愛される少年は運命を捻じ曲げに行きます!   作:春山三冬

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5:試験①

エリーと2人で手を繋いだまま学園内を歩き、学校内に入る。

一度別れて、更衣室で着替えてきてから合流して試験会場に向かう。

 

試験会場は太古の時代、コロシアムとして使われていたものを改造してできたものだ。

 

「ねぇテス知ってる?この試験会場って、歴史上最強のグルーシャの『大英雄プルチネルラ・サイス』が元コロシアムのここにとある特殊な結界を張って、このコロシアムを中心に学校や学園を作ったんだよ」

「うん。有名な話だから僕も知ってるよ」

「『大英雄プルチネルラ・サイス』は、国を埋め尽くすほどの魔物から、人を守るために全力を尽くして戦い、その戦いで死者どころか、怪我人1人すら出さずに勝利したんだ。この話を聞いて以来、私はずっとこの人になりたいの。なれるかな?この人みたいに」

 

そう、エリーは尋ねてくる。

真剣な表情のまま僕の隣に座り、答えを求める。

プルチネルラ・サイスはそんなに大した実力者じゃない。国を埋め尽くすほどの魔物なんて怪我人1人出さずに倒せるわけがない。

 

「エリー。あの人になるなんて無理だよ」

「えっ…」

「あの人なんかより、きっとエリーの方が何倍だって強くなれる。あの人の頃とは環境が違うからね。あの人の場合、昔の人に比べて強いだけで、今の僕らには足元にも及ばないかもしれない。でも、これからの生き方によっては大きく変化をとげる。人は無限の可能性があるのだから、その可能性という名の芽を踏み潰さないよう進んでいけば間違い無いよ」

 

そこまでいうと、エリーは少し考えるそぶりを見せたあと、納得した様に開会式の司会をやっている人の方に向き直っていった。

 

「テスありがとう。でも、そんな考え方ができるなんて、同い年じゃないみたい」

「っ!?」

 

ビッッッッッックリしたぁ!!!

早速僕が普通じゃないことがバレるとこだったや…

 

『ほんと、もうちょっと気をつけてよね。もしバレたりなんてしたら創造神様の作った秩序がぐちゃぐちゃになっちゃうから』

 

わかってる。今後はもう少し行動に気をつけるよ。

 

「ただいまより————————」

 

説明が始まった。

説明が終わると、またエリーが僕の手をひき、観客席に連れて行き、僕をエリーの隣に座らせた。

最初の受験者が飛ばされて、在校生が出てくる。そこで、紹介のナレーションが入った。

 

「受験者、アイルス・テリーヌ対5級生————」

 

最初の子供は5級を受験したようだ。

ここで負ければ最低クラスの6級。

 

「合格条件は相手を殺すことです。結界内では、自分の完璧な分身体ができるため、全力で殺し合いなさい。また、痛覚はあるため、無理だと判断した場合、棄権することができます。

 

それでは、試合開始!!!」

 

司会の叫び声とともに周りが一気に騒がしくなる。

そして、その熱気のなか、鋭い叫び声と共に受験者と在校生が同時に魔法を打つ。

そして、魔法は—————

 

両者ヘロヘロでスピードも出ていない。威力だって0歳の頃に戦った蛍っぽい魔物の進化先の威力より弱い。

本当にグルーシャかを疑いたくなる。

 

弱すぎる。なんでこんな弱い魔法で会場は盛り上がっているんだ?

お互いグルーシャの能力も魔法も弱過ぎて全く面白くない。

特に、受験者の能力の炎は、松明の炎と大して変わらない威力で、200年くらい前の記憶だと、6級のやつでもこれの3倍の火力は出てた。

落ちぶれすぎだと思う。一応隣を見るも、エリーも退屈そうだった。

 

結果だけ言うと、受験生が負けて、6級確定となった。

そして、なんかこんな感じの戦いが10数試合続いて、ようやく面白そうなやつが来た。

 

「受験者、アシュー・スタウロン対3級生、ズバイル・マタドール

 

試合開始!!!」

 

3級を受験するやつだ。

これにはエリーも興味を示した。なので、僕も向き直って会場を見つめた。

 

スタウロンは男なのに妙に白い腕をマタドールに向け、次の瞬間真っ白な炎が手のひらから飛び出た。

今までの奴らと比べ物にならない威力だ。もちろん会場はさっきの数倍盛り上がり、隣の話し声すら聞こえないくらいだった。

 

で、その炎をマタドールは地面から岩を生成し、防いだ。

これがお互いの能力らしい。2人とも優秀な能力のため、磨けばもっと強くなれそうだ。

 

だが、今の試合ではスタウロンが不利だ。どんなにを炎を出そうとマタドールの岩に消される。

そして、どんどん近づき、確実に倒そうとしているマタドールを止められないスタウロン。

 

これは負けたな。そう思った瞬間、結界内が真っ白な炎で埋め尽くされた。

そこそこ広いはずの結界を全て埋め尽くすほどの威力だ、流石にマタドールは消し炭になっていて、スタウロンはだいぶ体力を消耗してる。

そして、そんな炎を見せられた会場は耳が割れるほどの大声で満ち、耳を塞がないとやってられなかった。

 

『ねぇテステステス?あのこの最後の一撃って相当な火力出たよね?』

 

うん。正直、今の「力の操作」じゃ扱いきれなさそうだった。

 

『あの子には期待できるね。あの子も同じ3級でしょ?これからが楽しみだね!!』

 

あぁ、確かにすっごく楽しみ。

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