世界一のゴミクズに生まれた   作:Dr.凡愚

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計画 : 1
世界政府に干渉されない。又は干渉されにくい場所に奴隷などの避難所を作る。

世界政府非加盟国がいい?
どこにするべきか
広い場所
他種族を受け入れられる
侵入されにくい→侵入できなくする?


先日世界政府から外された国
他種族協和を掲げていた
国土は広い ※未開拓の土地も多い

詳細不明の宝?
古代兵器→原作にはないので可能性は低い
財宝→ありそう
歴史の本文→多分違う
悪魔の実→ものによっては食べときたい

移動方法
海軍の軍艦

来る海兵
ガープ→ない
センゴク→話によってはもしかしたら
おつる→場合によっては協力してくれる?
ゼファー→本命 味方にしておきたい
その他→よくわからん 口が固くて味方につけやすくて覇気を教えられるやつなら考える

 ケースバイケースで臨機応変に対処する!




クソガキの計画

 

 家に戻った私は、父親に下々の世界を見たいとねだった。それを聞いた父親は、相変わらずのにちゃりととした笑みを浮かべお前もそろそろ奴隷に興味を持ったかと喜んだ。たいへん苛立ったが、それを顔に出すと“お願い”を聞いてもらえなさそうだったので笑顔で答える。

 

「わっちもそろそろ自分で選んだ奴隷が欲しいえ。それに下々の無様に働く姿を見て笑える別荘に島も欲しいえ」

「すばらしいえ。そろそろお前も天竜人として下々の扱いを学ばせようと思ってたところだえ。実にちょうど良かったえ〜」

 

 私の言葉に父親は豚みたいに笑い許可を出した。多分何も考えてないんだと思うが、どれだけ金がいるか理解してんだろうかこの豚、と思った私は悪くないと思う。

 

 

 それはそれとして、早速候補地を探すため世経を眺めて良さげな場所を検討する。欲を言えば海賊に襲われたせいで天上金を支払えなくなりかけてる国のある島とかがいい。交渉次第で都合のいい場所にできるかもしれない。

 

 少し探せばどうせあると思っていたが、やはり海賊に襲われたせいで天上金が払えなくなりそうな国があった。取り寄せた地図で島の大きさなどを確認し、軍艦を呼び出した。天竜人のクソガキの戯れにつきあわされる海兵には少々悪いとは思ったが、この先の悲劇を減らすためなので我慢してほしい。

 

 

 軍艦を呼び出して数日、海軍中将が率いる軍艦1隻が到着した。父親はなぜ大将が来ないのだと喚いていたが、私としては中将ならもしかしてといった顔も思い浮かぶので少々期待しながら軍艦に向かった。

 私が到着すると、海軍中将ゼファーが率いる軍艦が到着していた。

 

 正直言って大当たりだ。今の海軍で一番顔を合わせておきたかった人物が来てくれた。

 

「海軍中将ゼファーと申します。今回はガルフレド聖を護衛させていただく光栄を賜り恐悦に存じます」

 

 キレイな敬礼をしつつ思ってもないだろう言葉を述べるゼファー。この後もう全力で働いてもらおうと思う。

 

「このわっちを護衛させてやるからにはせいぜい頑張るんだえ」

「しかし我が息子よ。本当に護衛も世話をする奴隷も連れていかなくていいんだえ?」

「そんなのこいつらにさせればいいんだえ」

「おお、さすが我が息子。頭がいいんだえ」

 

 父を誤魔化すためだが、心にもない言葉を言わなくてはいけないのは辛い。日々頑張っている海兵達にそんな事は思ってもないが、父に報告をしかねない者を近くに置いておきたくはなかった。

 そんな言葉を聞いて腹が立っているのだろう。ゼファーの後ろに並ぶ海兵から歯ぎしりが聞こえる。自分が害されるとは夢にも思っていない父は気づいていないが、私にはその怒りが痛いほどに聞こえてきた。

 

「さて、それじゃあ行ってくるんだえ。二月くらいで帰ってくるえ」

「楽しんでくるえ我が息子よ」

 

 

 

 さほど嬉しくもない見送りを受けて軍艦は出港した。暫くは甲板からマリージョアの方を睨みつけていたが、ゼファーがやってきて話しかけられた。

 

「ガルフレド聖、あまり潮風に当たりすぎるとお体に障ります。船内に移られてはいかがでしょうか」

「そうか。黒腕のゼファー、話がある。艦長室あたりで2人きりで話したい。案内しろ」

「ガルフレド聖? その言葉遣いは」

「いいから早くしろ。誰にも聞かれないようにだ。頼む」

「……分かりました。ご案内します」

 

