愛される少年は運命を捻じ曲げに行きます!   作:春山三冬

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17:家族に少しの間お別れを

「はぁ〜。この猫は魔法が使えるのか…すごいな」

「それだけじゃなくて喋ることもできるぞ!」

「は?…しゃべった?」

「そーだぞ!おいらは喋ることもできるんだぞ!昔おいらを育ててくれたどんな生物とでも意思疎通ができるお婆さんに教えてもらったんだ!」

「ほぉ…これはすごいな。そのお婆さんとやらにいつか合わせてくれないか?もちろん、家にいていいから」

「あっ…あいにくおばあさんは少し前に亡くなっちゃってて〜」

「じゃあ名前だけでも!」

「あーそれも無理かなぁ」

「ではできる限り情報を!!」

「あっあはは…」

 

今は、晩御飯を食べ終えてお父さんがソフィアに質問攻めをしているところだ。

お父さんは元から知りたがりな性格だったらしく、こんな状態になるのは昔かららしい。

 

僕とお母さんはそれを眺めながらお茶を飲んでいる。

異国で栽培されていたものらしく、育ちやすい環境がある国が持ち帰り、それぞれ栽培して売っているものらしい。

まだ数が少なく、そこそこ高級品だった気がするが、これもお祝いだと言っていたので気にしない方向で行く。

 

一口飲んでみると、僕らの世界の紅茶よりずっと渋く、えぐみがあった。

正直いうと、とても美味しいとは思えない…

 

「お母さん、これ、美味しいの?」

「うーん、正直ただ苦くてえぐみがあるだけな気がするわ」

「だよねぇ…なんなんだろう」

「異国から入ってきたばっかりだから、美味しい飲み方もまだわからないんじゃないかしら?」

 

うーん。そういうもんかなぁ…ま、そういうものか…

 

お世辞にも美味しいとは言えないお茶を飲みながら、いつの間にかキッチンに消えていたお母さんを待つ。

少しするとお父さんから逃げてきたソフィアが僕の膝の上でお父さんを威嚇していた。

僕は少しでも宥めるためにソフィアをなでなでしていると、すぐに機嫌が良くなり膝の上で喉を鳴らし出した。

 

お父さんは警戒されてるせいか少し悲しそうな顔をしている。まあ正直お父さんが悪いとしか言いようがない。

少し探究心を抑えられるようになってもらいたいものだ。

 

そんな何様だよって突っ込みたくなるようなことを考えていると、キッチンからお母さんが出できた。

しかもなんとその手には焼きたてのアップルパイがのった皿があった。

 

「テスは明日早くから行っちゃうんでしょ?なら、せっかくだから好物を食べてもらいたくって作ってみたの」

 

そう言ってそれぞれみんなの分のアップルパイを用意してくれた。

僕らはそれを食べながら普通の、何気ない会話を楽しむことができた。

 

明日から、当分は会えなくなる。だからこそ今という時間がとても楽しく思えた。

ただ、楽しい時間とはあっという間に過ぎていくもので、気づいたらいつもならもう寝ている時間になってしまっていた。

 

お母さんたちは普通に2人の寝室に入って行き、僕は僕の部屋にソフィアを連れて布団に入った。

 

けど、どうしてかわからないが眠れなかった。

そんな時、急にさっきまで静かだったミスリルが話しかけてきた。

 

『今日くらい両親と一緒に寝たらどうかな?』

『どうして?』

『今、テスは少し寂しいんだと思うよ?ボクはテスと心が繋がってるからなんとなくわかる』

『そうなの?ミスリルが言うなら、そうしよっかな』

 

ミスリルの提案に乗り、お母さんとお父さんがいる寝室の扉をノックした。

すると、すぐに2人は出てきて、僕を部屋の中に入れてくれた。

 

「今日はどうしたのテス?」

「ううん。ただ、明日からしばらくは会えなくなっちゃうから、そう考えると少し寂しくて」

「なるほどな。だから今日はいつもの『父さん』じゃなくて『お父さん』なんて、昔の呼び方になっていたのか」

「あれ?そうなってたの?無意識だったや」

 

そう言いながらも僕の手をひき2人の布団の中に入れてくれた。

僕を真ん中に左右にお父さんとお母さんが添い寝してくれる。

 

その温かさだけで不思議と心が安らぎ、落ち着いてすぐに眠りについてしまった。

 

翌日。朝日が昇る直前に目が覚めた。

後2時間もしたら先生が迎えにくる。だから僕は朝の支度を始めた。

 

昨日お母さんがあらかじめ用意しておいてくれた朝ごはんを食べて、着替える。

身だしなみを整えたらあっという間に学校に行く準備が整ってしまった。

 

あと少しで先生が来る。そう思ったと同時にお母さんたちが動く音がした。

なんとか行ってきますだけは言えるかと安心した瞬間。目の前に先生が現れた。

 

「行くぞ」

 

それだけいい先生は僕の手を取り僕たちのクラスの教室に転移した。

そして、転移したことを認識した瞬間、僕はつい

 

「少しくらい待ってくださいよ!まだ、お母さんとお父さんに行ってきますすら言えてもいないのに!」

 

と言ってしまった。

ただ、それに対して先生は特に何も言わずに僕をじっと見つめた後、僕の方へ手を伸ばして優しく抱擁した。

 

そして、耳元でこう囁いた。

 

「テスも、何度も転生してるんだから家族や大切な人の元から旅立つのも1回めではないだろう?しかも、今回は会おうと思えば会えるようになるんだ。だから、今回ばかりは許してくれ」

 

そう言って僕から離れてからまたどこかへ転移していった。

それと同時に、足元に違和感が走った。足もとにソフィアがいた。

ソフィアと目が合うと『あ、おはよう』なんてのんきにいうからか、先生に対する怒りが和らぎ、先生の言ってる事に納得できるようになってきた。

 

まぁ、結果オーライといえばそうなのだが、一体いつからいたんだろう。この猫

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