愛される少年は運命を捻じ曲げに行きます!   作:春山三冬

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1:神に愛されし者

 

創造神は、世界を作り、この広大なる大地と共に、無限に広がり続ける空を生み出した。

世界に、ありとあらゆる生物や物、秩序と運命を作った。

数千年の間、そのままの状態で観察を続けると、ある種族が目に止まった。

 

それは、『人間』だった。

多種多様な生物達は、"今"に適応するため進化を重ね、数を増やして行った。

さらに数千年すると、生物達の間には序列が生まれ、弱きものは蹂躙されて行った。

 

それが運命であり、絶対であったため、創造神は気にもとめなかった。

が、その変えることのできないはずの運命を曲げたものがいた。

創造神は、すぐにその運命を曲げたものを取り除いた。

すると、みるみるうちに人間は絶滅の危機に陥った。

 

運命が曲げられるまで、ここまで早く絶滅するはずでなかった人間が死に絶えることにより生まれる運命の崩壊を防ぐべく、神は強き人間に力を与え、神という生物に変えた。

 

神は、世界中のどの生物よりも強かった。

神の力により、また数千年は世界の運命が正常に戻された。

が、神とてもとを辿れば生物であるため、寿命が来る。

 

また、神が消えることにより運命が乱れることを恐れた創造神は神を増やすのではなく、神に与えた力を分散させ、多くのものに与えることにした。

 

それにより、世界には魔法というものが生まれた。魔法は種族関係なく使用は可能だが、魔力が多い少ないは個体差があるため、結局は人は弱いままだった。

 

だが、神の力が分散した際に、通常よりも強く力を受け取り、神の力を使うことができるものが現れた。

それらの人のことを『加護を受けし者(グルーシャ)』(または能力者)と呼び、神に代わって世界を収めていた。

また、グルーシャが生まれると同時に、溢れた力たちが生物に影響を与えて生まれたのが『力に侵されし者(ドルーシャ)』(または魔物と呼ばれる)存在である。

 

グルーシャの使命は、ドルーシャを倒し、世界の秩序と運命を守ることだ。

 

 

—————————————————————————————————————

 

 

そして、僕はその新たに生まれしグルーシャ。

神に愛されるもので、珍しい存在だ。

 

グルーシャの中には、神に愛されるものがいて、神に愛されるものは、その神が消滅するまで、必ずグルーシャになり、死んでもまた同じ記憶のまま新たなグルーシャに生まれ変わる。

この話は愛されるもの同士以外に知られると、また運命や秩序が崩壊しかねないため、自分が愛されるもの以外の場合は知ることもない様なことだ。

 

僕は6度目の人生で、エルフの母と人間の父の間に生まれた「テス」になった。

今回は丈夫で寿命が長い、しかも魔力も多いエルフとのハーフだから、より長い間戦うことができそうで安心した。

 

何度死んでも、いい気分ではないので少しでも死ぬまでに時間がかかるこの体は僕にとって嬉しいものだった。

 

そうだ、僕がグルーシャであることを伝えるために、力を使わなくちゃ。

そう思い、僕は生まれたばかりの小さな手を上に上げ、雑に使った。

 

が、両親は気づかない。まぁそりゃそうだ。6回同じ力を持つグルーシャになっても、生まれたばかりでは制御可能な力の範囲があまりにも狭いのだから。出力は制御可能のところのギリギリでも、はっきりと力を持ったものと知らしめるには到底足りなかった。

 

仕方ない。そう思い僕は声を出した。

普通に声を出しても、赤子ではしっかり喋ることは不可能。だから、力を使ってしゃべることにした。

 

『父さん、母さん。はじめまして』

「なっ!?今のは誰の声だ!?」

『テスだよ?』

「そんなはずない!テスは生まれたばかりだ!」

『グルーシャだよ?「力」を操る能力の』

 

説明しよう!僕の能力は「力」を操る能力。

と言っても「力」はいろいろなものにある。例えば火。あれは「力」の塊だ。だから、僕はそれを操ることができる。

火は基本上方向に「力」が進むが、その進む方向を操り、あり得ない方向に向けたり出来る。成長していくと、火の「力」の威力をあげたり、より細かい動作を組み込めたりする。

 

今はそれの応用で音という力を操り、声にならない声を擬似的な声に変換している。

だから会話ができるのだ。

 

「グルーシャなのか?テス」

『そう、僕はグルーシャさ!ところで父さん。キフロンとマガリと戦争が始まったのは何年前なの?』

「ん?27年前だが。どうしてその戦争を知っている?」

『気にしないで。喋るのに疲れた。だから寝させてもらうね』

 

そう言って寝たふりをかました。

すると、頭の中に誰かが話しかけてきた。

 

『いやぁ、今回転生するのに27年かかったか〜意外と長かったね』

 

そう、僕は、前の人生でグルーシャの兵として魔物の国であるマガリとの戦争の際に戦死したのだ。

あの時は、魔物が国を作ることに対する異常性を感じ、それの調査に行く途中に死んだのだ。

 

『おーい?ボクの紹介はしてくれないの?』

 

あ、ごめん忘れてた。

こいつは僕に取り憑いた神のミスリル。力を操る神だ。

 

『おん?ボク一応神様だよ?神様をこいつ呼ばわりしちゃっていいの?』

 

つっても何もできないでしょ。

 

『うるせぇぇ!!!生きてる頃のボクならネルなんて瞬殺なんだからな!』

 

おい、名前。それ前の。今僕テス。

 

『あっ、そっかそっか。忘れてたわごみーん☆』

 

イラッ…

 

『あぁ!いまイラってしたでしょ!ボクにはわかっちゃうもんね!やーいやーいざーこざーこ!』

 

メスガキみたいだなおい…

 

『あぁ、そう言ってメスガキなボクをわからせ〈自主規制(ピー)〉しちゃうんだ!それでボクは一生テスの奴隷にされちゃうんだー!』

 

うん。人間の姿になれたらまず最初に拷問かけたげるから待っててね!僕頑張って精神だけの存在に肉体を与える技術を編み出すから!

 

『すみません調子乗りました。なんでもするんでやめてください』

 

やーだ♡

 

『キッショ』

 

覚えとけよお前

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