馬酔木の副隊長   作:ANIRAS

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※注意
平子失踪時、俺くんはまだ霊術院に通ってない設定です。失踪後、朽木の後見と藍染の後押しで通った感じです。失踪時8~10歳位の見た目年齢をイメージしてます。なお、中身はもっと幼いです。


とある蛇と烏の関係

 

俺にとってギンの存在は幼い頃に世話をしてくれたお兄さん、といった存在だ。まだ平子隊長と藍染副隊長が肩を並べていた頃3席として2人が仕事に追われて俺を見れなかった時に見てくれていた。

 

「ギンはたいせつなひといる?」

「なんや?突然」

 

紙にクレヨンで絵を描きながら尋ねるとギンはその様子を伺いながら返答をする。

 

「おれたちはね、たいちょうと、そうすけと」

クレヨンを握ってない手で指を折りながら続ける。

途中で指が足らなくなって、首を傾げた。

 

「えっとね、あとギンも!」

足りない人はまた後で教えてあげようと思って言いたかったことを言う。

そうすると、ギンは細いその目を僅かに開け驚いてる様子だった。

 

「僕もなん?」

「うん!おれたち、ギンだいすきだよ?」

「あー、僕も君のことそれなりに好きやで」

「ホント!?お揃い!」

 

ギンとお揃いなことが嬉しくて、手に力が入る。すると、ボキッとした音と共に手に握っていたクレヨンが砕けていた。

「あ………、おれちゃった…」

たいちょうが買ってくれたクレヨン。それが目の前で折れてしまった。視界が滲んで、息もしづらくなる。

 

「あぁ、またかいな。大丈夫やで、な?」

ギンが名前を呼んで背中を叩いて落ち着かせてくれる。たいちょうほどでは無いけれど、心做しか落ち着いた気がした。

 

そのまま眠くなって、目を擦る。何か言われた気がするけど、分からない。そこからの記憶はなかった。

ギンの温かい体温に包まれて、きっとねんねしてしまったのだ。

 

「大切な人、なぁ。おるよ、とびっきりな美人さんが。」

だから、知らない。おれたちが眠ったあとで柔らかい顔をしてギンがそんなことを言っていたなんて。

 

☆ ☆ ☆

 

「あ、ギン」

「なんや、五番隊副隊長サマやないの」

業務を抜け出して、流魂街を歩いていれば茶屋でお茶をしばいてるギンの姿を見つける。その姿は見慣れた死覇装ではなく私服だろう紺色の着流しだ。

 

「えー、サボり仲間かと思ったらお前今日非番なの?」

いつもサボった先で出会って一緒に昼寝をしたり、だべったりしているのに今日は非番らしい。

それが少し残念で、ため息を吐いてギンの隣に座る。

それを見とがめるが、ヘラりと笑ってそれをかわした。

 

「あんまり、サボりすぎると藍染隊長に叱られるんちゃう?」

「惣右介さんに?大丈夫大丈夫、もうため息しか吐かなくなったよ。叱るとしたら、雛森ちゃんかなー。」

「いや、それ諦められるとるやん。」

 

やれやれ、と首をすくめて呆れたようにギンは言う。諦められてる、なんて失礼な。惣右介さんは俺を見捨てたり出来ないっていうのに。なんだかんだ理由をつけて、どうせ助けてくれるってことを俺は知ってる。

 

「諦めてる、っていうより役割分担だよ」

ギンが注文していたんだろう、団子を1本横から取る。それを飲み込んでから言葉を続けた。

「惣右介さんが飴で雛森ちゃんが鞭、今の五番隊はそういう事だよ。」

「ソレ、君はどの立ち位置なん?」

「俺?うーん、雛森ちゃんの鞭でも効かない奴らを懲らしめる役?」

少し考えてそう言うとギンから湯呑みを渡されたので飲んだ。

実際、3席である雛森ちゃんが叱っている姿は実力を図ることが出来ない馬鹿に取っては可愛い姿にしか映らないのだろう。そういう奴らにお灸を添えるのは副隊長を任命されてる俺の仕事と言えた。

 

「フゥん、そうなんか。僕が副隊長だった頃より大変そうやな。」

「まぁ、惣右介さんが優秀なお陰で俺もこうしてサボれてるし。」

いつの間にか注文されてたのかお茶と新しい団子が届く。それを受け取りながら、そんな話をしてると不意にギンの視線が街道に向けられた。

 

その視線を追うと、長いくせっ毛な髪を揺らす金髪の見慣れた女性の姿がある。十番隊副隊長、松本乱菊の姿だ。

「乱菊ちゃんのことまた見てる。見飽きないの?」

「ハァ?僕が乱菊のこと見飽きるわけないやろ」

何が楽しいのか分からない。同じ金髪の長髪なら、くせっ毛よりストレートの方が眺めるのも触るのも好きだ。

 

瀞霊廷の中でサボってる時もギンは乱菊ちゃんの姿を見ると話しかけるわけでもなく、その様子を眺めてることがある。その顔はどこか優しげな顔をしていて話しかけないのか問うても別にいい、という答えしか返ってこなかった。

本人がそれで良いなら、別にいいのだけれど本当は話しかけたいんじゃないのかな。と思う。

 

それは生まれてから2番目に長い間接しているからこそ思ったことであり、余程察しのいい人でない限り分からないであろう感覚だった。

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