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ホーミング聖の第一子が生まれて一月が経った。何も考えてないクソガキのフリをしつつ、赤ん坊を見てみたいとホーミング聖の家に押しかけた。若干驚いていたホーミング聖だったが、喜んで家に上げてくれた。
生まれ変わってから初めて見る赤子が将来、親を殺し、海を荒らし、弟を殺し、七武海になり、国を乗っ取る……かもしれないとは夢にも思わないだろう。私だって原作を知っていなければ可愛らしいただの赤子だと思う。正直、一番楽な方法はここで事故を装い……いや、それをすれば最初に定めた原作知識を活用して不幸をなるべく減らすという目標から外れてしまう。ドフラミンゴだって度重なる不幸さえなければもう少し優しい子に育って……くれたかどうかは少し怪しいものだが、私が軌道修正してやれば少しは優しい子に育てられる……はず! と思っても流石に荷が重そうだと思わずにはいられない。
複雑な思いで赤子の顔を見ていると、ホーミング聖が話しかけてきた。
「どうだい? うちの子は可愛いだろう」
「え、ええ。この子の名前はなんていうんだえ?」
「この子はドフラミンゴ。優しい子に育ってほしくてつけた名前なんだよ」
「そうなんだえ。ドフラ……言いにくいからドフィだえ。ドフィ、このわっちガルフレドがお前を兄のように育ててやるえ!」
「おや、ガル君は一人っ子だったと思ったが」
「だから弟か妹が欲しかったんだえ。ドフィはわっちが弟みたいに可愛がってやるんだえ」
「そうか! 良かったなぁドフィ、お前にお兄ちゃんができたぞ」
ホーミング聖は私の言葉を疑うこともなく受け入れ、ドフィを抱き上げ頰ずりしている。この人に疑うという考えは最初からないのだろうか。
ドフィはすやすやと眠っていたのを邪魔されたのが嫌だったのか大声で泣き出し、それに慌ててホーミング聖があたふたし始め、それに混乱したドフィが更に泣くという悪循環をなしている。私はため息をついてホーミング聖に話しかける。
「ドフィは急に抱き上げられて驚いているんだえ。少し抱かせて欲しいえ」
「あ、ああ頼む。ドフィ〜どうか泣き止んでおくれ〜」
ホーミング聖からドフィを受け取り、ゆっくりと揺らしながら前世のクラシックを鼻歌で歌う。すると、大泣きしていたドフィは次第に泣き止み、安らかな寝息を立て始めた。ようやく泣き止んだドフィを起こさないようにベビーベッドに下ろし、ホーミング聖に向き直る。
「赤ん坊はもう少し慎重に扱ったほうがいいえ。急に抱き上げたりしたら危ないえ」
「そうか、私も初めての子ということで慣れてないんだ。良かったら色々と教えてほしい」
「ホーミング聖、わっちはまだ3歳児だえ。普通はわっちの方が教わる方だと思うえ」
「あれ、そうだったかい? あまりにしっかりしてるからもう少し年上の子だと思っていたが。良かったなぁドフィ、しっかりしたお兄ちゃんができて」
子供に教えられることも子供に注意されることも頓着していないホーミング聖を見ていると毒気が抜けていく。私の親にこんなこと言ったら絶対ぶん殴られて、奴隷が1人か2人は減ることになるだろう。ただの人としてはとても優しく、良い人だ。しかし、やはり天竜人としては異端すぎる。今からゆっくりと話していけば、この人達がマリージョアを出ていくことはないかもしれない。だが、それでは歴史が変わりすぎてこの先の予定が大幅に変わってしまう。更に奴隷の扱いに心を痛めて、ホーミング聖達が早死にする可能性もでてくるだろう。
まだ関わったのはほんの少しだが、私はこの人が傷つくのは嫌だと思った。なので元々考えていた計画を実行に移すことにした。