扉の先には馬鹿でかい教室の中に教卓と椅子と机が五つあるだけだった。
ただ、その椅子の一つにすでに座っているものがいた。そう
「あっ、テスやっと来たんだ〜さっきぶり〜!」
ついさっきまで一緒にいたレイラだ。
レイラは俺を見つけるなりニコニコしながら手をブンブン振っている。
「というか、なんでここにいるの?ここは新入生のクラスじゃないの?」
「えっ?ここは勝利の女神様の特別クラスだよ?年齢なんて関係ないんだよ。ね?そうでしょ先生?」
そう言ってレイラはさっきの男の教師の方に向かって視線を向ける。
それに釣られて僕ら4人もついつい目を向ける。
そして、そこには驚くべき景色が広がっていた。
「「「「女ぁ!!!??」」」」
そこには見知らぬ金髪美女エルフが立っていたのだ。
ただ、見た目がすごく若い。17歳くらいにしか見えない感じだ。
ただ、僕たちはこの人がさっきの男教師なのはすぐにわかった。
だって、髪の長さが変わっても体型までは変わっていないからだ。
相変わらず…薄い…
「私はサラシ外してブラに変えるだけで大きくなるんだからな?」
心読まれた!?という僕の疑問は放置される。
そして「見てろ」そう言ってから何かするわけでもなく、ただいきなり(少しだが)胸が膨らみ始め、服の襟あたりから包帯が出てきた。
「ほい完了。な?流石にまだまだ小学生には負けないからな?」
そう言って自慢げに僕以外の生徒に見せつける。
疎外感半端ない…男だからしょうがないんだけど…
ん?よく考えろ?
アシューは男だ…
「アシューも男だろ!!」
「は?何言ってんだ?スタウロンは立派な女じゃないか…って、もうめんどいし自己紹介しろよお前ら」
僕のツッコミはわけわからん返し方で終わらせれ、そして、なんかわけわからん状態で自己紹介がスタートした。
「えっと、私はレイラ!君たちより一つ年上で、苗字はないよ!好きな食べ物はケーキ!嫌いな食べ物は貝とかかなぁ?で、能力は——————」
えっと、レイラの能力をなんとなく説明すると、単純だけど身体強化魔法なんかの比じゃないほどの身体強化で、1秒使えば1秒能力が使えなくなる。
で、最大継続時間は40分。ただ、40分使えば40分能力の再使用は不可能になる。だから今は殴る瞬間だけ発動できる様に練習中。
弱点としては、能力は使える余裕があっても、手足がなくなってたりすると発動しても意味がないというところらしい。
「えっと、私はエイリス・トレイス。エリーって呼んで。一応この国の三大貴族の中の最大の家の生まれ。好きな食べ物はティラミス(異国から入ってきた)。嫌いなものは味が薄すぎるもの…能力は風を操れる。以上」
そう言ってなんともなさそうにエリーは自分の席に座った。
次にサイフォスが立ち上がりやけに大きいローブを脱ぎ捨てた。
そして、なんとそこには黒髪に黄色のケモ耳が生えていて、腰からは先端がが白くそれ以外が黄色の尻尾がえっと…1…2…3…9。合計9本生えていたのだ。
「うちはキール・サイフォス。気軽にキールって呼んでな〜。うちは異国生まれの九尾の狐のおかんと、この世界の国のおとんの間に生まれてな、狐と人のハーフや!だからこの耳と尻尾は本物の狐耳と狐の尻尾やで。ほんで、好きな食べもんは油揚げ(異国から入ってきた食べ物)。嫌いなもんは…ん〜、あ、パサつく食べもんは無理やわ〜。んで、最後に能力やけど、うちの能力は指定した場所に氷を作るだけやで〜」
すっ、すごい。これが噂に聞く異国の生物とのハーフ…!
しかも耳も尻尾もあるしおまけに方言もあるっ!最高かよっ!!
あぁ、あの尻尾と耳をもふもふしたい。あのゆっくり振られてる九本の尻尾をもふもふしたいっ!!
『『テスどこ見てるの?(圧)』』
『ひいっ!!?』
こっわ!
なんなん急に!?エリーもミスリルも2人して怒ってるみたいになってるの!?
