」
ラスベリー
「言われてみたらそうだな。
お前さんとやり合った時にはもう進化してたし」
アスナ
「まぁ私はどっちの姿もろくに見れてないけどね」
リズベット
「まぁ後々嫌でも見るでしょ、今後の展開的に。
さてと、そろそろ他のゲストも呼んじゃいますか」
ラスベリー
「それもそうだな。
ではどうぞ、お入りください!」
高らかな声が空を踊るのとほぼ同時に、数名の足音が舞台上に上がってくる。
そのうちの二人はラスベリーたちにとってもすっかりお馴染みだが、残る一人は彼らにとっては少々意外な人物だった。
クライン
「どうもー!
愛と正義の使者、クラインでっす!」
ラスベリー
「なんか世界の平和を守るためにドッキングしそうな口上来たな」
キリト
「さすがクライン、俺に絶対言えないことを平然と言ってのける!
そこに痺れず憧れない!」
アスナ
「キリト君さっきのセリフ本当に言ってるし……」
シオウ
「……なぁ。
このメンバーで私って、明らかに場違いじゃないか?
なんなら帰ったほうが良いのかな」
ミト
「大丈夫よ、だいたいこんな感じのノリだから。
特に気にしなくていいわ」
シオウ
「その声は滅龍……いや、ミトか。
改めてよろしく頼む」
リズベット
「さて、ここからはこの面々でササッと振り返っていくわよ!
次は七話からね!」
「なるほどね。
それが確かなら、今まで誰も攻略出来なかったのも頷ける。
……でも、はいそうですかって私が手を貸すと思う?」
状況的には手を取り合った方がいい、そんなことはお互い判り切っている。
それでもアスナがこんなことを言うのは、これまですっぽかされてきた怒りからだ。
自分のことを嫌っているにしてはあの手紙は不自然すぎるし、何一つ連絡もしてくれなかった。
そんな彼に対して不満を募らせていくのは当然ではあるし、ラスベリーの責任としか言いようがない。
もはや誠意を見せろと言っているのと同義ではあるこの発言に対し、ラスベリーは少し遅れてその指を動かした。
『……この一件が片付いたら、必ずお前に会いに行く。
約束だ』
「っ……!
嘘じゃ、ないのよね」
クライン
「確か俺が奥でドンパチやってる時だったかな。
いやしかし、今でも二人が知り合いだったなんて信じられないぜ」
アスナ
「まぁ私自身、この時はとても冷静じゃちられませんでしたけどね。
まさかすぐそこにいたなんてね……」
ラスベリー
「そんな目で睨まないでお願い。
なぁキリト頼むよなんとかしてくれ、お前さんの嫁だろ」
キリト
「こっちではまだだぞ!?」
心配しなくて大丈夫です。
本作ではアスナさんは便宜上サブヒロインとなっていますが、扱い的には実質準主人公であり、ラスベリーさんと引っ付けるつもりは毛頭ないので、安心してキリアス出来ますよ。
キリト
「ここで言って良いのかそれはぁ!?」
アスナ
「というわけでキリト君、キリアスしようか」
キリト
「万能単語みたいに使うな!!」
ミト
「じゃあラス、私たちはラスミトしましょうか」
ラスベリー
「うん、そもそも君らどういう意味で使ってんの?」
シオウ
「……色々大変だなぁ」
リズベット
「気にしたら負けよ、たぶん。
というかこのままじゃ収集つかないし、八話の映像出すわよー」
「あの世に抱かれろ」
謎の刺傷によって倒れ、すでに抵抗一つ出来ないラスベリーに対し、無表情のままシオウが赤紫色の刃を容赦なく振り下ろす。
間もなく自分は死ぬ、そう理解してゆっくりと瞼を閉じていく。
本来この世界には存在しない自分にしては、よく生きた方だろう。
そんなことを思い、斬撃を受け入れようとした時だった。
シオウの攻撃を、黒い影が阻んだのだ。
「……貴様、何者だ?」
「……滅龍」
その名前には達人たるシオウも驚きを隠せないようで、即座に黒い外殻をまとうその人物から距離を取る。
シオウ
「謎のプレイヤー滅龍。
まさかあのタイミングで現れるとは思わなかったな」
キリト
「俺も噂ぐらいは聞いていたけど、まさかミトのことだったなんてな。
アスナは知ってたのか?」
アスナ
「ううん、夜な夜な活動してることぐらいは聞いたけど。
しかし滅龍なんて誰が最初に言い出したんだろうね」
ミト
「もしソイツを見つけたらシメるわ、確実に」
リズベット
「いやどんだけ嫌ってんのよ」
ラスベリー
「まぁ気持ちは判る。
俺もハンドルネーム勝手に決められたし、幻夢の閃光って異名も複雑すぎるしな」
ミト
「あれだけ私の前で堂々と宣言してたのに……?」
クライン
「なんつーか、簡単には割り切れないのかもな」
リズベット
「そう言えばアスナとしては、ラスが閃光って呼ばれてることはどう思ってるワケ?」
アスナ
「そうね……
初代としては負けたくない、かな」
ラスベリー
「それでも俺は勝つぞ、絶対に」
アスナ
「させないよ、何があってもね」
クライン
「あのー、そういうこと本編でやってもらえます?」
シオウ
「……む?