 下手に聞き返すこともなく、ゼファーは俺を案内し始めた。道中すれ違う海兵達は、私の姿を見るなり慌てて頭を下げる。そんなされたくもない行動を取らせなければならない自分の身分がやはり嫌いになる。

 程なくして艦長室についた。

 

「ガルフレド聖、こちらが艦長室になります。どうぞお入りください」

「うむ、苦しゅうないえ」

 

 私が中に入ると、ゼファーは警備についていた海兵に話しかける。

 

「今からガルフレド聖と内密の話をする。何が聞こえても他言無用であり、話の内容が漏れたと発覚した時点で厳罰を与える。分かったな」

「はっ!」

「また、茶などは……ご入用ですか? ガルフレド聖」

「別にいらんえ。早く来るえ」

「かしこまりました。茶などの差し入れは不要だ。何人もこの部屋の中に入れるな」

「了解しました!」

 

 海兵に注意を行ったあと、ゼファーは部屋へ入り鍵をかけた。自ら茶を淹れ、私の前に出してきた。

 

「茶はいらんと言ったつもりだったが」

「話が長くなりそうでしたので淹れさせていただきました」

「そうか、感謝する」

 

 来客用のソファーに座り、ゼファーの入れてくれた茶を飲むため、下に降りてからずっとつけていたシャボンをはずした。

 

「話というのは、その天竜人らしからぬ振る舞いのことですかな?」

「話が早くて助かる。あなたは私の旅の理由をどう聞いている」

「……世界政府非加盟国一歩手前の国を見学なさる為、と聞き及んでおります」

「そうだ。そしてその国が本当に非加盟国となるようであれば、”島ごと私だけの別荘"にするつもりだ」

「それはっ!」

「今から話すことは他言無用だ。私はそこを奴隷たちの隠し場所にしようと考えている」

「どういった意味でですか」

「我々のような天竜人に虐げられる種族や奴隷たちの避難場所としてだ」

「ッ……」

 

 私の言葉にゼファーは絶句した。それはそうだろう。現行制度の恩恵を一番受けている筈の天竜人の子供が自分の存在を否定するような事を言い放ったのだから。

 

「なぜ、そのようなお考えに至ったのかお聞きしても?」

「……物心ついたときから"声"が聞こえるのだ」

「声?」

「”痛い"、”苦しい”、”助けて”、”帰りたい”、”殺してくれ”、”家族に会いたい”、”なぜ自分がこんなことに”」

「何を言っておられる?」

「朝となく、昼となく。隣の部屋から、隣の家から、地下から。目覚めている限りこんな”声”が聞こえ続ける。こんな生活をどう思う」

「気が……狂うでしょうな」

「それが私の日常だ。今も扉の向こうから聞こえるぞ。”なぜ我々があんなゴミクズのために働かねばならんのだ”とな」

「そんな事はッ」

 

 勢いよく立ち上がるゼファーに向けて手のひらをだし、制止する。

 

「それが天竜人というものだ。私とて貴様らと同じ立場であればそう考える」

「そのお年でなぜそこまで……」

「知らん。だがこれが私だ」

 

 ゼファーは力なく艦長椅子に腰を落とし、黙り込んだ。現状の私を説明するに、言葉は足りていないだろうが普通の天竜人と異なるという事は説明できた。

 

 せっかく淹れてもらった茶は、冷めてしまっていたが存外美味しかった。茶を飲みながらしばらく待っていると、ゼファーが口を開いた。

 

「ガルフレド聖のお考えはなんとなくですが理解いたしました。それで、私に何をやらせたいのですか?」

「現状貴様にやらせたいことは3つだな」

「それは、何を」

「1つ、私の行動をどこにも報告するな。1つ、私の行動に協力しろ。1つ、私に六式と覇気を教えろ。以上だ」

「1つ目は了解しました。ガルフレド聖の行いについてどこにも報告しないことにいたします。2つ目も場合によりますが協力させていただきます。ですが、3つ目は……」

「できんか?」

「お体の出来上がっていない今のガルフレド聖では……」

「そうか。覇気の基礎程度であれば問題なかろう。確か、見聞色と武装色だったか?」

「仰るとおりです」

「私が日々聞いている”声”は見聞色とやらのせいではないか? であれば最低でもそれの扱いは教えてくれ。そうでなければ苛立ちと罪悪感で早晩自死しそうだ」

「分かりました。明日からでもよろしいですか?」

「ああ、頼む」

「それと、私の部下にだけでもガルフレド聖の真意をお話いただけませんか。私の部下たちは口も固く、信頼できる者たちばかりです」

「話すのはいいが、私の戯言を口外すれば侮辱罪程度ではすまんぞ。一族郎党首輪を付けられるかもしれん」

「ご安心ください。絶対に口外などさせませんので」

 