僕ただただもふもふを眺めたがっただけじゃん!!
『『それが問題なんだよ?テス(圧)』』
『ぴいぃ!?ごっ、ごめんなさいっ!!』
うぅ…2人とも怖い…エリーに関しては6歳でこの怖さって…将来夫になる人は大変そうだなぁ…
『テス?全部聞こえてるからね??』
この一言で、僕の思考は完全停止した。
だって、結局心の声全部ダダ漏れなんだから仕方ないじゃん…
『あら?テス知らなかったのぉ?この会話って、自分で送りたくないって思えばその部分は送られなくなるのよ?』
『え!?そうなのシトリー!?やった!ありがとう!』
よっしゃぁぁあ!!
これで思う存分もふもふを眺められるっ!!
早速全力で尻尾のもふもふを眺めていると、僕の視線に気付いたのかキールがくるりと後ろを向き、僕と目があった。
「ん?なんやテス?そんなにうちの尻尾と耳が気になるんか?」
「うん!すっごく触りたひっ!!?」
僕が触りたいと言おうとした瞬間、脳内に『『テス?(圧)』』という恐ろしい声が響いてすっごく最後ビクッとなってしまう。
ただ、キールはそれを華麗にスルーして
「ええで〜うちの尻尾をテスにだけ特別に触らせたる!」
と言ってくれた。
その言葉が聞こえた瞬間、脳内に再び『『テス?(圧)』』という声が響いたが、もふもふには逆らえなかった。
そう僕の体は欲求に忠実だった。
気づいたら体が勝手に一つ前の席でゆらゆらと揺れる黄色い九つのしっぽに体が吸い付いていたのだ。
そして、僕の肌が触れた瞬間、ふわっとしていて温かく、それでいていい匂いがして、綺麗な毛並みが僕の肌を包んでくる。
嗚呼、ここが楽園か…もうこのまま死んでもいい。いや、むしろこの天国の中で死にたい。
ていうか、キールの尻尾気持ち良すぎだろっ!!
あまりの気持ちよさに昇天しかけているといきなり後ろに吹き飛ばされる。
油断しきっていたからすっごくびっくりしたけど、痛みはない。
おかげで誰がやったのかはすぐにわかった。
「テス?いきなり女の子の体を触るのは良くないよ?」
鬼のような形相でこちらを見つめてくるエリーだ。
ただ、その顔があまりにも恐ろしく、辺りの温度が一気に下がった気がする。
流石に僕も怖いので、大人しく自分の席に戻る。
すると、すかさずアシューが立ち上がり、自己紹介を始めた。
「僕…ううん。私はアシュー・スタウロン。みんな気軽にアシューって呼んでくれ。で、私は竜と人のハーフの父と竜の母の間に生まれたんだ。男の子のふりをしていたのはただただなんとなくで、別に深い意味はない。好きな食べ物はイノシシの肉で、嫌いなものは魚だ。能力は炎を出すだけ。あ、あと竜の姿にはなれないんだ。だから頭とかにツノとかがない」
うん…信じられん。まさか本当に女子だとは…
いや確かにね、やけに白いく細い腕だったり笑った時が可愛かったけどね、流石にないと思うじゃん!
『ってあれ?みんななんか全然動揺してないよね!?えっ、もしかしてみんな気づいてたの!?』
『うん、気づいてたよ、テス…』
『マジかよ嘘だろ…』
『まっ、ままま、まぁ??ボクは?気づいてたけど?あ、あえて?教えなかった?的な?』
『あらぁ?嘘はダメよミスリル?』
頭の中で話が盛り上がってると、横から声がかけられる。
ふと、顔を上げるとそこには超至近距離にレイラがいて、あと数センチずれれば唇がくっつくところまできていた。
「テス?自己紹介しないとだよ〜?」
「あっ、あそっか、ごめん。えっと、僕はテス・バークソン。エルフと人のハーフだよ。好きな食べ物はアップルパイで、嫌いな食べ物は辛いものだね。能力は力を操ることができるよ。よろしくね、みんな」
あんまりにも急ですっごい雑な自己紹介を終えて着席する。
するとさっきから存在感がまるでなかった先生が再び教卓に立ち、少し真面目な顔になった