馬酔木の副隊長   作:ANIRAS

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空座決戦編にて俺くんと平子の再会シーンと千年血戦にてメダリオンにて卍解を奪われる~再び人型になるまで。


再会 / いつかの再演

再会

 

「待てや、久しぶりやなぁ藍染」

その揺れる金糸をみて、懐かしさと嬉しさそしてとてつもない困惑が俺に襲いかかってきた。

「たいちょうだ」「たいちょうだよ」裏狩たちが俺の中でザワザワ、と騒ぎ出す。

胸元を押さえて気持ちを沈めようとするけど、それは鎮まる様子を見せなかった。

 

結界の中で副隊長達の治療をしていた吉良が様子が変なことに気づいたのか俺の名前を呼ぶ。

だがその呼び声に答える前に目の前にキラキラと金糸が揺れた。

「なんやぁ?平子やないんか。なぁ、」

その口が紡ぐのは俺の名前だ。この人が名付けてくれた「大好きの形」。俺を俺たらしめるもの。

「仮にも大罪人の名前は名乗らせられない、と奪われたんです」

気持ちを落ち着かせるために軽く深呼吸してから言葉を紡ぐ。俺もこの人との繋がりとも呼べる「平子」という苗字を名乗りたかったに決まってる。けれどそれは当時の四十六室からの決定で捨てることを強制されてしまった。

その代わりに名付けた苗字はそれまでの記憶の中でこの人以外で1番綺麗だと思ったものにした。

 

「それはなんというか、難儀やったなぁ。頑張ったやん。」

そう言って頭を撫でられる。この感触も100年ぶりほどだと考えると涙腺が緩まった気がした。

「相変わらず、泣き虫なぁ。」

「だって、だって」

「分かっとる、だから落ち着きィ」

仕方がない、と言いたげな笑いとともにこの人は頭を撫でていた手を背中に回し宥めるように背中をさする。

俺が落ち着いた頃合で「じゃあ、総隊長に挨拶行ってくるわ」と言って俺の頭をひとなでして行ってしまった。

その瞬間、心の内に堰き止めていた感情が爆発する。

 

 

「なんで、なんで、なんでなんでなんで」

「髪を切っちゃったんですか!?!?平子隊長!!」

 

 

そう言った瞬間、総隊長の目の前であの人の足がガクッと折れるのが見えた。

 

 

 

いつかの再演

 

その光景を見た者は絶句するしか無かった。そこには五番隊副隊長である平子副隊長がいた、はずだったのだ。

 

滅却師たちが瀞霊廷に侵攻して間もなくして、敵からの攻撃を受けた各隊の隊長、副隊長だったが五番隊は隊長、副隊長が別々に行動しており隊長は3席である雛森と副隊長はその始解の能力故に1人で滅却師と相対していた。

平子副隊長の始解の能力は一言でいえば罠だ。影という影にトラップを仕込む、そういうものだ。影に潜んでいた滅却師達には初見殺しとも言える能力に多くの兵士がその罠に嵌り、影へと沈んでいく。

 

「全く、こんなんイタチごっこが過ぎる。」

ここは卍解するしかないかと嘆息する。実際、影から出てきた兵士は始めはねずみ捕りのように面白いくらい罠にハマっていったが時間を追うにつれ対応していく。彼の卍解は始解とは打って代わり光のように速く正面切って戦う、そんな能力だ。

 

「卍解、大光真神」

そう能力を解放した瞬間、相対していたほかの兵士とは一線を画すだろう奥に佇んでいた人物が笑い声をあげる。

その人物の手にはメダルのようなものが握られており、解放した卍解はそこへ収束していく。

それを見て、平子副隊長は縋るように手を伸ばす。

だが、伸ばした手の先から泥のように崩れ落ちていく。

残ったのは沼と言えるほどの大きさをした暗闇の塊だ。それもただの暗闇ではなく、赤子の手のようなものや小さな目、口などの顔がその暗闇のあちこちに点在している。それは見るからに触れると崩れ落ちてしまいそうな見た目をしていた。

 

その暗闇は兵士たちを飲み込み、引きずり込んでいく。

「か…して、かえして」

小さく、幼い口調で囀るその声は一体どこから聞こえてくるのか。

平子副隊長から卍解を奪ったその人は、当たりを見回し絶句した後流石に分が悪いと思ったのかそれとも目的を果たしたからなのかその身を翻しその場を去って行った。

 

辺りに残るのは無数の赤子の手や顔が点在する底なしの泥沼の暗闇のみ。遠くから様子を伺っていた五番隊の隊士たちも、どういったことなのか分からず困惑するしかない。「とりあえず、平子隊長を呼べ!」との声に否のあるものはいなかった。

 

 

その姿を見た時、平子真子が感じたのはただ「懐かしいな」という感慨だった。

目の前にはいつかのような夜明け前の暗さと目の前の沼のような暗闇。そしてこちらに手を伸ばす小さな無数の手。

そこまで考えて、そういえばこいつを拾った時はそんなシチュエーションだったな、ということを思い出す。何だか可笑しくなって、笑う。

隣で絶句している3席の姿も拾った後の藍染の顔を彷彿とさせた。

「マァた、暗闇に閉じこもってるやん。」

笑いを堪えきれず思わずそう言う。

「ホラそんな暗い所おらんでこっちに来ィ、」

しゃがんでそう言って名前を呼ぶと初めて名付けたいつかのように泥が収束し1人の見慣れた姿になった。

「それっぽい姿になってよかったやん」

そう言ってケラケラ、と笑うと仰向けに寝転んだその人の手が平子の髪を掴む。

そして、思いっきりそれを引っ張った。

「痛っ!何すんねん!!!」

平子の叫び声が辺りに響き渡った。

 

 

 

 

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