みんな、どうやら次でプレイバックは最後らしい。
ここぐらいはせめて真面目に語るとしよう」
リズベット
「ちょうどアンタの回ね。
ここけっこう大事な話だけど、上手くまとめられるかしら」
ミト
「大丈夫よリズ。
これまでもふざけ倒してて、まったくまとめられてないから」
ラスベリー
「うん、原因の何割かはお前だからな?」
キリト
「というかこの企画、こんなクオリティで大丈夫か……?」
アスナ
「問題ないわ、だって本編じゃないもの」
リズベット
「原作ヒロインにあるまじき発言やめなさい」
シオウ
「で、ではそろそろ行こう。
九話の映像だ、見るがいい」
「やはり、確実に殺しておくべきだった。
あの時は邪魔が入ったが、今回ばかりは違う。
作戦が潰えた今、せめてお前たちを冥土に送ってやるとしよう。
……獣たちへの、見せしめだ」
「その言葉で、一方的な信念で……
いったいどれだけの人を傷つけ、殺してきた?
シオウ、お前はまだ立ち止まれる。
俺たちが止めて見せる」
「……戯言を、出来るはずがなかろう。
私は死王、死を宣告する王!」
シオウの目が見開かれると同時に、中を舞っていた無数のダガーたちがラスベリーたちのいる足元目掛けて次々と飛んでくる。
これに対して咄嗟にリズを肩に抱えて空中へと逃げ、追ってくる複数の刃は空いた手に握られたメサイアを振るい打ち落とす。
ダガーたちが暴れ尽くしたために積もっていた雪が切り刻まれ、ちょうど真円状に出来上がったフィールドへと落下していく二人。
その勢いを利用してともに得物を振り下ろすが、即座に戻ってきていたダガーたちがそれを阻み、耳を切り裂くような金属音を掻き鳴らした。
シオウ
「こうして振り返ってみると、当時の私は酷く暴走していたな。
ラスベリー……改めてにはなるが、止めてくれて感謝する。
でなければ今頃、攻略組の主力は壊滅していた」
ラスベリー
「別に俺だけの力じゃねぇよ。
俺を傍で支えてくれたリズに、ギリギリで助けてくれたミトにノーチラス、それにクラインのおかげさ」
クライン
「え、俺?」
リズベット
「いつかアンタが私にくれた蘇生アイテム、この戦いで使ったのよ。
つまり実質、アンタがラスの命を救ったも同然ってワケ」
キリト
「良かったなクライン、英雄だぞ」
アスナ
「おめでとう、クラインさん」
ミト
「おめでとう」
シオウ
「おめでとう」
クライン
「み、みんなぁ……!」
リズベット
「……ねぇこれ、ツッコむべき?」
ラスベリー
「いや、無視すれば良いと思う」
リズベット
「だよね。
……えー異常、プレイバックのコーナーでした」
【SAO'Lトリビア②】
アルゴ
「よっ、また会ったナ!
またまたトリビアのコーナーだゼ!
さて今回は、本作におけるソードスキル共通の仕様についてダ。
各プレイヤーは最大4つまで、使用可能なソードスキルを登録しておけル。
これはいわゆるショートカットみたいなもので、予め登録しておいたものは他のものと比べてスムーズに発動することが出来るから、戦闘においてかなり有利になる仕様だナ。
一応登録しなくてもソードスキルは使えるが、明らかに効率が違うからショートカット機能は使っておいて損はないゼ。
というか命のやり取りをするなら、使えるソードスキルはほぼ登録済みの4つに絞られるだろうナ。
以上、SAO'Lトリビアでしタ!」
【エンディング】
ラスベリー
「そーどあーと・おふらいん、儚くないトークのラスベリー。
如何でしたでしょうか?
ここまで奇想天外ハチャメチャにお送りして来ましたが、楽しんでいただけましたら幸いです。
えー最後に、解説のお二人に感想を聞いてみましょう。
まずリズ、どうだった?」
リズベット
「そうね……出来ればもう二度とやりたくないわ」
ミト
「色々ふざけ倒せたけど、だいたいそれだけだったしね……。
第二回とか絶対無いでしょ」
ラスベリー
「それはまぁ、作者さんの気分次第なんじゃあねぇのか?」
まぁ、はい。そうなりますね。
好評なようなら考える、程度に思っていただければと思います。
たぶんそんなことはないでしょうけどね……
ラスベリー
「……んじゃあまぁそろそろ締めましょうか。
それでは皆様!
次は儚き虚夢のラスベリー本編でお会いしましょう!」
ミト
「ちなみに次の投稿はいつになるのかしら?」
もちろん決めてあります。
というかここまで更新が遅れていたのは、本編用のお話を裏でずっと進めていたからでして。
次回から始まるのは幕間編といって、いわゆる日常回となります。
第一部での冒険を終えたラスベリーさんの、つかの間の休息みたいな感じですかね。
そして気になる公開日は……リズさんのお誕生日です!
リズベット
「え、あたしの!?」
というわけで、次回をお楽しみに!
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました!!