 そうゼファーに促され、甲板へと連れ出された。甲板にはすでに手の離せないもの以外は全員集められている。ゼファーの命令で集められたらしい彼らは、何が起こるのかとざわついていた。

 

「傾注! これから、ガルフレド聖よりお言葉を賜る。心して聞くように!」

 

 ゼファーが集まった海兵へむけ大声で怒鳴りつける。ここまで大げさにやるとは聞いていなかったため、ため息を付きながら私は甲板へ姿を現した。シャボンをつけず、外の空気を吸っている私に海兵達は驚きの目を向ける。天竜人が下界の空気を穢れていると言って嫌っているのは周知のことだからだろう。

 ざわつきながら私を見ている海兵達に拡声電伝虫を向けつつ、声を発する。

 

「まずははじめましてと言うべきだろう。私がガルフレドだ。この2ヶ月程度の旅の間世話になる。よろしく頼む」

 

 大分上から目線の言葉ではあるが、天竜人が頼むなどといった言葉を発したことに海兵達はどよめいた。

 

「この旅の目的地は次の天上金を支払えず世界政府から脱退することとなる国、ソムニアであることは知っているな?」

「「「はっ!」」」

「その目的は、ソムニアを島ごと私の所有物にするためである」

「「「!?」」」

「疑問はあるだろうが最後まで聞け。私はそこを我々のような天竜人(ゴミクズ)に虐げられる種族や奴隷たちの避難場所、隠し場所にする。当然、他の天竜人などを入れることはない。楽園とは言わんが、私のもとに平等で平和な場所として運用する予定だ。質問があれば言ってみろ。この場においては一切不敬罪に問うことはしない」

 

 そう言って海兵達の返答を待つが、ざわついてはいてもこちらへ質問をしてこようとする者は出てこない。誰か一人でも質問をしてくれれば、少しはうまく説明できるかもしれない。そう期待しながら海兵達を見回すが、私と目が合いそうになるとサッと逸らされる。ため息をついて話を終わりにしようとすると、ゼファーが口を開いた。

 

「ガルフレド聖は奴隷を買ったことはありますか」

 

 ゼファーの質問に海兵達は息を呑む。不敬罪に問わないと言われても、実際に質問をしたら罰せられるのではないかという不安にかられ、口を開けなかったのだろう。先陣を切ってゼファーが質問をしてくれてたすかった。

 

「私が奴隷を買ったことはない。ついでに言っておく。私は奴隷を与えられたことはあるが、その者をムチで打ったり屈辱を与えるようなことはしたことはない。貴様の質問の答えはこれでいいか、ゼファー」

「ありがとうございます」

「他の海兵達よ、もう一度言う。好きに質問しろ」

 

 それからは口火を切ったように様々な質問が飛び交った。最初の目的以外になにか考えはあるのか。同じ天竜人は嫌いなのか。天竜人なのになぜ天竜人が嫌いなのか。好きな女はいるのか。好きな食べ物は。嫌いな食べ物は。どんな女がタイプか。等々、最後の方は下ネタな質問が多くなり、ゼファーから一体相手を何歳だと思っとるんだと怒号が放たれ、一気に通夜のような空気になった。

 

「ッフ、フハハハハハハッ! 貴様等、最初の怯えようは何だったのだ! 遠慮もせずに阿呆な質問ばかり重ねおって。実に楽しく、良い者達ばかりだなゼファー」

「大変失礼なバカばかりで恐縮でございますが、いざとなれば頼れる部下ばかりでございます」

「お前達は私の共犯者となってもらう。今の私だけでは、先程の目的を達するための金と権力はあっても実行する力が足りん。そのためにお前達の力を借りたい。とはいえ、私の目的が表に出れば確実に失敗する。目的を隠し、私の犬であるといった汚名を被ってもらわねばならん。口止め料程度は払ってやる。はした金ではできんというのであれば口止め料を受け取り、この船を降りろ」

 

 私の言葉を聞いて船を降りたいという者は誰一人としていなかった。むしろ、絶対に喋らないから協力させてくれと大騒ぎになりかけたが、ゼファーの一瞥でぴしりと整列した。

 

「この通り、我が船の部下たちはガルフレド聖の目的のために協力は惜しみません。どうか、私も含め協力させていただきたい」

「そう固い言葉を使わんでいい。明日からは貴様を師と仰ぎ強くならねばならん。よろしく頼むぞ、ゼファー」

「ふふ、では明日からは厳しくいきますのでしっかりと覚悟をしておいてください」

 

 ゼファーの言葉に、明日からの日々がどうなるかと楽しみになる。又、軍艦一隻分の協力者を得られるとは思ってもいなかった為、正直嬉しくて仕方がない。

 

 

 

 そしてソムニアに着くまでの間、私はゼファー直々の特訓を行うことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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